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3話
しおりを挟む「貴女に惚れました」
「え……」
「いきなりこのようなことを言ってしまい申し訳ありません。ただ、どうしても、言わせていただきたくて……申し訳ありません、でも、どうか伝えさせてください」
ちょっとした思いつきで参加した晩餐会にて出会った艶やかな黒髪の青年アボルより好意を伝えられることとなる。
「そ、そうですか……」
「よければ今度二人でお茶でもしませんか?」
「お茶、ですか」
「そうです」
「ええっ……。良いのでしょうか、そんな……私で……」
「当たり前でしょう! 貴女だから良いのですよ!」
「そ、そうですか……」
そうして幕開けてゆくのだ、新しい物語が。
◆
私はアボルと結ばれた。
そして愛されている。
彼は深い愛の持ち主であった、それゆえ、私はどこまでも大事にしてもらえている。
ちなみにアドバレはというと。
あの後私ではない女性と婚約していたのだが、結婚式前日に浮気がばれてしまったそうで、親戚一同の前で婚約破棄を宣言されてしまったそうだ。
また、その時にとんでもない悪口をひそひそと言われてしまったそうで、アドバレはその場でショックを受けて気絶してしまったらしい。
以降、彼は頻繁に気を失うようになってしまったそうだ。
それは奇病であった。
原因不明。
治療法もない。
そんな状態で彼は生きなくてはならなくなったそうだ。
もう好き勝手遊ぶことはできない。
それどころか彼は最低限に健康すら失ってしまった。
彼は絶望の海に深く深く沈みゆくしかない。
◆終わり◆
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