1 / 2
前編
しおりを挟む
ロボット人間やロボットなど様々な種の者たちが暮らす国、オヴァヴァ鋼国。そこにはかつて、ルー王家というものが存在した。それは歴史ある家系であり、長きにわたりオヴァヴァ鋼国を治めていた家系である。しかしながら、世が安定しないことを理由にルー王家は統治者の地位から降ろされた。
そんなルー王家の血を引く数少ない女性が、魔善ティーナと御蘭ディーヌという姉妹だ。
齢三十を迎えた姉妹の姉、魔善ティーナには、最近悩みがあった。それも、これまでの人生で抱いたことのなかったような悩みである。
「どうも好かれてるみたいなのよね……」
ある昼下がり、濃いめのピンクのドレスとヴェールに身を包んだ魔善ティーナが漏らす。
「へっ!? 姉様が恋してるんですの!?」
情けないくらい甲高い声を発したのは、オレンジのドレスとヴェールをまとっている御蘭ディーヌ。魔善ティーナの、二つ年下の妹である。
「違うわ。恋されてるのよ」
「ええ!? あばばあばぶばッ!? こっ、恋されてるっ!?」
土を固めたような色みの顔面を真っ赤に染め上げて、御蘭ディーヌは狼狽える。
過剰なほどに乙女な反応である。
「姉様が! 誰かにッ!? 恋!? されてるゥッ!?」
「落ち着いて、御蘭ディーヌ。奇声は発さなくて良いから」
「で、でもでもでもっも!」
御蘭ディーヌは、両足を小刻みに震わせ、一種のステップを踏んでいるかのような動きをする。それによる揺れは意外と大きく、室内にある食器棚からは器がぶつかり合う高い音が響いてきていた。
「取り敢えず、両足を全力で震わせるのを止めるというのはどうかしら」
魔善ティーナは呆れ顔で述べる。というのも、御蘭ディーヌがこんな風に慌てて騒ぐのはよくあることなのである。こういう展開は、最近になって始まったわけではない。まだ二人が幼かった頃から、こういうことにはよくなっていた。御蘭ディーヌは元々慌てやすい質だったのだ。
「そ……そうですわね……はぁ、はぁー、すぅーはぁー」
「落ち着いた?」
「落ち着きましたわ……はぁ、はぁー、すぅー、はっはるはるはぁー。……で、姉様に恋してる人というのは……どなたなんですの?」
御蘭ディーヌの慌てる発作は、今になってようやく落ち着いてきた。
そんなルー王家の血を引く数少ない女性が、魔善ティーナと御蘭ディーヌという姉妹だ。
齢三十を迎えた姉妹の姉、魔善ティーナには、最近悩みがあった。それも、これまでの人生で抱いたことのなかったような悩みである。
「どうも好かれてるみたいなのよね……」
ある昼下がり、濃いめのピンクのドレスとヴェールに身を包んだ魔善ティーナが漏らす。
「へっ!? 姉様が恋してるんですの!?」
情けないくらい甲高い声を発したのは、オレンジのドレスとヴェールをまとっている御蘭ディーヌ。魔善ティーナの、二つ年下の妹である。
「違うわ。恋されてるのよ」
「ええ!? あばばあばぶばッ!? こっ、恋されてるっ!?」
土を固めたような色みの顔面を真っ赤に染め上げて、御蘭ディーヌは狼狽える。
過剰なほどに乙女な反応である。
「姉様が! 誰かにッ!? 恋!? されてるゥッ!?」
「落ち着いて、御蘭ディーヌ。奇声は発さなくて良いから」
「で、でもでもでもっも!」
御蘭ディーヌは、両足を小刻みに震わせ、一種のステップを踏んでいるかのような動きをする。それによる揺れは意外と大きく、室内にある食器棚からは器がぶつかり合う高い音が響いてきていた。
「取り敢えず、両足を全力で震わせるのを止めるというのはどうかしら」
魔善ティーナは呆れ顔で述べる。というのも、御蘭ディーヌがこんな風に慌てて騒ぐのはよくあることなのである。こういう展開は、最近になって始まったわけではない。まだ二人が幼かった頃から、こういうことにはよくなっていた。御蘭ディーヌは元々慌てやすい質だったのだ。
「そ……そうですわね……はぁ、はぁー、すぅーはぁー」
「落ち着いた?」
「落ち着きましたわ……はぁ、はぁー、すぅー、はっはるはるはぁー。……で、姉様に恋してる人というのは……どなたなんですの?」
御蘭ディーヌの慌てる発作は、今になってようやく落ち着いてきた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる