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赤い眼のせいで婚約者に切り捨てられてしまいましたが、嬉しい展開が待っていました!
前編
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「アリア! 君との婚約は破棄とする!」
婚約者である二つ年上の彼ヴォヴォロスからある日突然告げられたのはそんな残酷な言葉であった。
「これまでずっと考えていた。そして今ようやく心を決めた。俺は君とは生きない、と」
ヴォヴォロスは冷ややかな視線を向けてきている。
「そもそも前から嫌だったんだ、君のその瞳の色が。赤い瞳が。ああ、何度考えても汚らわしい……瞳が赤いなど」
確かに私の瞳の色は赤い。そして、赤い眼というのはこの国においては珍しいものだ。ただそれは特別な意味を持つものではない。赤い眼を持っているからといって誰かに危害を加えるわけではない。ただそういう色をしているというだけのことで。それによって何か悪いことが起こるというわけではないし、彼が言うように汚らわしいものであるというわけでもない。
「それが婚約破棄の理由なのですか?」
「ああ、そうだ」
「ですがそれならどうして今さら。私の瞳の色なんて、出会った時から分かっていたものでしょう。赤い瞳が嫌なのであれば最初に婚約したくないと言うことだってできたのではないですか」
冷静さを保ちつつ、一応思うことを口から出してみたところ。
「あの時は! 頑張ればやっていけると! そう思っていた!」
「そうですか」
「だが! 日に日に嫌になっていった! それで! 今ではもう、君の顔なんて一瞬でも見たくない! その赤い瞳! 目にするたび、不快になる!」
荒々しい調子で返されてしまう。
「アリア、もう何を言っても無駄だ。君の言葉は俺には届かない。俺はな、君のことは大嫌いなんだ」
「そう……ですか」
「特にその赤い目! そんな目をした女と結ばれるなど! 悪夢のようだ! 君は呪われている!」
「落ち着いてください、私は呪われている人間ではありません」
「いいや! 絶対! 俺には分かる、君は呪われているんだ! 間違いなく! 君は! 呪われている! 呪われの女だ!」
さらにそんなことまで言われてしまって。
「俺はもう君とは縁を切る」
彼は最後まで心なくて。
「ではな。……さらばだ」
そうして私は一方的に切り捨てられてしまったのだった。
――だがその直後にまさかの展開が待っていた。
「君のその瞳……赤い眼、間違いない、僕が探し続けてきた偉大なる女神の加護を受けた聖女は君だ!」
買い出しのため王都を歩いていた時、お忍びで出掛けてきていた王子ロードに遭遇し、そんな風に声をかけられて。
「名前を教えてほしい」
「え、ええと……アリアです」
薄暗かった人生に光が射し始める。
「アリアというのか」
「はい」
「素晴らしい! 君の存在は間違いなく我が国のためとなる! それは確かなこと、そしてこの出会いは奇跡だ!」
「え、えええー……?」
ヴォヴォロスに切り捨てられたことは残念なことだった。でももしかしたらそれは定めだったのかもしれない。悲しみや痛み、それは、人生を大きく動かすために必要なことだったのかもしれない。
だとしたらそれは絶望だけによって形作られた出来事ではなく。
「……っと、失礼。つい騒ぎでしまった、驚かせて申し訳ない」
「いえ」
「僕はロードという」
「あ、はい。お姿、拝見したことがあります。お写真で」
「それは嬉しい、ありがとう」
希望へ進むための出来事でもあったのかもしれない。
「この後共に来てはくれないだろうか」
「どちらへ……?」
「もちろん、王城へ!」
運命の波が襲いかかってくる。
「そんな、無理ですよ。私、一般人ですし。いきなり王城になんて」
「だが君は聖女かもしれない!」
「すみませんちょっと意味が」
「赤い眼を持っているだろう?」
「それはそうですね、生まれつきです」
「ああ! それが、だ! それこそが、聖女の証! 言い伝えによれば、女神の加護を受けた聖女の眼は赤いんだ」
こうして私は王子ロードと知り合いになったのだった。
婚約者である二つ年上の彼ヴォヴォロスからある日突然告げられたのはそんな残酷な言葉であった。
「これまでずっと考えていた。そして今ようやく心を決めた。俺は君とは生きない、と」
ヴォヴォロスは冷ややかな視線を向けてきている。
「そもそも前から嫌だったんだ、君のその瞳の色が。赤い瞳が。ああ、何度考えても汚らわしい……瞳が赤いなど」
確かに私の瞳の色は赤い。そして、赤い眼というのはこの国においては珍しいものだ。ただそれは特別な意味を持つものではない。赤い眼を持っているからといって誰かに危害を加えるわけではない。ただそういう色をしているというだけのことで。それによって何か悪いことが起こるというわけではないし、彼が言うように汚らわしいものであるというわけでもない。
「それが婚約破棄の理由なのですか?」
「ああ、そうだ」
「ですがそれならどうして今さら。私の瞳の色なんて、出会った時から分かっていたものでしょう。赤い瞳が嫌なのであれば最初に婚約したくないと言うことだってできたのではないですか」
冷静さを保ちつつ、一応思うことを口から出してみたところ。
「あの時は! 頑張ればやっていけると! そう思っていた!」
「そうですか」
「だが! 日に日に嫌になっていった! それで! 今ではもう、君の顔なんて一瞬でも見たくない! その赤い瞳! 目にするたび、不快になる!」
荒々しい調子で返されてしまう。
「アリア、もう何を言っても無駄だ。君の言葉は俺には届かない。俺はな、君のことは大嫌いなんだ」
「そう……ですか」
「特にその赤い目! そんな目をした女と結ばれるなど! 悪夢のようだ! 君は呪われている!」
「落ち着いてください、私は呪われている人間ではありません」
「いいや! 絶対! 俺には分かる、君は呪われているんだ! 間違いなく! 君は! 呪われている! 呪われの女だ!」
さらにそんなことまで言われてしまって。
「俺はもう君とは縁を切る」
彼は最後まで心なくて。
「ではな。……さらばだ」
そうして私は一方的に切り捨てられてしまったのだった。
――だがその直後にまさかの展開が待っていた。
「君のその瞳……赤い眼、間違いない、僕が探し続けてきた偉大なる女神の加護を受けた聖女は君だ!」
買い出しのため王都を歩いていた時、お忍びで出掛けてきていた王子ロードに遭遇し、そんな風に声をかけられて。
「名前を教えてほしい」
「え、ええと……アリアです」
薄暗かった人生に光が射し始める。
「アリアというのか」
「はい」
「素晴らしい! 君の存在は間違いなく我が国のためとなる! それは確かなこと、そしてこの出会いは奇跡だ!」
「え、えええー……?」
ヴォヴォロスに切り捨てられたことは残念なことだった。でももしかしたらそれは定めだったのかもしれない。悲しみや痛み、それは、人生を大きく動かすために必要なことだったのかもしれない。
だとしたらそれは絶望だけによって形作られた出来事ではなく。
「……っと、失礼。つい騒ぎでしまった、驚かせて申し訳ない」
「いえ」
「僕はロードという」
「あ、はい。お姿、拝見したことがあります。お写真で」
「それは嬉しい、ありがとう」
希望へ進むための出来事でもあったのかもしれない。
「この後共に来てはくれないだろうか」
「どちらへ……?」
「もちろん、王城へ!」
運命の波が襲いかかってくる。
「そんな、無理ですよ。私、一般人ですし。いきなり王城になんて」
「だが君は聖女かもしれない!」
「すみませんちょっと意味が」
「赤い眼を持っているだろう?」
「それはそうですね、生まれつきです」
「ああ! それが、だ! それこそが、聖女の証! 言い伝えによれば、女神の加護を受けた聖女の眼は赤いんだ」
こうして私は王子ロードと知り合いになったのだった。
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