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赤い眼のせいで婚約者に切り捨てられてしまいましたが、嬉しい展開が待っていました!
後編
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私アリアは聖女と認められた。
自分ではそんなことあるはずがないと思っていたのだけれど。
周囲はその事実を絶対的な事実であると認めて。
結果私はほぼ強制的に聖女という扱いを受けることとなっていった。
「アリアさま! お紅茶お持ちしました!」
「ありがとうございます」
「前に仰っていたイチゴの香りのものですよっ」
「わ……! 本当、良い香りですね」
「気に入っていただけましたか?」
「はい、とても」
「やったー! ふっふっふふふ、嬉しいですー。アリアさまがとっても優しい方で良かったです!」
私は今、王城に住んでいる。
王族ではないけれど丁重に扱われている。
それは聖女だからだ。
国王や王妃からであっても大切に扱われるというのが聖女という存在であるようだ――もっとも、私がその事実を知ったのはここへ来てからだったのだけれど。
「この後、スイーツもお持ちしますねっ」
「いつもありがとうございます」
「お礼は不要です! ではでは、今から用意しますっ。少しだけ待っていてくださいね!」
しばらく経って、私はロードと婚約した。
そんなある日突然ヴォヴォロスが訪ねてきた。
「久しぶりだな、アリア」
「ヴォヴォロスさん……」
ヴォヴォロスは見下すような顔をしてきている。
「聖女になったそうだな」
「はい」
「今ならやり直してやってもいいが、どうする?」
意味が分からないので「……何を」と小さめに返す。すると彼は急に調子を強め「今ならやり直してやってもいい! そう言っているんだ!」などと圧をかけてきた。彼は自分の立場を理解していない様子だ。なので私は「すみません、それは無理です」とはっきり断った。
「なぜだ!」
「ロードさまと婚約しているからです」
するとヴォヴォロスは両目を見開いて「は、はああ!?」と叫んだ。
「アリア! なんという嘘を! それはさすがに問題だろう、そんな大嘘をつくなど……無礼者にもほどがある!」
「事実ですよ」
「は、はああ!? どうしたんだアリア! 正気を失ってしまったんだな!? そういうことだよな!? しっかりしろよアリア!」
――ちょうどそこへ。
「事実ですよ」
ロードが現れてくれて。
「ヴォヴォロスさんですね、元婚約者の」
「……ほ、本気なのですか? アリアは俺にも捨てられたような女ですよ? その程度の女で、しかも、赤い眼が不気味で……」
「失礼な。赤い眼は聖女の証。ヴォヴォロスさん、貴方は何も分かっていない」
はっきりと言ってくれた。
「ヴォヴォロスさん、僕の未来の妻に失礼な言葉をかけたことを謝ってください」
「な、ななな……」
「アリアさんを嘘つき扱いしましたよね? まずは謝罪してください」
「ぬ、ぬぬ……うぬぬぬぬ……」
「できないのですか?」
「ぐ、ぐ、ぐぬ、ぐぬぬぬぬぬ……」
しかもヴォヴォロスを追い詰めてくれて。
「謝りなさい、ヴォヴォロス」
王子という高貴な立場であるロードがそこまで言うと。
「……失礼なことを言ってしまい申し訳ありませんでした」
ヴォヴォロスはようやく謝罪した。
べつに謝ってほしかったわけではない。でも好き放題言われるのは不愉快だったし傷ついた。だから謝罪してもらえたことは私にとってはそこそこ嬉しいことだった。否、嬉しいというよりかは、すっとしたというような感じ、というか。胸の内に積み重なっていた不快感の雲が晴れていくような感覚があった。
「ヴォヴォロス、アリアさんには二度と近づかないと誓ってください」
「……はい、分かりました、二度と近づきません」
「よいでしょう。では帰ってください。……さようなら」
ヴォヴォロスは帰された。
ロードとの関係は順調に進んだ。
そしてやがて結ばれた。
盛大に結婚式を挙げ正式に夫婦となる。
ついこの前まで一般人だった私にとっては珍しいことや初めて触れることも多くあって、だからこその苦労もあった。けれども、彼に寄り添ってもらえていれば、どこまでも真っ直ぐに努力することができた。知らないことを知ること、それは恐ろしいことではない――温かな人に囲まれているからこそ、そう思いながら歩み続けることができた。
彼となら幸せになれる、そう思う。
ちなみにヴォヴォロスはというと。
私たちの結婚式の翌日王城へ爆破予告を送りつけたために逮捕され、後に処刑された。
ヴォヴォロスは犯罪者として呆気ない最期を迎えることとなった。
それは悲しい結末。
しかし気の毒と思う者はどこにもいないだろう。
なぜなら自業自得だから。
ヴォヴォロスの結末、それは、完全に自業自得。
◆終わり◆
自分ではそんなことあるはずがないと思っていたのだけれど。
周囲はその事実を絶対的な事実であると認めて。
結果私はほぼ強制的に聖女という扱いを受けることとなっていった。
「アリアさま! お紅茶お持ちしました!」
「ありがとうございます」
「前に仰っていたイチゴの香りのものですよっ」
「わ……! 本当、良い香りですね」
「気に入っていただけましたか?」
「はい、とても」
「やったー! ふっふっふふふ、嬉しいですー。アリアさまがとっても優しい方で良かったです!」
私は今、王城に住んでいる。
王族ではないけれど丁重に扱われている。
それは聖女だからだ。
国王や王妃からであっても大切に扱われるというのが聖女という存在であるようだ――もっとも、私がその事実を知ったのはここへ来てからだったのだけれど。
「この後、スイーツもお持ちしますねっ」
「いつもありがとうございます」
「お礼は不要です! ではでは、今から用意しますっ。少しだけ待っていてくださいね!」
しばらく経って、私はロードと婚約した。
そんなある日突然ヴォヴォロスが訪ねてきた。
「久しぶりだな、アリア」
「ヴォヴォロスさん……」
ヴォヴォロスは見下すような顔をしてきている。
「聖女になったそうだな」
「はい」
「今ならやり直してやってもいいが、どうする?」
意味が分からないので「……何を」と小さめに返す。すると彼は急に調子を強め「今ならやり直してやってもいい! そう言っているんだ!」などと圧をかけてきた。彼は自分の立場を理解していない様子だ。なので私は「すみません、それは無理です」とはっきり断った。
「なぜだ!」
「ロードさまと婚約しているからです」
するとヴォヴォロスは両目を見開いて「は、はああ!?」と叫んだ。
「アリア! なんという嘘を! それはさすがに問題だろう、そんな大嘘をつくなど……無礼者にもほどがある!」
「事実ですよ」
「は、はああ!? どうしたんだアリア! 正気を失ってしまったんだな!? そういうことだよな!? しっかりしろよアリア!」
――ちょうどそこへ。
「事実ですよ」
ロードが現れてくれて。
「ヴォヴォロスさんですね、元婚約者の」
「……ほ、本気なのですか? アリアは俺にも捨てられたような女ですよ? その程度の女で、しかも、赤い眼が不気味で……」
「失礼な。赤い眼は聖女の証。ヴォヴォロスさん、貴方は何も分かっていない」
はっきりと言ってくれた。
「ヴォヴォロスさん、僕の未来の妻に失礼な言葉をかけたことを謝ってください」
「な、ななな……」
「アリアさんを嘘つき扱いしましたよね? まずは謝罪してください」
「ぬ、ぬぬ……うぬぬぬぬ……」
「できないのですか?」
「ぐ、ぐ、ぐぬ、ぐぬぬぬぬぬ……」
しかもヴォヴォロスを追い詰めてくれて。
「謝りなさい、ヴォヴォロス」
王子という高貴な立場であるロードがそこまで言うと。
「……失礼なことを言ってしまい申し訳ありませんでした」
ヴォヴォロスはようやく謝罪した。
べつに謝ってほしかったわけではない。でも好き放題言われるのは不愉快だったし傷ついた。だから謝罪してもらえたことは私にとってはそこそこ嬉しいことだった。否、嬉しいというよりかは、すっとしたというような感じ、というか。胸の内に積み重なっていた不快感の雲が晴れていくような感覚があった。
「ヴォヴォロス、アリアさんには二度と近づかないと誓ってください」
「……はい、分かりました、二度と近づきません」
「よいでしょう。では帰ってください。……さようなら」
ヴォヴォロスは帰された。
ロードとの関係は順調に進んだ。
そしてやがて結ばれた。
盛大に結婚式を挙げ正式に夫婦となる。
ついこの前まで一般人だった私にとっては珍しいことや初めて触れることも多くあって、だからこその苦労もあった。けれども、彼に寄り添ってもらえていれば、どこまでも真っ直ぐに努力することができた。知らないことを知ること、それは恐ろしいことではない――温かな人に囲まれているからこそ、そう思いながら歩み続けることができた。
彼となら幸せになれる、そう思う。
ちなみにヴォヴォロスはというと。
私たちの結婚式の翌日王城へ爆破予告を送りつけたために逮捕され、後に処刑された。
ヴォヴォロスは犯罪者として呆気ない最期を迎えることとなった。
それは悲しい結末。
しかし気の毒と思う者はどこにもいないだろう。
なぜなら自業自得だから。
ヴォヴォロスの結末、それは、完全に自業自得。
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