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2話

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「ルシエラ王女、ネネに謝ってくれ」
「お断りします」
「なぜだ!」
「私は何もしていないからです」

 していないことをしていないと言うのは当然のこと。自分の名誉を守るためにも、そこで遠慮することはできない。たとえ感じ悪いと思われたとしても、だ。彼に嫌な印象を抱かれたとしても、私は、私の名誉を守らなくてはならない。

「何もしていない? なぜそんなことが言える!」

 オリバーは調子を強める。
 だが、何と言われたとしても、私は本当のことしか言わない。

「本当のことです」
「そのような嘘でごまかせると思っているのか? 無理だ! 話はすべてネネから聞いている」
「私はネネさんと関わったことはありません」
「嘘をつくな!」
「まずは証拠を提示してください」

 口でなら何とでも言える。
 虐められた、と言うだけなら、とてつもなく簡単なことだ。

「ネネが明かしてくれた、その言葉こそが証拠だ」

 本人の発言が証拠? 馬鹿げた話だ。そんなものが力ある証拠になるなら、いくらでも嘘をでっち上げられるではないか。もう少し考えたらどうだろう? こんな状態では、馬鹿を晒しているようなものだ。

「……それは証拠にはなりません」
「ネネが嘘をついたと言うのか!?」
「嘘をついていない保証はないでしょう」
「ネネは嘘などつかない!」

 この発言を聞いて、オリバーと話すのは無理だと判断した。
 今の彼はいつになく頑固になっている。自分の考えがすべて、それ以外は悪、今の彼はそんな風に捉えるだろう。もし私が順序立てて説明したとしても、彼の耳には届かない可能性が高い。

「人前でこんな話をするのはやめましょう。皆さんにも失礼です」
「逃げるのか!」
「いいえ。逃げるつもりはありません。そもそも私は何もしていないのですから」
「だからそれが嘘だと……!」
「嘘である証拠があるのですか?」

 この時、私は、らしくなく彼を睨んだ。

「私の発言が嘘と証明できるのですか?」

 突然睨まれ、彼は怯んだようだった。

 無理もないか。私がこんな風に振る舞うのは初めてだから。私はもともと他者をすぐ睨むような人間ではない。
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