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ツヨシくん編
AI 改札機
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グッドモーニング! どうも、愛妻家のツヨシです。
所で、皆さんは気が付くと異世界に居た。そんな幸せな経験をした事はありますか?
そんなバカなぁ。
何て思った人、確かにその通りです。
ただ、実際に異世界へ行く訳ではなくとも、不思議な感覚を味わう事はあるようです。
これは、某海外ドラマで言っていたのですが、戦地のスナイパーは、食べも眠りもせず、何日でも標的を狙い続ける事ができるそうです。まぁ、人間としての限界はあるでしょうが、凄い能力です。
その超人的な能力を可能にする方法は、自分で物語を作って、その中に身を置く事らしいです。
つまり、妄想でしょう。
何故、こんな話をするのかって?
まぁ、僕も妄想する事が多いですからね。
いつの間にか僕は、田舎の駅の券売機の前に居ました。
幾ら考えても、そこに居る理由が見当もつかず、何処をどう通ってきたのかも不明です。
おや、これは大変です。記憶喪失でしょうか? それとも、若年性痴呆症でしょうか?
何にしても、トモカちゃんを忘れる訳にはいきません。
僕が一人で苦悩していると、豹柄の服を着たオバチャンが改札を出ようとします。
濃い化粧と紫の髪は、けっこう目立ちます。
ところが、改札の両扉が閉まり、オバチャンを通せんぼします。更に、警告音の代わりに話し掛けます。
「オバチャン、オバチャン、十円たらんでぇ」
改札は、関西弁で話し掛けます。それにしても、オバチャンだと判断したりする所は凄いです。しかも連呼しました。
これは、AIの入ったハイテク改札機でしょうか?
さて、オバチャンは改札に頼み事をします。
「なぁ、兄ちゃん、十円くらいまけてぇ~な」
オバチャンは、改札の声から若い男性だと判断したようです。
「あんなぁ、ワイは血ぃ~も涙もない機械やでぇ、そんな権限あるわけないやろ。はよ駅員呼んで交渉しぃ」
僕は、改札とオバチャンの関西弁に違和感を感じます。何処がどうとは指摘できませんが、どうも変です。
「なぁ、兄ちゃん、今度たこ焼きご馳走するわ。だから堪忍。ここ開けてぇ~な」
「あんなぁ、ワイは血ぃ~も涙もない機械やでぇ、たこ焼きをどっから入れるんや? 切符を入れる場所からか? ぐちょぐちょにするんか? 第一、十円払うよりタコウつくで」
「兄ちゃん、たこ焼きでタコウか? なかなかセンスええで」
「あんなぁ、ワイは血ぃ~も涙もない機械やでぇ、おべんちゃらが通じるかい」
「兄ちゃん、うちとこな、毎年のようにだんじり祭で壊されるのよ。だから十円くらいまけてぇーな」
「そうか、毎年かかりがあるんやな……って、あんなぁ、ワイは血ぃ~も涙もない機械やでぇ、情にほだされる訳ないやろ」
「兄ちゃん、機械のくせに生意気やな。もう、絶対に払わんで!」
逆ギレしたオバチャンは、放送事故級にスカートを捲り上げ、扉を乗り越えます。
僕は、唖然としていましたが、改札の台詞に笑ってしまいました。
「血ぃ~も涙もない対応やな」
笑っていると、トモカちゃんの声で起こされます。
どうやら、夢を見ていたようです。関西弁が変だったのも無理はありません。僕は生まれも育ちも関東なのです。
午前中の礼拝の講師が関西出身者で、イントネーションが頭の隅にあったのでしょう。
それはさておき、僕は、トモカちゃんを夜中に起こしてしまった事を申し訳なく思いました。
そんな時、トモカちゃんは僕に一言申します。
「血ぃ~も涙もない仕打ちやな」
所で、皆さんは気が付くと異世界に居た。そんな幸せな経験をした事はありますか?
そんなバカなぁ。
何て思った人、確かにその通りです。
ただ、実際に異世界へ行く訳ではなくとも、不思議な感覚を味わう事はあるようです。
これは、某海外ドラマで言っていたのですが、戦地のスナイパーは、食べも眠りもせず、何日でも標的を狙い続ける事ができるそうです。まぁ、人間としての限界はあるでしょうが、凄い能力です。
その超人的な能力を可能にする方法は、自分で物語を作って、その中に身を置く事らしいです。
つまり、妄想でしょう。
何故、こんな話をするのかって?
まぁ、僕も妄想する事が多いですからね。
いつの間にか僕は、田舎の駅の券売機の前に居ました。
幾ら考えても、そこに居る理由が見当もつかず、何処をどう通ってきたのかも不明です。
おや、これは大変です。記憶喪失でしょうか? それとも、若年性痴呆症でしょうか?
何にしても、トモカちゃんを忘れる訳にはいきません。
僕が一人で苦悩していると、豹柄の服を着たオバチャンが改札を出ようとします。
濃い化粧と紫の髪は、けっこう目立ちます。
ところが、改札の両扉が閉まり、オバチャンを通せんぼします。更に、警告音の代わりに話し掛けます。
「オバチャン、オバチャン、十円たらんでぇ」
改札は、関西弁で話し掛けます。それにしても、オバチャンだと判断したりする所は凄いです。しかも連呼しました。
これは、AIの入ったハイテク改札機でしょうか?
さて、オバチャンは改札に頼み事をします。
「なぁ、兄ちゃん、十円くらいまけてぇ~な」
オバチャンは、改札の声から若い男性だと判断したようです。
「あんなぁ、ワイは血ぃ~も涙もない機械やでぇ、そんな権限あるわけないやろ。はよ駅員呼んで交渉しぃ」
僕は、改札とオバチャンの関西弁に違和感を感じます。何処がどうとは指摘できませんが、どうも変です。
「なぁ、兄ちゃん、今度たこ焼きご馳走するわ。だから堪忍。ここ開けてぇ~な」
「あんなぁ、ワイは血ぃ~も涙もない機械やでぇ、たこ焼きをどっから入れるんや? 切符を入れる場所からか? ぐちょぐちょにするんか? 第一、十円払うよりタコウつくで」
「兄ちゃん、たこ焼きでタコウか? なかなかセンスええで」
「あんなぁ、ワイは血ぃ~も涙もない機械やでぇ、おべんちゃらが通じるかい」
「兄ちゃん、うちとこな、毎年のようにだんじり祭で壊されるのよ。だから十円くらいまけてぇーな」
「そうか、毎年かかりがあるんやな……って、あんなぁ、ワイは血ぃ~も涙もない機械やでぇ、情にほだされる訳ないやろ」
「兄ちゃん、機械のくせに生意気やな。もう、絶対に払わんで!」
逆ギレしたオバチャンは、放送事故級にスカートを捲り上げ、扉を乗り越えます。
僕は、唖然としていましたが、改札の台詞に笑ってしまいました。
「血ぃ~も涙もない対応やな」
笑っていると、トモカちゃんの声で起こされます。
どうやら、夢を見ていたようです。関西弁が変だったのも無理はありません。僕は生まれも育ちも関東なのです。
午前中の礼拝の講師が関西出身者で、イントネーションが頭の隅にあったのでしょう。
それはさておき、僕は、トモカちゃんを夜中に起こしてしまった事を申し訳なく思いました。
そんな時、トモカちゃんは僕に一言申します。
「血ぃ~も涙もない仕打ちやな」
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