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トモカちゃん編

ドライブ

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 何時も夫がお世話になっています。トモカです。



 私たちは行田に住んでいますが、元々は戸田の教会に所属しています。

 日曜日ともなると、やはり夫婦で礼拝にでかけます。

 礼拝、サンデーサービス等は、キリスト教会の特徴的な集会で、主に日曜日に行われます。

 礼拝レポートは、またの機会と言う事で、今回は、私のツヨシくんへの感想などを披露します。


「トモカちゃん、お支度OK?」

 おっと、駐車場からダーリンが呼んでいます。
 私は、お出掛けの最終チェックをすると、玄関の鍵を掛けます。

 二階の渡り廊下から見下ろすと、ツヨシくんが車の横で私を待っていた。

 旦那様の愛車は、スバル社製で、なんちゃらエンジンを積んでいるそうです。
 乗用車ですが、速そうなスタイルです。

 私が思うに、男の人はメカについて、理解不能な言語を捲し立てますよね。
 理解できない部分を解説して貰うと、その解説に解説が必要になる時があります。
 私なんて、ETCとATMを混同してしまう程ですから。

 男の人も、女性の言う事が理解不能な事も有るのでしょうか?
 今度、ツヨシくんに聞いてみよう。

 私は、軽やかに階段を降り、助手席に乗り込みます。 
 沈むようなエンジン音が響き、スバルさんは動き出します。


 私と結婚する前から、夫は行田に住んでいました。
 独身時代は、よく出発がギリギリになり、礼拝の時間に間に合わす為、高速道路を使っていたそうです。

 今では、そんな贅沢は許しません。早寝早起きをしてもらい、万全な状態で礼拝に参加します。

 夫は理知的な風情で、眼鏡を掛けています。背は、男性としては普通くらいだと思います。

 あまり太った方ではありませんが、お腹が出てきたのを気にしているようです。

 彼は、技術者として、精密機械の設計に関わっているようです。
 大変なお仕事、ご苦労様です。
 ですが、一度、会社で個人的な企画書を作って来た事がありました。
 それは、派手な色使いでプリントされた物で、題字もショッキングピンクで、

「トモカとツヨシの師走ミッション」などと書かれ、仕事中に何をしているんでしょう? 
 まぁ、微笑ましくはありますけどね。

 後は、なかなか頼れる誠実な人です。
 ただ、頻繁に妄想しているようで、目の焦点が合っていない時があります。
 それと、夢もよく見るようです。
 ある時、彼が一人で笑っているのを見た時は、本気で心配しました。

 そんな彼ですが、家事は積極的に手伝ってくれます。
 この間も、チョコレートケーキを作ってくれました。
 ご褒美に、額に赤い羽を貼って上げました。

 私が腰を痛めた時も、ちゃんと後片付けをしてくれますし、豪華な恵方巻を買ってきてくれました。
 ただ、蒲団乾燥機で寝床を温めるのには失敗しましたけどね。

 ああ、恵方巻はそのお詫びだったかも?

 そうそう、粗目が乗った長崎カステラも頂きました。

 色々と気を遣って貰っています。

 さて、夫は、信号の無い田圃道を走ります。
 彼は、道を良く知っています。ドライブが好きなんですね。

 スピードは、私が乗っている時は出しません。
 普段はどうなんでしょう?
 一度、コンビニの駐車場のフェンスを破損した事がありましたが、うっかりしていたのでしょうか?

 兎に角、私は助手席で安心しています。
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