ツヨシくんとトモカちゃん

ツヨシくん編

塾帰り。

　どうも、愛妻家のツヨシです。


　皆さんは、ノスタルジックになった事はありますか？

　例えば、小学生の頃を思い出したりとか？

　先日、「スタンドバイミー」を観まして、まぁ、何度も観てはいるんですが、名作ですね。

　テーマ曲も良いです。
　最初のイントロの所は耳に残ります。

♪
んんん、ん、ん、んんん、ん、ん、んんん、ん、ん♪

　トイレで踏ん張っている訳ではありません。

　以前に、大道芸人がこの音楽を使っていて、リズムに合わせてズボンのファスナーを開け閉めしていたのを思い出します。


　さて、子供の頃に習い事をしていたのですが、それが算盤なんです。

　算盤は、逆さにして走らせてはいけませんよ。先生に怒られます。


　ある日、算盤教室の帰り道での事です。
　僕は、尾行されている気配を感じました。

　被害妄想ではありません。熱い視線を感じます。

　振り返ると、コリー犬がこちらを窺っています。
　コリーです。ボーダーコリーとかでなく、大型犬のコリーです。

　もう、小学生に取っては怪獣と一緒です。
　当時から怪獣が好きな僕ですが、食べられてまで好きで居られる自信がありません。

　ただ、走ると追いかけられる危険性があります。
　ここは、慎重に行動する必要があるでしょう。

　僕の歩きに合わせて、コリーは付いて来ます。
　いや、定期的に振り返ると、着実に距離を詰めています。

　これで、僕がコリーのターゲットになった事は、間違いありません。

　どうした事でしょう。僕は、黄色いカバンに算盤とノートが入っているだけで、食べ物は持っていません。
　やはり、僕を食べる気なのでしょうか？


　ただ、コリーが接近するにつれ、だんだんと心境も変化してきました。

　コリーの顔付きが、とても好意的なのです。
　これは、友達になるしかありません。
　僕が手招きすると、コリーは近寄ってきました。

　さて、この犬との友情は、長くはつづきませんでした。

　自宅に連れ帰えると、父が居て、コリーと遊び始めました。

　僕は、今のうちに用事を済まそうと思い、出掛けてしまったのですが、戻るとコリー犬がいません。

　父の話では、僕を追い掛けて出ていったそうで、残念な事をしました。