ツヨシくんとトモカちゃん

雨川 海(旧 つくね)

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ツヨシくん編

創世記

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 どうも、愛妻家のツヨシです。

 さて、唐突ですが、心に響く言葉って、ありますよね。

 例えば、某世界的な野球選手の言葉に

『努力は必ず報われる。もし報われない努力があるのならば、それはまだ努力と呼べない。』

 くぅっ、五臓六腑に染み渡る真夏の生ビールのようです。

 ですが、冷静に考えると、報われた場合だけ、努力と認定されるので、論理的にも隙のない巧みな言葉です。

 因みに、個人的な見解で直訳すると、

「『努力が報われない』なんて、メソメソ泣き言を言う暇があったら、更に努力しろ!」

 こんな感じでしょうか?

 相手を傷付けず、紳士的に諭す。流石、世界のホームラン王です。

 また、

「お客様は神様です」

 と、言う言葉があります。
 昨今では、これを逆手に取って、無理難題、横暴の限りを尽くす非常識な神様も居る様です。

 SNSへの投稿ネタで、コンビニのレジのお姉さんを困らせるオジサンを、マッチョな黒人が撃退する話がありました。

 その台詞が

「こら! 神様と呼べるのは、アラーだけだぞ!」

 だ、そうです。
 格好良い決め台詞です。
 僕も、

「神様と呼べるのは、イエス様だけだぞ!」

 何て、言ってみたいです。

 さて、余談はともかく、

「お客様は神様です」を広めたのは、某国民的歌手の方かと?
 広まる過程で、本来の意味が間違って伝わったようです。

 僕なら、こう解釈します。

「お客様は神様のように何でもお見通しだから、誤魔化してはいけません」

 ね、建設的でしょ? 企業の不祥事が減りそうでしょ?

 そもそも、自分を神様だと言う人は、どうかしているかと? ん!?
 いや、例外もあるかも?

 話は変わりますが、僕は、神様がどうやって世界を創ったかに興味があります。

 聖書の創世記に記述がありますが、超短縮版なのではないかと思っています。
 以下は、僕が考える創世記です。



【万物創世】

 私が目覚めると、辺りには何も無かった。
 無の世界は、日時や空間、数字すら存在しない。ただ、私の意識だけが存在した。

 当時の私は、この有り余る気持ちをどう表現しようか迷っていた。心の中を整理するために、何か打ち込める物や目的が必要だった。

 私は、何かを創造せざるを得ない気持ちを爆発させたかった。
 後の世で、誰かが言うかも知れない。芸術は、○○だ! と。

 さて、私は、完全無欠の存在だが、何かしら反応してくれる物が欲しかった。それは、良く言えば讚美する者、悪く言えば太鼓持ち、となる。

 私は、見目麗しい物を作った。実体の無い聖霊は、天使と名付けよう。頭に光る輪っかを乗せ、背中に白い羽を与えよう。

 天使は、ルーちゃん、ミカちゃん、ガブちゃん、と、呼ぶ事にした。

 さて、誰もが、何かを作る場合、どんな物を作るか決めてから、作業を始めるであろう。

 例えば、カレーライスを作るとしたら、何が必要かを考え、材料を揃えるであろう。

 だから、私は何を作るか迷っていた。
 ちなみに、ルーちゃんたち天使は、美しく、永遠に生きる存在にした。
 それは、私の相談相手として、ずっと使えて貰う必要があったからで、最初から成人しており、成長する事もない。

 だから、私がこれから作る者は、日々成長する者にしようと思う。
 そして、私でも予測不可能な者にしよう。
 まず、材料は物質にした。耐用年数が過ぎると、朽ち果てて土に帰る所がエコロジーであろう。


 ただし、死後、そのまま終わりでは、何とも使い捨て感が強い。

 私は、創造物を肉体と霊体に分ける事にした。
 肉体は、やがて朽ち果てて土に帰るが、霊体は残り、永遠に生きるとしよう。
 さて、霊体の年齢は如何にしよう? 
 全員に好きな年齢を選ばせようか? 
 ふむ、子供が極端に増えそうに思う。

 天国は、子供たちのものである。

 などと、誰かが言うかも知れない。

 私は、想像を膨らませ、悦に入っていた。
 頬が弛んでいたと思う。
 最高傑作ができる予感がしていた。
 作品名は、ルーちゃんたちと相談して、人間とする事にした。

 さて、人間を作るに当たり、先ずは飼育する場所がいる。
 あれこれ協議の結果、可愛い彼らには、無限の広さを与える事にした。
 それを空間スペースと名付けよう。

 もちろん、スペースを彼らが活用するには、気が遠くなるような年月を要するだろう。
 だが、その広さを実感した時、私の愛情の大きさを解ってくれるかも知れない。


 私は、スペースを創造した後、実際に人間が棲む場所を作り始めた。

 まず、ルールを決める。それは、原理原則の徹底重視で、自然の法則を守る事だった。

 簡単に言うと、水は上から下に流れる。時は一方向にしか進まない。などで、その仕組みを機能させるには、膨大な労力と時間を必要とした。

 私が、法則の仕組みの作成をルーちゃんに頼むと、彼は、

「実に面白い」と、呟いてから、眼鏡の端を上げ、取り憑かれたように計算式を黒板に書き出す日々を続けた。

 ルーちゃんは、神経を磨り減らし、完璧な自然法則を完成させた。

「ルーちゃんありがとう。これで、人間を育てる環境が整うだろう」

 私が誉めると、ルーちゃんは照れ笑いをする。
 この頃のルーちゃんは素直だった。


 私は、ルーちゃんが作った自然法則を元に、実際に飼育する場所を作ってみる。

 まず、恒星を作ってみた。これを太陽と名付け、人間が棲む場所にエネルギーを供給する。
 
 さて、肝心の人間が棲む場所は、地球と名付けた。

 私は、太陽の他にも、恒星を中心とした共同体を、無数に作っておく。

 いづれ、人間たちは、星星を巡る旅に出るかも知れない。
 その時、私が用意した果てしなく続くスペースに感動するだろう。それを思うとワクワクする。


 さて、私は、地球の製作には、特に愛情を注いだ。
 まず、原理原則を重んじる以上、最初から完成品を並べる訳にはいかない。

 物事には、原因があって結果が伴うから、地球は、ドロドロに溶けた溶岩を固めて作る。

 溶岩は、冷やされ、自転や軌道を周回する事により、球形にする。

 これで、一応は土台ができた。
 次に、地球にガスを発生させる。ガスは雲を作り、雨となり、海になる。

 ここで、人間……。と、言う訳にはいかない。
 海は酸性で、酸素は稀薄なので、高等生物の棲息には適さない。
 まずは微生物、単細胞生物、プランクトンに地球の環境を調えてもらう。

 やがて、無脊椎動物から脊椎動物へと変化を遂げる。
 私は、原理原則を守るため、長い年月を掛けて生物の変化を続けてきた。

 それは、後の人間には、偶然による突然変異であるように見えるだろう。
 だが、全ては私の計画によって進んでいる。
 必要に応じて、段階的に生物を変化させている。


 私は、人間にだけ自由意思を与えた。他の動物は、本能と言う名のプログラムに従って動く。

 人間には、動物たちを虐めず、その命を消費する以上、敬意と優しさを持って接して欲しい。
 何故なら、これらは、私の心からのプレゼントなのだ。

 また、地球には、燃料にできる物、加工して使える鉱物資源も埋めて置いた。

 何時か、人間が成長した時、生活を豊かで幸せなものにする為に使って欲しい。
 奪い合わず、平和を目指して欲しい。
 何故なら、これらは、私の心からのプレゼントなのだ。
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