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2113年 ハジメの場合
☆訓練生になる☆
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「どんな場所なんでしょうね?」
僕が聞くと、ミヤコは真顔で答えた。
「寄居ですよ」
「それは知っているって!」
僕は、ミヤコの天然ぶりに呆れていた。ただ、そういう所が可愛いとも言える。ピンクのセーターにブルージーンズの彼女は、入隊する雰囲気ではない。
もっとも、自分も同様な感じではある。
彼女と駅で待ち合わせた僕は、談笑しながら電車で移動中だった。
お互いに会話が続く間は楽しい一時なのだが、話題が途切れる事に恐れを抱いていた。何故なら、向かう先の情報が全くないからだった。
二年の普通兵役なら、誰にでも聞けた。
ある人はキャンプみたいだったと言い。ある人は整理整頓の習慣がついた。と言い。その他、体力がついた。資格が取れた。友達ができた。結婚相手が見つかった。武器に詳しくなったetc。
だが、僕とミヤコが入る、特殊訓練生養成所の経験者は、周りに誰もいなかった。
場所は寄居で、かつてはH自動車の工場が在った場所になる。
H自動車は、連邦軍に場所を無償提供していて、何とも気前が良い。ただ、鋼殻体と呼ばれる人型機動兵器の開発に、H自動車は深く関わっていて、かなりの収益を上げているらしい。つまり、大人の事情なのだろう。
養成所と鋼殻体に関係があるのかはともかく、寄居駅から送迎バスに乗り、特殊訓練生養成所へ着いた。
送迎バスを降りると、新入生歓迎の文字があり、その気軽なノリが、兵役と言う重苦しい現実とはかけ離れていて、何とも皮肉を感じる。
バスを降りると事務的に処理され、最初は講堂へ集まるように指示された。
そんな中、僕は恥ずかしい事に尿意をもよおし、どうにも緊急事態に陥る。大人になるとお漏らしする訳にも行かず、もししてしまえば、一生物のあだ名になる恐れがある。なので、仕方なくトイレを借りる事にする。
列から離れ、係員に教えられた道順でトイレを目指すが、何故か辿り着かない。教え方が悪いのか? 自分が方向音痴なのか? とにかく、最大のピンチが訪れる。そこへ現れたのは、救いの女神だった。
救世主は、黒いセーターを着て、グレーのスカートを穿いた小柄な女性だった。たぶん、出勤してきた事務員さんだと思われる。
彼女は、長い黒髪で頬は桜色の眼鏡女子で、白い柔肌な上に、胸の大きさが一目で解る大和撫子だった。まぁ、胸の大きさは大和撫子と関係は無いのだが、思わずそこへ目が行ってしまうのは、男の性だと言えた。
「あの、トイレは何処でしょうか?」
僕に呼び止められた事務員風の女性は、笑顔を見せる。
「すぐこの先です」
目を細め、癒される笑顔。
「ありがとうございます」
「良い返事ですね」
事務員風の女性が、可愛いらしく敬礼してきたので、ぎこちなく返してみる。なんか、連邦軍に来たって感じがしていた。
トイレを済ませ、他の訓練生と合流する。
会場は、学校の体育館と言った感じで、パイプ椅子が並べられている風景は、まるで全校集会みたいだった。僕は、ミヤコの隣の席を確保する。
暫くすると、司会進行の方の挨拶が始まる。進行役は軍服で、コスプレでもない限り、本物の軍人なんだろう。
そして、壇上に上がったのは養成所の校長で、司会者の紹介によると、階級は中佐らしい。
彼は恰幅のいい人で、声が大きそう。そして、実際にデカイ。
「よく来たな! 二百五十人の糞ども!」
あまりの大声に、眠り姫でも目を覚ます。
「お前たち無駄飯食いに、これから莫大な巨費を投じ、一人前の蟻殺しにするのがこの施設の役目だ。喜べ、お前たちクズが、立派な英雄になるチャンスだ。それには、養成所のルールを頭に叩き込んでおけ!
一つ、私怨の喧嘩を許さず。
一つ、正義を妨げる者を許さず。
一つ、仲間との絆を壊さず。
一つ、誰からも奪わず。
一つ、順序を乱す事を許さず。
主な物は以上だ。だらけた世俗の垢や甘えを、ここで徹底的に鍛え直し、世界中の期待に応えて欲しい」
中佐は、せっかちらしく、進行役が言葉を発する前に壇上から降りる。
「以上、校長 杉山中佐のお言葉でした。みなさん、拍手をお願いします」
ここまでかなり早口なのだが、壇上には拍手を受けるべき校長がいない。この人の下についた教官は、苦労しそうだった。
「続きまして、連邦軍日本支部少佐、櫻井鷹子よりご挨拶」
この名前は、僕も知っていた。南米のブエノスアイレスがジャイアントの襲撃を受けた事があり、その時に活躍した女性パイロットが彼女だった。
鋼殻体を操って蟻を片っ端から退治して、連邦軍南米支部から勲章を貰った英雄だと聞いていた。
彼女は、身長百八十㌢以上で、肩幅が広く、妙に姿勢が良く、声はちょい太めで、表情には険がある。以上が、僕が想像する櫻井鷹子の姿だが、実際は……。
「えっ!」
思わず声を上げる。周りの注目を浴び、慌てて下を向く。
僕が驚いた理由は、壇上に上がったのは、トイレの場所を聞いた事務員風の大和撫子だったからで、とても意外だった。
「初めまして、櫻井です。制服がクリーニング屋さんで、予備もクリーニング屋さんで……。そんな感じです」
会場に笑いが起こり、緊張は完全にほぐれた。校長の時とはかなり雰囲気が違う。
「早速ですが、皆さんは愛する人、大切な人は居ますか? これから訓練して、戦場に出るのは、その人々を守る事です。今、宇宙から攻めて来る巨大な蟻は、ジャイアントと呼ばれ、人類の脅威です。地球の支配権を蟲に奪われてもいいのですか? 何もしないで蟲に殺されるなら、戦うべきです。例え屍になっても、後に続く者を守れるのなら、本望じゃないですか。私は戦います。そして、皆さんと一緒に戦えるのを楽しみにしています」
優しい声とは裏腹な勇ましい演説は、多くの訓練生を感動させた。
さて、新入生の歓迎式典が終わると、入寮になる。当然、男女は別。
僕は、四人部屋に割り振られた。
部屋はベッドが四つで、それぞれにサイドボードと荷物入れがあるだけで、至ってシンプルだった。
四つなのはベッドだけじゃなく、相部屋の野郎も自分を入れて四人だった。そして、やっぱり初日は自己紹介になる。
「斎藤 一です。前職は工場で機械オペレーターをしていました。出身はさいたま市です」
まずは僕が挨拶。
「ハジメちゃん、固いな。みんなタメなんだからさ」
どこにでも、やたらと仕切りたがるヤツがいる。馴れ馴れしく話し掛けてきたのは、ガタイの良いガテン系のあんちゃんだった。
「俺、原田佐之助。古風だろ。茨城県出身。それで、元は運転手。どう、このヘアスタイル。グラナダ侵攻当時の米海兵隊ヘアーだよ。似合う?」
佐之助はミリタリーマニアかも知れない。マリンコヘアーは、てっぺんだけを残して周りを刈り上げていて、なんだか、取り残された孤島みたいに見える。ただ、似合ってはいる。
サノスケに対する評価はなしで、次の人が自己紹介を始める。何故なら、まず、マリンコヘアが解らないし、初対面でもある。
「山南圭介です。京都出身の無職。よろしゅう」
ケイスケは、サノスケとは真逆で、体の厚みが薄く、ちょっと儚いイメージを受けた。
「山崎 進。神戸出身。よろしく」
彼は、色黒で小柄で無口だが、頼りにはなりそうな雰囲気がある。
この先、四人は班として行動する事になる。だから、班長を決めるように言われていた。ただ、互いに初対面で判断基準がないから、ここはシンプルにじゃん拳で決める事になった。その結果、僕が班長になる。さて、吉と出るか? 凶と出るか?
僕が聞くと、ミヤコは真顔で答えた。
「寄居ですよ」
「それは知っているって!」
僕は、ミヤコの天然ぶりに呆れていた。ただ、そういう所が可愛いとも言える。ピンクのセーターにブルージーンズの彼女は、入隊する雰囲気ではない。
もっとも、自分も同様な感じではある。
彼女と駅で待ち合わせた僕は、談笑しながら電車で移動中だった。
お互いに会話が続く間は楽しい一時なのだが、話題が途切れる事に恐れを抱いていた。何故なら、向かう先の情報が全くないからだった。
二年の普通兵役なら、誰にでも聞けた。
ある人はキャンプみたいだったと言い。ある人は整理整頓の習慣がついた。と言い。その他、体力がついた。資格が取れた。友達ができた。結婚相手が見つかった。武器に詳しくなったetc。
だが、僕とミヤコが入る、特殊訓練生養成所の経験者は、周りに誰もいなかった。
場所は寄居で、かつてはH自動車の工場が在った場所になる。
H自動車は、連邦軍に場所を無償提供していて、何とも気前が良い。ただ、鋼殻体と呼ばれる人型機動兵器の開発に、H自動車は深く関わっていて、かなりの収益を上げているらしい。つまり、大人の事情なのだろう。
養成所と鋼殻体に関係があるのかはともかく、寄居駅から送迎バスに乗り、特殊訓練生養成所へ着いた。
送迎バスを降りると、新入生歓迎の文字があり、その気軽なノリが、兵役と言う重苦しい現実とはかけ離れていて、何とも皮肉を感じる。
バスを降りると事務的に処理され、最初は講堂へ集まるように指示された。
そんな中、僕は恥ずかしい事に尿意をもよおし、どうにも緊急事態に陥る。大人になるとお漏らしする訳にも行かず、もししてしまえば、一生物のあだ名になる恐れがある。なので、仕方なくトイレを借りる事にする。
列から離れ、係員に教えられた道順でトイレを目指すが、何故か辿り着かない。教え方が悪いのか? 自分が方向音痴なのか? とにかく、最大のピンチが訪れる。そこへ現れたのは、救いの女神だった。
救世主は、黒いセーターを着て、グレーのスカートを穿いた小柄な女性だった。たぶん、出勤してきた事務員さんだと思われる。
彼女は、長い黒髪で頬は桜色の眼鏡女子で、白い柔肌な上に、胸の大きさが一目で解る大和撫子だった。まぁ、胸の大きさは大和撫子と関係は無いのだが、思わずそこへ目が行ってしまうのは、男の性だと言えた。
「あの、トイレは何処でしょうか?」
僕に呼び止められた事務員風の女性は、笑顔を見せる。
「すぐこの先です」
目を細め、癒される笑顔。
「ありがとうございます」
「良い返事ですね」
事務員風の女性が、可愛いらしく敬礼してきたので、ぎこちなく返してみる。なんか、連邦軍に来たって感じがしていた。
トイレを済ませ、他の訓練生と合流する。
会場は、学校の体育館と言った感じで、パイプ椅子が並べられている風景は、まるで全校集会みたいだった。僕は、ミヤコの隣の席を確保する。
暫くすると、司会進行の方の挨拶が始まる。進行役は軍服で、コスプレでもない限り、本物の軍人なんだろう。
そして、壇上に上がったのは養成所の校長で、司会者の紹介によると、階級は中佐らしい。
彼は恰幅のいい人で、声が大きそう。そして、実際にデカイ。
「よく来たな! 二百五十人の糞ども!」
あまりの大声に、眠り姫でも目を覚ます。
「お前たち無駄飯食いに、これから莫大な巨費を投じ、一人前の蟻殺しにするのがこの施設の役目だ。喜べ、お前たちクズが、立派な英雄になるチャンスだ。それには、養成所のルールを頭に叩き込んでおけ!
一つ、私怨の喧嘩を許さず。
一つ、正義を妨げる者を許さず。
一つ、仲間との絆を壊さず。
一つ、誰からも奪わず。
一つ、順序を乱す事を許さず。
主な物は以上だ。だらけた世俗の垢や甘えを、ここで徹底的に鍛え直し、世界中の期待に応えて欲しい」
中佐は、せっかちらしく、進行役が言葉を発する前に壇上から降りる。
「以上、校長 杉山中佐のお言葉でした。みなさん、拍手をお願いします」
ここまでかなり早口なのだが、壇上には拍手を受けるべき校長がいない。この人の下についた教官は、苦労しそうだった。
「続きまして、連邦軍日本支部少佐、櫻井鷹子よりご挨拶」
この名前は、僕も知っていた。南米のブエノスアイレスがジャイアントの襲撃を受けた事があり、その時に活躍した女性パイロットが彼女だった。
鋼殻体を操って蟻を片っ端から退治して、連邦軍南米支部から勲章を貰った英雄だと聞いていた。
彼女は、身長百八十㌢以上で、肩幅が広く、妙に姿勢が良く、声はちょい太めで、表情には険がある。以上が、僕が想像する櫻井鷹子の姿だが、実際は……。
「えっ!」
思わず声を上げる。周りの注目を浴び、慌てて下を向く。
僕が驚いた理由は、壇上に上がったのは、トイレの場所を聞いた事務員風の大和撫子だったからで、とても意外だった。
「初めまして、櫻井です。制服がクリーニング屋さんで、予備もクリーニング屋さんで……。そんな感じです」
会場に笑いが起こり、緊張は完全にほぐれた。校長の時とはかなり雰囲気が違う。
「早速ですが、皆さんは愛する人、大切な人は居ますか? これから訓練して、戦場に出るのは、その人々を守る事です。今、宇宙から攻めて来る巨大な蟻は、ジャイアントと呼ばれ、人類の脅威です。地球の支配権を蟲に奪われてもいいのですか? 何もしないで蟲に殺されるなら、戦うべきです。例え屍になっても、後に続く者を守れるのなら、本望じゃないですか。私は戦います。そして、皆さんと一緒に戦えるのを楽しみにしています」
優しい声とは裏腹な勇ましい演説は、多くの訓練生を感動させた。
さて、新入生の歓迎式典が終わると、入寮になる。当然、男女は別。
僕は、四人部屋に割り振られた。
部屋はベッドが四つで、それぞれにサイドボードと荷物入れがあるだけで、至ってシンプルだった。
四つなのはベッドだけじゃなく、相部屋の野郎も自分を入れて四人だった。そして、やっぱり初日は自己紹介になる。
「斎藤 一です。前職は工場で機械オペレーターをしていました。出身はさいたま市です」
まずは僕が挨拶。
「ハジメちゃん、固いな。みんなタメなんだからさ」
どこにでも、やたらと仕切りたがるヤツがいる。馴れ馴れしく話し掛けてきたのは、ガタイの良いガテン系のあんちゃんだった。
「俺、原田佐之助。古風だろ。茨城県出身。それで、元は運転手。どう、このヘアスタイル。グラナダ侵攻当時の米海兵隊ヘアーだよ。似合う?」
佐之助はミリタリーマニアかも知れない。マリンコヘアーは、てっぺんだけを残して周りを刈り上げていて、なんだか、取り残された孤島みたいに見える。ただ、似合ってはいる。
サノスケに対する評価はなしで、次の人が自己紹介を始める。何故なら、まず、マリンコヘアが解らないし、初対面でもある。
「山南圭介です。京都出身の無職。よろしゅう」
ケイスケは、サノスケとは真逆で、体の厚みが薄く、ちょっと儚いイメージを受けた。
「山崎 進。神戸出身。よろしく」
彼は、色黒で小柄で無口だが、頼りにはなりそうな雰囲気がある。
この先、四人は班として行動する事になる。だから、班長を決めるように言われていた。ただ、互いに初対面で判断基準がないから、ここはシンプルにじゃん拳で決める事になった。その結果、僕が班長になる。さて、吉と出るか? 凶と出るか?
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