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4 目まぐるしい一日①
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頭の中が大変なことになっている私を助けてくれたのは、グウェンさんでした。
「ジャスパー、この子からしたらお前は知らない大人だ。そんなにグイグイ来られたら怖いだろう」
ワーズナー公爵の顔を押さえて遠ざけてくれた彼は、呆れながら私を抱え直す。
「は?何だ?自分は抱き上げても泣かれないような間柄だって自慢してるか?そうか……、ならその仮面を取るんだな!」
まるで子どものように頬を膨らますワーズナー公爵。もはや最初の怖い雰囲気は欠片も残っていない。
「なんでその話をする」
「へぇ?取れないのか?じゃあ、私が取ってあげよう」
そう言うと彼は素早い動きで、グウェンさんの仮面を取る。グウェンさんの仮面の下にあった素顔は、私の想像を絶していた。
「あれ?泣かなかった」
右目には大きな傷跡がついていて、隻眼だった。灰色の瞳に鈍い銀色の髪、褐の肌と相まって冷たい印象を受ける。そして、極めつけは……。
「おー」
ふにふに…。
「やっ、やめんかっ!」
ふにふにふに……。
「こらっ、本当にやめてくれっ……!」
「はははっ、堅物団長も型なしだなっ!」
私を耳から遠ざけようとするグウェンさん。その彼の耳は、ぴくぴくと動いている。
ハーフエルフかな?
私の想像するエルフよりは短い耳、しかし、人間にしたら先の尖った長い耳。
柔らかくて大変触り心地が良かったです。
頬を赤くし、涙目で私を見つめるグウェンさんを見ていると、何だかいけないことをした気分になった。
「め?」
「うぐっ…、そんな目で見つめてもメッ!だ」
あれ、怒ってるはずなのになんだか可愛い。
危ない道にハマりそうだ。
「グウェン、ずるいぞ。この子はこれからは私の子なんだからな?」
「あっ、おいっ!」
拗ねたように話したワーズナー公爵は、グウェンさんの腕から私をひったくると苦しくない程度の力で強く抱き締めた。
「私は君の父親だよ?お父様だよ?パパって呼んでくれるよな?間違えても、アイツは父親じゃないからな?」
一歳児に何を言ってんだこのおっさん。
「おい、ジャスパー。冷めた目で見つめられてるぞ」
「え?そんなはずは…」
「だいたいこんな赤子同然の子どもに何言ってるんだ?」
グウェンさん、その通り!もっと言って!
「別にいいじゃないか。今まで私に子どもはいなかったんだから、甘やかしたいし甘えて欲しいんだよ」
少し寂しそうに笑いながらワーズナー公爵は私の頭を撫でた。
あの、私は不倫相手の子ですが?血、繋がってませんよ?
瞳の色や顔立ちがいくら似ていたとしても、全くの赤の他人。
どうして面倒を見ようと思ったのか検討がつかない。
「私に似てこんなに可愛いのに地下に追いやられて、汚れて痩せ細っている様子を見たら見捨てられない」
あれ?ナルシスト?
「お前、その言い方はどうかと思うぞ?」
「なんでだ?」
「だってそれ、お前に似てなかったら見捨ててたってことじゃないか?」
うん、グウェンさん、その通り!
「えっ!?ちっ、違う。仮に私に似てなかったとしても、大切にする!」
慌てて取り繕う様子は、見ていてとても面白い。
それより、動揺する度にちょいちょい私を抱きしめる力強めるのやめて下さいません?苦しいっす。
「とりあえず、こんな所にいつまでもいたらこの子の教育上悪いから先に屋敷に帰るぞ!」
ワーズナー公爵は逃げることを選択したようだ。
そして、その宣言通り私は彼に抱かれるままワーズナー公爵邸を後にした。
「ジャスパー、この子からしたらお前は知らない大人だ。そんなにグイグイ来られたら怖いだろう」
ワーズナー公爵の顔を押さえて遠ざけてくれた彼は、呆れながら私を抱え直す。
「は?何だ?自分は抱き上げても泣かれないような間柄だって自慢してるか?そうか……、ならその仮面を取るんだな!」
まるで子どものように頬を膨らますワーズナー公爵。もはや最初の怖い雰囲気は欠片も残っていない。
「なんでその話をする」
「へぇ?取れないのか?じゃあ、私が取ってあげよう」
そう言うと彼は素早い動きで、グウェンさんの仮面を取る。グウェンさんの仮面の下にあった素顔は、私の想像を絶していた。
「あれ?泣かなかった」
右目には大きな傷跡がついていて、隻眼だった。灰色の瞳に鈍い銀色の髪、褐の肌と相まって冷たい印象を受ける。そして、極めつけは……。
「おー」
ふにふに…。
「やっ、やめんかっ!」
ふにふにふに……。
「こらっ、本当にやめてくれっ……!」
「はははっ、堅物団長も型なしだなっ!」
私を耳から遠ざけようとするグウェンさん。その彼の耳は、ぴくぴくと動いている。
ハーフエルフかな?
私の想像するエルフよりは短い耳、しかし、人間にしたら先の尖った長い耳。
柔らかくて大変触り心地が良かったです。
頬を赤くし、涙目で私を見つめるグウェンさんを見ていると、何だかいけないことをした気分になった。
「め?」
「うぐっ…、そんな目で見つめてもメッ!だ」
あれ、怒ってるはずなのになんだか可愛い。
危ない道にハマりそうだ。
「グウェン、ずるいぞ。この子はこれからは私の子なんだからな?」
「あっ、おいっ!」
拗ねたように話したワーズナー公爵は、グウェンさんの腕から私をひったくると苦しくない程度の力で強く抱き締めた。
「私は君の父親だよ?お父様だよ?パパって呼んでくれるよな?間違えても、アイツは父親じゃないからな?」
一歳児に何を言ってんだこのおっさん。
「おい、ジャスパー。冷めた目で見つめられてるぞ」
「え?そんなはずは…」
「だいたいこんな赤子同然の子どもに何言ってるんだ?」
グウェンさん、その通り!もっと言って!
「別にいいじゃないか。今まで私に子どもはいなかったんだから、甘やかしたいし甘えて欲しいんだよ」
少し寂しそうに笑いながらワーズナー公爵は私の頭を撫でた。
あの、私は不倫相手の子ですが?血、繋がってませんよ?
瞳の色や顔立ちがいくら似ていたとしても、全くの赤の他人。
どうして面倒を見ようと思ったのか検討がつかない。
「私に似てこんなに可愛いのに地下に追いやられて、汚れて痩せ細っている様子を見たら見捨てられない」
あれ?ナルシスト?
「お前、その言い方はどうかと思うぞ?」
「なんでだ?」
「だってそれ、お前に似てなかったら見捨ててたってことじゃないか?」
うん、グウェンさん、その通り!
「えっ!?ちっ、違う。仮に私に似てなかったとしても、大切にする!」
慌てて取り繕う様子は、見ていてとても面白い。
それより、動揺する度にちょいちょい私を抱きしめる力強めるのやめて下さいません?苦しいっす。
「とりあえず、こんな所にいつまでもいたらこの子の教育上悪いから先に屋敷に帰るぞ!」
ワーズナー公爵は逃げることを選択したようだ。
そして、その宣言通り私は彼に抱かれるままワーズナー公爵邸を後にした。
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