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2、拾われた

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 くんくん
 あれ?何かいい匂いがする?それに…温かい。
さっきまで(意識を失う前だけど)雪の中にいたはずなのに…おかしいですね。
あぁ、きっと神様が死ぬ前に夢を見せてくれているのですね。それなら遠慮なく、このいい匂いに食いつきましょう。

『いただきまーす!』
「うおっ!」

 むぅ、なんででしょう。目の前にあったはずのご飯が消えました。上を見てみると、手に湯気の立ち上る皿を持つ男性が立っていました。

(なに。私のご飯を奪うの?)

 軽く唸るとその男性は困ったように笑いました。

「すまないな、まさかこんなに早く目を覚ますとは思わず。まだこの皿の料理はできたてで熱いんだ。もう少し我慢してくれ」

 申し訳なさそうにそう言いながら恐る恐る私を撫でできます。
 私、噛み付いたりしませんよ?仕方ないですね。悪い人ではなさそうなので擦り寄っておきましょう。

「っ!」
『そんなに驚いた顔をしたくても…』

 目を見開いて私を見ます。思わずため息が口からこぼれ落ちました。

「俺が怖くないのか?」
『全然怖くないよ?それに、なんだかいい匂いがするー』

 ぐるぐる甘えるように喉を鳴らすと、嬉しそうに笑いました。

「どうした?」
『貴方がかっこよすぎて困ったー』

 プルプルと顔を隠しながらうずくまると心配する声が頭の上から聞こえます。
 すいませんね。まだ少し落ち着く時間が欲しいです。…あぁ、でも。

ぐー……

 空腹すぎて先に死にそうです。
私のお腹の音を聞いた男性は、慌てて皿を差し出します。

「もう大丈夫だろう。さぁ、飲め」

 甘くて食欲をそそる匂いの元は白い液体でした。

(ミルクかな?)

 そっと舌で触れてみると、じわっと口の中に美味しいという感覚が広がる。
ぶわっと尻尾が逆立ちます。

「なんだ。不味かったか?口に合わなかったのか?」
『うまうま、さいこー』

 尻尾をフリフリご機嫌です。
その様子を見て、ほっと安心したように息をつく男性。

「お前は、赤毛でなんか血の色みたいでカッコイイな。そうだ、名前をつけないとな」
『そんな、カッコイイとか。だいいち、私、女の子なんだけど』
「思いついたぞ!〝ブラッド〟はどうだ?」
『嫌だー』
「そうか。そんなに嬉しいか」

 いやいや、違うから。勘違いですから。全力で嫌がってるんですが?
尻尾をビッタンビッタン床に叩きつけているのに、喜んでいると勘違いする男性。

「ブラッド、これからよろしくな」
『はぁ、はいはい。それでいいよ』

 言葉は通じないものの、これから楽しい生活になったらいいなと思った私だった。
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