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25、母の言い分、息子の言い分
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凪がヴィルム達のもとへ移動したのを横目で確認して、ため息をつくサルージャ。
彼の目の前には、少しムッとした表情の美女…もとい彼の母親がいた。
「まったく、どうしたのよルーちゃん?」
「どうしたもこうしたも……っと、それより先にルーちゃん呼びやめてくれませんか母上」
「あら、それなら私のことを母上ではなくお母様と呼びなさいな」
「……」
「どうしてそこで無言になるのよ」
真剣な表情で本気で呼び方について悩む息子に、母親はゆっくりと息を吐いた。
「くだらないことを深く考えるのは貴方の悪い癖よ」
眉間によった皺を押しながら諭すように言う。
「そんなことは……」
「そんなことあるの。さっきもナギちゃんと貴方を〝兄妹〟って表現しただけなのに不満げにしちゃって…。あれはね、そう見えるほど仲がいいわねって意味なのよ?別に本当に兄妹に見えたわけじゃないわ」
母親の説明に、グッと言葉を呑み込むサルージャ。どうやら自分が色々と考えすぎていたことを自覚したようだ。
「貴方、少なからずナギちゃんに好意を抱いてるでしょう?」
「……」
「その沈黙は肯定と受け取っていいわね?」
少し意地の悪い笑顔を浮かべた母親に渋々頷く。
「でも、ナギはまだ俺達よりも幼いので……」
「あら!貴方いっちょまえに年齢のことを気にするのね」
息子からの思ってもいなかった言葉に苦笑する。寿命が百年以上ある上、見た目が若い頃から寿命が近くならない限り変わりもしない、それにサルージャと凪の年の差はたったの数年だけ。それなのに気にする息子に母親はあえて地獄に突き落とすような言葉を突きつけた。
「でも貴方、ナギちゃんにお兄ちゃんとしか思われてないんだから。年齢のこと気にしたって、それ以前の問題なのよ」
「ぐっ……」
思った通り落ち込んだ。と言うよりも、言葉が胸に刺さったような反応。
「まぁ、何はともあれ頑張りなさい。魔力のことならまず簡単にクリアしてるからお嫁さん候補として貴族連中は文句は言えないでしょうし…。まぁ、あの子達やロルフちゃん、マルクちゃんが居るから大変でしょうけど」
応援するわ、とは言わない母親に「あんたは誰の味方なんだよ」という言葉を呑み込んで話を打ち切った。
「では、母上また後で会いましょう。父上が首を長くして待っているでしょうから早く行った方がいいですよ」
「あらヤダ、忘れてたわ~。またね、ルーちゃん!」
ほほほほ~、と笑いながら去っていく母親の背中を見送った後、サルージャは凪達を振り返った。
「お前ら、何してんだ?」
そこには、凪の腰に抱きつき震えるメルヘンチックな服を着ているヴィルムとイージスの姿があったのだった。
彼の目の前には、少しムッとした表情の美女…もとい彼の母親がいた。
「まったく、どうしたのよルーちゃん?」
「どうしたもこうしたも……っと、それより先にルーちゃん呼びやめてくれませんか母上」
「あら、それなら私のことを母上ではなくお母様と呼びなさいな」
「……」
「どうしてそこで無言になるのよ」
真剣な表情で本気で呼び方について悩む息子に、母親はゆっくりと息を吐いた。
「くだらないことを深く考えるのは貴方の悪い癖よ」
眉間によった皺を押しながら諭すように言う。
「そんなことは……」
「そんなことあるの。さっきもナギちゃんと貴方を〝兄妹〟って表現しただけなのに不満げにしちゃって…。あれはね、そう見えるほど仲がいいわねって意味なのよ?別に本当に兄妹に見えたわけじゃないわ」
母親の説明に、グッと言葉を呑み込むサルージャ。どうやら自分が色々と考えすぎていたことを自覚したようだ。
「貴方、少なからずナギちゃんに好意を抱いてるでしょう?」
「……」
「その沈黙は肯定と受け取っていいわね?」
少し意地の悪い笑顔を浮かべた母親に渋々頷く。
「でも、ナギはまだ俺達よりも幼いので……」
「あら!貴方いっちょまえに年齢のことを気にするのね」
息子からの思ってもいなかった言葉に苦笑する。寿命が百年以上ある上、見た目が若い頃から寿命が近くならない限り変わりもしない、それにサルージャと凪の年の差はたったの数年だけ。それなのに気にする息子に母親はあえて地獄に突き落とすような言葉を突きつけた。
「でも貴方、ナギちゃんにお兄ちゃんとしか思われてないんだから。年齢のこと気にしたって、それ以前の問題なのよ」
「ぐっ……」
思った通り落ち込んだ。と言うよりも、言葉が胸に刺さったような反応。
「まぁ、何はともあれ頑張りなさい。魔力のことならまず簡単にクリアしてるからお嫁さん候補として貴族連中は文句は言えないでしょうし…。まぁ、あの子達やロルフちゃん、マルクちゃんが居るから大変でしょうけど」
応援するわ、とは言わない母親に「あんたは誰の味方なんだよ」という言葉を呑み込んで話を打ち切った。
「では、母上また後で会いましょう。父上が首を長くして待っているでしょうから早く行った方がいいですよ」
「あらヤダ、忘れてたわ~。またね、ルーちゃん!」
ほほほほ~、と笑いながら去っていく母親の背中を見送った後、サルージャは凪達を振り返った。
「お前ら、何してんだ?」
そこには、凪の腰に抱きつき震えるメルヘンチックな服を着ているヴィルムとイージスの姿があったのだった。
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