ただ君だけを

伊能こし餡

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約束

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「グリーヂェ、明日の夜、終わってから会えないか?」
「明日? んーと」

  部下に親の警護を任せた夜、私は一人で酒場に来ていた。明日こそ、明日こそグリーヂェに告白するんだ。私の想いの丈を彼女にぶつける。きっと彼女も応えてくれるはずだ。当たって砕けろの精神でいくしかない。いや、砕けたらダメだが。

  私は今日まで最善を尽くしたはずだ。そりゃ、ついこの前まで名前も知らなかったわけだが、名前を知らない時からアタックしてたくらいだし気持ちは相当伝わってるはずだ。そもそも、告白する必要なんてないかもしれない。
  まあしかし、改めて気持ちを伝えるというのも大事だろう。

「明日でも今日でも良いよ。どうせ帰ったら寝るだけだし」
「そ、そうか? じゃあ今日でも大丈夫か? 無理しなくていいんだぞ?」
「全然! 無理なんかしてないよ、むしろ誘ってくれて嬉しい!」

  き、今日? まあ、今日でも構わないが心の準備が・・・・・・。いや、何を怯えているんだフェリックス・フォンブランド。お前は今日まで最善を尽くしてきたじゃないか。今更、怖気付くことなんてなにもないじゃないか。

「じゃあ今日、仕事が終わったら駅前の公園に来てくれないか? ちょっと遠いか?」
「あの大きな木があるところ? 良いよ、家とは反対だし、弟たちに見られることもないと思う。あの子たちには上手く言っておくからさ」
「うん、ありがとう。待っておくよ。あ、今日はこの一杯で最後にするからお勘定をお願い」
「はーい! マスター、お勘定でーす!」

  お代をテーブルに置き、娘にはいつもより多めにチップを払った。保険を払ったわけではないが・・・・・・。何かいつもと違うことをしていないと不安だったのは本当だ。
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