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第7話:公爵邸への招待
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その日の朝、私は父である公爵に無理を言って、外出の許可を取り付けた。
「王立霊園の視察に行きたいのです」
そう告げた時、父は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた。 年頃の娘が、宝石店でもドレス店でもなく、墓地に行きたいと言い出したのだから無理もない。 けれど、父は王太子殿下からの常軌を逸した求愛攻勢に疲弊している私を見て、気分転換になればと許可をくれた。 もちろん、殿下には内密に。
馬車に揺られること三十分。 王都の華やかな中心街を抜け、鬱蒼とした森を抜けた先に、その屋敷はあった。
葬儀卿、シルヴィオ・D・ベルンシュタイン公爵の邸宅。 通称「黒の館」。
「……素敵」
馬車の窓からその威容を見た瞬間、私は感嘆の溜息を漏らした。
高い鉄柵に囲まれた敷地。 屋敷の外壁は、光を吸い込むような黒曜石で造られている。 屋根は鋭く尖り、空を突き刺すよう。 庭には色鮮やかな花など一輪もなく、あるのは常緑の針葉樹と、整えられた枯山水のような石庭だけ。
王宮が「地上の楽園」を模しているなら、ここは「冥府の入り口」。 その静謐な佇まいに、私の心は高鳴った。
門番に使いを出すと、重厚な鉄の門が音もなく開いた。 馬車寄せに降り立つと、玄関から一人の執事が出てきた。 彼もまた、主と同じく漆黒の燕尾服に身を包み、足音ひとつ立てずに近づいてくる。
「ようこそお越しくださいました、ヴィオレッタ様。主がお待ちです」
必要最低限の言葉。 抑揚のない、静かな声。 王宮の使用人たちのような、過剰な愛想笑いや大げさな挨拶はない。 それが何よりも心地よかった。
案内された応接間は、昼間だというのに厚いカーテンが引かれ、薄暗かった。 部屋の空気はひんやりと冷たく、微かにお香のような――白檀と、防腐剤が混ざったような清潔な香りが漂っている。
ソファに座っていたシルヴィオ公爵が、私を見て立ち上がった。 今日も彼は、夜の闇を切り取ったような黒衣を纏っている。
「……よく来たな、生ける屍(リビングデッド)のお嬢さん」
皮肉めいた挨拶だが、その声は柔らかい。
「ごきげんよう、閣下。無理を言って申し訳ありません」
「構わない。ここは死者と、死を愛する者のための場所だ。君なら歓迎する」
彼は私の手を取り、ソファへとエスコートした。 その手は相変わらず、陶器のように冷たい。
私たちが席に着くと、影のように控えていた使用人がワゴンを運んできた。 普通なら、ここで湯気を立てる紅茶と、甘いケーキが出てくるところだ。 王太子殿下なら、「君のために最高級の茶葉を!」と騒ぎ立てるところだろう。
しかし、シルヴィオ公爵は違った。
「下がっていい」
彼が短く命じると、使用人は一礼して部屋から出て行った。 テーブルの上に残されたのは、クリスタルガラスのポットと、二つのグラスだけ。 中に入っているのは、無色透明な液体。
「……水、ですか?」
「ベルンシュタイン領の地下深く、鍾乳洞から湧き出る湧き水だ。不純物がなく、キンと冷えている」
彼は自らポットを傾け、グラスに水を注いだ。 カラン、と氷がグラスに当たる涼やかな音が、静寂の中に響く。
「君は今、熱い茶など飲みたくないだろう? 甘い菓子も、喉を通らないはずだ。違うか?」
私は目を見開いた。 図星だった。 王太子とのストレスで胃が荒れ、喉は常に乾き、温かいものや甘いものは吐き気を催すだけだったのだ。
「……お分かりになるのですか」
「死にかけた人間や、心労で衰弱した遺族を嫌というほど見てきたからな。弱った体に、過剰な接待は毒だ」
彼はグラスを私に差し出した。
「飲みたまえ。ただの水だ」
私はグラスを受け取り、口に運んだ。 冷たい液体が、乾いた喉を滑り落ちていく。 何の味もしない。甘くも、苦くもない。 ただ、限りなく澄んだ「冷たさ」だけが、内側から私の体を浄化していくようだ。
「……美味しい」
思わず、涙が出そうになった。 ただの水が、これほど美味しいなんて。 殿下が贈ってくれたどんな高級ワインよりも、この一杯の水が私の細胞を潤してくれる。
「そうか。それは良かった」
シルヴィオ公爵は、自分も一口水を飲むと、テーブルの上に置かれていた分厚い本を広げた。
「すまないが、少し仕事をさせてもらう。君の相手をするために時間を空けたわけではないのでな」
「お仕事……ですか?」
私は彼の手元を覗き込んだ。 彼が眺めているのは、豪華な装丁のカタログのようだ。 ドレスのデザイン画だろうか? それとも宝石?
いいえ。 そこに描かれていたのは、重厚な木の箱――棺桶だった。
「今年、新しく入荷する予定の棺のカタログだ。材質や、内装の布地を選定しなければならない」
彼は真面目な顔で言った。 普通の令嬢なら、「キャッ、不吉な!」と悲鳴を上げて逃げ出す場面だ。 しかし、私は前のめりになった。
「……素敵ですわ」
「ほう?」
「この曲線。まるでゆりかごのようです。中に入ったら、さぞよく眠れるでしょうね」
私はカタログのページを指差した。 最高級の黒檀で作られた、滑らかな艶のある棺。 内装には純白のシルクが敷き詰められ、まるで雲の上に横たわるような心地よさが想像できる。
シルヴィオ公爵の口元が、わずかに緩んだ。 初めて見る、彼の微かな笑みだった。
「お目が高い。これはマホガニーの一枚板を削り出した特注品だ。気密性が高く、中の遺体を湿気から守り、永遠の眠りを約束する」
「こちらの装飾も綺麗。銀細工の天使……いいえ、死神かしら? とても繊細で」
「ああ、それは東方の職人に作らせたものだ。魔除けの意味があるらしいが、私としては死者を現世の未練から断ち切るための鎖と解釈している」
私たちは、まるでファッション雑誌を眺める恋人同士のように、棺桶のカタログに見入った。
「私なら、こちらがいいですわ。内装はベルベットの黒。外側には、白い百合の彫刻を施して」
「黒に白か。悪くない。君の肌の白さが際立つだろう。……死に装束は、やはりレースをふんだんに使ったものがいいか?」
「ええ。首元までしっかり隠れるデザインで。……傷跡を、見せたくないですから」
私が首に手を当てて呟くと、シルヴィオ公爵はふと手を止めた。 彼は私の首元――肉体的には傷などない、滑らかな肌をじっと見つめた。
「……安心しろ。私が君を送る時は、世界で一番美しい状態で送り出してやる。傷一つ、苦痛の痕跡一つ残さない」
それは、愛の告白よりも甘美な約束だった。 「一生幸せにする」と言われるよりも、「美しく葬ってやる」と言われる方が、今の私にはどれほど安心できるか。
「ありがとうございます、シルヴィオ様」
私は心からの安らぎを感じて、背もたれに体を預けた。
部屋の中には、ページをめくる音と、時折響く氷の音だけ。 会話が途切れても、気まずさは微塵もない。 無理に笑う必要もない。 話題を探す必要もない。
ただ隣に座って、死後の寝床について空想を巡らせる。 王太子殿下とのデートでは絶対に得られない、極上の静寂。
なんて贅沢な時間なのだろう。 これが「デート」だと言うのなら、私は一生、この人とだけデートをしていたい。
ふと、窓の外を見ると、夕闇が迫っていた。 楽しい時間は、残酷なほど早く過ぎる。
「……もう、帰らなくては」
私が名残惜しそうに呟くと、シルヴィオ公爵はパタンとカタログを閉じた。
「送ろう。日が落ちると、この辺りは『彼ら』が活発になる」
彼ら、が何を指すのかは聞かなかった。 幽霊でも、野犬でも、王太子の手の者でも、どれも大差はない。
帰り際、玄関ホールで彼は私に言った。
「また来るといい。新しいカタログが届いたら、取っておく」
「! ……はい! 必ず」
私は弾んだ声で答えた。 次回の約束。 「棺桶のカタログを見る約束」なんて、社交界広しと言えども私たちが初めてだろう。
馬車に乗り込み、遠ざかる黒い屋敷を見送る。 私の胸は、来る時よりもずっと軽くなっていた。 胃の痛みも消えている。
私は知ってしまった。 太陽の届かない場所にこそ、私の安息があることを。 そして、あの無口で不器用な「死神」こそが、私の魂を救済してくれる唯一の男性であることを。
屋敷に戻れば、また王太子との戦いの日々が待っている。 けれど、今の私には「帰る場所(墓所)」がある。 それだけで、私は強くなれる気がした。
……まあ、屋敷に戻った私を待っていたのが、王太子殿下の嫉妬の炎と、新たな修羅場だとは知らずに。
「王立霊園の視察に行きたいのです」
そう告げた時、父は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた。 年頃の娘が、宝石店でもドレス店でもなく、墓地に行きたいと言い出したのだから無理もない。 けれど、父は王太子殿下からの常軌を逸した求愛攻勢に疲弊している私を見て、気分転換になればと許可をくれた。 もちろん、殿下には内密に。
馬車に揺られること三十分。 王都の華やかな中心街を抜け、鬱蒼とした森を抜けた先に、その屋敷はあった。
葬儀卿、シルヴィオ・D・ベルンシュタイン公爵の邸宅。 通称「黒の館」。
「……素敵」
馬車の窓からその威容を見た瞬間、私は感嘆の溜息を漏らした。
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王宮が「地上の楽園」を模しているなら、ここは「冥府の入り口」。 その静謐な佇まいに、私の心は高鳴った。
門番に使いを出すと、重厚な鉄の門が音もなく開いた。 馬車寄せに降り立つと、玄関から一人の執事が出てきた。 彼もまた、主と同じく漆黒の燕尾服に身を包み、足音ひとつ立てずに近づいてくる。
「ようこそお越しくださいました、ヴィオレッタ様。主がお待ちです」
必要最低限の言葉。 抑揚のない、静かな声。 王宮の使用人たちのような、過剰な愛想笑いや大げさな挨拶はない。 それが何よりも心地よかった。
案内された応接間は、昼間だというのに厚いカーテンが引かれ、薄暗かった。 部屋の空気はひんやりと冷たく、微かにお香のような――白檀と、防腐剤が混ざったような清潔な香りが漂っている。
ソファに座っていたシルヴィオ公爵が、私を見て立ち上がった。 今日も彼は、夜の闇を切り取ったような黒衣を纏っている。
「……よく来たな、生ける屍(リビングデッド)のお嬢さん」
皮肉めいた挨拶だが、その声は柔らかい。
「ごきげんよう、閣下。無理を言って申し訳ありません」
「構わない。ここは死者と、死を愛する者のための場所だ。君なら歓迎する」
彼は私の手を取り、ソファへとエスコートした。 その手は相変わらず、陶器のように冷たい。
私たちが席に着くと、影のように控えていた使用人がワゴンを運んできた。 普通なら、ここで湯気を立てる紅茶と、甘いケーキが出てくるところだ。 王太子殿下なら、「君のために最高級の茶葉を!」と騒ぎ立てるところだろう。
しかし、シルヴィオ公爵は違った。
「下がっていい」
彼が短く命じると、使用人は一礼して部屋から出て行った。 テーブルの上に残されたのは、クリスタルガラスのポットと、二つのグラスだけ。 中に入っているのは、無色透明な液体。
「……水、ですか?」
「ベルンシュタイン領の地下深く、鍾乳洞から湧き出る湧き水だ。不純物がなく、キンと冷えている」
彼は自らポットを傾け、グラスに水を注いだ。 カラン、と氷がグラスに当たる涼やかな音が、静寂の中に響く。
「君は今、熱い茶など飲みたくないだろう? 甘い菓子も、喉を通らないはずだ。違うか?」
私は目を見開いた。 図星だった。 王太子とのストレスで胃が荒れ、喉は常に乾き、温かいものや甘いものは吐き気を催すだけだったのだ。
「……お分かりになるのですか」
「死にかけた人間や、心労で衰弱した遺族を嫌というほど見てきたからな。弱った体に、過剰な接待は毒だ」
彼はグラスを私に差し出した。
「飲みたまえ。ただの水だ」
私はグラスを受け取り、口に運んだ。 冷たい液体が、乾いた喉を滑り落ちていく。 何の味もしない。甘くも、苦くもない。 ただ、限りなく澄んだ「冷たさ」だけが、内側から私の体を浄化していくようだ。
「……美味しい」
思わず、涙が出そうになった。 ただの水が、これほど美味しいなんて。 殿下が贈ってくれたどんな高級ワインよりも、この一杯の水が私の細胞を潤してくれる。
「そうか。それは良かった」
シルヴィオ公爵は、自分も一口水を飲むと、テーブルの上に置かれていた分厚い本を広げた。
「すまないが、少し仕事をさせてもらう。君の相手をするために時間を空けたわけではないのでな」
「お仕事……ですか?」
私は彼の手元を覗き込んだ。 彼が眺めているのは、豪華な装丁のカタログのようだ。 ドレスのデザイン画だろうか? それとも宝石?
いいえ。 そこに描かれていたのは、重厚な木の箱――棺桶だった。
「今年、新しく入荷する予定の棺のカタログだ。材質や、内装の布地を選定しなければならない」
彼は真面目な顔で言った。 普通の令嬢なら、「キャッ、不吉な!」と悲鳴を上げて逃げ出す場面だ。 しかし、私は前のめりになった。
「……素敵ですわ」
「ほう?」
「この曲線。まるでゆりかごのようです。中に入ったら、さぞよく眠れるでしょうね」
私はカタログのページを指差した。 最高級の黒檀で作られた、滑らかな艶のある棺。 内装には純白のシルクが敷き詰められ、まるで雲の上に横たわるような心地よさが想像できる。
シルヴィオ公爵の口元が、わずかに緩んだ。 初めて見る、彼の微かな笑みだった。
「お目が高い。これはマホガニーの一枚板を削り出した特注品だ。気密性が高く、中の遺体を湿気から守り、永遠の眠りを約束する」
「こちらの装飾も綺麗。銀細工の天使……いいえ、死神かしら? とても繊細で」
「ああ、それは東方の職人に作らせたものだ。魔除けの意味があるらしいが、私としては死者を現世の未練から断ち切るための鎖と解釈している」
私たちは、まるでファッション雑誌を眺める恋人同士のように、棺桶のカタログに見入った。
「私なら、こちらがいいですわ。内装はベルベットの黒。外側には、白い百合の彫刻を施して」
「黒に白か。悪くない。君の肌の白さが際立つだろう。……死に装束は、やはりレースをふんだんに使ったものがいいか?」
「ええ。首元までしっかり隠れるデザインで。……傷跡を、見せたくないですから」
私が首に手を当てて呟くと、シルヴィオ公爵はふと手を止めた。 彼は私の首元――肉体的には傷などない、滑らかな肌をじっと見つめた。
「……安心しろ。私が君を送る時は、世界で一番美しい状態で送り出してやる。傷一つ、苦痛の痕跡一つ残さない」
それは、愛の告白よりも甘美な約束だった。 「一生幸せにする」と言われるよりも、「美しく葬ってやる」と言われる方が、今の私にはどれほど安心できるか。
「ありがとうございます、シルヴィオ様」
私は心からの安らぎを感じて、背もたれに体を預けた。
部屋の中には、ページをめくる音と、時折響く氷の音だけ。 会話が途切れても、気まずさは微塵もない。 無理に笑う必要もない。 話題を探す必要もない。
ただ隣に座って、死後の寝床について空想を巡らせる。 王太子殿下とのデートでは絶対に得られない、極上の静寂。
なんて贅沢な時間なのだろう。 これが「デート」だと言うのなら、私は一生、この人とだけデートをしていたい。
ふと、窓の外を見ると、夕闇が迫っていた。 楽しい時間は、残酷なほど早く過ぎる。
「……もう、帰らなくては」
私が名残惜しそうに呟くと、シルヴィオ公爵はパタンとカタログを閉じた。
「送ろう。日が落ちると、この辺りは『彼ら』が活発になる」
彼ら、が何を指すのかは聞かなかった。 幽霊でも、野犬でも、王太子の手の者でも、どれも大差はない。
帰り際、玄関ホールで彼は私に言った。
「また来るといい。新しいカタログが届いたら、取っておく」
「! ……はい! 必ず」
私は弾んだ声で答えた。 次回の約束。 「棺桶のカタログを見る約束」なんて、社交界広しと言えども私たちが初めてだろう。
馬車に乗り込み、遠ざかる黒い屋敷を見送る。 私の胸は、来る時よりもずっと軽くなっていた。 胃の痛みも消えている。
私は知ってしまった。 太陽の届かない場所にこそ、私の安息があることを。 そして、あの無口で不器用な「死神」こそが、私の魂を救済してくれる唯一の男性であることを。
屋敷に戻れば、また王太子との戦いの日々が待っている。 けれど、今の私には「帰る場所(墓所)」がある。 それだけで、私は強くなれる気がした。
……まあ、屋敷に戻った私を待っていたのが、王太子殿下の嫉妬の炎と、新たな修羅場だとは知らずに。
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