悪役令嬢の追放先は借金まみれ子爵家 〜冷徹な彼が“もう一口”と言うまで〜

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第15話 彼の溺愛は、薪と鍋でできている

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アーネスト・カレルが王都へと疾駆してから、三日が過ぎた。 グランシェ子爵領は、目に見えて変わり始めていた。

「オーライ! 荷下ろしはこっちだ!」

街道の広場では、バルガスの太い声が響き渡っている。 アーネストが残した『支払い保証手形』と、商人たちの口コミ効果は絶大だった。 かつては閑古鳥が鳴いていた街道に、今は一日数台の商隊が立ち寄るようになっている。 彼らは塩や香辛料、布地を運び込み、代わりに私たちの屋台料理――『街道ロール』や干し肉――を買い求めていく。

「セシリア様、新しい小麦粉が届きました! 今度は上等な白い粉です!」

カノンが厨房に駆け込んでくる。その顔は寒さで赤いけれど、以前のような悲壮感はなく、生き生きとしていた。

「ありがとう、カノン。……すぐに湿気対策をして、倉庫へ。古い粉と混ぜて使うから、配合比率を間違えないでね」

「はい!」

私はエプロンの紐を締め直しながら、次々と指示を飛ばす。 屋敷の倉庫は焼けてしまったが、今は製粉所の空きスペースや、空き家を修繕して臨時の倉庫にしている。 物流が戻った。 それは喜ばしいことだが、同時に私の仕事量は爆発的に増えていた。

食材の管理、商隊との価格交渉、新しいメニューの開発、そして帳簿の記載。 レオン子爵も、領主として領民の指揮やハミルトン家の動向監視に奔走しており、屋敷に戻るのは深夜だ。 私たちは文字通り、不眠不休で働いていた。

「……ふぅ」

私は厨房の作業台に手をつき、小さく息を吐いた。 めまいがした。 視界が少しだけ揺れる。 睡眠不足だ。 ここ数日、まともにベッドで寝ていない。 仮眠を取ろうとしても、頭の中で数字や献立がグルグルと回り続け、神経が休まらないのだ。

「大丈夫ですか?」

カノンが心配そうに覗き込む。

「ええ、平気よ。……それより、今夜の配給の準備をしましょう。商隊から買った『カブ』があるわ。これをポトフにするの」

私は気力を振り絞って包丁を握った。 アーネストは、命懸けで王都へ向かった。 彼が戻ってくるまで、この領地を完璧な状態で維持しなくてはならない。 「非効率だ」なんて、二度と言わせないために。

        * * *

その日の夕方。 私は厨房で、不思議な違和感を覚えていた。

「……あれ?」

かまどに薪をくべようとして、手が止まった。 薪置き場にある薪が、妙に使いやすいのだ。 以前は、太すぎたり湿っていたりして、火力の調整に苦労していた。 私が斧で割り直すことも度々だった。

しかし、今の薪は違った。 すべて均一な長さに切り揃えられ、太さも「焚き付け用」「強火用」「種火維持用」の三種類に綺麗に分類されている。 しかも、十分に乾燥しており、投入するだけで理想的な燃焼をしてくれる。

「トム、あなたがやってくれたの?」

私が尋ねると、水汲みから戻ってきたトムが首を横に振った。

「いいえ、俺じゃありません。……アーネスト様です」

「え? アーネスト様?」

「はい。出発される前日の夜中に、俺を呼び出されて……。『薪の含水率が高すぎる。これでは熱効率が悪い』って言って、薪割りの角度から乾燥棚の配置まで、全部指示されました」

トムは苦笑しながら頭をかいた。

「『セシリア嬢は火加減にこだわる。彼女に余計な手間(リソース)を使わせるな』って、すごく細かくて……」

私は薪を一本手に取った。 断面が滑らかだ。 彼が直接割ったわけではないだろうが、彼の指示の下、完璧に管理された燃料。 私が料理に集中できるように。

ふと、厨房を見回してみる。 他にも変わっている箇所があった。

隙間風が吹き込んでいた窓枠には、フェルトの布がきっちりと詰められ、冷気を遮断している。 高い場所にあった重い鍋類は、私が手を伸ばせば届く高さの棚に移動されている。 包丁は研ぎ直され、切れ味が鋭くなっている。 床の段差には、「注意」を促す白いテープ(布切れ)が貼られている。

「……いつの間に」

これらはすべて、あの忙しい監査の合間や、私たちが寝静まった後に、彼が指示して行わせたことなのだろうか。

「『あの方は、足元がおぼつかない時がある』……そう仰っていました」

カノンがそっと教えてくれた。

「セシリア様が転ばないように、風邪を引かないように。……口では『生産性の向上』とか難しいことを仰ってましたけど、ずっとセシリア様のことを見ていたんですね」

私は胸が締め付けられるような思いがした。 アーネスト・カレル。 冷徹な合理主義者。 彼は「好きだ」とか「愛している」なんて甘い言葉は一つも言わなかった。 その代わりに、彼は環境を整えた。 私が働きやすいように。 私が傷つかないように。 彼の溺愛は、言葉ではなく、薪や鍋、そして床のテープという『実用的な形』になって、この厨房のいたるところに隠されていたのだ。

「……不器用な人」

私は研ぎ澄まされた包丁を胸に抱いた。 冷たい金属のはずなのに、そこには彼の体温が残っているような気がした。

        * * *

夜が更けた。 日付が変わる頃、私は一人、執務室で帳簿に向かっていた。 レオンは夕方に見回りの報告に来た後、泥のように眠ってしまった。彼も限界なのだ。

ランプの灯りが揺れる。 文字が霞む。 銀翼商会の裏帳簿の分析。ハミルトン家への資金の流れ。 アーネストが持ち出した書類の写しを見ながら、さらなる矛盾点を探す。 絶対にミスは許されない。 彼が王都で戦っている間、私はここで『後方支援』として、理論武装を完璧にしておかなければならない。

「……あと、少し」

ペンを握る手が震える。 頭痛がする。 コーヒーを飲もうとしたが、ポットは空だった。

「……取りに行かなきゃ」

椅子から立ち上がろうとした瞬間、世界がぐらりと回転した。 足に力が入らない。 そのまま、床へ崩れ落ちそうになる。

「っと……!」

咄嗟に机の角を掴んで耐えた。 危なかった。 もし倒れていたら、そのまま起き上がれなかったかもしれない。

「……ダメね。少し、休まないと」

分かっている。 でも、休んでいる間に何かが起きたら? ミシェルがまた襲ってきたら? 不安が私を机に縛り付ける。

コンコン。

控えめなノックの音がした。

「……はい」

扉が開く。 カノンが入ってきた。 お盆を持っている。 そこには、蓋付きの深皿と、小さな紙切れが載っていた。

「セシリア様。……お夜食です」

「夜食? 頼んでいないわよ」

「はい。……アーネスト様からの『命令』です」

「え?」

カノンは机の上に盆を置いた。 紙切れを私に渡す。 そこには、几帳面な、定規で引いたような文字でこう書かれていた。

『業務連絡:セシリア・ヴァレリー殿へ 貴女の行動パターン分析に基づき、予測される事態への対処策を記す。 貴女は責任感の強さゆえに、自己の限界を無視して稼働し続ける傾向がある。 統計的に見て、私の出発から三日後の深夜、貴女の体力及び集中力は枯渇し、業務効率が著しく低下(ダウン)する確率が九八%である。 よって、本日の深夜零時、以下の栄養補給を義務付ける。 これは監察官命令であり、拒否権はない』

「……なによ、これ」

私は呆れて笑ってしまった。 出発前に、ここまで予測していたの? しかも「業務連絡」って。 恋文(ラブレター)の一つも書けないのかしら、この男は。

「中身は?」

「アーネスト様がレシピを残していかれました。『私が不在でも、カノン一人で作れるように単純化したプロセスだ』って」

カノンが蓋を開ける。 ふわっ、と湯気が立ち昇る。 甘い香り。 ミルクと、野菜の優しい香り。

『カブと鶏肉のミルク・スープ』。 具材は小さく刻まれ、トロトロになるまで煮込まれている。 消化に良さそうだ。 そして、表面には刻んだパセリではなく、鮮やかな黄色の粉末が散らされている。

「……生姜の粉末(ジンジャーパウダー)?」

「はい。『末端の冷えを防ぐため』だそうです」

私はスプーンを手に取った。 一口、すする。

「……ん」

優しい。 涙が出るほど、優しい味だった。 カブの甘みが溶け出したミルクは、疲れた胃袋に染み渡るように広がっていく。 鶏肉は口の中で解けるほど柔らかい。 そして、後からくる生姜の温かさが、体の芯から冷えを取り除いていく。

美味しい。 私が作るような、計算し尽くされた美食ではない。 でも、ここには『私を守る』という明確な意思(コンセプト)がある。

「……アーネスト様、仰ってました」

カノンが私の横で、ぽつりと言った。

「『彼女はエンジンだ。燃料を入れなければ止まる。……そして、彼女が止まれば、この領地は終わる』って」

「……エンジン扱い?」

「でも、その後に……すごく小さな声で、こうも仰ってました」

カノンは顔を赤らめて、もじもじしながら続けた。

「『……私が戻る場所を、無くさないでくれ』……って」

スプーンが止まった。 胸の奥が、熱くなった。 スープの熱さのせいじゃない。

彼は怖かったのだ。 自分がいない間に、私が無理をして、壊れてしまうことが。 だから、彼はできる限りの「整備」をして、このスープを残していった。 『君が倒れれば全てが止まる』。 それは合理的な言葉に見えて、その実、『君がいなければ、私は生きていけない』という、彼なりの精一杯の愛の告白だったのだ。

「……馬鹿な人」

私はスープを飲み干した。 涙が一滴、皿に落ちた。 でも、それは悲しみの涙ではない。 満たされた涙だ。

「カノン。……私、少し眠るわ」

「はい! ぜひそうしてください! ベッドを温めておきましたから」

「三時間だけ。……その後は、また戦うわよ」

「三時間ですね。承知しました」

私は椅子から立ち上がった。 足取りは、さっきよりも軽かった。 彼が整えてくれた環境(レール)の上なら、私はまだ走れる。 彼が戻ってくるその日まで、私は絶対に倒れない。

        * * *

翌朝。 私は久しぶりに深い眠りから覚め、すっきりとした頭で厨房に立っていた。 アーネストの指示通りに整理された棚から鍋を取り出し、薪割りの必要がない薪をかまどに放り込む。 快適だ。 まるで彼が後ろからサポートしてくれているようだ。

「おはよう、セシリア」

レオンが起きてきた。 顔色はだいぶ良くなっている。

「おはようございます、レオン様。朝食はカブの葉のオムレツですわ」

「うまそうだな。……ん? なんか顔色がいいな、お前」

「ええ。昨夜、素敵な『処方箋』をいただきましたから」

私がウインクすると、レオンは不思議そうな顔をした。

その時だった。

カラン、カラン、カラン……。

遠くから、鈴の音が聞こえた。 商隊の鈴ではない。 もっと重々しく、威厳のある、馬車の接近を告げる音。

執事が慌てて食堂に入ってきた。

「旦那様、セシリア様! お、お客様です!」

「客? 商隊か?」

「いいえ……王都からの、公式な使者です!」

王都からの使者。 アーネストが到着したのだろうか? いや、早すぎる。彼はまだ王都に着いて、数日しか経っていないはずだ。 告発状が受理され、調査団が派遣されるにしても、もっと時間がかかるはず。

「……行きましょう」

私とレオンは玄関ホールへ向かった。

屋敷の前に停まっていたのは、見たこともないほど豪華な馬車だった。 白塗りの車体に、金色の装飾。 そして、扉に描かれているのは『王冠』と『剣』の紋章。

「……王家の、勅使(ちょくし)?」

レオンが息を呑む。 ただの役人ではない。 国王陛下の言葉を直接伝える、最高位の使者だ。

馬車の扉が開いた。 降りてきたのは、アーネストではなかった。 白髪の、厳格そうな老紳士。 そしてその後ろに控える、数名の騎士と……聖職者の衣をまとった女性。

「グランシェ子爵、ならびにセシリア・ヴァレリー嬢とお見受けする」

老紳士が重々しく口を開いた。

「私は宮内省式部官、ロバート・ハリス。……王命により、これより『査問会』を執り行う」

「査問会……?」

私が問うと、老紳士は冷ややかな目で私を見下ろした。

「セシリア・ヴァレリー。貴女に対する『婚約破棄』の件、およびその後の『素行』について、王太后陛下より再調査の命が下った」

王太后陛下。 国王の母であり、王宮の奥で絶大な権力を持つ方。 そして、規律と伝統を何よりも重んじる、厳格な貴婦人として知られている。

「素行……とは?」

「貴女がこの地で、商人の真似事をし、あまつさえ監察官を篭絡(ろうらく)して不正を働いているとの報告が届いている」

老紳士の後ろで、聖職者の女性が一歩前に出た。 彼女の顔を見て、私は凍りついた。

彼女は、私がかつて王都で対立した『聖女』……の、取り巻きだった女だ。 勝ち誇ったような笑みを浮かべている。

「セシリア様。貴女の罪深き行いは、すべて王都に筒抜けですわ。……アーネスト様をたぶらかし、借金の帳消しを画策した罪。もはや逃れられません」

罠だ。 ハミルトン家だけではない。 王都の『聖女』派閥も、このタイミングで動いてきたのだ。 アーネストがいない隙を狙って。

「……アーネスト様は、篭絡などされておりません! 彼は正義のために動いているのです!」

私が叫ぶと、老紳士は眉をひそめた。

「それを判断するのは、貴女ではない。……直ちに身柄を拘束し、王都へ護送する。申し開きは、査問会の席でするがいい」

騎士たちが私を取り囲む。 レオンが止めに入ろうとするが、剣を突きつけられて動けない。

「セシリア!」

「大丈夫よ、レオン様!」

私は気丈に振る舞った。

「王都へ行くだけですわ。……ちょうどよかった。私も王都へ行って、言いたいことが山ほどありましたから」

私は騎士たちに連行されながら、屋敷を振り返った。 厨房の窓が見える。 あそこには、アーネストが整えてくれた『薪』と『鍋』がある。 彼の愛が、そこにある。

(待っていて、アーネスト様。……今度は私が、あなたのもとへ行く番ですわ)

私は馬車に押し込まれた。 扉が閉まる。 暗闇の中、馬車が動き出す。 行き先は、因縁の地、王都アウレル。
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