陛下、私はあなたの初恋ではなく、最後の失敗作です

なつめ

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第18話 愛ではないでしょう


 執着は、愛に似た顔をして遅れてくることがある。

 それは春先の陽だまりのような穏やかなものではなく、冬の名残を引きずったままの、居場所を失った熱だった。失くしかけてから急に惜しくなり、手の内にあった時には見もしなかったものへ、今さらのように指を伸ばす。そういう熱は、ときに本人にすら愛と見分けがつかない。

 ここ数日の王は、まさにそういう動き方をしていた。

 西棟から届く小さな書簡。仕事とは関係のない短い誘い。以前なら重臣や使節を挟んでしか共にしなかった食事の時間。何でもない顔で差し出される贈り物。王妃の予定へわざわざ差し込まれる、短い私的な確認。どれもこれも、結婚してから今日まで、一度も与えられたことのない種類のものだった。

 もしそれがもっと早ければ。

 そう思わないわけではない。思わないほど冷たくなったつもりもない。けれど、その「もっと早ければ」が意味を持つ時期は、もうとっくに過ぎていた。

 その夕方、東翼の空は薄曇りだった。

 昼のうちに晴れていた空へ、また灰色の雲が戻ってきている。窓の外の庭園は、残雪と土の境目が少しずつ曖昧になり始めていた。白かったものが溶け、黒かったものが湿り、季節の境がゆっくりと濁っていく。風はまだ冷たい。けれどその冷たさの底には、冬だけの鋭さとは違う、湿った重みが混じっていた。

 セレスティアは、私室の低卓で東の丘の離宮に関する報告を読み終えたところだった。

 暖炉の具合は良好。寝具は新調の必要なし。温室の南面の硝子は交換済み。庭師はそのまま常駐可能。帳簿の整理も少しずつ進めている。そこに書かれているのは、あまりにも現実的で、小さく、具体的な生活の始まりばかりだった。火が点くこと。寝具が整っていること。硝子が割れていないこと。人が住めるというのは、つまりそういうことなのだと、報告を読むたびに実感する。

 王宮の外にある未来は、もう想像ではない。

 そんな時だった。

「陛下より、お渡ししたいものがあると」

 西棟付きの侍従がそう告げたのは。

 セレスティアは一瞬だけ目を伏せた。最近の王は、何かを渡す、何かを共にする、何かを話す、そういう遅れた行為を立て続けに始めている。以前の自分なら、その一つひとつに心を揺らしただろう。今は、ただ少し疲れるだけだった。

「どこで」
「西棟の書庫前にて、お待ちでございます」

 書庫前。

 食堂でも談話室でもないその場所に、ほんの少しだけ不穏なものを感じる。けれど断る理由もない。セレスティアは報告書を閉じ、立ち上がった。

「分かりました」

 イゼルナがすぐに外套を取ってくる。深い灰青の薄手のものだ。季節の変わり目で、東翼の回廊は夕刻になるとまだ冷える。肩へかけると、布の重みが少しだけ心を落ち着けた。

「ご一緒いたします」
「ええ」

 西棟へ向かう道は静かだった。夕刻の報告がひと通り終わり、晩餐前の半端な時間だからだろう。回廊を行き交う侍従の数も少なく、どこか遠くで暖炉の薪が爆ぜる音ばかりがよく響く。高窓の向こう、空はもうだいぶ暗い。青でも灰でもない色が、王宮の塔の向こうで静かに沈みかけている。

 書庫前には、リグヴァルドが一人で立っていた。

 側近も侍従も連れていない。黒に近い濃紺の上衣のまま、片手に細長い紙包みを持っている。その姿を見た瞬間、セレスティアの胸の中にまず浮かんだのは、また、と思う疲れに近い感覚だった。王は本気なのだろう。何かを取り戻したいのだろう。だがそのやり方が、あまりにも今さらで、あまりにも不器用で、しかも毎回少しずつずれている。

「来たか」

 王が言う。

「お呼びと伺いました」
「少しだけ時間をくれ」
「はい」

 イゼルナが一礼し、少し離れた位置へ下がる。完全には遠ざからない。その距離が、今の二人の間にあるものをよく表していた。完全な私的空間には、もうなり得ないのだ。

 リグヴァルドは持っていた紙包みを差し出した。

「東の丘の離宮に、まだ本が足りないと聞いた」
「……」
「昔、お前が好んでいた詩集だ。王立書庫の複写本があった」

 セレスティアは紙包みへ視線を落とした。丁寧に巻かれた淡い茶の紙。紐は白。確かに本の形だろう。兄の離宮へ使いを出したことが、もう王の耳にも入っている。その早さも、別に驚くことではない。王宮の情報はすぐに流れる。

 だが。

 王が、彼女の「昔好んでいた詩集」を今になって探し出し、それを手渡そうとしている。

 そのことの意味を、昔の自分ならどう受け取っただろう。きっと胸が苦しかっただろう。嬉しくて、遅すぎて、でもなお嬉しくて。

 今はもう、その苦しさの中に熱がない。

「ありがとうございます」

 セレスティアは包みを受け取った。軽い。王立書庫の複写本らしく、装丁は簡素だろう。王がこれを探させ、あるいは自分で見つけたのかもしれないと想像することはできる。けれどその想像が、胸のどこも温めない。

「好んでいたのを覚えていたわけではない」

 リグヴァルドが付け加えるように言う。

「アウグスタではなく、学舎上がりの古い女官が言っていた。お前が嫁ぐ前、よく読んでいたと」
「そうですか」
「……」

 沈黙が落ちる。王はたぶん、もう少し違う反応を待っている。驚き、柔らかい笑み、せめて「どうしてそんなことを」と訊く声。そのどれも、セレスティアの中からは出てこない。

「他にも」

 リグヴァルドは言葉を継ぎ足す。
「来週、もし時間を取れるなら、東の丘を見に行ってもいい。お前一人では」
「結構です」

 言い終わる前に、セレスティアはそう答えていた。

 静かな声だった。強くも、きつくもない。ただ、はっきりとそれを拒んだ。その瞬間、王の顔がほんのわずかに硬くなる。

「……そうか」
「はい」

 また沈黙。

 書庫前の空気は冷たかった。扉の隙間から古い革装本の匂いが漏れ、遠くで衛兵の足音がひとつ、石床を打つ。西棟の夕刻はいつだって静かなのに、今はその静けさがやけに耳に痛い。

 リグヴァルドはその場から動かなかった。何か言うつもりなのだろうと分かる。ここ数日の彼は、そういう顔をよくする。言いたいことがあるのに、その形が定まらない顔。王としての命令でも、会議の結論でもない、自分の内側にあるものをどう扱えばいいか分からない男の顔だ。

「セレスティア」

 名を呼ばれる。

「最近のお前は、俺に対して」
 
 彼はそこで言葉を切る。探しているのだ。冷たいと言うべきか、遠いと言うべきか、あるいは、何か別のもっと正確な言葉を。

「……変わった」

 ようやく出てきたのは、それだけだった。

 セレスティアはその言葉を受け止め、しばらく返事をしなかった。変わった。たしかにそうだろう。だが、それを今さら王の口から聞くと、ひどく遠いところから届いたみたいに感じる。

「ええ」

 やがて彼女は頷いた。

「変わったのだと思います」
「何が」
「分かりませんか」
「分からないから聞いている」

 王の声が少しだけ硬くなる。苛立ちではない。焦りに近い。焦っているくせに、それを言葉にする術を知らないから、声だけが僅かに鋭くなる。

 セレスティアはその焦りを見た。見ても、もう昔のように胸が痛まない。ただ事実として、王が今、自分の変化にようやく触れ始めているのだと分かるだけだ。

「陛下は」

 彼女は静かに言った。

「私を愛しておいでではないでしょう」

 空気が止まった。

 風も、足音も、書庫の匂いも、何もかもが一瞬にして遠ざかったような感覚がある。たった一言。それも声を荒げたわけではない。責める調子でも、涙に濡れた告白でもない。ただ、何かの帳簿を読み上げるような静けさで告げられたその一文だけが、場の重さをすべて変えてしまった。

 リグヴァルドの顔色が、初めてはっきり変わる。

「……何を言う」

 反射だった。否定より先に、問い返しの形を取ったのは、自分でも予想外だったのかもしれない。

 セレスティアは目を逸らさない。

「聞こえた通りです」
「違う」
 
 今度は、もっとはっきりと出た。王らしい、短い否定。だがその強さの中に、確信よりも先に反発があることを、セレスティアは聞き逃さなかった。

「本当に?」

 穏やかに問い返す。

 この問いに、王はすぐには答えられなかった。

 否定した。だがその否定は、たとえば「それは誤解だ」とか「そうではない理由」を伴っていない。ただ反射のように違うと言っただけだ。その空白が、彼自身の足場の曖昧さを露わにしている。

「私は」

 セレスティアは続ける。王が言葉を探す隙を埋めるでもなく、ただ静かに、事実を置いていく。

「長いあいだ、陛下が私に向けてくださるものを、愛ではないにせよ、何か大切なものだと思おうとしてきました」
「……」
「必要とされること。頼られること。楽だと思っていただけること。そういうものの中へ、私なりに意味を探してきたのです」
「セレスティア」
「でも」

 そこで、ほんの少しだけ息を継ぐ。怒りも涙もない。だからこそ、その間は冷たい。

「今になって食事に誘われても、贈り物をいただいても、私はそれを愛とは思えません」

 リグヴァルドの喉がわずかに動く。

 図星だった。食事も、贈り物も、私的な時間も、ここに来て急に増えた。それが何を意味しているのか、王は自分なりにまだ言葉にしきれていない。だがセレスティアにはもう分かっている。これは失いかけて初めて生まれた執着であり、遅すぎる補填でしかない。

「私を失うのが惜しくなったのだとしても」
 
 彼女は続ける。
「それは愛ではないでしょう」
「……惜しいと思うことが、愛ではないと?」
「所有欲かもしれません」
 
 静かに言う。
「あるいは習慣」
「習慣?」
「ええ。今までそこにあったものが、なくなるかもしれない。手の届くところにあるのが当然だったものが、手を離れるかもしれない。それを惜しむ気持ちは、愛とは限りません」
「……」

 王は答えない。答えられない。否定したいのだろう。だが否定のための言葉が足りない。

 セレスティアはそこでさらに一歩進む。

「陛下は私を信頼してくださっているのでしょう」
「当然だ」
「必要としてもくださる」
「それも当然だ」
「けれど、信頼と愛は同じではありません」
「……」
「便利さと愛も違う」
「そんなふうには」
「違うと仰るのでしたら」

 セレスティアはそこでほんの少しだけ首を傾けた。柔らかな仕草だ。王妃教育の中で身につけた、相手を追い詰めずに問いを返すための角度。だが今、それはもう慰めではなく、逃げ道を塞ぐ形でしか働かない。

「愛とは何ですか」

 その問いに、王は完全に沈黙した。

 食堂でも、会議でも、謁見でもない。書庫前の冷えた空気の中で、一人の王が一人の女からそう問われ、答えを持たないまま立っている。

「私を必要だと仰ることですか」
 
 セレスティアは静かに続ける。
「信頼していると仰ることですか。楽だと感じることですか。隣に置いて不都合がないことですか。王妃として不足がないことですか」
「セレスティア」
「それとも、私がいなくなるのが怖いことですか」
「……」
「それは全部、愛とは違うかもしれません」

 リグヴァルドは、そこで初めて、自分の中にあるものの名前を自分で持っていないのだと思い知る。

 必要だ。
 頼りにしている。
 いなくなると困る。
 隣にいてほしい。
 失うのは嫌だ。

 そのどれもが本当だ。だが、それをそのまま愛と呼んでいいのかと問われると、彼は答えに詰まる。若い頃の自分は、理想や未練や私情を切り捨てるために、そうした感情の名前を徹底して曖昧にしてきた。王には不要だと。国を背負うには邪魔だと。そうやって捨てたはずの場所を、今さら自分で掘り返そうとしても、そこに言葉はもうほとんど残っていない。

「俺は」

 それでも、何とか口を開く。

「お前を、失いたくない」
「ええ」

 セレスティアは頷く。

「それは分かります」
「なら」
「ですが、それを愛とは申しません」

 きっぱりと。

 少しも迷いなく、そう言われると、王の胸に鈍い痛みが生まれる。自分の言葉が、ことごとく彼女の前で正しい形にならない。所有欲、信頼、習慣、便利さ。彼女はその一つひとつを、刃のように丁寧に切り分けて見せる。

「では、お前は」

 リグヴァルドの声が少しだけ低くなる。

「何なら愛だと思う」

 問い返しに近かった。どこか、追いつめられた側の響きがある。

 セレスティアはその問いにすぐには答えなかった。

 書庫の扉の向こうから、誰かが本を戻す微かな音がした。古い紙の匂いが細く漂う。外では風が枝を鳴らしている。世界は静かなのに、この場の空気だけがひどく重い。

「少なくとも」

 やがて彼女は言った。

「その人が何を好み、何を嫌がり、何に傷つき、何に安らぐのか、知ろうとすることではないでしょうか」
「……」
「役に立つかどうかではなく、その人であることに目を向けること」
「……」
「失いたくないから手を伸ばすのではなく、その人がそこにいてよかったと思うこと」
「……」

 リグヴァルドは何も言えない。

 彼は彼女の好きな花を正確には知らない。白い花が似合うと思っていた。静かな色を好むと思っていた。だがそれが「彼女自身の好み」なのか、「王妃として整えられた結果」なのか、今の彼には判別がつかない。

 彼女が何に一番傷ついたのかも、完全には知らない。婚礼衣装のことか、教育のことか、若い頃の私記のことか。あるいはその全部なのか。その全部の中で、一番深く刺さった場所を、自分はまだ分かっていない。

 それでも愛だと言えるのか。

 問いはそこにあった。

「私は」

 セレスティアが最後に、ひどく静かに言った。

「陛下が私に向けておられるものを、醜いとは思いません」
「……」
「執着も、信頼も、必要も、所有欲も、人にはあるのでしょう」
「……」
「ただ、それを愛だとは呼べないだけです」

 その一言で、すべてが決まる。

 王が今感じている焦燥も、失いたくないという衝動も、遅れて始まった食事や贈り物も、全部が愛ではないのだと、彼女は静かに切り分けてしまった。

 そしてリグヴァルドには、その場でそれを覆す言葉がなかった。

 違う、とだけ言うのは簡単だ。だが、愛とは何かと問われ、自分が彼女の何を見てきたのかを問われ、所有欲や習慣や便利さと何が違うのかを示せない以上、その否定は薄い。

 彼は初めて、自分の中にあるものが何であれ、それは彼女の前では愛の名を持ちえないのだと知る。あるいは、今の自分にはまだその名を持たせる資格も言葉もないのだと。

 冷えた沈黙が、二人の間に深く落ちる。

 セレスティアはそれ以上何も言わなかった。言う必要がないのだろう。すでに必要なことはすべて置いた。王がそれを受け止めるかどうかは、もう彼自身の問題であって、彼女の役目ではない。

 やがてセレスティアは、静かに一礼した。

「もう、失礼いたします」

 王は引き留めない。引き留める言葉を持たないからだ。

 彼女が去っていくのを見送りながら、リグヴァルドはようやく、自分の中の焦燥が愛と呼ばれないことよりも、愛と何が違うのかを自分で説明できないことに、深く傷ついているのだと知る。

 所有欲。
 信頼。
 習慣。
 便利さ。
 執着。

 そのどれもが、たしかに自分の中にある。
 だが、彼女の前で「愛だ」と言えるだけの確かさにはなっていない。

 王はその場に一人残され、書庫前の冷たい空気の中でしばらく動けなかった。外では、春に届ききらない風が、まだ冬の名残を引きずったまま、静かに吹いていた。


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