王妃失格と呼ばれた私を、敵国の王だけが抱きしめた

なつめ

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エピローグ 春はもう、恐くない


 春の市場は、冬の市場より音が高い。

 それは人の声だけのことではない。荷車の軋み方が少し軽くなり、樽を置く音も乾いて澄み、風に揺れる布の擦れる音まで、冬より一段だけ高いところで鳴る。冬のあいだ、王都の音はいつも重たかった。鍋の湯気も、咳を堪える喉の音も、湿った薪の爆ぜる音も、みな低く、耐えるための重さを抱えていた。

 けれど春は違う。

 まだ寒い日もある。朝晩は冷え、日陰には冬の名残がしつこく残る。だがそれでも、音はもう生き延びるためだけのものではない。行き交う人々の声の底に、次の季節へ向かう軽さが少しずつ戻っている。王都の市場を歩くと、春というものはまず色ではなく、そういう音の高さから来るのだと分かる。

 その朝、リュゼリアは王都の市場へ来ていた。

 王妃となってからも、彼女は時々こうして王宮の外へ出る。もちろん以前のような、誰にも気づかれぬ変装ではない。護衛もつくし、離れた場所には王宮の侍従もいる。王妃が無防備に街を歩くことは、この国でも許されない。だが同時に、ノルドグランの王妃が市場や広場へ出ることは、もはや特別な出来事でもなくなりつつあった。

 深い青灰の外套。
 飾りすぎない王妃の印。
 歩きやすい靴。
 手には、今日の仕入れと配分を見るための小さな帳面。

 その姿は、かつてアルヴェリアで求められた「王妃らしさ」とはひどく遠い。けれどノルドグランの市場では、それがもう自然に馴染んでいる。

「王妃さま」

 最初に声をかけてきたのは、根菜の籠を並べる女だった。

 四十を過ぎたくらいの、腕のたくましい女だ。冬越し袋の配分が始まった頃から何度か見かけている。最初の頃は「東翼の方」とだけ呼ばれていた。今はもう、迷いなく「王妃さま」と言う。

「おはようございます」
 リュゼリアが返すと、女は少し照れたように笑った。
「今日は早いですねえ」
「春の入り具合を見たくて」
「入り具合」
「ええ。冬の名残と、どこから先に変わるのか」
「変わるのは」
 女は籠の中の葉物を持ち上げながら言う。
「まず香りですね」
「……」
「見た目より先に、匂いが変わる」
「そうね」
 リュゼリアは頷いた。
「私もそう思う」

 そのやり取りに、近くにいた別の女がくすりと笑う。

「王妃さまは、そういうところを見るんだねえ」
「見るわ」
「普通は値段を見るのに」
「値段も見るわよ」
「じゃあ、今日はどっち?」
「両方」

 そう答えると、小さな笑いが周囲に広がった。

 市場の笑いは、夜会の笑いと違う。誰かを試すためのものでも、上品さを競うためのものでもない。ただ会話の流れの中で、ふっと湧いて、すぐ別の音に混じっていく。その軽さが、リュゼリアは好きだった。

 市場には春の初物が少しずつ増えている。

 まだ大きくはない白蕪。
 土の匂いの濃い若い玉葱。
 葉の先が柔らかい菜。
 冬の乾燥を越えたあとに出る、少し苦みを持った小さな野草。

 それらはどれも、見た目だけなら華やかではない。だが冬の鍋と乾燥品ばかりを越えてきたあとでは、そのささやかな青さがひどく嬉しい。

 リュゼリアは二、三の店を回りながら、今の時期に医務区画へ回したいもの、子どものいる家へ勧めやすいもの、炊き出しに混ぜると匂いが立つもの、そうしたことを帳面へ書き留めていった。誰かに言われた仕事というより、もう身体に馴染んだ習慣だった。

「王妃さま」

 今度は、後ろから高い声がする。

 振り返ると、七つか八つほどの男の子が、母親の袖を握ったまま立っていた。少し鼻の頭が赤い。だが咳はしていない。冬の終わりに熱を出していた子ではなかったかと思い出す。広場で寝具を分ける話をした時、赤い札を受け取っていた家の子だ。

「元気になったのね」
 リュゼリアが言うと、母親が慌てて頭を下げた。
「その節は、本当に」
「元気なら、それでいいの」
「でも」
「無理をしないで」
 リュゼリアは子どもの方へ目を向ける。
「走りすぎると、また夜に咳が出るわ」
「はい」

 真面目に返事をしたその顔に、周囲がまた少しだけ笑う。

 母親は、ためらいがちに、小さな布包みを差し出した。

「これ」
「……」
「うちで最初に採れた菜です」
「いただけないわ」
「そんな」
「王妃さま」
 根菜売りの女が横から言う。
「これは受け取ってやらないと」
「でも」
「春の最初の菜を、元気になった子の家から渡すってのは」
 女は少しだけ頬を上げる。
「縁起ものなんですよ」

 その言葉に、リュゼリアは一瞬だけ言葉を失った。

 縁起もの。

 あまりに暮らしの中の言い方で、だからこそ胸へ沁みる。宮廷の祝儀の言葉ではない。もっと土の匂いのする、日々の生活の中から出てくる言葉だ。

 リュゼリアは布包みを受け取った。

「……ありがとう」
 そう言うと、母親は泣きそうな顔で何度も頭を下げた。
「うちの子が」
「……」
「ちゃんと春を迎えられたのは」
「……」
「王妃さまが、あの時」
「違うわ」
 リュゼリアは静かに遮った。
「この子を守ったのは、あなたよ」
「……」
「私は、少し言葉を渡しただけ」
「でも」
「それでも」
 リュゼリアは小さく笑う。
「渡した言葉が届いたなら、うれしいわ」

 その一言で、母親はとうとう目元を拭った。

 市場の空気は、そういう小さなやり取りで温かくなる。王妃と民というより、ひとつの冬を越えた者同士のように。

 リュゼリアは歩きながら、ふと気づく。

 以前の自分なら、こういう場面でもっと身を固くしただろう。善意を向けられれば戸惑い、感謝されればどこかで怯え、何かを受け取れば「私がそんなものを受け取っていいのだろうか」と胸の奥で迷ったはずだ。

 今も、完全に迷わないわけではない。
 けれど違う。
 今の彼女は、受け取った善意を、すぐ否定せずに胸の中へ置いておける。
 市場の女の笑いも、
 子どもからの挨拶も、
 春の最初の菜も、
 自分がここで生きていていいのだと教えるものとして。

 それは大きな変化だった。

 市場の奥の方へ進むと、薬草を扱う老人が棚を整えていた。冬のあいだは乾燥束が多かったが、今日はそこに少しだけ生の若葉が混じっている。

「王妃さま」
 老人は深くは頭を下げない。そういう人ではない。ただ、手を止めて敬意の分だけ背を折る。
「春の香りが出てきましたな」
「ええ」
「夜咲草も、そろそろ外気に馴らせます」
「そんな時期なのね」
「今年は少し早い」
「……」
「王宮の温室は、冬の手入れがよかったのでしょう」

 その一言に、リュゼリアは目を伏せてわずかに笑った。

 温室の手入れがよかった。
 そう言われると、思い出すのは求婚の夜の小さな鉢だ。夜に匂う草を、眠れぬ時のためにと彼がくれたこと。あの頃はまだ王妃でもなく、冠もなく、ただ東翼の客人であり、壊れたところから少しずつ立ち直ろうとしていた頃だった。

 そこからここまで来たのだと、春の市場の匂いの中で、ようやく少しだけ現実味を持って思える。

 気づけば、思っていたより長く歩いていたらしい。

 空はもう昼の青を少し傾け始めていた。市場の人の流れも、朝の慌ただしさから昼の落ち着きへ移りつつある。侍従が少し離れたところで時間を確かめる気配を見せたところで、リュゼリアは帳面を閉じた。

「そろそろ戻るわ」
 そう言うと、根菜売りの女がすぐに声を上げた。
「また来てくださいよ」
「来るわ」
「今度はもっと青い菜が出る頃に」
「楽しみにしている」
「王妃さま」
 さっきの子どもがまた手を上げる。
「来年も?」
 その問いに、リュゼリアは一瞬だけ胸の奥が熱くなる。

 来年も。

 昔の自分は、未来のことをあまり考えなかった。いや、考えられなかったのだ。どこまで耐えればいいか。次の季節を、また同じように越えられるか。そういう不確かな時間の中では、「来年」という語は遠くて曖昧だった。

 けれど今、来年という言葉が、きちんと自分の胸の中へ入る。

「ええ」
 リュゼリアは答えた。
「来年も」

 その返事に、子どもが満足そうに頷く。

 未来形で自分を考える。
 それがこんなにも静かな幸福なのだと、リュゼリアはようやく知り始めていた。

 市場を離れ、王宮へ戻る石橋へ足をかけた時、風が少しだけ強く吹いた。春の匂いを含みながらも、北の風らしい冷たさをまだ残す風だ。その風に外套の裾が揺れる。

「戻るか」

 低い声が、前からではなく横から落ちた。

 リュゼリアは足を止め、顔を上げた。

 ゼルヴェインがいた。

 どうしてここに、と訊くまでもない。たぶん北棟の用を終え、この時間なら市場から戻るだろうと読んで、ここまで迎えに出たのだろう。彼はそういう人だ。大げさな演出はしない。だが必要な時に、あまりにも当然の顔でそこにいる。

 今日は王としての正装ではなく、動きやすい濃紺の上衣に外套だけを羽織っている。市場へ入っていれば目立っただろうから、少し手前で待っていたのかもしれない。

「迎えに?」
 リュゼリアが問う。
「そうだ」
「忙しいのではなくて?」
「忙しい」
「なら、どうして」
「迎えに来た」

 あまりにもそのままの返答に、リュゼリアはほんの少しだけ目を細めた。

 ゼルヴェインは視線を下げ、彼女の手の中の布包みへ気づく。

「それは何だ」
「春の最初の菜をいただいたの」
「そうか」
「縁起ものらしいわ」
「なら、もらっておけ」
「そうする」

 石橋の向こうには、王宮の塔が見える。
 市場のざわめきは背後に薄く残り、
 前方には王宮の静かな石の匂いがある。

 リュゼリアはその境目に立ちながら、ふと思う。

 戻るか。
 その言葉が、以前とはまるで違う意味で胸へ落ちるのだと。

 昔の自分にとって「戻る」とは、冷たい王宮の部屋へ帰ることだった。
 体面のために整えられた場所へ。
 自分の息より、王家の見え方が優先される場所へ。
 恐れと緊張を少しも脱げないまま、また明日の役目を待つ場所へ。

 けれど今は違う。

 戻るとは、
 東翼の暖炉の匂いへ戻ること。
 夜咲草の鉢が窓辺にある部屋へ戻ること。
 温室に続く回廊へ戻ること。
 そして何より、
 この人の隣へ戻ることだ。

 そのことに、リュゼリアは立ち尽くしたまま、しばらく息を吸えなかった。

「どうした」
 ゼルヴェインが言う。
「……」
「疲れたか」
「違うの」
「何だ」
「今、分かったの」

 ゼルヴェインは答えずに待つ。
 急かさない。
 その待ち方が、最後までこの人らしい。

 リュゼリアは布包みを抱え直し、石橋の先の王宮を見た。それから、隣に立つゼルヴェインの横顔を見た。

「戻る場所が」
「……」
「もう、違うのね」
「……」
「昔とは」

 その言葉に、ゼルヴェインはほんのわずかに目を細めた。
 それだけで十分、彼には伝わったのだと分かる。

「そうだな」
 彼は言った。
「違う」
「……」
「お前はもう」
「……」
「失うことを前提に戻るわけではない」
「……」
「自分で選んだ場所へ戻る」

 その一言で、胸の奥へやわらかな熱が満ちる。

 自分で選んだ場所へ戻る。

 それが、今のリュゼリアにとって何より大きな真実だった。王妃になったことでも、冠を受けたことでもない。戻る先を、自分で選べるようになったこと。帰る場所を、もう誰かに決められずに済むこと。

 その自由は、静かで、温かくて、そしてひどく深かった。

 リュゼリアは、隣に差し出されたゼルヴェインの腕へ、ためらいなく手を添えた。

 王宮へ向かって歩き出す。
 石橋を渡る。
 市場の音が少しずつ遠ざかる。
 塔の影が近づく。
 風はまだ冷たいが、その冷たさの中にも春がある。

 帰る場所は、もう失うものではない。
 ただ与えられるものでもない。
 自分で選び続けるものだ。

 失格と呼ばれた人生は、たしかに終わった。
 その終わりの先にあったのは、完璧な王妃になることではなく、
 こうして春の市場から王宮へ帰りながら、
 来年の話を胸の中へ自然に置けるような幸福だった。

 それを、リュゼリアはもう恐れなかった。

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