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おにタケ(マゾマゾ)
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『な、バカなこと言うな』
タケシがカメラを見たけど、おにいに視線を気にする余裕がないのは明らかだった。逃げだそうとする親友のジャージに手をかけると、いきなりズボンを下ろす。
走り込みの足りない野球部が転んだ。
『バカなのはタケちゃんだ』
『よ、よせよ』
おにいの言葉にタケシが青ざめる。
「リッちゃんの計画通りなのにあの演技、役者目指すべきだね、タケシくん。迫真だよ」
ヒロヒロが言う。
「そりゃ本気だからねー」
わたしは鼻で笑った。
「え?」
「わん?」
「タケシには計画をこう説明しといたから。おにいはわたしを野球部に差し出すから、その映像を証拠におにいを追い込むって」
「リッちゃん……鬼畜だね」
「くぅん」
ミコシーが震えてた。
タケシはおにいがわたしのためにナルセンのおちんちんを握ったり、コーモンセイコーを繰り広げたり、男の尊厳を捨ててきたことを知らない。だから、予測はできなかった。
口止めの先頭バッターに選ばれることを。
『よせって』
転んだタケシの胸をおにいが踏んだ。
『オレは冗談で女装してるんじゃないからな』
言いながら、スカートの中に手を突っ込んで、今日わたしと一緒に選んだパンツを脱ぐ。その仕草はわたしにそっくりだ。真似してる訳じゃなくて、双子だから天然で同じなんだと思う。
男を誘惑する動き、とか。
『セン? ウソだろ?』
タケシの声が思いっきり震えた。
画面を見てる三人が思わず吹き出しそうになるほどよくできた小物っぷり。カノジョがいたから童貞じゃないとは思うけど、男相手ははじめてだろうと思う。
『な? ウソだって、えもぅ……』
丸めたパンツが口に突っ込まれた。
『心配しなくていい。タケちゃん。オレ、上手くやるから。やれるから。オレのこと、リツだと思って、気持ちよくなってくれ』
『! うううっ!』
タケシの目がカメラを見る。
「止める?」
ヒロヒロが言った。
「なんで? しーっかり一部始終を録画するよ? 男に犯されてイったとかもー、タケシ、わたしに逆らえないねー。一生、豚確定。あー、悦ぶだろーな。わたしって優しいご主人様だ……ァン」
「わわっん」
ミコシーの指が奥まで入る。
「ご愁傷様ね」
ヒロヒロが小さく手を合わせた。
『タケシ』
映像の中のおにいがわたしの声真似をする。
『もー、わたしの前なのに、ぜんぜんコーフンしてない。失礼しちゃうなー。こんなサービスするのタケシだけ、なんだからー』
『おおおご』
カメラの角度的に見えなかったけど、おにいがタケシのおちんちんに触ったみたいだった。抵抗しようとするタケシを問答無用で殴りながら、両手を押さえて、バカっぽすぎるわたしの真似で責め立てる。
「似てる」
「わん」
二人がわたしとおにいを見比べる。
「似てないよ。おにいの中のわたし、痴女すぎない? ぜったい別のなにかの影響あるって、たぶんそーゆー動画とかさー」
ちょっと不満だ。
「似てる似てる」
「わわんわん」
失礼しちゃう。
『おっきくなってきたよ? どー? わたしの手? いーかな? もっと?』
そしておにいが調子に乗ってきてる。
『おご、ごっ!』
タケシの目がカメラを見て、とろけた。ここまで見てわたしが助けに入らないことで、これがそういうプレイなんだというスイッチが入ったみたいだ。なにをしても、しなくても気持ちよくなれる幸せな脳味噌は幸せでしかない。
羨ましくない限りだ。
『まーだまだ、満足させるからね?』
おにいがスカートを持ち上げて、タケシの前に見せる。そしてそのまま、腰を下ろしていった。わたしのことを好きなのに、なんでわたし以外の人間とそんなにすんなり繋がっちゃうんだろう。絶対おかしい。
わたしでいいはずなのに。
「わぉっ!」
ヒロヒロの動きが激しくなって、吠えそうになったミコシーの口を二人で押さえる。男の呼吸と、女の声、おにい一人から、混ざり合い奏でられる音楽は、悲痛で、だから愛おしくて、けれど切なかった。
『タケシ? どー? っあ、どーかな?』
ぼんやりする親友に呼びかける。
『いける? いけるよね? リツの代わり?』
男なのか、女なのか。
おにいなのか、わたしなのか。
「リッちゃん?」
「くぅん」
ヒロヒロがわたしの顔をのぞき込んで、ミコシーが顔を舐めてきた。指で触れてみると、涙が出てたみたいだ。画面を見つめすぎたのかもしれない。やっと、うれしい瞬間が迫っている。
「そろそろ、いくね」
わたしはベッドから抜け出す。
「見てるよ」
「わん」
「ありがと」
画面の中では、おにいの動きが加速していた。抵抗せず受け入れたタケシは天井を見上げて流れに任せてる。男でも女でも気持ち良くなればよし。変態として立派な働きだったから、わたしからご褒美をあげよう。
裸のまま、静かに廊下に出る。
そしておにいの部屋のドアを乱暴に開けた。
「!」
「お楽しみの最中、ごめんねー?」
わたしは言って、中に入る。
「り、リツ、これは、違ァっ」
硬直したおにいだったけど、タケシが腰を突き上げてスパートをかけたから、抵抗できなかった。わたしは結合部を隠しているスカートを持ち上げて、その中を無言で見つめる。
ああ、これがおにいの。
「やっ、タケちゃん。やめっ」
おにいは男の声で、女みたいに鳴いた。
「おごぐ」
わたしはタケシの口からパンツを取る。
「妹の前でイけよ。シスコンが」
「うん、タケシもね」
わたしは腐れ縁の身体を倒すと、そのお腹の上に座った。おしりが丸見えだけど、サービスだ。こっちの方がストレートにはいいはず。
「リツ様」
「はい、キモいキモい」
雑にあしらっても、タケシの腰が震えた。
「リツっ」
おにいはわたしの名前を呼びながら果てた。
こっちの顔も見られないみたいで、熱い息を吐きながら、口から涎を垂らして、泣いている。わたしはその顎を持ち上げて、キスした。
「んんっ」
おにいがもだえるのを、スカートの中に手を入れて止める。まだ硬い。まだ熱い。ドクドクしてる。ドキドキしてる。なんでなんだろう。
大好き。
「おにい」
唇を話して、優しく呼びかける。
「違うんだ。オレ、違うんだよ」
「なにが違うの?」
可愛いな。
「た、タケちゃんを襲った訳じゃないんだ。今日のデートを、野球部に見られて、それで口止めにリツの身体が必要だって言われて、そんな、そんなことはさせられないから」
「あ、それ? わたしの作り話だけど」
こうやって絶好のタイミングで出てきてもまだ気づいてなかった。おにいってば純粋だ。もうすこし疑うことを知らないと変な女に引っかかる。
わたしが守ってあげないと。
「そうなんだ。作り話みたいな、そんな……作り話? いまなんて言ったんだ? リツ?」
おにいがこちらを見つめた。
「だから、作り話なんだってば。もー、うちの学校の野球部がそんなことする訳ないじゃーん。そんなの口止めしたって顧問とかマネージャーとか色んな人に隠し通せないって」
「……!」
表情が困惑から恥ずかしさ、そして怒りに、おにいはわなわなと震えて、ぎゅっと拳を握った。けれど、それでも殴らない。わかってる。だって。
「このバカが!」
「ぎゃっ」
顔面パンチだった。
「おにい?」
わたしは意味がわからない。
ケンカしたって、おにいが手を出したことなんて今まで一度もなかった。今回のだって、おにいがわたしの作り話をひとつも疑わなかったから、うっかりしてたからこうなってる。
「なんで?」
わたしは、タケシの上に横たわったまま言う。 ほっぺたが、痛い。
口の中に血が溢れてきてる。
「それはこっちのセリフだ。リツ」
おにいは拳を振り上げる。
「どういうつもりなんだ。なんで、なんでオレをこうも困らせるんだ。き、嫌われるのは仕方がない。それはわかってる。でも、周りの人を巻き込むな。嫌いなら嫌いで、オレだけを攻撃すればいい。そうだろう? 違うか?」
「わたし、おにいが好きだよ?」
なにを言ってるのかわからない。
「それはもういい」
わたしの告白を、おにいは受け止めない。
「よくないよ。わたし……」
「女装する兄を好きになる妹がいるか?」
おにいは血を吐くみたいに言った。
タケシがカメラを見たけど、おにいに視線を気にする余裕がないのは明らかだった。逃げだそうとする親友のジャージに手をかけると、いきなりズボンを下ろす。
走り込みの足りない野球部が転んだ。
『バカなのはタケちゃんだ』
『よ、よせよ』
おにいの言葉にタケシが青ざめる。
「リッちゃんの計画通りなのにあの演技、役者目指すべきだね、タケシくん。迫真だよ」
ヒロヒロが言う。
「そりゃ本気だからねー」
わたしは鼻で笑った。
「え?」
「わん?」
「タケシには計画をこう説明しといたから。おにいはわたしを野球部に差し出すから、その映像を証拠におにいを追い込むって」
「リッちゃん……鬼畜だね」
「くぅん」
ミコシーが震えてた。
タケシはおにいがわたしのためにナルセンのおちんちんを握ったり、コーモンセイコーを繰り広げたり、男の尊厳を捨ててきたことを知らない。だから、予測はできなかった。
口止めの先頭バッターに選ばれることを。
『よせって』
転んだタケシの胸をおにいが踏んだ。
『オレは冗談で女装してるんじゃないからな』
言いながら、スカートの中に手を突っ込んで、今日わたしと一緒に選んだパンツを脱ぐ。その仕草はわたしにそっくりだ。真似してる訳じゃなくて、双子だから天然で同じなんだと思う。
男を誘惑する動き、とか。
『セン? ウソだろ?』
タケシの声が思いっきり震えた。
画面を見てる三人が思わず吹き出しそうになるほどよくできた小物っぷり。カノジョがいたから童貞じゃないとは思うけど、男相手ははじめてだろうと思う。
『な? ウソだって、えもぅ……』
丸めたパンツが口に突っ込まれた。
『心配しなくていい。タケちゃん。オレ、上手くやるから。やれるから。オレのこと、リツだと思って、気持ちよくなってくれ』
『! うううっ!』
タケシの目がカメラを見る。
「止める?」
ヒロヒロが言った。
「なんで? しーっかり一部始終を録画するよ? 男に犯されてイったとかもー、タケシ、わたしに逆らえないねー。一生、豚確定。あー、悦ぶだろーな。わたしって優しいご主人様だ……ァン」
「わわっん」
ミコシーの指が奥まで入る。
「ご愁傷様ね」
ヒロヒロが小さく手を合わせた。
『タケシ』
映像の中のおにいがわたしの声真似をする。
『もー、わたしの前なのに、ぜんぜんコーフンしてない。失礼しちゃうなー。こんなサービスするのタケシだけ、なんだからー』
『おおおご』
カメラの角度的に見えなかったけど、おにいがタケシのおちんちんに触ったみたいだった。抵抗しようとするタケシを問答無用で殴りながら、両手を押さえて、バカっぽすぎるわたしの真似で責め立てる。
「似てる」
「わん」
二人がわたしとおにいを見比べる。
「似てないよ。おにいの中のわたし、痴女すぎない? ぜったい別のなにかの影響あるって、たぶんそーゆー動画とかさー」
ちょっと不満だ。
「似てる似てる」
「わわんわん」
失礼しちゃう。
『おっきくなってきたよ? どー? わたしの手? いーかな? もっと?』
そしておにいが調子に乗ってきてる。
『おご、ごっ!』
タケシの目がカメラを見て、とろけた。ここまで見てわたしが助けに入らないことで、これがそういうプレイなんだというスイッチが入ったみたいだ。なにをしても、しなくても気持ちよくなれる幸せな脳味噌は幸せでしかない。
羨ましくない限りだ。
『まーだまだ、満足させるからね?』
おにいがスカートを持ち上げて、タケシの前に見せる。そしてそのまま、腰を下ろしていった。わたしのことを好きなのに、なんでわたし以外の人間とそんなにすんなり繋がっちゃうんだろう。絶対おかしい。
わたしでいいはずなのに。
「わぉっ!」
ヒロヒロの動きが激しくなって、吠えそうになったミコシーの口を二人で押さえる。男の呼吸と、女の声、おにい一人から、混ざり合い奏でられる音楽は、悲痛で、だから愛おしくて、けれど切なかった。
『タケシ? どー? っあ、どーかな?』
ぼんやりする親友に呼びかける。
『いける? いけるよね? リツの代わり?』
男なのか、女なのか。
おにいなのか、わたしなのか。
「リッちゃん?」
「くぅん」
ヒロヒロがわたしの顔をのぞき込んで、ミコシーが顔を舐めてきた。指で触れてみると、涙が出てたみたいだ。画面を見つめすぎたのかもしれない。やっと、うれしい瞬間が迫っている。
「そろそろ、いくね」
わたしはベッドから抜け出す。
「見てるよ」
「わん」
「ありがと」
画面の中では、おにいの動きが加速していた。抵抗せず受け入れたタケシは天井を見上げて流れに任せてる。男でも女でも気持ち良くなればよし。変態として立派な働きだったから、わたしからご褒美をあげよう。
裸のまま、静かに廊下に出る。
そしておにいの部屋のドアを乱暴に開けた。
「!」
「お楽しみの最中、ごめんねー?」
わたしは言って、中に入る。
「り、リツ、これは、違ァっ」
硬直したおにいだったけど、タケシが腰を突き上げてスパートをかけたから、抵抗できなかった。わたしは結合部を隠しているスカートを持ち上げて、その中を無言で見つめる。
ああ、これがおにいの。
「やっ、タケちゃん。やめっ」
おにいは男の声で、女みたいに鳴いた。
「おごぐ」
わたしはタケシの口からパンツを取る。
「妹の前でイけよ。シスコンが」
「うん、タケシもね」
わたしは腐れ縁の身体を倒すと、そのお腹の上に座った。おしりが丸見えだけど、サービスだ。こっちの方がストレートにはいいはず。
「リツ様」
「はい、キモいキモい」
雑にあしらっても、タケシの腰が震えた。
「リツっ」
おにいはわたしの名前を呼びながら果てた。
こっちの顔も見られないみたいで、熱い息を吐きながら、口から涎を垂らして、泣いている。わたしはその顎を持ち上げて、キスした。
「んんっ」
おにいがもだえるのを、スカートの中に手を入れて止める。まだ硬い。まだ熱い。ドクドクしてる。ドキドキしてる。なんでなんだろう。
大好き。
「おにい」
唇を話して、優しく呼びかける。
「違うんだ。オレ、違うんだよ」
「なにが違うの?」
可愛いな。
「た、タケちゃんを襲った訳じゃないんだ。今日のデートを、野球部に見られて、それで口止めにリツの身体が必要だって言われて、そんな、そんなことはさせられないから」
「あ、それ? わたしの作り話だけど」
こうやって絶好のタイミングで出てきてもまだ気づいてなかった。おにいってば純粋だ。もうすこし疑うことを知らないと変な女に引っかかる。
わたしが守ってあげないと。
「そうなんだ。作り話みたいな、そんな……作り話? いまなんて言ったんだ? リツ?」
おにいがこちらを見つめた。
「だから、作り話なんだってば。もー、うちの学校の野球部がそんなことする訳ないじゃーん。そんなの口止めしたって顧問とかマネージャーとか色んな人に隠し通せないって」
「……!」
表情が困惑から恥ずかしさ、そして怒りに、おにいはわなわなと震えて、ぎゅっと拳を握った。けれど、それでも殴らない。わかってる。だって。
「このバカが!」
「ぎゃっ」
顔面パンチだった。
「おにい?」
わたしは意味がわからない。
ケンカしたって、おにいが手を出したことなんて今まで一度もなかった。今回のだって、おにいがわたしの作り話をひとつも疑わなかったから、うっかりしてたからこうなってる。
「なんで?」
わたしは、タケシの上に横たわったまま言う。 ほっぺたが、痛い。
口の中に血が溢れてきてる。
「それはこっちのセリフだ。リツ」
おにいは拳を振り上げる。
「どういうつもりなんだ。なんで、なんでオレをこうも困らせるんだ。き、嫌われるのは仕方がない。それはわかってる。でも、周りの人を巻き込むな。嫌いなら嫌いで、オレだけを攻撃すればいい。そうだろう? 違うか?」
「わたし、おにいが好きだよ?」
なにを言ってるのかわからない。
「それはもういい」
わたしの告白を、おにいは受け止めない。
「よくないよ。わたし……」
「女装する兄を好きになる妹がいるか?」
おにいは血を吐くみたいに言った。
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