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■僕惚れ②『温泉へ行こう!』

*湯けむりのなか6

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 身体から引き抜かれる彼の指を感じながら、ぼんやりとそんな言い訳めいたことを思う。

 と、次の瞬間、彼の指なんて比べ物にならないくらい固く熱を帯びたものが、今理人りひとの指を吐き出したばかりの穴にあてがわれた。

「ごめん、さきっ。……僕、もう手加減してやれそうにない……っ」

「え……?」

 理人の切なげな声に、何?と思ったのと、それが私の身体を引き裂くように猛々たけだけしくつらぬいてきたのとがほぼ同時で。

「あぁっ、……んっ!」

 油断していたとはいえ、いつもの理人からは考えられないくらい荒々しい突き上げ方に、私は一瞬呼吸を忘れてしまっていた。

 浴槽の縁に下げていた頭を思わず持ち上げると、喉をらせて弓なりになる。同時に、身体がビクリと痙攣けいれんするように跳ねた。

 そんな私を、逃がさないと言わんばかりの力で、理人がウエストを抱きかかえて腰を打ちつけてくる。

「――んっ、あっ、やぁっ、理人、激し……っ」

 彼に翻弄ほんろうされながら抗議の声を上げる私に、せめてもの優しさのつもりだろうか。

「葵咲っ」

 私の名前を熱に浮かされたように呼びながら、理人の右手が私の頭を包みこむ。まるで、彼に貫かれて前後に身体を揺らす私が、目の前の窓ガラスで頭を打たないようにするみたいに――。


 頭にあった理人りひとの手がゆっくり首筋に下りてきて、ゆるく束ねた髪をけるように撫でさすって、私のうなじをさらす。

 お湯に濡れて張り付いたおくれ毛を丁寧に指でのけられた後、彼の吐息が耳元をかすめた。

 と同時に、首筋に噛み付くようなキスを落とされて、口付けられたところを起点に、ねっとりと熱い舌の感触が鎖骨に向けて這い降りてくる。

 理人の舌がうごめくたびに身体全体にゾクリと快感が走った。余りの刺激に、理人をくわえたままのそこに、ギュッと力が入ってしまう。

「――んっ、葵、咲っ! お願い……。あんまり締め付けない、で……っ」

 途端、理人が私を抱きしめるようにして耳元で切なげにそう言ったけれど、火がついてしまった私の身体は、彼のその声にすら呼応して更に強く彼を締め付けた。

「ん、あっ……」

 理人が、こらえきれずらしたあえぎ声が耳朶じだをくすぐって、膣の奥がキュン……と切なくうずく。

「……り、ひとっ……」

 浴槽の縁に付いていた手が、いつの間にか宙を掻くように泳いで、それに気付いた理人が、すぐに後ろから手を絡めてくれる。
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