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4.京介の家
大きなお胸が好きなの?
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「それを私に聞きますか? まぁ正直なところ、私としては付き合ってもいない男女がひとつ屋根の下とか……余り褒められた状況じゃないな、とは思っていますよ? 男と女である以上、どんなに言い訳をしても間違いが起こらないとは言い切れませんからね。それに……何しろ神田さんはカシラ好みの……」
そこで芽生の胸元へちらりと視線を投げ掛けると、千崎は小さく咳払いをした。
「千崎、うちの娘をいやらしい目で見るな」
そんな千崎を即座に牽制すると、京介が二人の間へスッと割り込んできた。
(京ちゃん、私、あなたの娘じゃないよ?)
芽生は京介が告げた言葉の内容に、うるっと視界が水膜の向こう側へ霞むのを感じた。
京介は芽生に背中を向けていて気付いていないだろうが、千崎は気付いていてそこには触れないでいてくれた。
ややして、「本当カシラは神田さんのことになると過保護ですね」と呆れたようにつぶやいて会話の流れを一新してくれる。
(京ちゃん、大きなお胸が好きなのかな?)
千崎の意味深な視線と、京介の防衛からそう思いはしたものの、芽生を〝娘〟と言い切る京介が相手では、いくらそこが彼好みの大きさだとしても意味がないのではないだろうか?
(私、京ちゃんからは、いやらしい目で見られたいな……?)
千崎がいるというのにそんなイケナイことを考えてしまって、芽生は恥ずかしさから思わず視線を足下へ落とした。
「――ま、なんにせよ、ここはカシラのプライベートな家です。カシラが神田さん可愛さで仕事をおろそかにするとか……そういうことがない限り、私もいちいち口を出すつもりはありませんのでご心配なく」
「え……?」
芽生は、千崎の言葉につい反応して……うつむけていた視線を上げて千崎を見つめてしまう。
「あの……千崎さん。京ちゃんが、私のせいでって……?」
「おや、神田さんはお気付きじゃありませんでしたか」
千崎は芽生の言葉に心底驚いたという顔をすると続けた。
「今日もそうでしたが、カシラは神田さんのこととなると色々暴走しがちで私としても手を焼いてるんですよ」
「千崎、うるせぇぞ?」
すぐさま京介がそんな千崎をたしなめるから、芽生は真相を知りたくて大好きな男の顔をじっと見上げた。
(ひょっとして京ちゃん、今日は仕事を放り出して私の元へ駆け付けてくれたの?)
だけどその視線を遮りたいみたいに京介に頭をクシャクシャと掻き回されて、何となく『ああ、やっぱり……』と納得する。
千崎が言うほどは、自分が優遇されているとは自惚れられなかった芽生だったけれど、京介が自分を〝娘のように〟特別扱いして可愛がってくれているのは確かみたいだ。
「私のせいで色々ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」
今日だって、自分がSOSを出さなければ、京介も、もっといえば千崎や石矢だってあんな火事場まで駆り出されたりはしなかったはずなのだ。そう思い至ると、罪悪感を覚えずにはいられなくて……。
芽生がしゅんとしたら、京介がまるで芽生を庇うみたいに話の矛先を変えてくれた。
「千崎、バカなこと言ってねぇでさっさと帰れ。家で子供と嫁さんが待ってるんだろ? 悪ぃーが、例の件については帰宅後電話で聞かせてくれ」
ちらりと芽生に視線を向けられて語られた京介の言葉に、(千崎さんは家庭をもっていらっしゃるんだ)とちょっぴりうらやましくなってしまった芽生である。
京介から気を遣われたことで、自分が京介の仕事の邪魔をしていると余計に痛感させられて、いずれ自分は今みたいに京介とは一緒にいられなくなるのかも知れないと焦りに似た気持ちが込み上げてくる。
それと同時、痛切に(私、京ちゃんに女性として意識されたい! 千崎さんの奥様みたいに大好きな男性のそばにずっと寄り添っていられる関係になりたい!)と希ってしまっていた。
***
そこで芽生の胸元へちらりと視線を投げ掛けると、千崎は小さく咳払いをした。
「千崎、うちの娘をいやらしい目で見るな」
そんな千崎を即座に牽制すると、京介が二人の間へスッと割り込んできた。
(京ちゃん、私、あなたの娘じゃないよ?)
芽生は京介が告げた言葉の内容に、うるっと視界が水膜の向こう側へ霞むのを感じた。
京介は芽生に背中を向けていて気付いていないだろうが、千崎は気付いていてそこには触れないでいてくれた。
ややして、「本当カシラは神田さんのことになると過保護ですね」と呆れたようにつぶやいて会話の流れを一新してくれる。
(京ちゃん、大きなお胸が好きなのかな?)
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千崎がいるというのにそんなイケナイことを考えてしまって、芽生は恥ずかしさから思わず視線を足下へ落とした。
「――ま、なんにせよ、ここはカシラのプライベートな家です。カシラが神田さん可愛さで仕事をおろそかにするとか……そういうことがない限り、私もいちいち口を出すつもりはありませんのでご心配なく」
「え……?」
芽生は、千崎の言葉につい反応して……うつむけていた視線を上げて千崎を見つめてしまう。
「あの……千崎さん。京ちゃんが、私のせいでって……?」
「おや、神田さんはお気付きじゃありませんでしたか」
千崎は芽生の言葉に心底驚いたという顔をすると続けた。
「今日もそうでしたが、カシラは神田さんのこととなると色々暴走しがちで私としても手を焼いてるんですよ」
「千崎、うるせぇぞ?」
すぐさま京介がそんな千崎をたしなめるから、芽生は真相を知りたくて大好きな男の顔をじっと見上げた。
(ひょっとして京ちゃん、今日は仕事を放り出して私の元へ駆け付けてくれたの?)
だけどその視線を遮りたいみたいに京介に頭をクシャクシャと掻き回されて、何となく『ああ、やっぱり……』と納得する。
千崎が言うほどは、自分が優遇されているとは自惚れられなかった芽生だったけれど、京介が自分を〝娘のように〟特別扱いして可愛がってくれているのは確かみたいだ。
「私のせいで色々ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」
今日だって、自分がSOSを出さなければ、京介も、もっといえば千崎や石矢だってあんな火事場まで駆り出されたりはしなかったはずなのだ。そう思い至ると、罪悪感を覚えずにはいられなくて……。
芽生がしゅんとしたら、京介がまるで芽生を庇うみたいに話の矛先を変えてくれた。
「千崎、バカなこと言ってねぇでさっさと帰れ。家で子供と嫁さんが待ってるんだろ? 悪ぃーが、例の件については帰宅後電話で聞かせてくれ」
ちらりと芽生に視線を向けられて語られた京介の言葉に、(千崎さんは家庭をもっていらっしゃるんだ)とちょっぴりうらやましくなってしまった芽生である。
京介から気を遣われたことで、自分が京介の仕事の邪魔をしていると余計に痛感させられて、いずれ自分は今みたいに京介とは一緒にいられなくなるのかも知れないと焦りに似た気持ちが込み上げてくる。
それと同時、痛切に(私、京ちゃんに女性として意識されたい! 千崎さんの奥様みたいに大好きな男性のそばにずっと寄り添っていられる関係になりたい!)と希ってしまっていた。
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