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01.春川萌々/written by 鷹槻れん
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だからって、離乳食が始まったばかりの息子をうまく扱えるほどの能力がないのもまたうちのお父さんなわけで。
つくづくダメな父親で溜め息が出たけれど、その反面、私、また居場所が出来たって嬉しくも感じていたの。
第2次性徴期に差し掛かった頃の多感な時期。
周りがお洒落や恋愛に時間を割いている時、私は弟の離乳食やオムツ交換、果ては料理洗濯といった家事全般と学生の本分である勉強に追われて過ごしたの。
身体が小さかったこともあって、胸の発育や初潮などはかなり遅めで……中学生になってみんなにそういう兆しが出ているって知って焦ったのを覚えている。
まぁ、胸の方は今でも……まだ成長途中なんじゃない?って期待しちゃってるけど……。
ないわけではないけれど……両手にすっぽりおさまってしまう私の胸の大きさって、本当微妙なんだもの!
***
“冷蔵庫の中にお昼ご飯、入れてあります。チンして食べてね。”
三交替勤務の父親は今日は夕勤で、要するに今はまだベッドの中。
キッチンの連絡ボードにそう走り書きをして、ボーダーTシャツと膝上丈のタイトスカートの組合せの上に、白いスプリングコートを羽織る。
玄関先に置いていたお弁当入りのリュックを背負って玄関扉に手を掛けた。
「行ってきます」
返事は返らないって分かっていても、毎朝の習慣は抜けないもので。
しんと静まり返った家の中に向かって小さくお出かけの挨拶をすると、私は外へ踏み出した。
***
春。
待望の大学生活は始まったばかり。まだ慣れないことだらけだけど、それでも友達も出来て少しずつ新生活にも慣れてきた。
その気の緩みがまずかったのかな。
「ヤバイっ。電車乗り遅れちゃう!」
今朝は少し出るのが遅くなってしまった。
いつもならのんびりテクテク歩く道のりを、小走りに急いでいたら、曲がり角で出会い頭、長身の男の人とぶつかりそうになってしまった。
「ひゃっ!」
変な声を出して急ブレーキをかけた私に、
「……ったく、朝から元気なうり坊だな」
190センチはあろうかという長身銀髪の男性から、意地悪な声が掛かる。
「りゅ、隆ちゃん……!」
つくづくダメな父親で溜め息が出たけれど、その反面、私、また居場所が出来たって嬉しくも感じていたの。
第2次性徴期に差し掛かった頃の多感な時期。
周りがお洒落や恋愛に時間を割いている時、私は弟の離乳食やオムツ交換、果ては料理洗濯といった家事全般と学生の本分である勉強に追われて過ごしたの。
身体が小さかったこともあって、胸の発育や初潮などはかなり遅めで……中学生になってみんなにそういう兆しが出ているって知って焦ったのを覚えている。
まぁ、胸の方は今でも……まだ成長途中なんじゃない?って期待しちゃってるけど……。
ないわけではないけれど……両手にすっぽりおさまってしまう私の胸の大きさって、本当微妙なんだもの!
***
“冷蔵庫の中にお昼ご飯、入れてあります。チンして食べてね。”
三交替勤務の父親は今日は夕勤で、要するに今はまだベッドの中。
キッチンの連絡ボードにそう走り書きをして、ボーダーTシャツと膝上丈のタイトスカートの組合せの上に、白いスプリングコートを羽織る。
玄関先に置いていたお弁当入りのリュックを背負って玄関扉に手を掛けた。
「行ってきます」
返事は返らないって分かっていても、毎朝の習慣は抜けないもので。
しんと静まり返った家の中に向かって小さくお出かけの挨拶をすると、私は外へ踏み出した。
***
春。
待望の大学生活は始まったばかり。まだ慣れないことだらけだけど、それでも友達も出来て少しずつ新生活にも慣れてきた。
その気の緩みがまずかったのかな。
「ヤバイっ。電車乗り遅れちゃう!」
今朝は少し出るのが遅くなってしまった。
いつもならのんびりテクテク歩く道のりを、小走りに急いでいたら、曲がり角で出会い頭、長身の男の人とぶつかりそうになってしまった。
「ひゃっ!」
変な声を出して急ブレーキをかけた私に、
「……ったく、朝から元気なうり坊だな」
190センチはあろうかという長身銀髪の男性から、意地悪な声が掛かる。
「りゅ、隆ちゃん……!」
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