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20.起きないと襲いますよ?
羊を数える夜
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それは分かっているんだ。分かってはいるんだけどね。
僕はそれでも春凪の方から僕のことを好きだと言ってくれたらって甘えてしまう情けない男なんだよ。
僕の方が先に春凪のことを好きになっただなんてバレるのはどう考えてもカッコ悪いし、そのために手段を選ばなかったと知られるのは絶対に避けたいじゃないですか。
ねぇ、春凪。お願いだから、一刻も早く僕のことを好きになって?
とはいえ、「政略結婚」という枠をなかなか外してくれない春凪が手強いのは紛れもない事実。
現状では、春凪の意識がある時に、こんな風に彼女を近くに感じることはまだまだ当分無理だと思う――。
だからね、今夜ぐらいは。
弱みを握っているということを振りかざさずに、僕はキミにただただ寄り添いたいんだ――。
***
腕の中の春凪が「んっ」小さく吐息を落として身じろいで、僕は幼い時分の妹をあやしていた要領で、ぽんぽんと背中を優しく叩いて彼女を眠りの縁に再度誘った。
と、規則正しく寝息をたて始めた春凪が、抱き枕でも求めるみたいに僕にギュッとしがみ付いてきて。
その動きに呼応するように春凪の髪からふわりとフローラル系の優しい香りが立ち昇る。
あー、まずい。これは結構くるな、と思ったと同時、強く押し当てられた身体から、春凪のふくよかな胸の柔らかさと仄かな温もりが伝わって、僕の理性は危うく崩壊寸前になる。
好きな子が腕の中にいるのに手を出せないと言うのはかなり堪えるな、と思いながら。
頭の中、邪念を追い払うみたいに羊を懸命に数えたのまでは覚えている。
僕はそれでも春凪の方から僕のことを好きだと言ってくれたらって甘えてしまう情けない男なんだよ。
僕の方が先に春凪のことを好きになっただなんてバレるのはどう考えてもカッコ悪いし、そのために手段を選ばなかったと知られるのは絶対に避けたいじゃないですか。
ねぇ、春凪。お願いだから、一刻も早く僕のことを好きになって?
とはいえ、「政略結婚」という枠をなかなか外してくれない春凪が手強いのは紛れもない事実。
現状では、春凪の意識がある時に、こんな風に彼女を近くに感じることはまだまだ当分無理だと思う――。
だからね、今夜ぐらいは。
弱みを握っているということを振りかざさずに、僕はキミにただただ寄り添いたいんだ――。
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腕の中の春凪が「んっ」小さく吐息を落として身じろいで、僕は幼い時分の妹をあやしていた要領で、ぽんぽんと背中を優しく叩いて彼女を眠りの縁に再度誘った。
と、規則正しく寝息をたて始めた春凪が、抱き枕でも求めるみたいに僕にギュッとしがみ付いてきて。
その動きに呼応するように春凪の髪からふわりとフローラル系の優しい香りが立ち昇る。
あー、まずい。これは結構くるな、と思ったと同時、強く押し当てられた身体から、春凪のふくよかな胸の柔らかさと仄かな温もりが伝わって、僕の理性は危うく崩壊寸前になる。
好きな子が腕の中にいるのに手を出せないと言うのはかなり堪えるな、と思いながら。
頭の中、邪念を追い払うみたいに羊を懸命に数えたのまでは覚えている。
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