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30.夫婦茶碗的な

有給休暇の勧め

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 一度一線を越えてしまうと、なし崩し的にそういうことになりやすくなるのでしょうか。

 結局私はあのままよく分からないうちに宗親むねちかさんとまたしても肌を重ねてしまって……。


 飽きることなく一晩に何度も求められて、「明日もお仕事だって言ってらしたのにっ!」と思いながらも、私はついつい宗親むねちかさんの手腕に溺れて求められるままに彼の行為を受け入れてしまった……。

 ――ひょっとして……宗親むねちかさんは精力絶倫……?

 とか思いながらも、それが嫌じゃない――ばかりかむしろ嬉しいって思っちゃったとか……。冷静になると恥ずかしすぎるよ、私!


 それに。
 あんなに身体を――と言うより胸を見られるのが嫌だったはずなのに、今回は全然気にならなかった。

 もしかしたらそんなゆとりがなかっただけかもしれないけれど、そもそも宗親むねちかさんとの行為はそういう不安を全部吹き飛ばしてしまうんだもの。

 こんなの……ますます宗親むねちかさんから離れられなくなるじゃん。

 宗親むねちかさんに飽きられてしまったらって思うと、すごく怖い。

 困るよ――。



***


 一時間眠れたか眠れないかの朝なのに、シャワーを浴びた宗親むねちかさんはいつも通りクールなイケメンで。

 対して私は身体中がしんどくて、お風呂場にも一人では行けなくて宗親むねちかさんに抱き抱えられて脱衣所まで連れて行かれてしまった。


 さすがにやり過ぎてしまったと反省なさったのかな。

 そんな私に、宗親むねちかさんが「春凪はな。今日はお休みしていいよ?」と言ってくれて。
「僕が有給休暇を申請しておくから印鑑貸してくれる?」
 とまで提案されてしまった。

 明け方までエッチしてしんどいので今日はお休みします、って社会人として許されるのでしょうか?

 もちろん有給休暇には取得理由なんて書かなくていいから別に堂々としていて構わないのだけれど、何だか後ろめたいことは確かで。

「……あの、私、お休みしても、宗親むねちかさん、困りませんか?」

 休ませてもらえるのは嬉しいけれど、私がサポートしなくても宗親むねちかさんは大丈夫なのかな。

 思わずそんな自惚うぬぼれたことを問いかけてしまったのは、私がいなくても平気だって思われるのは何だか寂しかったから。
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