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5.尋問の夜*

まだ、なんですか?

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「……本当に意地悪なのは、僕をこんな風にしてしまう日織ひおりさんの方でしょう?」

 言いながら、再度日織の手を目の前の鏡にひとまとめにして縫い留めると、ブラのホックを片手で外す。

 日織とこういう行為に及べるようになるまで、修太郎は女性の身体に触れたことがなかった。

 それを思うと、片手で難なく女性用下着の留め具が外せるようになる程、自分が女性の扱いにこなれてくるなんて思いもしなかった修太郎だ。

 それだけ目の前のこの美しい肢体からだを、己の思うさまにむさぼってきたということなんだと、頭の片隅でふと思う。

「ど、うして……私が、意地悪……な、んですか?」

 鏡越し、涙目の日織ひおりが途切れ途切れに絞り出すような声音で問いかけて来る。

 鏡には日織の、決して大きくはないけれど形の良い胸が、所在なく掛かったブラの布越しに映し出されていて、修太郎しゅうたろうは一瞬我を忘れて彼女の身体に見入った。

 日織の髪や瞳同様色素の薄い彼女の乳房は、愛らしい色付きも淡いピンクに近いことを修太郎は嫌と言うほど知っている。

 ほんの少し刺激を与えただけで、肌全体がほんのりとあけに染まって、もともと薄い先端との色の境目が曖昧になってしまうことも。
 そのくせピン……と愛らしくち上がった小さな果実が、「食べて?」と言わんばかりに存在を主張してくることも。

 それを思い出した修太郎は、当然の権利のようにその膨らみに手を伸ばすと、ふんわりと柔らかな感触を味わうように、日織の胸をゆるゆると手のひら全体で下から包み込んで揉みしだく。

「や、しゅうた、ろぉさっ……、私、まだっ」

「まだ、……何ですか?」

 まだ納得しておられない?

 まだ先程の質問への答えをもらっていない?

 その先に続いたであろういくつかの候補が脳裏に浮かんだけれど、どれも手を止めてまで聞かねばならないことのようには思えなかった。


「僕はね、。まだお若い貴女が、いつ同年代の男に心変わりしてしまうんじゃないかと気が気じゃないんです」

 言って、1番敏感な先端を避けるように、胸を包み込んだまま淡い乳輪のきわを人差し指の腹で円を描くようにゆっくりとなぞる。

 最初のうちこそ肩に紐を残したままの下着ブラが邪魔に思えたけれど、鏡越し、日織ひおりが動くたび時折チラリと胸の全貌が見えるのがやけになまめかしくて、視覚的には逆にそそられることに気が付いた。 
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