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お世話します
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俺は彼女のクラスの副担任を務めながら、それと兼任して生徒会の顧問も担当していた。
だからこそ、鏡とはそれなりに接点があったわけだが、もちろん別に生徒と教師の関係を逸脱するようなものではなく、健全な関係を築いていた。
だから、俺の家なんて知るはずがなかった。
「...何で俺の家を」
「他の先生に聞きました。快く教えてくれましたよ」
そう言って靴を脱いで部屋の中に入っていく。
「うわっ...ひどい匂いですね。カップ麺もそのままだし...生徒の面倒は見れるのに、自分の面倒は見れないんですか?」
「...悪い」
「そんなに本気で凹まないでくださいよ。冗談ですよ」
そのまま、テキパキと手際よく俺の部屋をどんどん片付けて行く。
黙って突っ立っていても仕方ないので、俺も一緒に片付けをした。
そうして、ある程度元の姿に戻った部屋で、ソファに座る鏡。
学校のこともあるだろうにわざわざ家に来てくれるなんて、優しい生徒を持ったもんだ。
「...悪い。手伝ってもらって。生徒会の方は大丈夫か?」
「はい。今の期間は特に忙しくもないので」
「そっか…。来週からはちゃんと行くから」と、硬くなった表情筋を動かして、ぎこちなく笑みを浮かべる。
「...別に無理して来なくても大丈夫ですよ。クラスのことは担任の高橋先生がいますし。ここで無理して倒れちゃうほうが後々困りますから。まぁ、そうなったら私が通い妻しますけど」
「いや...そこまでしてもらうわけには...。というか、通い妻って...」
「私、来年には18ですし、卒業したら結婚もできるんですよ」と、上目遣いでそんなことを言ってくる。
さっきからすごいグイグイ来るな。
まぁ、この感じだと事情を聞いた上で、慰めようとしてくれているのだろうと思った。
「...ありがとうな」というと、少し怪訝そうな顔をする。
「先生、何か勘違いしてませんか?」
「勘違い?何が?」
「...やっぱり、何にも分かってないんですね。私がいくら面倒見が良いとは言っても、流石になんとも思っていない先生の家に押しかけたりするわけないじゃないですか」
すると、どんどん俺に顔を近づける。
「今回の件を聞いた時すごく心が痛かったです。先生の気持ちを考えると...それは耐え難いくらいの苦しみだったと思います。奥さんの話をするときの先生はすごく幸せそうでしたし。けど、それと同時に私はこの話を聞いた時、少しだけ嬉しかったんです。だって、好きな人が別れたってことですから」
「...え?今なんて...」
「鈍感ですか?それとも難聴ですか?では、もう一度言いますね。私は先生のことが好きなんです。だから、今日もここに来たんです。別に今すぐに付き合えとかは言うつもりはありません。卒業まではちゃんと待つつもりですから。けど...もしその間に先生の性欲が爆発しそうな時があればいつでも言ってください。私が奥さんの代わりになって抱かれてあげますから」
至極真面目な顔で、鏡はそう言った。
おいおい...まじかよ。
まさか鏡にそんなふうに思われていたなんて...思いもしなかった。
だが、どこまで行っても俺と鏡は生徒と教師。それ以上の関係なんて考えられない。
いや、そもそも俺はもう結婚とか付き合うとか当分考えられそうにないのだ。
「ありがとう...。その気持ちは嬉しいよ。けど、俺たちはあくまで生徒と教師の関係であって…。生徒とそんなことはできない。卒業後だとしても、もう結婚とか考えられる気がしないっていうか…」
「分かってます。弱っている先生に漬け込もうなんて...いえ、本当は付け込もうと思っていました。けど、ダメと言われるのもわかっていたので大丈夫です。だけど、私は諦めるつもりはないですから。知ってますよね?先生も。私の諦めの悪さを」
彼女は嬉しそうにそう言ったのだ。
それから、俺のためにご飯を作ってくれたり、お風呂を沸かしてくれたり、洗濯物をやってくれたりと、まさに彼女のように色々やってくれた。
体の関係云々がなくても、このことがバレただけでも俺クビになりそうだな…とか考えていた。
すると、「誰にも言わないですから。安心してください。あーでも、他のサイトに手を出そうとしたらそのときは嫉妬でバラしちゃうかもしれませんね」と言われる。
「そんなことにはならないよ」と返す。
「ふーん?だとしたらいいですけど。結構多いですよ。先生に好意を寄せてる人」
「いやいや…ないでしょ」と、笑いながら否定すると、少しムッとした表情をするのであった。
それから、2人でご飯を食べて、お皿を洗い、2人でテレビを見ていた。
「…あの…いつ帰るの?」
「なんですか?帰って欲しいんですか?全く…。先生はやった後すぐに彼女を返すタイプの人なんですか?」
「いや、そうじゃなくて…あんまり遅くなったら危ないだろ」
「ふふふ、その時は先生が助けてくださいね」とかそんなことを言ってくる。
「はいはい。家までは送って行くよ」
「いえ、冗談です。流石に他の生徒に見られたらまずいですから」と、荷物をまとめる。
「…本当にありがとな」
「いえいえ。私で良ければいつでも呼んでください。都合のいい女なので呼ばれたらいつでも行きますよ」と、悪い笑みを浮かべて帰って行くのだった。
◇翌日
鏡が来た翌日のこと。
そろそろ外に出ないとダメだなと思い、夕方ごろにスーパーで買い物をしていると、見覚えのある姿が目に入る。
「…あれ?紅音じゃないか」と声をかけると、こちらを見て顔を真っ赤にするバレーボール部の部長であり高身長で口下手で恥ずかしがり屋な生徒、紅音《あかね》 圭《けい》だった。
だからこそ、鏡とはそれなりに接点があったわけだが、もちろん別に生徒と教師の関係を逸脱するようなものではなく、健全な関係を築いていた。
だから、俺の家なんて知るはずがなかった。
「...何で俺の家を」
「他の先生に聞きました。快く教えてくれましたよ」
そう言って靴を脱いで部屋の中に入っていく。
「うわっ...ひどい匂いですね。カップ麺もそのままだし...生徒の面倒は見れるのに、自分の面倒は見れないんですか?」
「...悪い」
「そんなに本気で凹まないでくださいよ。冗談ですよ」
そのまま、テキパキと手際よく俺の部屋をどんどん片付けて行く。
黙って突っ立っていても仕方ないので、俺も一緒に片付けをした。
そうして、ある程度元の姿に戻った部屋で、ソファに座る鏡。
学校のこともあるだろうにわざわざ家に来てくれるなんて、優しい生徒を持ったもんだ。
「...悪い。手伝ってもらって。生徒会の方は大丈夫か?」
「はい。今の期間は特に忙しくもないので」
「そっか…。来週からはちゃんと行くから」と、硬くなった表情筋を動かして、ぎこちなく笑みを浮かべる。
「...別に無理して来なくても大丈夫ですよ。クラスのことは担任の高橋先生がいますし。ここで無理して倒れちゃうほうが後々困りますから。まぁ、そうなったら私が通い妻しますけど」
「いや...そこまでしてもらうわけには...。というか、通い妻って...」
「私、来年には18ですし、卒業したら結婚もできるんですよ」と、上目遣いでそんなことを言ってくる。
さっきからすごいグイグイ来るな。
まぁ、この感じだと事情を聞いた上で、慰めようとしてくれているのだろうと思った。
「...ありがとうな」というと、少し怪訝そうな顔をする。
「先生、何か勘違いしてませんか?」
「勘違い?何が?」
「...やっぱり、何にも分かってないんですね。私がいくら面倒見が良いとは言っても、流石になんとも思っていない先生の家に押しかけたりするわけないじゃないですか」
すると、どんどん俺に顔を近づける。
「今回の件を聞いた時すごく心が痛かったです。先生の気持ちを考えると...それは耐え難いくらいの苦しみだったと思います。奥さんの話をするときの先生はすごく幸せそうでしたし。けど、それと同時に私はこの話を聞いた時、少しだけ嬉しかったんです。だって、好きな人が別れたってことですから」
「...え?今なんて...」
「鈍感ですか?それとも難聴ですか?では、もう一度言いますね。私は先生のことが好きなんです。だから、今日もここに来たんです。別に今すぐに付き合えとかは言うつもりはありません。卒業まではちゃんと待つつもりですから。けど...もしその間に先生の性欲が爆発しそうな時があればいつでも言ってください。私が奥さんの代わりになって抱かれてあげますから」
至極真面目な顔で、鏡はそう言った。
おいおい...まじかよ。
まさか鏡にそんなふうに思われていたなんて...思いもしなかった。
だが、どこまで行っても俺と鏡は生徒と教師。それ以上の関係なんて考えられない。
いや、そもそも俺はもう結婚とか付き合うとか当分考えられそうにないのだ。
「ありがとう...。その気持ちは嬉しいよ。けど、俺たちはあくまで生徒と教師の関係であって…。生徒とそんなことはできない。卒業後だとしても、もう結婚とか考えられる気がしないっていうか…」
「分かってます。弱っている先生に漬け込もうなんて...いえ、本当は付け込もうと思っていました。けど、ダメと言われるのもわかっていたので大丈夫です。だけど、私は諦めるつもりはないですから。知ってますよね?先生も。私の諦めの悪さを」
彼女は嬉しそうにそう言ったのだ。
それから、俺のためにご飯を作ってくれたり、お風呂を沸かしてくれたり、洗濯物をやってくれたりと、まさに彼女のように色々やってくれた。
体の関係云々がなくても、このことがバレただけでも俺クビになりそうだな…とか考えていた。
すると、「誰にも言わないですから。安心してください。あーでも、他のサイトに手を出そうとしたらそのときは嫉妬でバラしちゃうかもしれませんね」と言われる。
「そんなことにはならないよ」と返す。
「ふーん?だとしたらいいですけど。結構多いですよ。先生に好意を寄せてる人」
「いやいや…ないでしょ」と、笑いながら否定すると、少しムッとした表情をするのであった。
それから、2人でご飯を食べて、お皿を洗い、2人でテレビを見ていた。
「…あの…いつ帰るの?」
「なんですか?帰って欲しいんですか?全く…。先生はやった後すぐに彼女を返すタイプの人なんですか?」
「いや、そうじゃなくて…あんまり遅くなったら危ないだろ」
「ふふふ、その時は先生が助けてくださいね」とかそんなことを言ってくる。
「はいはい。家までは送って行くよ」
「いえ、冗談です。流石に他の生徒に見られたらまずいですから」と、荷物をまとめる。
「…本当にありがとな」
「いえいえ。私で良ければいつでも呼んでください。都合のいい女なので呼ばれたらいつでも行きますよ」と、悪い笑みを浮かべて帰って行くのだった。
◇翌日
鏡が来た翌日のこと。
そろそろ外に出ないとダメだなと思い、夕方ごろにスーパーで買い物をしていると、見覚えのある姿が目に入る。
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