32 / 144
出会い編
暗雲4
しおりを挟む
食堂で漏れ聞こえる会話の内容にオレは凍り付いた。
闇の魔法使い達に間違いない。
また動き始めたのだ。
王都にはまだ手が伸びていないように思えるけど、襲われないという保証はない。
七年前襲撃された家は平民派もしくは中立派の魔法使いばかりで、貴族派は一人もいない。
そして、連続襲撃事件の後、その家々がどうなったか。
取り潰されたもの、貴族派に寝返ったもの、傀儡を当主に存続しているものとさまざまではあるものの、王宮内の貴族派が優位に立つように情勢が動いたのは紛れもない事実。
魔法使いはあらゆるところで重用されているから、その権益は膨大なものとなるはずだ。
そして、今まさにハイネケン伯爵家は、ジョシュを傀儡にして貴族派筆頭のジェラルド=ターンホイザーが実権を握っている。
傀儡であるうちは、ジョシュに危害が及ぶとは考えられないけれど、ジョシュももう幼子とは言えない年齢、脅威を感じて、ジェラルドの気が変わったとしてもおかしくはない。
「オ、オレ、帰る」
一刻も早くジョシュのところに戻らなければ。
「途中で悪いけど、ここで辞めさせてもらう。金はいらない」
乗合馬車があればいいけれど。
食堂を出ようとした時、アルに腕を掴まれた。
「これから馬車を探して向かうより、一緒に乗って戻った方が早い。遠慮はいらぬ」
オレは迷ったが、ジョシュが心配だったので頷き、皆で馬車へと急いだ。
「あ、そうだ。ローリー、今日から新しい御者になる」
ディーンが思い出したように、御者が交代したことを告げてくる。
「え? なんで?」
オレは何も聞いてないぞ。
今、こんな王都から遠く離れた場所で交代なんておかしくないか?
「急用かなんかが出来たらしいよ。済まないって謝っていたよ。でも代わりの御者がいるんだから、別に構わないだろ?」
畳みかけるようにディーンに言われ、納得は出来なかったけど、何も言わずに馬車に乗り込んだ。
それからは、馬も可能ならば換え、とにかく先を急いだ。
その間にも、新たな襲撃事件の報が舞い込んできて、オレは逸る気持ちを抑えるのに全力を注がなければならなかった。
「ローリー、困ったことがあるなら、我らに話してみる気はないか? ローリーの手助けをしたいのだ。どうだろう?」
アルからそんな申し出を受けた。
これからの対応策を考えることに集中していて、二人の同乗者の存在を全く忘れていた。
そうだ、どうしよう。
二人をこのままハイネケン家に連れて行くわけにはいかないだろう。
でも、シュヴァイツ侯爵のことがある。
正体を明かすべきだろうか。そして、助力を乞うべき?
どうするべきかと迷っているうちに、黙っているオレに痺れを切らしたアルがとんでもないことを言った。
「七年前の襲撃事件に関係しているのだろう? 両親のこともローリーにかかっている魔法のことも。また襲われる可能性があるのか? ローリーの家は平民派なんだろう?」
どうしてイシュラムから来た二人が、レノルドの、しかも七年も前に起きた襲撃事件の事を知っているのか。
しかも内情まで。
イシュラムは遠く、レノルドにはかの国の情報などこれっぽっちも入ってこないというのに。
それゆえ、自分は大森林地帯に出向いていたのだ。
そこで、ふとオレはもしかして大きな間違いをしているのではないかと気付いた。
二人がもしイシュラムの人間でないとしたら?
話を聞いて、オレの歓心を得るためのただのでまかせだったのかも知れない。
その思惑は的中し、確かにオレはイシュラムと聞いただけで、すっかり有頂天になって信用してしまった。
本当はこの国の人間で、正体も知った上で密命を受け、最初からわたしに近付いたとしたら?
アルは何しろ得体の知れない超能力の持ち主、幻影魔法など無意味なのかも知れない。
ゾッとした。
二人はしきりにオレの事情を知りたがっていた。
オレは何を話してしまった?
今までにも、怪しいと思ったことはあったのだ。
あのリストだって!
オレ達が訪れた後に、サンドール男爵家もコッペン子爵家も襲われた。
偶然だろうか? まさか、下見だったということか?
コッペン子爵家が襲われた夜に、二人は出掛けて部屋にいなかった。
思い起こせば、襲撃事件の報を聞いても、二人ともそれほど驚いていなかったようにも思う。
一緒に戻るというのも、王宮付きの魔法使いが来ると聞いて、急いでこの場を離れる必要があったからなのではないか。
ああ、なるほど分かったぞ。新しい御者は彼らの仲間なのだ。
なるほど、考えてみると全てつじつまが合う。
親切にしてくれたのも、馬鹿な振りも、オレを好きだと言ったのも、全てオレを油断させ欺くためだったのだ。
悔しい。悔しくて、悔しくて唇を強く噛んで、涙が滲むのを堪えた。
二度と騙されるものかと、あれほど頑張ってきたはずなのに。
「ああ、すまぬ、ローリー。我はただローリーが心配なだけだ。問い詰めるつもりなどなかったのだ」
アルのオレを気遣う言葉を白々しい茶番だと思いながら、アルを眺めた。
このままにしておくわけにはいかない。
ああ、目的が何なのか、聞き出すにはちょうど良いかも。
「分かった。アルがそこまで言うなら、話してもいい。王都に着いたら話すよ」
アルはオレの言葉を聞いて、え?っと驚いた顔をした。
そして、オレの言った言葉が飲み込めると、破顔してオレを抱きしめる。
「ありがとう。悪いようにはしない。ローリーを助けたいだけなんだ」
王都に入る手前で日が暮れ、御者が宿屋に行こうとするので、オレはそのまま王都に向かって欲しいと頼んだ。
「ローリー、先を急ぐ気持ちは分かるが、ここからでは遠すぎる。夜半に馬車を走らせるのは止めた方がよい」
諭すようにアルが声をかけてくる。
ハイネケン家は王都でも東側に位置する。
確かにここからでは遠すぎて、急がせたとしても夜半になるだろう。
やはり、アルは知っているのだと思った。
「頼むよ。危なくないように、道は魔法で照らすし、オレも御者席に座って先導するから。お願いだ」
オレは懇願し、渋々頷いた二人をハイネケン家ではなく、王都のはずれにあるあばら家に連れて行った。
ここで決着をつける!
胸の奥が軋んだような気がしたけれど、オレは気付かない振りをした。
闇の魔法使い達に間違いない。
また動き始めたのだ。
王都にはまだ手が伸びていないように思えるけど、襲われないという保証はない。
七年前襲撃された家は平民派もしくは中立派の魔法使いばかりで、貴族派は一人もいない。
そして、連続襲撃事件の後、その家々がどうなったか。
取り潰されたもの、貴族派に寝返ったもの、傀儡を当主に存続しているものとさまざまではあるものの、王宮内の貴族派が優位に立つように情勢が動いたのは紛れもない事実。
魔法使いはあらゆるところで重用されているから、その権益は膨大なものとなるはずだ。
そして、今まさにハイネケン伯爵家は、ジョシュを傀儡にして貴族派筆頭のジェラルド=ターンホイザーが実権を握っている。
傀儡であるうちは、ジョシュに危害が及ぶとは考えられないけれど、ジョシュももう幼子とは言えない年齢、脅威を感じて、ジェラルドの気が変わったとしてもおかしくはない。
「オ、オレ、帰る」
一刻も早くジョシュのところに戻らなければ。
「途中で悪いけど、ここで辞めさせてもらう。金はいらない」
乗合馬車があればいいけれど。
食堂を出ようとした時、アルに腕を掴まれた。
「これから馬車を探して向かうより、一緒に乗って戻った方が早い。遠慮はいらぬ」
オレは迷ったが、ジョシュが心配だったので頷き、皆で馬車へと急いだ。
「あ、そうだ。ローリー、今日から新しい御者になる」
ディーンが思い出したように、御者が交代したことを告げてくる。
「え? なんで?」
オレは何も聞いてないぞ。
今、こんな王都から遠く離れた場所で交代なんておかしくないか?
「急用かなんかが出来たらしいよ。済まないって謝っていたよ。でも代わりの御者がいるんだから、別に構わないだろ?」
畳みかけるようにディーンに言われ、納得は出来なかったけど、何も言わずに馬車に乗り込んだ。
それからは、馬も可能ならば換え、とにかく先を急いだ。
その間にも、新たな襲撃事件の報が舞い込んできて、オレは逸る気持ちを抑えるのに全力を注がなければならなかった。
「ローリー、困ったことがあるなら、我らに話してみる気はないか? ローリーの手助けをしたいのだ。どうだろう?」
アルからそんな申し出を受けた。
これからの対応策を考えることに集中していて、二人の同乗者の存在を全く忘れていた。
そうだ、どうしよう。
二人をこのままハイネケン家に連れて行くわけにはいかないだろう。
でも、シュヴァイツ侯爵のことがある。
正体を明かすべきだろうか。そして、助力を乞うべき?
どうするべきかと迷っているうちに、黙っているオレに痺れを切らしたアルがとんでもないことを言った。
「七年前の襲撃事件に関係しているのだろう? 両親のこともローリーにかかっている魔法のことも。また襲われる可能性があるのか? ローリーの家は平民派なんだろう?」
どうしてイシュラムから来た二人が、レノルドの、しかも七年も前に起きた襲撃事件の事を知っているのか。
しかも内情まで。
イシュラムは遠く、レノルドにはかの国の情報などこれっぽっちも入ってこないというのに。
それゆえ、自分は大森林地帯に出向いていたのだ。
そこで、ふとオレはもしかして大きな間違いをしているのではないかと気付いた。
二人がもしイシュラムの人間でないとしたら?
話を聞いて、オレの歓心を得るためのただのでまかせだったのかも知れない。
その思惑は的中し、確かにオレはイシュラムと聞いただけで、すっかり有頂天になって信用してしまった。
本当はこの国の人間で、正体も知った上で密命を受け、最初からわたしに近付いたとしたら?
アルは何しろ得体の知れない超能力の持ち主、幻影魔法など無意味なのかも知れない。
ゾッとした。
二人はしきりにオレの事情を知りたがっていた。
オレは何を話してしまった?
今までにも、怪しいと思ったことはあったのだ。
あのリストだって!
オレ達が訪れた後に、サンドール男爵家もコッペン子爵家も襲われた。
偶然だろうか? まさか、下見だったということか?
コッペン子爵家が襲われた夜に、二人は出掛けて部屋にいなかった。
思い起こせば、襲撃事件の報を聞いても、二人ともそれほど驚いていなかったようにも思う。
一緒に戻るというのも、王宮付きの魔法使いが来ると聞いて、急いでこの場を離れる必要があったからなのではないか。
ああ、なるほど分かったぞ。新しい御者は彼らの仲間なのだ。
なるほど、考えてみると全てつじつまが合う。
親切にしてくれたのも、馬鹿な振りも、オレを好きだと言ったのも、全てオレを油断させ欺くためだったのだ。
悔しい。悔しくて、悔しくて唇を強く噛んで、涙が滲むのを堪えた。
二度と騙されるものかと、あれほど頑張ってきたはずなのに。
「ああ、すまぬ、ローリー。我はただローリーが心配なだけだ。問い詰めるつもりなどなかったのだ」
アルのオレを気遣う言葉を白々しい茶番だと思いながら、アルを眺めた。
このままにしておくわけにはいかない。
ああ、目的が何なのか、聞き出すにはちょうど良いかも。
「分かった。アルがそこまで言うなら、話してもいい。王都に着いたら話すよ」
アルはオレの言葉を聞いて、え?っと驚いた顔をした。
そして、オレの言った言葉が飲み込めると、破顔してオレを抱きしめる。
「ありがとう。悪いようにはしない。ローリーを助けたいだけなんだ」
王都に入る手前で日が暮れ、御者が宿屋に行こうとするので、オレはそのまま王都に向かって欲しいと頼んだ。
「ローリー、先を急ぐ気持ちは分かるが、ここからでは遠すぎる。夜半に馬車を走らせるのは止めた方がよい」
諭すようにアルが声をかけてくる。
ハイネケン家は王都でも東側に位置する。
確かにここからでは遠すぎて、急がせたとしても夜半になるだろう。
やはり、アルは知っているのだと思った。
「頼むよ。危なくないように、道は魔法で照らすし、オレも御者席に座って先導するから。お願いだ」
オレは懇願し、渋々頷いた二人をハイネケン家ではなく、王都のはずれにあるあばら家に連れて行った。
ここで決着をつける!
胸の奥が軋んだような気がしたけれど、オレは気付かない振りをした。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています
紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、
ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。
「もう君は、僕の管理下だよ」
退院と同時に退職手続きは完了。
住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。
外出制限、健康管理、過保護な独占欲。
甘くて危険な“保護生活”の中で、
私は少しずつ彼に心を奪われていく――。
元社畜OL×執着気味の溺愛社長
囲い込み同棲ラブストーリー。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
拾った年上侯爵が甘え上手すぎて、よしよししてたら婚約することになりました
星乃和花
恋愛
⭐︎火木土21:00更新ー本編8話・後日談8話⭐︎
王都の市場で花屋をしているリナは、ある朝――
路地裏で倒れている“美形の年上男性”を拾ってしまう。
熱で弱っているだけ……のはずが、彼はなぜか距離が近い。
「行かないで」「撫でて」「君がいると回復する」
甘えが上手すぎるうえに、褒め方までずるい。
よしよし看病してあげていたら、いつの間にか毎日市場に現れるようになり、
気づけば花屋は貴族の面会所(?)になっていて――
しかも彼の正体は、王都を支える侯爵家の当主だった!?
「君は国のために必要だ(※僕が倒れるから)」
年上当主の“甘え策略”に、花屋の心臓は今日ももたない。
ほのぼの王都日常コメディ×甘やかし捕獲ラブ、開幕です。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる