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裏事情7(2)
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マンションはとても重宝して使っていると乙女から礼を言われる。
近頃乙女は俺に随分懐いて、タワーマンションには車で一緒に帰ったり、泊った時には共に朝食をとったりするようになった。
また一緒に過ごす時間が長くなると、乙女はプライベートな事柄に関しても、少しずつ俺に話してくれるようになった。
俺にとってはとうに知ってる事実だったけれど、本人から打ち明けられる秘密は信頼の証のようで。
俺は、嬉しくて浮かれていた。
「おい、お前、最近東京に愛人を囲っているそうじゃないか。遊ぶなとは言わん。だがな、お前はまだ結婚して間もないのだぞ? 正妻の立場も考えてやれ。浮気は子の一人くらい正妻に産ませてからだ、いいな」
地元に帰ると、東京に通い詰めているのを知った親父に、いきなり詰め寄られた。
まずいな・・・
実際は違うが、乙女に関しては、周囲の人間にそう勘ぐられても仕方がないような事をしている自覚はある。
妻は怒っているだろうかと思いながら、恐る恐る家に戻ってみると、なんの事は無い、妻は通常通りの鉄仮面だった。
良かったとホッとする反面、物足りなさも感じる。
政略結婚なのだからと、妻は最初から割り切っているのかも知れない。
その夜、俺は、子を作れと親父に言われたのを思い出して、久方ぶりに床を共にするかと妻を誘った。
ところが、従順で人形のような妻が意外にも俺を拒否してつっぱねる。
やっぱり怒っていたのかと思っていると、突然妻が床に突っ伏して泣きながら俺を詰り始めた。
家に帰りたくないほど疎んじるなら離縁すればいいとか、その女性を妻にして子供を産んでもらえばいいとか、おおよそ普通の女が拗ねて言うような事を言っている。
それはとどまる事無く延々と続き、鉄仮面のこの妻がと、俺はただただ驚いてあっけにとられていた。
なんだ、ちゃんと感情はあるんじゃないか。
こんな冷たい女とは分かりあえないと、早々に諦めた自分がいけなかった。
抱き寄せて、済まなかったと謝った。
泣き顔は、普段のとり澄ました顔よりずっと年相応に見えて可愛かった。
口付けて、今度は笑い顔を見せてくれと言うと、ほんの少しはにかんだ笑みを見せる。
妻は忠義に厚い家の中でずっと育てられてきたのだ。
「離婚はしない。俺の妻はお前だ。俺の子はお前に産んでもらう」
押し倒して深く口付ける。今度は抵抗しない。
抱きながら思う、妻は昔の俺と同じ、目が見えていないのだ。
俺の目は麗美さんによって開かれた。
妻の目は、俺が開いてやればいい。
その日を境に、東京ではなく地元で過ごす日が増えていった。
近頃乙女は俺に随分懐いて、タワーマンションには車で一緒に帰ったり、泊った時には共に朝食をとったりするようになった。
また一緒に過ごす時間が長くなると、乙女はプライベートな事柄に関しても、少しずつ俺に話してくれるようになった。
俺にとってはとうに知ってる事実だったけれど、本人から打ち明けられる秘密は信頼の証のようで。
俺は、嬉しくて浮かれていた。
「おい、お前、最近東京に愛人を囲っているそうじゃないか。遊ぶなとは言わん。だがな、お前はまだ結婚して間もないのだぞ? 正妻の立場も考えてやれ。浮気は子の一人くらい正妻に産ませてからだ、いいな」
地元に帰ると、東京に通い詰めているのを知った親父に、いきなり詰め寄られた。
まずいな・・・
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妻は怒っているだろうかと思いながら、恐る恐る家に戻ってみると、なんの事は無い、妻は通常通りの鉄仮面だった。
良かったとホッとする反面、物足りなさも感じる。
政略結婚なのだからと、妻は最初から割り切っているのかも知れない。
その夜、俺は、子を作れと親父に言われたのを思い出して、久方ぶりに床を共にするかと妻を誘った。
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やっぱり怒っていたのかと思っていると、突然妻が床に突っ伏して泣きながら俺を詰り始めた。
家に帰りたくないほど疎んじるなら離縁すればいいとか、その女性を妻にして子供を産んでもらえばいいとか、おおよそ普通の女が拗ねて言うような事を言っている。
それはとどまる事無く延々と続き、鉄仮面のこの妻がと、俺はただただ驚いてあっけにとられていた。
なんだ、ちゃんと感情はあるんじゃないか。
こんな冷たい女とは分かりあえないと、早々に諦めた自分がいけなかった。
抱き寄せて、済まなかったと謝った。
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口付けて、今度は笑い顔を見せてくれと言うと、ほんの少しはにかんだ笑みを見せる。
妻は忠義に厚い家の中でずっと育てられてきたのだ。
「離婚はしない。俺の妻はお前だ。俺の子はお前に産んでもらう」
押し倒して深く口付ける。今度は抵抗しない。
抱きながら思う、妻は昔の俺と同じ、目が見えていないのだ。
俺の目は麗美さんによって開かれた。
妻の目は、俺が開いてやればいい。
その日を境に、東京ではなく地元で過ごす日が増えていった。
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