155 / 258
第7章 新国テンプルム
第322話 森の先にあったのは
しおりを挟む
「ちょ、ちょっと待てーっ!? お、おい小僧、まさかアダマンキャタピラーを本当にテイムしちまったってのか?」
「はい。なんとか成功したようです」
「なんとかも何も、こんな怪物をテイムした話なんて古今東西聞いたことないよ! それに、さっきの回避も神業だった。坊や、アンタいったい何者だい!?」
「いえ、まあその……」
んーどうしよう、正体をバラしちゃったほうがいいのかな?
「ダーリン、何も言うな。王様なんてコトがバレたら面倒なことになる」
「そ、そう?」
なんかネネが怖い顔してるから言うのやめておくか。
「それよりもダーリン、ネネの活躍良かっただろ? 褒めて褒めて!」
飛ばされた『剣妃親衛隊』を助けるなんて、ナンバー1のネネならそう難しくないことだと思うが、得意満面な表情が可愛いからちゃんと褒めてあげるか。
「よくやったぞ、ネネ」
褒めながら頭を撫でてあげる。
「ムフー♪ ダーリンと一緒だと任務も楽しいな」
こうしてみると、ホントに子供みたいだな。実年齢27歳なのに。
「ホントに……この怪物をテイムしちまったんだねえ」
ゾディーさんが恐る恐るアダマンキャタピラーに近付き、その身体をまじまじと観察している。
そーっと手を伸ばして、足にも触っているようだ。
「こりゃあアレだね、テンプルムにあるモンスターパークってヤツに入れたら、また客がドカンと来るだろうね。アタシはまだ見てないが、銀竜もいるんだろ? ……まて、ひょっとして銀竜をテイムしたってのも、まさか坊やなんじゃ……?」
「あー……はい、実はそうです」
「こりゃ、もう言葉が見つからないよ。坊やの能力ってのは、この凄い『使役』だったのかい!」
「まあそんなところです」
とりあえず、目的の巨獣は大人しくさせたし、さてこれからどうしよう。
このアダマンキャタピラーは、どこか遠くに移動させたほうがいいのかな。
餌が分からないから、変なところに移したら飢えて可哀想なことになるかも。
せめて、何を食べているか分かればなあ……この辺に居たんだから、きっと近くに餌があるんだろうけど。
……ん?
なんだろうこの独特な香りは?
『超五感上昇』で強化された僕の嗅覚が、何かを感じ取る。
「このちょっと先に何かがあるようです。行ってみましょう!」
◇◇◇
気になる匂いを追って、草木が生い茂った森の中を移動する。
一応アダマンキャタピラーもズルズルと付いてくるけど、そのせいでボリボリと木が倒れまくっている。
土中を移動させようかとも思ったけど、地下で何かトラブルがあったときに困るので、目に見える地上に居てくれたほうが色々と対処しやすいだろう。
しばらく進むと、辺り一帯白いもやが掛かった場所に出た。
何かの煙かと思ったら、ちょっと違った。
コレ……細い糸だ!
空気のように軽い極細の糸が、あちこち宙を舞ってもやのようになっていたのだった。
「な、なんだいコレは!? ヘヴィスパイダーの毒糸ってわけじゃないようだし、いったいどこから……?」
「ゾディー様、あそこを!」
白いもやの奥をじっと覗いてみると、そこには……。
まるで雪が積もったような白銀の世界……いや、雪ではなく、地面を埋め尽くしていたのは極細の糸だった。
そして、至るところに、4~50㎝ほどの白い塊が木からぶら下がっていたのだった。
「ダーリン、これボンビクスワームの繭だ!」
「えっ、コレが!?」
そういえば、テンプルムから南西の方向に、ボンビクスワームが棲息してるんじゃないかっていう情報があったけど、僕たちはいつの間にかそこまで来てたのか!
この繭は高級繊維の元となるので、高い値で取引される。
木が生い茂ってるだけに、上空からではコレを見つけるのは難しいだろう。歩いてきたからこその発見だ。
「こりゃあ凄い光景だね。希少なボンビクスワームがこれほど棲息している場所なんて初めてだよ!」
確かに、なかなか見つけることができない珍しい生物だけに、こんなに群棲しているのは貴重かも。
しかし、なんでこんなにここに集まってるんだ?
気温が少し暖かいというのが、棲息に適したんだろうか?
でもそれくらいのことなら、あちこち棲息しててもおかしくないと思うんだけど……。
と、僕たちがその幻想的な光景に驚いていると、突然地面からモンスターが飛び出してきた。
ただ、それは僕たちを襲うのが目的じゃなかった。
その黒光りした身体の魔物――ハサミのような大アゴを持った3mほどのモンスターは、ボンビクスワームの繭に飛びついたのだった。
「こいつは……シザーヘッドビートル! ボンビクスワームの天敵だよっ」
えっ、そういやそんな話を聞いたことあるな。
そのシザーヘッドビートルが、地面からボスン、ボスンと音を立てて次々に飛びだし、5匹ほど繭に食らいつきに行ったのだった。
「まずいよっ、どこからか嗅ぎ付けてボンビクスワームを襲いに来たんだ! このままじゃコイツらに食い尽くされちまうっ! 外殻は硬いうえ、図体の割に動きも速いし、退治するにはちょいと厄介な相手だよ」
なるほど、ボンビクスワームを食い荒らされるのは困るな。
では、『念動力』で動きを止めて駆除しようかと思ったら、その瞬間驚くべき事が起こった。
***********************************
是非是非、書籍版『無限のスキルゲッター』をよろしくお願いいたしますm(_ _)m
「はい。なんとか成功したようです」
「なんとかも何も、こんな怪物をテイムした話なんて古今東西聞いたことないよ! それに、さっきの回避も神業だった。坊や、アンタいったい何者だい!?」
「いえ、まあその……」
んーどうしよう、正体をバラしちゃったほうがいいのかな?
「ダーリン、何も言うな。王様なんてコトがバレたら面倒なことになる」
「そ、そう?」
なんかネネが怖い顔してるから言うのやめておくか。
「それよりもダーリン、ネネの活躍良かっただろ? 褒めて褒めて!」
飛ばされた『剣妃親衛隊』を助けるなんて、ナンバー1のネネならそう難しくないことだと思うが、得意満面な表情が可愛いからちゃんと褒めてあげるか。
「よくやったぞ、ネネ」
褒めながら頭を撫でてあげる。
「ムフー♪ ダーリンと一緒だと任務も楽しいな」
こうしてみると、ホントに子供みたいだな。実年齢27歳なのに。
「ホントに……この怪物をテイムしちまったんだねえ」
ゾディーさんが恐る恐るアダマンキャタピラーに近付き、その身体をまじまじと観察している。
そーっと手を伸ばして、足にも触っているようだ。
「こりゃあアレだね、テンプルムにあるモンスターパークってヤツに入れたら、また客がドカンと来るだろうね。アタシはまだ見てないが、銀竜もいるんだろ? ……まて、ひょっとして銀竜をテイムしたってのも、まさか坊やなんじゃ……?」
「あー……はい、実はそうです」
「こりゃ、もう言葉が見つからないよ。坊やの能力ってのは、この凄い『使役』だったのかい!」
「まあそんなところです」
とりあえず、目的の巨獣は大人しくさせたし、さてこれからどうしよう。
このアダマンキャタピラーは、どこか遠くに移動させたほうがいいのかな。
餌が分からないから、変なところに移したら飢えて可哀想なことになるかも。
せめて、何を食べているか分かればなあ……この辺に居たんだから、きっと近くに餌があるんだろうけど。
……ん?
なんだろうこの独特な香りは?
『超五感上昇』で強化された僕の嗅覚が、何かを感じ取る。
「このちょっと先に何かがあるようです。行ってみましょう!」
◇◇◇
気になる匂いを追って、草木が生い茂った森の中を移動する。
一応アダマンキャタピラーもズルズルと付いてくるけど、そのせいでボリボリと木が倒れまくっている。
土中を移動させようかとも思ったけど、地下で何かトラブルがあったときに困るので、目に見える地上に居てくれたほうが色々と対処しやすいだろう。
しばらく進むと、辺り一帯白いもやが掛かった場所に出た。
何かの煙かと思ったら、ちょっと違った。
コレ……細い糸だ!
空気のように軽い極細の糸が、あちこち宙を舞ってもやのようになっていたのだった。
「な、なんだいコレは!? ヘヴィスパイダーの毒糸ってわけじゃないようだし、いったいどこから……?」
「ゾディー様、あそこを!」
白いもやの奥をじっと覗いてみると、そこには……。
まるで雪が積もったような白銀の世界……いや、雪ではなく、地面を埋め尽くしていたのは極細の糸だった。
そして、至るところに、4~50㎝ほどの白い塊が木からぶら下がっていたのだった。
「ダーリン、これボンビクスワームの繭だ!」
「えっ、コレが!?」
そういえば、テンプルムから南西の方向に、ボンビクスワームが棲息してるんじゃないかっていう情報があったけど、僕たちはいつの間にかそこまで来てたのか!
この繭は高級繊維の元となるので、高い値で取引される。
木が生い茂ってるだけに、上空からではコレを見つけるのは難しいだろう。歩いてきたからこその発見だ。
「こりゃあ凄い光景だね。希少なボンビクスワームがこれほど棲息している場所なんて初めてだよ!」
確かに、なかなか見つけることができない珍しい生物だけに、こんなに群棲しているのは貴重かも。
しかし、なんでこんなにここに集まってるんだ?
気温が少し暖かいというのが、棲息に適したんだろうか?
でもそれくらいのことなら、あちこち棲息しててもおかしくないと思うんだけど……。
と、僕たちがその幻想的な光景に驚いていると、突然地面からモンスターが飛び出してきた。
ただ、それは僕たちを襲うのが目的じゃなかった。
その黒光りした身体の魔物――ハサミのような大アゴを持った3mほどのモンスターは、ボンビクスワームの繭に飛びついたのだった。
「こいつは……シザーヘッドビートル! ボンビクスワームの天敵だよっ」
えっ、そういやそんな話を聞いたことあるな。
そのシザーヘッドビートルが、地面からボスン、ボスンと音を立てて次々に飛びだし、5匹ほど繭に食らいつきに行ったのだった。
「まずいよっ、どこからか嗅ぎ付けてボンビクスワームを襲いに来たんだ! このままじゃコイツらに食い尽くされちまうっ! 外殻は硬いうえ、図体の割に動きも速いし、退治するにはちょいと厄介な相手だよ」
なるほど、ボンビクスワームを食い荒らされるのは困るな。
では、『念動力』で動きを止めて駆除しようかと思ったら、その瞬間驚くべき事が起こった。
***********************************
是非是非、書籍版『無限のスキルゲッター』をよろしくお願いいたしますm(_ _)m
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。