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第7章 新国テンプルム
第337話 法王国の聖騎士
孤児院に突然現れた男たち――それは見事な装備を着けた3人の騎士だった。
ひょっとして、法王国騎士団の中でも特に才能があり、神聖魔法も使いこなす屈強な精鋭騎士――法王国聖騎士隊の人たちか?
どうやら牙無魔たちを探してたみたいだけど……。
「牙無魔、お前ら修業から帰ってきたと思ったら、命令も聞かずに飛び出していきやがって……いったいどこに行ってたんだ!?」
「『魔王ユーリ』と戦いに、テンプルムまで出掛けたというのは本当か?」
「ああ、その通りだ。ここに居たってやることねーし、ちっと噂の『魔王ユーリ』ってのに挨拶してきたのさ」
「勝手なことをしよって……! 一応お前たちは、あまり知られてはならぬ存在なのだ。我が国の秘密兵器として、魔王軍を壊滅させることで華々しく世界に報せる予定が、ヴァクラースなどというザコに負けおってからに……」
「ヤツはザコなんかじゃなかったぜ。お前ら法王国の情報がおかしいんだ。さんざん聞かされた強さよりも、遙かに上の力があったぞ」
「言い訳などするな! そのヴァクラースは、『魔王ユーリ』にあっさりと倒されたというではないか。それに、そのあとに戦った四魔将の1人も大したことなかったというぞ」
「バカいえっ、そりゃユーリが強すぎんだよ! お前ら悪魔と戦ってから文句言いやがれ!」
「ふん、相変わらず威勢だけはいいヤツだ。全く、せっかく異世界から喚んだというのに、ゴーグなどという神徒にはやられるし、ザコ悪魔すら倒せぬようでは、ただの役立たずだぜ」
「なんだと……!? もういっぺん言ってみろ!」
牙無魔が本気で怒り出す。
当然だろう、自分だけではなく、命を懸けて戦った仲間も中傷されたのだから。
しかし、法王国屈指の力を持つ聖騎士隊ともあろう人が、こんな酷いことを言うのか?
「魔王軍を壊滅させる栄誉は、我が法王国が得るはずだった。法王様も、異世界人には大いに期待されていた。それを『魔王ユーリ』などというふざけた存在に手柄を取られてしまったのだ。満を持してお前たちを送り出したというのに、おかげで法王様は恥を掻いてしまったぞ」
「そんなこと知るかっ! 文句があるなら、お前らで魔王軍を倒しやがれ!」
「ふんっ、それで、その『魔王ユーリ』とは戦ってきたのか? よもや、負けたなどということはあるまいな? そんな小者に負けることなど許されぬぞ」
「お前ら、ちょっと前まで『魔王ユーリ』を恐れてたくせに、よくそんなことが言えるな!」
「ああ、我らもすっかり噂に騙されてしまったのだ。本物の魔王という話だったが、なんのことはない、その正体はただの人間だったというではないか」
「けっ、今まで『魔王ユーリ』に震えあがってたくせに、どうやら人間らしいと分かった途端にこれだ」
「そのようなヤツ、我らは恐れたことなどないわ! もし出会ったら、世界を混乱させた罪で引っ捕らえてやろうに! で、『魔王ユーリ』は倒してきたのか?」
「うるせーな、お前らに教えてやる義理なんてねーよ」
「貴様……これ以上法王国の恥となるようなら、お前らなど追放してやるぞ。そうなれば、お前らは一生元の世界には戻れぬだろうがな」
「ちくしょう……本当にムカつくヤツらだぜ。こんな所まで来やがって、オレたちにいったいなんの用だ!?」
「その前に、なんだそいつらは? まさか、どこの馬の骨ともしれぬヤツらを、勝手に王都へ連れ込んだのではあるまいな?」
しまった、聖騎士たちは僕たちのことを疑い始めた。
不法入国しちゃってるんで、僕たちの正体がバレるのはまずいな……。
「この小汚いヤツらは誰だ? 場合によっては、ただではおかぬぞ」
「……出先で知り合ったオレの友達だよ。危険なヤツらじゃない。信じてくれ」
「それを決めるのはお前ではない、我らだ。小僧と小娘たちよ、どんな理由があれ、我が法王国王都に侵入した罪は重い。異世界人のことも知りすぎてしまったようだし、当分は牢獄にて過ごしてもらおうか」
「えっ、逮捕されちゃうんですか!? それは困ります……」
どうしよう、テンプルム国王ってことを教えたら、許してくれるかな?
それとも、もっと状況が悪化しちゃうかな……?
うーん、いざとなったら『空間転移』で逃げちゃう手もあるけど、残った牙無魔たちに迷惑かけちゃうよなあ……。
「来いっ、小僧!」
聖騎士の1人が、僕のことを乱暴に掴もうとする。
しかし、そのあまりの勢いに、僕の『蜃気楼の騎士』が反応してしまって、自動で躱してしまった。
「ぬっ、避けるか! 抵抗すると許さんぞ!」
僕のことをさらに乱暴に掴もうとする。
だからそうやると、僕は勝手に避けちゃうんだって……!
「こ、こやつ、なんという生意気な……! そこまで逃げるということは、かなり後ろめたいことがあるに違いない! よし、全員で引っ捕らえるぞ!」
ああ~……3人掛かりで僕に掴みかかってきて、悪化する一方だ。
というか、凄い短気な人たちだね。こんな人たちが選ばれしエリート騎士なの?
「くくく、なんだ、オレに偉そうなこと言っておきながら、『魔王ユーリ』どころか子供1人捕まえられないのかよ。だらしねー騎士たちだぜ」
「ガ、牙無魔、余計なこと言うなって!」
「も、もう我慢ならぬっ! 引っ捕らえるだけにしてやろうと思っていたが、ここで斬り捨ててやる!」
さっきまで散々酷いことを言われていた牙無魔が、仕返しとばかりに聖騎士たちを挑発した。
それを聞いて怒りが爆発してしまったのか、聖騎士たちは剣を抜いてしまう。
「……剣を抜くんですか? 聖騎士隊ともあろう人が、無抵抗の人間相手に?」
「なぁにが無抵抗だ、こっちが手加減してりゃあコソコソ逃げ回りやがって……! 死んで後悔するがいい!」
あまり騒ぎを大きくしたくなかったけど、本気で殺しに来るようなら仕方ない。
とりあえず倒して、そのあと記憶消去でもするか。
「死ねえ~っ!」
3人の聖騎士たちが、同時に僕へと斬り掛かる。
えーと、じゃあどれくらい手加減を……。
「ユーリ、首よ! はい1、2、3!」
「え? ええっ!?」
いいタイミングでいきなりメジェールに怒鳴られて、ビックリして騎士たちの首を打ってしまった。
まずい、上手く手加減できなかったかも?
「ほげええっ」×3
ああ、やばい、やっぱり首の骨折っちゃったよ!?
すぐに治さないと!
「よくやったわユーリ! あ~スッキリした!」
「ああ、オレたちもスカッとしたぜ!」
メジェールと牙無魔たちが気持ちのいい笑顔を浮かべてるけど、そんな状況じゃないからね!?
危うく殺しちゃうところだったよ!
なんとか完治したけど、騎士たちは気絶したままだ。
さて、こんな状況になっちゃってどうしようかというところで、またしても後方から声が!?
「貴様……『魔王ユーリ』だな!?」
だ……誰ですか!?
***********************************
12/11から、『無限のスキルゲッター』の電子書籍版が販売開始となります。
「番外編 ユーリ大好き」というSSも付いておりますので、是非よろしくお願いいたしますm(_ _)m
ちなみに、SSはとらのあな様の書籍版にも特典で付いております。
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牙無魔が本気で怒り出す。
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「ふんっ、それで、その『魔王ユーリ』とは戦ってきたのか? よもや、負けたなどということはあるまいな? そんな小者に負けることなど許されぬぞ」
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「ああ、我らもすっかり噂に騙されてしまったのだ。本物の魔王という話だったが、なんのことはない、その正体はただの人間だったというではないか」
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それとも、もっと状況が悪化しちゃうかな……?
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「え? ええっ!?」
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