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第7章 新国テンプルム
第346話 破壊神
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召喚装置も無事直ったので、あとはそれを動かす魔力だけ。
魔力がたっぷりあれば実験も捗るだろうし、牙無魔たちが元の世界へ戻れる可能性も高まるはずだ。
ということで、僕の魔力を補充することになったけど、どのくらい必要なのかな?
何せ異世界への扉を開かなければいけないんだから、恐らく相当な量だろう。
通常なら僕の魔力量でも不足かもしれない。
しかし、僕には無限の魔力を行使できる能力――頂点と言われるVランクを超えた究極のUランク称号『神成化』がある!
これなら莫大な魔力が補充できるはず。
僕はその力を解放した。
「な、なに? ユーリ様が輝いて……!」
「おいユーリ、この能力はいったい……?」
「こ……これは……なんという凄まじい魔力の放出だ!」
「ま、まさか、神……本物の神なのか……?」
僕は『神成化』の状態で、魔導機に魔力を注入していく。
本当に無限に魔力を使えるのか分からないので、自分の限界を知るためにも、手加減なしの全力でやってみた。
「ほ……法王猊下、魔力が限界まで溜まったようです! これ以上はもう……」
「なんとっ! 限界まで……魔力が完全に溜まったというのか!? 今までどんなに補充しようとも、ほんの少量しか貯蔵できなかったというのに!?」
ん? もう大丈夫なのかな? 僕のほうはまだまだ魔力が余ってるけど。
この調子だと、『神成化』は本当に魔力無限なのかもしれない。
僕は『神成化』を解除して、魔力の補充をストップする。と同時に、反動で凄い脱力感に襲われた。
やっぱりこの力を使うときは気を付けないとな。
「法王猊下、貯蔵された魔力量が測定されました。ろ……6720兆ルクシオンです」
「6700……6000兆を超えるだと!? ……確かなのか?」
「……間違いありません」
な、なんだ?
みんな真っ青な顔になってるけど、何か僕が失敗しちゃったのか?
ルクシオンという言葉も初めて聞いた。ひょっとして古代文明で使われてた魔力の単位なのかもしれないけど、6700兆って凄いのかな?
なんかみんな固まっちゃってて不安なんだけど、これで良かったんだよね?
「あのう……法王様、補充は上手くいきましたでしょうか?」
「……あ、これは失礼いたしました。もちろん成功しております。まさか本当に補充できるとは思わなかったので、少々驚いていただけです」
「それなら安心しました。ではこれで召喚術の研究も進めることができますね」
「はい、お任せください。より完全な召喚が可能になるでしょう」
おっと、異世界召喚はもうしなくてもいいんじゃないかな?
魔導機の解析は進めてほしいけど、それはあくまで牙無魔たちを還してあげるためで、新たな異世界召喚は必要ない気がする。
この世界のことは、この世界の住人――僕が解決しなくては!
「法王様、出すぎたことを申しますが、異世界からの召喚よりも、牙無魔たちを元の世界に還す研究を優先していただけないでしょうか? 魔王復活に関しては、僕がなんとかしますので」
「し、しかし、万が一ということも……」
「そうですね、そのご心配は分かります。では万が一も考えて、召喚と帰還方法を並行して研究してくださると助かります。僕では魔王軍に敵わないとなったら、そのとき新たな救世主をお喚びくださいませ。それまでは、できれば異世界召喚は遠慮していただければと……」
「……ふぅむ、これも全てユーリ王のおかげです。分かりました、この世界のことはユーリ王に任せ、よほどのことがない限り、次の異世界召喚は行わないことをお約束しましょう」
「ありがとうございます。ご期待に添えるよう頑張ります」
「ユーリ君、感謝しますぞ!」
「ああ、還るのは絶望的だと思ってたけど、これで俺っちも希望が持てたぜ」
「ユーリ様、お気遣い大変感謝いたしますが、わたしはここに残ります」
「え? いや久魅那、ちゃんと元の世界に……」
「い や で す !」
なんという凄い拒絶……。
まあ還る方法が分かったら心変わりするかもしれないし、今はしつこく勧めなくてもいいか。
「ちなみに、牙無魔君はどうするんですか? あまり元の世界には未練がないようですが……?」
「そうなのか、牙無魔?」
なんだ? せっかく僕が頑張ったのに?
「……ああ、弐琉須の言う通りだ。向こうにはオレの家族もいないしな。こっちで守りたいヤツもできたし、正直それほど還りたいとは思ってねえ。ただ、そうはいっても生まれ故郷だからな。どうするか、その日が来るまで考えさせてもらうぜ」
そうか、サキさんたちのことか。あの孤児たちを放ってはおけないんだろうな。
サキさんたちも連れて元の世界へ戻るというのも有りだけど、それもまた悩むところか。
結論を出すのは、還る方法が分かってからでも遅くはないだろう。
今は1日も早く彼らが元の世界に戻れることを祈るだけだ。
それにしても、古代文明は凄いな……。
ディフェーザ国の巨大ゴーレム『憤怒の魔神』も見事だし、この法王国にある数々の魔導機器も含め、現代よりも圧倒的に魔導技術が上だ。
それが突然歴史から消えてしまったのだから、『失われた技術』と言われるのもよく分かる。
……いや、今ふと思ったんだけど、ひょっとして古代人は異世界から来た人なんじゃないだろうか?
それなら、古代人たちの驚異的な技術力も納得できる。
そして、彼らが歴史から消えた理由は、元の世界に還ったからなのでは?
この召喚装置は、そのために作った物だった……とか?
これから研究が進めば、その辺も分かってくるかもしれないな。
「では法王様、研究よろしくお願いいたします」
僕たちは法王様との謁見を終えて、テンプルムへと帰ることにした。
泊まっていくことも勧められたけど、無計画に出てきちゃったし、今日のところはお暇することにした。
次からは『空間転移』で簡単に来られるし。
牙無魔たちにもさよならを言って、僕たちはテンプルムへと転移した……久魅那も一緒だけどね。
ホントにテンプルム国民になっちゃったよ。これは法王様から直々のお許しも出たし、特に問題はないんだけどさ。
法王国とも友好な関係を築けたし、残るはグランディス帝国だけだ、頑張ろう!
◇◇◇
【-法王国 side-】
「法王猊下、ヤツらを帰しても良かったのですか?」
「仕方あるまい。あの力……とても手が出せぬ」
誰も居なくなった法王国王城地下室に、ゲネヴィシュト法王とジークヘルト将軍の声が静かに響き渡る。
ユーリたち一行を素直に帰したが、正直なところ、生かしておきたくはなかった。
王城にはまだまだ強力な罠がいくつも存在した。だが、ユーリのあまりの力を見て、それらを使用することを諦めたのだった。
実は法王は、ユーリの抹殺にも許可を出していた。
いくら将軍が危険と判断したとはいえ、一国の王を独断で襲えるわけはない。
法王ゲネヴィシュトも、ユーリを恐れていたのである。
しかし、襲撃の失敗を悟るとすぐに法王は思考を切り替え、とりあえず友好的に振る舞おうとした。
法王はフィーリアの力――エーアスト国の王女が『聖なる眼』を持っていることを知っていたので、言動も慎重に選んでいた。
このとき、もしユーリが『命令を出したのは法王様ですか?』と尋ねたら、その心の内はバレていたかもしれない。が、法王に対して初対面でその質問をすることは、ユーリには躊躇われた。
法王の柔和な態度も少々想定外で、疑うことを申し訳なく感じてしまったというのもある。
かくして、法王の真意は知られぬままで済んだのだった。
「あやつが出した魔力……6700兆ルクシオンだと!? 恐ろしくて震えが止まらなかったわ。この世界に存在するあらゆる魔力を合わせた推定値が、確か70兆ルクシオンほどではなかったか?」
「その通りです。つまり、ヤツはこの世界にある魔力の100倍近くの魔力を持っているということです」
「しかも、まだまだ魔力が残っておったようだったぞ。あやつがもし本気になれば、この世界全てがいとも簡単に焦土と化す。もはや怪物や魔王なんていう生ぬるい存在ではない。何者だ? 何者なのだ!? 異界よりやってきた破壊神なのか?」
「……分かりません。1つだけ確実なのは、人類ではヤツを殺すのは不可能でしょう」
「そのまま帰すのは業腹であったが、無理に襲っていたら、我が法王国は滅んでおったろうな……」
法王と将軍が静寂に包まれる。
この2人、世界を自分の物にするというような野望があるわけではないが、自分たちを脅かす存在に対し、許せる心を持っていなかった。
法王国は、遙か昔より世界の秩序を守ってきた。
そのことにより、自分たちこそが正義の守護者と勘違いしているのである。
「魔導機の解析を急がせるのだ。正常に作動するようになった今なら、研究も進むはず。不本意ではあるが、ドクター・リスティヒも使うのだ」
「ヤツを牢から出すのですか!? 危険です、何か別な手段を……」
「あの『魔王ユーリ』より危険なヤツなどおるまい。リスティヒの天才的頭脳なら、魔導機の完全解明も不可能ではない。そして、異世界から最強の存在を喚び、『魔王ユーリ』を始末するのだ」
「ですが、そうなればその喚び寄せた異世界人も危険な存在となるのでは……?」
「研究では、あの魔導機には召喚した対象を自由に制御する装置があるらしい。今までは上手く作動しなかったが、それも修理で問題なくなった。よって、どんな怪物が召喚されようとも、我らの意のままに操ることができるはず」
「なるほど、ならば危険は無さそうですな。ではドクター・リスティヒを解放し、解明を急がせましょう」
「よろしくたのむぞ。世界の秩序は我が法王国が守らねばならない。『魔王ユーリ』がいる限り、世界は常に滅亡と隣り合わせだ。最強の存在は、我らが管理しなくてはならぬのだ」
自分たちの力が及ばない存在はけっして許さない。あの『魔王ユーリ』は危険だ。
秩序を重んじる2人が身勝手な結論を出す。
それはまさに行きすぎた正義で、そしてこの思い上がりが、後に悲劇を生むことになるのだった……。
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更新遅れて大変申しわけありません。
年明け後に再開します。
魔力がたっぷりあれば実験も捗るだろうし、牙無魔たちが元の世界へ戻れる可能性も高まるはずだ。
ということで、僕の魔力を補充することになったけど、どのくらい必要なのかな?
何せ異世界への扉を開かなければいけないんだから、恐らく相当な量だろう。
通常なら僕の魔力量でも不足かもしれない。
しかし、僕には無限の魔力を行使できる能力――頂点と言われるVランクを超えた究極のUランク称号『神成化』がある!
これなら莫大な魔力が補充できるはず。
僕はその力を解放した。
「な、なに? ユーリ様が輝いて……!」
「おいユーリ、この能力はいったい……?」
「こ……これは……なんという凄まじい魔力の放出だ!」
「ま、まさか、神……本物の神なのか……?」
僕は『神成化』の状態で、魔導機に魔力を注入していく。
本当に無限に魔力を使えるのか分からないので、自分の限界を知るためにも、手加減なしの全力でやってみた。
「ほ……法王猊下、魔力が限界まで溜まったようです! これ以上はもう……」
「なんとっ! 限界まで……魔力が完全に溜まったというのか!? 今までどんなに補充しようとも、ほんの少量しか貯蔵できなかったというのに!?」
ん? もう大丈夫なのかな? 僕のほうはまだまだ魔力が余ってるけど。
この調子だと、『神成化』は本当に魔力無限なのかもしれない。
僕は『神成化』を解除して、魔力の補充をストップする。と同時に、反動で凄い脱力感に襲われた。
やっぱりこの力を使うときは気を付けないとな。
「法王猊下、貯蔵された魔力量が測定されました。ろ……6720兆ルクシオンです」
「6700……6000兆を超えるだと!? ……確かなのか?」
「……間違いありません」
な、なんだ?
みんな真っ青な顔になってるけど、何か僕が失敗しちゃったのか?
ルクシオンという言葉も初めて聞いた。ひょっとして古代文明で使われてた魔力の単位なのかもしれないけど、6700兆って凄いのかな?
なんかみんな固まっちゃってて不安なんだけど、これで良かったんだよね?
「あのう……法王様、補充は上手くいきましたでしょうか?」
「……あ、これは失礼いたしました。もちろん成功しております。まさか本当に補充できるとは思わなかったので、少々驚いていただけです」
「それなら安心しました。ではこれで召喚術の研究も進めることができますね」
「はい、お任せください。より完全な召喚が可能になるでしょう」
おっと、異世界召喚はもうしなくてもいいんじゃないかな?
魔導機の解析は進めてほしいけど、それはあくまで牙無魔たちを還してあげるためで、新たな異世界召喚は必要ない気がする。
この世界のことは、この世界の住人――僕が解決しなくては!
「法王様、出すぎたことを申しますが、異世界からの召喚よりも、牙無魔たちを元の世界に還す研究を優先していただけないでしょうか? 魔王復活に関しては、僕がなんとかしますので」
「し、しかし、万が一ということも……」
「そうですね、そのご心配は分かります。では万が一も考えて、召喚と帰還方法を並行して研究してくださると助かります。僕では魔王軍に敵わないとなったら、そのとき新たな救世主をお喚びくださいませ。それまでは、できれば異世界召喚は遠慮していただければと……」
「……ふぅむ、これも全てユーリ王のおかげです。分かりました、この世界のことはユーリ王に任せ、よほどのことがない限り、次の異世界召喚は行わないことをお約束しましょう」
「ありがとうございます。ご期待に添えるよう頑張ります」
「ユーリ君、感謝しますぞ!」
「ああ、還るのは絶望的だと思ってたけど、これで俺っちも希望が持てたぜ」
「ユーリ様、お気遣い大変感謝いたしますが、わたしはここに残ります」
「え? いや久魅那、ちゃんと元の世界に……」
「い や で す !」
なんという凄い拒絶……。
まあ還る方法が分かったら心変わりするかもしれないし、今はしつこく勧めなくてもいいか。
「ちなみに、牙無魔君はどうするんですか? あまり元の世界には未練がないようですが……?」
「そうなのか、牙無魔?」
なんだ? せっかく僕が頑張ったのに?
「……ああ、弐琉須の言う通りだ。向こうにはオレの家族もいないしな。こっちで守りたいヤツもできたし、正直それほど還りたいとは思ってねえ。ただ、そうはいっても生まれ故郷だからな。どうするか、その日が来るまで考えさせてもらうぜ」
そうか、サキさんたちのことか。あの孤児たちを放ってはおけないんだろうな。
サキさんたちも連れて元の世界へ戻るというのも有りだけど、それもまた悩むところか。
結論を出すのは、還る方法が分かってからでも遅くはないだろう。
今は1日も早く彼らが元の世界に戻れることを祈るだけだ。
それにしても、古代文明は凄いな……。
ディフェーザ国の巨大ゴーレム『憤怒の魔神』も見事だし、この法王国にある数々の魔導機器も含め、現代よりも圧倒的に魔導技術が上だ。
それが突然歴史から消えてしまったのだから、『失われた技術』と言われるのもよく分かる。
……いや、今ふと思ったんだけど、ひょっとして古代人は異世界から来た人なんじゃないだろうか?
それなら、古代人たちの驚異的な技術力も納得できる。
そして、彼らが歴史から消えた理由は、元の世界に還ったからなのでは?
この召喚装置は、そのために作った物だった……とか?
これから研究が進めば、その辺も分かってくるかもしれないな。
「では法王様、研究よろしくお願いいたします」
僕たちは法王様との謁見を終えて、テンプルムへと帰ることにした。
泊まっていくことも勧められたけど、無計画に出てきちゃったし、今日のところはお暇することにした。
次からは『空間転移』で簡単に来られるし。
牙無魔たちにもさよならを言って、僕たちはテンプルムへと転移した……久魅那も一緒だけどね。
ホントにテンプルム国民になっちゃったよ。これは法王様から直々のお許しも出たし、特に問題はないんだけどさ。
法王国とも友好な関係を築けたし、残るはグランディス帝国だけだ、頑張ろう!
◇◇◇
【-法王国 side-】
「法王猊下、ヤツらを帰しても良かったのですか?」
「仕方あるまい。あの力……とても手が出せぬ」
誰も居なくなった法王国王城地下室に、ゲネヴィシュト法王とジークヘルト将軍の声が静かに響き渡る。
ユーリたち一行を素直に帰したが、正直なところ、生かしておきたくはなかった。
王城にはまだまだ強力な罠がいくつも存在した。だが、ユーリのあまりの力を見て、それらを使用することを諦めたのだった。
実は法王は、ユーリの抹殺にも許可を出していた。
いくら将軍が危険と判断したとはいえ、一国の王を独断で襲えるわけはない。
法王ゲネヴィシュトも、ユーリを恐れていたのである。
しかし、襲撃の失敗を悟るとすぐに法王は思考を切り替え、とりあえず友好的に振る舞おうとした。
法王はフィーリアの力――エーアスト国の王女が『聖なる眼』を持っていることを知っていたので、言動も慎重に選んでいた。
このとき、もしユーリが『命令を出したのは法王様ですか?』と尋ねたら、その心の内はバレていたかもしれない。が、法王に対して初対面でその質問をすることは、ユーリには躊躇われた。
法王の柔和な態度も少々想定外で、疑うことを申し訳なく感じてしまったというのもある。
かくして、法王の真意は知られぬままで済んだのだった。
「あやつが出した魔力……6700兆ルクシオンだと!? 恐ろしくて震えが止まらなかったわ。この世界に存在するあらゆる魔力を合わせた推定値が、確か70兆ルクシオンほどではなかったか?」
「その通りです。つまり、ヤツはこの世界にある魔力の100倍近くの魔力を持っているということです」
「しかも、まだまだ魔力が残っておったようだったぞ。あやつがもし本気になれば、この世界全てがいとも簡単に焦土と化す。もはや怪物や魔王なんていう生ぬるい存在ではない。何者だ? 何者なのだ!? 異界よりやってきた破壊神なのか?」
「……分かりません。1つだけ確実なのは、人類ではヤツを殺すのは不可能でしょう」
「そのまま帰すのは業腹であったが、無理に襲っていたら、我が法王国は滅んでおったろうな……」
法王と将軍が静寂に包まれる。
この2人、世界を自分の物にするというような野望があるわけではないが、自分たちを脅かす存在に対し、許せる心を持っていなかった。
法王国は、遙か昔より世界の秩序を守ってきた。
そのことにより、自分たちこそが正義の守護者と勘違いしているのである。
「魔導機の解析を急がせるのだ。正常に作動するようになった今なら、研究も進むはず。不本意ではあるが、ドクター・リスティヒも使うのだ」
「ヤツを牢から出すのですか!? 危険です、何か別な手段を……」
「あの『魔王ユーリ』より危険なヤツなどおるまい。リスティヒの天才的頭脳なら、魔導機の完全解明も不可能ではない。そして、異世界から最強の存在を喚び、『魔王ユーリ』を始末するのだ」
「ですが、そうなればその喚び寄せた異世界人も危険な存在となるのでは……?」
「研究では、あの魔導機には召喚した対象を自由に制御する装置があるらしい。今までは上手く作動しなかったが、それも修理で問題なくなった。よって、どんな怪物が召喚されようとも、我らの意のままに操ることができるはず」
「なるほど、ならば危険は無さそうですな。ではドクター・リスティヒを解放し、解明を急がせましょう」
「よろしくたのむぞ。世界の秩序は我が法王国が守らねばならない。『魔王ユーリ』がいる限り、世界は常に滅亡と隣り合わせだ。最強の存在は、我らが管理しなくてはならぬのだ」
自分たちの力が及ばない存在はけっして許さない。あの『魔王ユーリ』は危険だ。
秩序を重んじる2人が身勝手な結論を出す。
それはまさに行きすぎた正義で、そしてこの思い上がりが、後に悲劇を生むことになるのだった……。
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