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第7章 新国テンプルム
第365話 迷いの森
「あれ、ゼルマもドマさんももう起きたんだ。2人ともよく眠れましたか?」
「ね……眠れるわけなかろう」
「坊主、お前ひょっとして鈍感バカでしゅね……」
夕方、僕が仮眠から目が覚めたら、2人ともすでに起きていた。
というよりも、寝てないとのこと。
急に仮眠しようといっても、眠れなかったか……悪いコトしちゃったな。
「じゃ、じゃあ、もう少し寝ましょうか?」
「もうよい、ワシは元々夜は得意だ、寝る必要などない」
「あたいも平気でしゅ。自分のアホさ加減が情けなくて全然眠くないでしゅ」
な……なんか2人とも凄い怒ってるような気がするんだけど、なんで?
とりあえず、『魔導通信機』で今夜は帰らないことをメジェールたちに伝えてから、僕たちは森の中を歩き出した。
推測が正しければ、この森を彷徨っているうちに何かが起こるはずだ。
「坊主の考えでは、夜じゃないと『赤き天馬』は現れないということでしゅか?」
「なるほど、確かに遭遇したという吸血鬼も、夜中だったらしい。まあ我らは夜しか動けぬから当然ではあるが」
「夜が関係しているのかは分からないけど、あのまま昼に探し続けても、出会えそうな気がしないんだ。だから手を変えてみようかなと」
ただ単純に夜に出るというだけなら、調査に来た吸血鬼が何かを見つけていたはず。
きっと『迷いの森』に秘密がある。
僕らは度々休憩を入れつつ、森の中を探索し続ける。
森の中にずっと居ることがカギだと思ってるので、ゼルマには空を飛ばないようにお願いした。
やがて真夜中となり、探索の危険度がグンと跳ね上がる。
周りが暗いことについては、僕らは暗視に長けているので問題ないけど、やはりモンスターが手強くなる。
昼間休んでいた凶悪な魔物が、夜になって活動を始めるからだ。
これにはさすがのドマさんでも持て余すようで、ゼルマが手を貸している。
夜の戦闘は僕がリードしようと思ってたんだけど、2人とも妙にピリピリしていて、いま暴れたい気分だからそこでじっとしてろって言われてしまった。
戦闘も、八つ当たりするかのように、2人は激しくモンスターを倒していく。
頼もしいといえばそうなんだけど、なんかちょっと怖いです……。
「はあ~、だいぶスッキリしてきたでしゅ。まったく、デリカシーのないバカと付き合うのは苦労するでしゅ」
「同感だな。5000年生きてきて、これほどの屈辱は初めてだ」
2人が何を言ってるのか分からないけど、なんとなく僕のことのような気がする。
やはり、女性を夜の探索に誘ったのは、配慮に欠けちゃってたかも……。
僕たちは真夜中を過ぎても探索し続けるが、森に何も変化はなかった。
気付けば漆黒の闇がほんの少し薄くなっており、もうすぐ夜明けが近いことを報せる。
1日程度ではダメか?
吸血鬼は三日三晩彷徨ったというし、僕たちも数日森で過ごさねばならないのだろうか?
そもそも僕の推測が当たっているとも限らない。
少し弱気になってしまった瞬間、それは訪れた。
「な……なんでしゅかこの霧は!?」
「突然周りの気配が変わったぞ!? この凍えるような冷気はなんだ!?」
ドマさんとゼルマの言う通り、周囲の雰囲気がいきなり変わり、辺りに白い霧が立ちこめた。
解析してみると、ここは異界のようだった。
一応、周りは木々に囲まれているけど、恐らく霊界みたいなところだろう。
森をひたすら彷徨うことにより、この異界への『入り口』が開いたんだ!
「ここはいったいどこだ!?」
「あ、待って! 飛んじゃ……」
僕の制止を振り切り、ゼルマが空へと飛び上がる。
飛行しないように言ってあったんだけど、あまりの状況につい失念したようだ。
連れ戻すため、僕も『飛翔』を使おうとしたところ、ゼルマがコントロールを失ったように落ちてきた。
「なっ、うあああっ」
「ゼルマ、大丈夫か!?」
幸い、この程度ではゼルマが傷付くことはなく、身体に付いた土を払いながら起き上がる。
「今のはなんだ!? ワシの飛行能力が使えぬ!?」
「なんだって!? それは飛べないってこと?」
僕も『飛翔』で飛んでみる。しかし、木の高さを超えないうちに、浮力を失って落下してしまった。
なるほど、空に逃げることはできないってことか。そして異界に入ってしまったら、簡単には出口は分からない。
『迷いの森』の正体はコレだ。
もしゼルマがいなかったら、とてもここへは来られなかったな。
人類の歴史にこのことが伝わってないのは、異界の『入り口』が開くまでこの森を彷徨い続けるのが、人間には難しいからではないだろうか。
仮に奇跡的にここへ来たとしても、今度は生きて出ることが叶わないのでは?
そもそも危険すぎて、人間はこの森には近寄らないだろうけど。
「坊主、ここが『迷いの森』ってことでしゅね?」
「そうです。来れたのは全部ゼルマのおかげだよ。こんなところ、偶然だけじゃ絶対に探すのは不可能だ」
「そ、そうか! ワシもホッとしたぞ、フフフ」
ゼルマの表情がパーッと輝いた。
褒められるのは好きみたいで、何かと素直じゃないけど、こういうところは可愛い。
『迷いの森』は本当だった。あとは、『赤き天馬』がここに居るかだ。
僕は『領域支配』で気配を探知してみる。
……………………………………居るぞ!
大小様々な気配が散らばる中、何かとてつもない存在を1つ感じる!
恐らく、コイツがこの異界の主に違いない! 少し離れているが、だいたいの位置は捕捉した。
「ゼルマ、ドマさん、『赤き天馬』らしき存在をキャッチしました。ただ、一晩中歩きづめでしたから、一度休んでから出発しますか?」
「うんにゃ、すぐに行くでしゅ! この『迷いの森』が消えたら困りましゅし」
「ふむ……確かに、この異界がずっと安定してるとも限らん。吸血鬼でも、『赤き天馬』と出会えたのは1人だけだからな」
なるほど、ここに居られる時間制限があるかもしれないというわけか。
言われてみればその通りかも。
何せ異界だ、突然消えてしまう可能性は充分ある。
気になるのは、『赤き天馬』がどういう存在かということだ。
いま探知した限りでは、『神獣』というのとはちょっと違う気が……。
聖なる力などは全然感じないし、この異界も『聖域』というわけじゃない。
見つけたのはいいけど、少々想定外だ。
僕たちの目的は『神聖な存在』から魂の一部を分けてもらうことで、『赤き天馬』がそうでないなら、せっかく来たけど用はない。
このまま2人を近付けさせるのは危険に思うが、かといって、異界で別行動をするのはもっと危険だ。
う~ん……色々思うところはあるが、とりあえず行ってみるしかないな。
僕たちは気配の方向へと急いだ。
「ね……眠れるわけなかろう」
「坊主、お前ひょっとして鈍感バカでしゅね……」
夕方、僕が仮眠から目が覚めたら、2人ともすでに起きていた。
というよりも、寝てないとのこと。
急に仮眠しようといっても、眠れなかったか……悪いコトしちゃったな。
「じゃ、じゃあ、もう少し寝ましょうか?」
「もうよい、ワシは元々夜は得意だ、寝る必要などない」
「あたいも平気でしゅ。自分のアホさ加減が情けなくて全然眠くないでしゅ」
な……なんか2人とも凄い怒ってるような気がするんだけど、なんで?
とりあえず、『魔導通信機』で今夜は帰らないことをメジェールたちに伝えてから、僕たちは森の中を歩き出した。
推測が正しければ、この森を彷徨っているうちに何かが起こるはずだ。
「坊主の考えでは、夜じゃないと『赤き天馬』は現れないということでしゅか?」
「なるほど、確かに遭遇したという吸血鬼も、夜中だったらしい。まあ我らは夜しか動けぬから当然ではあるが」
「夜が関係しているのかは分からないけど、あのまま昼に探し続けても、出会えそうな気がしないんだ。だから手を変えてみようかなと」
ただ単純に夜に出るというだけなら、調査に来た吸血鬼が何かを見つけていたはず。
きっと『迷いの森』に秘密がある。
僕らは度々休憩を入れつつ、森の中を探索し続ける。
森の中にずっと居ることがカギだと思ってるので、ゼルマには空を飛ばないようにお願いした。
やがて真夜中となり、探索の危険度がグンと跳ね上がる。
周りが暗いことについては、僕らは暗視に長けているので問題ないけど、やはりモンスターが手強くなる。
昼間休んでいた凶悪な魔物が、夜になって活動を始めるからだ。
これにはさすがのドマさんでも持て余すようで、ゼルマが手を貸している。
夜の戦闘は僕がリードしようと思ってたんだけど、2人とも妙にピリピリしていて、いま暴れたい気分だからそこでじっとしてろって言われてしまった。
戦闘も、八つ当たりするかのように、2人は激しくモンスターを倒していく。
頼もしいといえばそうなんだけど、なんかちょっと怖いです……。
「はあ~、だいぶスッキリしてきたでしゅ。まったく、デリカシーのないバカと付き合うのは苦労するでしゅ」
「同感だな。5000年生きてきて、これほどの屈辱は初めてだ」
2人が何を言ってるのか分からないけど、なんとなく僕のことのような気がする。
やはり、女性を夜の探索に誘ったのは、配慮に欠けちゃってたかも……。
僕たちは真夜中を過ぎても探索し続けるが、森に何も変化はなかった。
気付けば漆黒の闇がほんの少し薄くなっており、もうすぐ夜明けが近いことを報せる。
1日程度ではダメか?
吸血鬼は三日三晩彷徨ったというし、僕たちも数日森で過ごさねばならないのだろうか?
そもそも僕の推測が当たっているとも限らない。
少し弱気になってしまった瞬間、それは訪れた。
「な……なんでしゅかこの霧は!?」
「突然周りの気配が変わったぞ!? この凍えるような冷気はなんだ!?」
ドマさんとゼルマの言う通り、周囲の雰囲気がいきなり変わり、辺りに白い霧が立ちこめた。
解析してみると、ここは異界のようだった。
一応、周りは木々に囲まれているけど、恐らく霊界みたいなところだろう。
森をひたすら彷徨うことにより、この異界への『入り口』が開いたんだ!
「ここはいったいどこだ!?」
「あ、待って! 飛んじゃ……」
僕の制止を振り切り、ゼルマが空へと飛び上がる。
飛行しないように言ってあったんだけど、あまりの状況につい失念したようだ。
連れ戻すため、僕も『飛翔』を使おうとしたところ、ゼルマがコントロールを失ったように落ちてきた。
「なっ、うあああっ」
「ゼルマ、大丈夫か!?」
幸い、この程度ではゼルマが傷付くことはなく、身体に付いた土を払いながら起き上がる。
「今のはなんだ!? ワシの飛行能力が使えぬ!?」
「なんだって!? それは飛べないってこと?」
僕も『飛翔』で飛んでみる。しかし、木の高さを超えないうちに、浮力を失って落下してしまった。
なるほど、空に逃げることはできないってことか。そして異界に入ってしまったら、簡単には出口は分からない。
『迷いの森』の正体はコレだ。
もしゼルマがいなかったら、とてもここへは来られなかったな。
人類の歴史にこのことが伝わってないのは、異界の『入り口』が開くまでこの森を彷徨い続けるのが、人間には難しいからではないだろうか。
仮に奇跡的にここへ来たとしても、今度は生きて出ることが叶わないのでは?
そもそも危険すぎて、人間はこの森には近寄らないだろうけど。
「坊主、ここが『迷いの森』ってことでしゅね?」
「そうです。来れたのは全部ゼルマのおかげだよ。こんなところ、偶然だけじゃ絶対に探すのは不可能だ」
「そ、そうか! ワシもホッとしたぞ、フフフ」
ゼルマの表情がパーッと輝いた。
褒められるのは好きみたいで、何かと素直じゃないけど、こういうところは可愛い。
『迷いの森』は本当だった。あとは、『赤き天馬』がここに居るかだ。
僕は『領域支配』で気配を探知してみる。
……………………………………居るぞ!
大小様々な気配が散らばる中、何かとてつもない存在を1つ感じる!
恐らく、コイツがこの異界の主に違いない! 少し離れているが、だいたいの位置は捕捉した。
「ゼルマ、ドマさん、『赤き天馬』らしき存在をキャッチしました。ただ、一晩中歩きづめでしたから、一度休んでから出発しますか?」
「うんにゃ、すぐに行くでしゅ! この『迷いの森』が消えたら困りましゅし」
「ふむ……確かに、この異界がずっと安定してるとも限らん。吸血鬼でも、『赤き天馬』と出会えたのは1人だけだからな」
なるほど、ここに居られる時間制限があるかもしれないというわけか。
言われてみればその通りかも。
何せ異界だ、突然消えてしまう可能性は充分ある。
気になるのは、『赤き天馬』がどういう存在かということだ。
いま探知した限りでは、『神獣』というのとはちょっと違う気が……。
聖なる力などは全然感じないし、この異界も『聖域』というわけじゃない。
見つけたのはいいけど、少々想定外だ。
僕たちの目的は『神聖な存在』から魂の一部を分けてもらうことで、『赤き天馬』がそうでないなら、せっかく来たけど用はない。
このまま2人を近付けさせるのは危険に思うが、かといって、異界で別行動をするのはもっと危険だ。
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僕たちは気配の方向へと急いだ。
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現在、第五章リード王国編