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師匠と呼ばせて2
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学校帰り、ブラムはアルンとコリンと待ち合わせをしていた。
特に何もなければいつも三人で一緒に帰っている。
ここ数日の話題は、ミゼアスが連れ込んでいるアデルジェスという男についてだ。
ブラムはまだ話をしたことはないが、コリンは少しだけ言葉を交わしたという。アルンは結構長く話をしたことがあるらしい。
それでもアデルジェスがどういう人物かはよくわかっていなかった。穏やかで人が良いというのは間違いがなさそうだったが、詳しいことはわからない。
どこにミゼアスが部屋に連れ込み、離さないような魅力があるのか謎だった。
しかしこの日、アルンによってもたらされた情報により、衝撃が走った。
この日、アルンの授業は午後からだったため、昼前にミゼアスの部屋でアデルジェスと話したのだという。それはよい。問題はその後だ。
「あのミゼアス兄さんが三回もしたんだって。しかも、『良かった』と言ったんだよ」
昨夜、ミゼアスはアデルジェスと性交したらしい。
まあ、それはしているだろう。部屋に連れ込んでいるのだ、しないほうがおかしい。
しかし、本来はその時点でおかしいのだ。
ミゼアスは滅多に床入りをしない。特に初会ではまずしないし、常連客でも相手が焦燥感を募らせるまでのらりくらりとかわす。
焦らしの技なのだろう。昔の病気の後遺症で体力がないためという話も聞いている。しかし、そもそも性交自体があまり好きなわけではないのだろうとブラムたち三人は思っていた。
何せ滅多にない床入りの後、ミゼアスは半日ほど寝込む。
起きてくれば口にするのは『だるい』とか『疲れた』といった言葉だ。『良かった』なんていう台詞は聞いたことがない。
「さらに、昼前に起きてきたんだよ。床入りしていない日よりも早いくらいの時間に。ただでさえ、昨日なんてあの騒ぎで疲れていたはずなのに……ありえないよ」
普段と同じように考えるのならば、昼過ぎまで寝ているはずだ。
しかも三回もしたというのなら、今日一日寝込んでいてもおかしくないくらいだろう。
「……確かに、ありえないな」
信じられない気持ちでブラムは呟いた。
アルンはそうだろうというように頷く。
「アデルジェスさんって、それだけ上手だっていうことかなぁ?」
静かに響いたコリンの声に、はっとしてアルンとブラムはコリンを見る。
「だって……三回もするなんて、それだけミゼアス兄さんをその気にさせたってことだよね。しかもあのミゼアス兄さんに『良かった』と言わせるなんて……どれだけ凄いんだろう……」
うっとりとした声で呟くコリン。
「それに、ミゼアス兄さんを寝込ませないようにしながら、それでいて満足させたっていうことでしょう? これって、もう神業の域じゃないかなぁ」
コリンの言葉に、ブラムとアルンは顔を見合わせる。そしてお互い頷きあった。
謎は解けた。
あの一見平凡なアデルジェスという男は、実はミゼアスを虜にするほどの性の達人なのだ。
特に何もなければいつも三人で一緒に帰っている。
ここ数日の話題は、ミゼアスが連れ込んでいるアデルジェスという男についてだ。
ブラムはまだ話をしたことはないが、コリンは少しだけ言葉を交わしたという。アルンは結構長く話をしたことがあるらしい。
それでもアデルジェスがどういう人物かはよくわかっていなかった。穏やかで人が良いというのは間違いがなさそうだったが、詳しいことはわからない。
どこにミゼアスが部屋に連れ込み、離さないような魅力があるのか謎だった。
しかしこの日、アルンによってもたらされた情報により、衝撃が走った。
この日、アルンの授業は午後からだったため、昼前にミゼアスの部屋でアデルジェスと話したのだという。それはよい。問題はその後だ。
「あのミゼアス兄さんが三回もしたんだって。しかも、『良かった』と言ったんだよ」
昨夜、ミゼアスはアデルジェスと性交したらしい。
まあ、それはしているだろう。部屋に連れ込んでいるのだ、しないほうがおかしい。
しかし、本来はその時点でおかしいのだ。
ミゼアスは滅多に床入りをしない。特に初会ではまずしないし、常連客でも相手が焦燥感を募らせるまでのらりくらりとかわす。
焦らしの技なのだろう。昔の病気の後遺症で体力がないためという話も聞いている。しかし、そもそも性交自体があまり好きなわけではないのだろうとブラムたち三人は思っていた。
何せ滅多にない床入りの後、ミゼアスは半日ほど寝込む。
起きてくれば口にするのは『だるい』とか『疲れた』といった言葉だ。『良かった』なんていう台詞は聞いたことがない。
「さらに、昼前に起きてきたんだよ。床入りしていない日よりも早いくらいの時間に。ただでさえ、昨日なんてあの騒ぎで疲れていたはずなのに……ありえないよ」
普段と同じように考えるのならば、昼過ぎまで寝ているはずだ。
しかも三回もしたというのなら、今日一日寝込んでいてもおかしくないくらいだろう。
「……確かに、ありえないな」
信じられない気持ちでブラムは呟いた。
アルンはそうだろうというように頷く。
「アデルジェスさんって、それだけ上手だっていうことかなぁ?」
静かに響いたコリンの声に、はっとしてアルンとブラムはコリンを見る。
「だって……三回もするなんて、それだけミゼアス兄さんをその気にさせたってことだよね。しかもあのミゼアス兄さんに『良かった』と言わせるなんて……どれだけ凄いんだろう……」
うっとりとした声で呟くコリン。
「それに、ミゼアス兄さんを寝込ませないようにしながら、それでいて満足させたっていうことでしょう? これって、もう神業の域じゃないかなぁ」
コリンの言葉に、ブラムとアルンは顔を見合わせる。そしてお互い頷きあった。
謎は解けた。
あの一見平凡なアデルジェスという男は、実はミゼアスを虜にするほどの性の達人なのだ。
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