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ヴァレンの印象 3
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「ところで、お客たちからヴァレン兄さんに対する印象を調査してみました」
「……いったい、きみは何をやっているんだ」
「床入りを断られたことを気にしているようだったので」
非難めいたヴァレンの視線をものともせず、アルンは調査結果の紙をヴァレンに差し出す。
ヴァレンはあまり見たくなかったのだが、目に入ってしまった。記憶力と情報処理力がおかしいヴァレンは、その一瞬で内容がすべて頭に入ってしまう。
『あれは白花というか、別物』
『今問われて、初めて美少年だということに気づいた。あいつを見てもそんな気がしない』
『俺は突っ込めるよ。あいつにも穴があるからな』
このような、ろくでもない意見がつらつらと並んでいた。
ヴァレンはがっくりとうな垂れてしまう。
「床入りできるという意見もありましたよ。よかったですね」
「……穴がどうのとか、ひどい言い分じゃないか……」
ヴァレンが虚しさに包まれていると、扉を叩く音が響いた。
もうどうでもいいと思いながらヴァレンがどうぞと声をかけると、現れたのはエアイールだった。やや困惑したような表情で、ブラムとコリンに導かれている。
ヴァレンはふらふらとエアイールに歩み寄り、エアイールの肩にことんと額を押し当て、頭を持たせかけた。
「なんかもう……俺には、おまえしかいないのかもしれない……」
「……え?」
力ないヴァレンの呻きに、エアイールは戸惑いの声をもらす。
しかし、アルンがエアイールに意味ありげな微笑を投げかけると、得心したようにエアイールも微笑んでわずかに頷く。
そのまま、見習いたちがそっと部屋を出て行ったところで、エアイールは浮かび上がってくる笑みを抑えながら、ヴァレンを抱きしめた。
――後日、アルンたちはエアイールから大量のお菓子を贈られることになったのだった。
「……いったい、きみは何をやっているんだ」
「床入りを断られたことを気にしているようだったので」
非難めいたヴァレンの視線をものともせず、アルンは調査結果の紙をヴァレンに差し出す。
ヴァレンはあまり見たくなかったのだが、目に入ってしまった。記憶力と情報処理力がおかしいヴァレンは、その一瞬で内容がすべて頭に入ってしまう。
『あれは白花というか、別物』
『今問われて、初めて美少年だということに気づいた。あいつを見てもそんな気がしない』
『俺は突っ込めるよ。あいつにも穴があるからな』
このような、ろくでもない意見がつらつらと並んでいた。
ヴァレンはがっくりとうな垂れてしまう。
「床入りできるという意見もありましたよ。よかったですね」
「……穴がどうのとか、ひどい言い分じゃないか……」
ヴァレンが虚しさに包まれていると、扉を叩く音が響いた。
もうどうでもいいと思いながらヴァレンがどうぞと声をかけると、現れたのはエアイールだった。やや困惑したような表情で、ブラムとコリンに導かれている。
ヴァレンはふらふらとエアイールに歩み寄り、エアイールの肩にことんと額を押し当て、頭を持たせかけた。
「なんかもう……俺には、おまえしかいないのかもしれない……」
「……え?」
力ないヴァレンの呻きに、エアイールは戸惑いの声をもらす。
しかし、アルンがエアイールに意味ありげな微笑を投げかけると、得心したようにエアイールも微笑んでわずかに頷く。
そのまま、見習いたちがそっと部屋を出て行ったところで、エアイールは浮かび上がってくる笑みを抑えながら、ヴァレンを抱きしめた。
――後日、アルンたちはエアイールから大量のお菓子を贈られることになったのだった。
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みんなの感想(2件)
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キター(*≧▽≦)(笑)(笑)(笑)
返信で教えてもらったシーンは、この最新話ですね‼️(笑)
鬼が迫ってる。にも笑い、今まで培った技術で謝る……が宙返り!!!!ꉂ🤣𐤔
この可愛さと面白さ最高です✨
エアさんと一緒の時のヴァレンくんも大好きです♡
この2人も延々と見ていられる(*≧▽≦)
感想ありがとうございます!
あのシーンは、これです(笑)
笑っていただけて光栄です!
ヴァレンは努力の方向性が斜めに向かっています。
エアイールとヴァレンも、何だかんだで結構お似合いかもしれません。
大好きとおっしゃっていただけて、嬉しいです!
サクッと読めるのにちゃんと疑問回収されてて凄く嬉しい~!!!!
エアさんとヴァレン、やっぱり♡(笑)
エアさん成長したらとんでもない男前になりそ…って思っていたので、ヴァレンくんを押し倒した瞬間、よし!!!!( *˙ω˙*)و グッ!ってなりました😊✨
侯爵さまが本当に良い大人で良かった(^^)
音楽奏でに来る日を楽しみにするのも元気の源になりそうですね👍👍
三人衆面白い!!…凄腕の色事師(笑)誤解は解けないままでしたね(笑)
早速のご感想ありがとうございます!
エアイール×ヴァレンです。
これがきっかけで、二人の関係にちょっと変化が起こりました。
侯爵は本当にミゼアスのことを大切に思っています。
いつかやって来てくれる日を楽しみに生きていきます。
凄腕の色事師は、結局誤解されたまま終わりました(笑)
彼らの中ではアデルジェスは英雄です。