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鐘技怪異談W❼巻【完結】

154話「木読ざ/ん」

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「1」

 俺が体験した恐怖怪異談を披露するぜ。
 (パチパチ)
 ありがとな。
 じゃあ、早速だから怪異談披露するぞ。
 大事な事は2回言った。
 まず俺とグランドビッグマザーはケータイショップに出向き最新機種のスマホ愛盆18を手にすることができた。

「ウホホ。これが最新機種愛盆18!ウホホ」

「いいかい?ソシャゲなんちゃらに課金でもしたら、すぐ取り上げるからね!!」

 無駄使いにうるさいビッグマザーに忠告にうなずく俺。
 でも、ビッグマザーは韓流グッズや健康グッズにたくさん課金するのはスルーだよなーて思っていても口に出せなかったからとりあえず従うことにした。
 ん?ビッグマザーて?
 ああ、俺のおばあちゃんのあだ名だよ。
 そうそう。
 次へ行っていいか?
 それでようやく初めてスマホを手にすることができた俺は早速アドレス登録する相手はーー、

 近所の猿谷さんとアドレス交換した。

 え?最初は親からじゃないのかって?
 いやいや、猿谷さんは最近野薔薇家の近くに引越していろいろやってくれるんだぜ。
 洗濯、料理、庭の整備や野薔薇家の財務処理とかなんでもこなしてくれるからよ。
 え?もちろん無償だぞ?
 なんで?ご近所付き合いだし当然だろ?
 あと、猿谷さんの肩を揉んだからな俺は。
 じゃあ次へ行くぞ。
 そしてビッグマザーとメイド長不咲にメイドのみんなとパパだな。
 うんうん。
 で、スマホ愛盆を持って登校するときにちょうど亜矢が見かけたからひざかっくんして怒ったところでアドレス交換。
 そして雑草を観察してる草美だろ、そして土下座してる絵留胃奈にそのふんぞり返ってる礼奈、そしてコンビニで肉まんを購入して食べてる友紀とアドレス交換してあれよこれよとしてアドレス登録者数も1000人超えたからな。
 いやいや、嘘じゃねーぞ?ほら。
 あれ?みんなどうした?まじまじみてさ。
 え?動画配信でも始めるのかって?いやいや、そんな大かがりだし目立ちたくないからしないぞ?
 んでさ。人数もあれだし、ちょうど猿谷さんの提案でSNSグループでいくつか管理してるだよな。
 え?猿谷さんはもういいて?
 大丈夫だよ。もう猿谷さんは出てこないから。
 そろそろ怪異談内容も行けって?
 はいはい。ここからだぞ。
 その俺が所属する麻雀グループにさ、奇妙な抉られた木の画像が送られてきたんだよ。
 宛先は木読さんという方だな。
 そうそう。みんなもわかるだろ?
 先週に学校のグランド先に抉られた木がアレだな。
 犯人もまだ見つかってなかったし。
 当然ながらその木読さんは確信犯だったから一応グループリーダーの猿谷さんの権限で木読さんのアカと画像削除したんだけどな。
 ま、その後、俺のスマホ宛先に木読さんがまた画像が送られてきたんだよな。

 そう、老人と飼い犬の散歩してる姿がな。

 でさ、その見覚えがあったんだよ。

 その老人と飼い犬とよく似た抉られた木の姿を見ちゃったんだよ。

 俺は思わず怖くなって食べてるイカの干物を吐き出してしまったから。

「2」

 俺はその晩、猿谷さんが作るイカチャーハンを普段なら5杯余裕で平らげるがこの日は3杯で済んだ。
 その日はたまたま、ビッグマザーやメイド達もハワイ旅行で外泊してるから屋敷もいなく。パパは残業でいなかったから俺と猿谷さん2人だけしか屋敷はいなかった。
 そして食欲もなく好きなパクリナアニメや戦隊モノに目が入らずそのまま早くに就寝したんだよ。

 そしたらな、寝静まる晩奴が現れてきたんだ。

 シャキーン、シャキーンと巨大な襟バサミを担いだ白いワンピースの女性がな。

 俺は当然、そのシャキーンの音で目を覚ましたぞ。
 そしてそのシャキーン女性は俺に襲いかかり絶対絶命ピンチ!!

 そんな時に猿谷さんが現れた。

 猿谷さんは様子がおかしかった俺を心配して寝ずの見張りをしていたようだ。

 そして猿谷さんとシャキーン女性と激しい死闘を繰り広げるだぜ。

 その猿谷さんの構える聖剣は野薔薇家に伝わる伝説のえくさりカリバーンだ。

 そして猿谷さんのとっておきの必殺技エクサトルネードで竜巻剣でそのシャキーン女性は屋敷の建物外まで吹き飛ばされた。

「大丈夫か?真理亜君」

 そのカッコよく決まったセリフよりも激しい運動の末にズボンがずり落ちて苺のトランクスを履いていたのは内緒な。

 重くみた猿谷さんは野薔薇屋敷に結界を張って24時間監視するようになったんだぜ。


「あれ?みんなどうした」

 友紀達は何か不満気な顔だった。

「全部猿谷さんしか頭に入らなかったな」

「え?え?え?」

「あなた英霊でも召喚する気?最後のシーン、ファンタジーになってたわよ」

「え?俺の怪異談良かったろ?な?」

 真理亜の怪異談に首を傾げる部員たちだった。

 ーーとある男性の部員ーー

 彼の元に木読さんというSNSチャットの通知が来る。

「ん?またなんかのイタズラか」

 彼はそのまま木読さんの通知を確認せず削除した。

 次の日、彼の自宅の部屋で奇妙な人形の木が生えてあった。
 そこの木に鋭利な刃で抉られた箇所があった。
 その彼の行方は見つかってない。

 木読ざ/ん   完
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