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第一話:しゃべるヌイグルミは、せんべいが好物
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シン、と静まり返った会議室の空気は、まるで深海の水圧のように、私の全身に重くのしかかっていた。湿度を含んだ空気が肌に張り付き、高価なはずの革張りの椅子は、今や針の筵(むしろ)だ。窓の外では、西日に照らされたオフィスビル群が美しいシルエットを描いているというのに、この部屋だけが時間の流れから切り取られたように、よどんだ沈黙に支配されていた。
私の名前は、相川美希(あいかわ みき)、28歳。中堅のデザイン会社「アーク・クリエイティブ」に勤めて、早5年の月日が流れようとしている。学生時代から憧れていた業界に飛び込み、がむしゃらに走り続けてきた。それなりに経験も積み、今では小さなプロジェクトなら一人で任されるようにもなった。そう、今日までは、確かにそう信じていたのだ。
今、私の目の前では、クライアントである大手飲料メーカー「サンライズ・ビバレッジ」の販売促進部長、五十嵐氏が、重厚なマホガニーのテーブルの上でゆっくりと腕を組んだ。銀縁の眼鏡の奥の鋭い瞳が、私の企画書と私の顔とを交互に見比べ、やがて心底がっかりしたというように、深く、長い溜息をついた。その溜息が、室内の埃を舞い上がらせるのが見えるような錯覚さえ覚える。
「……相川さん、このコンセプトでは、正直、厳しいと言わざるを得ないね」
その一言は、静かでありながら、無慈悲な宣告だった。まるで硬質な刃物のように、私の胸の中心を的確に、そして深く抉っていく。昨日までの数週間、いや、このプロジェクトが始まってからの一ヶ月間、私の全てを注ぎ込んだはずだった。平均睡眠時間は3時間を切り、栄養はエナジードリンクとコンビニのサンドイッチで補った。膨大な市場データを分析し、ターゲット層である20代女性のインサイトを探り、何十ものアイデアスケッチを描き潰した。その果てに辿り着いた、渾身の企画。それが今、価値のない紙切れへと変わってしまった。
企画書のタイトル「日常に、小さな革命を。」という文字が、虚しく目に飛び込んでくる。私が起こしたかった革命は、誰の心にも届かなかった。頭が真っ白になり、血の気が引いていくのがわかる。何か、何か言わなければ。この沈黙を破らなければ。しかし、喉から絞り出せたのは、「申し訳ありません…」という、自分でも驚くほど情けなく震える声だけだった。その声は、重苦しい空気に吸い込まれ、誰の耳に届くこともなく消えていった。
五十嵐部長は、追い打ちをかけるように言葉を続ける。「斬新さを狙うのはいい。だが、奇をてらいすぎている。我々が求めているのは、もっと地に足のついた、共感を呼ぶストーリーなんだ。これでは、一部のマニアにしか響かない。我々のブランドイメージとも乖離している」。正論だった。反論の余地など、どこにもない。だからこそ、余計に苦しかった。私の努力は、クライアントが求める方向とは真逆を向いていたのだ。絶望的な沈黙が、再び会議室を支配する。もう駄目だ。このプロジェクトは、私の手から離れていく。
その時だった。
「部長、大変恐縮ですが、もしよろしければ、こちらのB案はいかがでしょうか」
凛とした、しかし決して出しゃばりではない、絶妙なトーンの声が響いた。その声と共に、すっとテーブルの中央に差し出された一台のタブレット。発言したのは、私の二年後輩にあたる、田中沙織(たなか さおり)さんだ。
彼女は、私とは対照的だった。いつも涼やかな顔で、膨大なタスクを軽々とこなし、それでいて決して驕らない。コミュニケーション能力に長け、社内でもクライアントからも可愛がられる、いわゆる「要領のいい」タイプ。私はそんな彼女を、眩しく思うと同時に、心のどこかで妬ましく感じていた。
彼女が差し出したタブレットの画面には、洗練されたデザインが表示されていた。それは、私が初期段階で検討し、「インパクトが弱い」という自己判断で捨てたアイデアがベースになっていた。だが、そこには彼女なりの視点が見事に加えられ、私が捨てたはずの石ころが、見事な宝石へと生まれ変わっていた。私がこだわった「革命」という大げさなテーマではなく、「いつもの私に、ひとさじの彩りを」という、より身近で、それでいて心惹かれるコピーが添えられている。ビジュアルも、私が提案したアーティスティックなものではなく、人気インスタグラマーを起用した、親近感の湧くライフスタイルシーンだった。
それを見た瞬間、五十嵐部長の険しい顔が、ぱっと雪解けのように明るくなるのを、私は呆然と見つめるしかなかった。
「おお、これだ! そう、これだよ! 相川さんの案も意欲的で良かったが、我々が今、市場に届けたいのは、こちらの世界観だ。日常に寄り添いながらも、少しだけ特別な気持ちにさせてくれる。素晴らしいじゃないか。田中さん、ありがとう。本当に助かったよ」
手放しの賞賛。それは、私が喉から手が出るほど欲しかった言葉だった。私の立つ瀬がない。私の存在価値が、この場で完全に否定されたような感覚。惨めさで、顔から火が出そうだった。
「いえ、とんでもないです。元はと言えば、相川先輩の初期アイデアがあったからこそですから」
そう言って、田中さんは私に向かって、一点の曇りもない、天使のような笑みを向けた。悪気がないのは、痛いほどわかっている。彼女の言葉は本心で、私を立てようとしてくれていることさえ理解できる。でも、だからこそ、その純粋さが、その優しさが、私のささくれ立った心を余計に惨めにさせた。まるで、出来の悪い姉を気遣う、優秀な妹のようではないか。
(なんで、私ばっかり……こんな惨めな思いをしなくちゃいけないの)
その後の会議の記憶は、ほとんどない。田中さんが主導権を握り、部長と和やかにディスカッションを進めていくのを、私はただ相槌を打つだけの置物と化して聞いていた。オフィスに戻るエレベーターの中で、上司が「田中、よくやったな。相川も、今回はいい勉強になっただろう」と声をかけてきたが、私は曖昧に笑って頷くことしかできなかった。
オフィスに戻る足取りは、両足に鉛の塊を括り付けられたかのように重かった。自分のデスクへの短い距離が、果てしなく遠く感じる。同僚たちの視線が、憐れみや好奇の色を帯びて背中に突き刺さるような気がした。もちろん、それも私の自意識過剰なのだろう。彼らは彼らの仕事で忙しい。誰も私のことなど、それほど気にしてはいない。わかっているのに、そう思わずにはいられなかった。
◇
満員電車の揺れに身を任せながら、私は吊り革を握りしめ、ガラス窓に映る自分の顔をぼんやりと見つめていた。疲れ切って生気のない、ひどい顔。アイラインは滲み、ファンデーションはよれている。こんな顔で、私は一体どんな「革命」を起こそうとしていたのだろうか。
最寄り駅に着き、商店街の喧騒を抜けて、古びたアパートへと続く坂道を登る。すれ違う人々は皆、それぞれの人生を生きている。私一人が、世界の終わりみたいな顔をしているのが馬鹿馬鹿しく思えた。
ようやくたどり着いた自宅アパートのドアを開け、鍵をかけるのももどかしく、履いていたヒールを脱ぎ捨てるように玄関に放り投げた。カツン、と乾いた音が、静まり返った部屋に虚しく響く。
電気もつけず、カーテンも閉め切ったままの薄暗い部屋に、よろよろと足を踏み入れる。メイクを落とす気力も、スーツを着替える気力もない。そのまま、ベッドに倒れ込んだ。硬いジャケットの感触も、シーツにファンデーションがつくことも、今はどうでもよかった。
「もう、いやだ……」
絞り出した声は、誰に聞かれることもなく、部屋の闇に溶けて消えた。
頑張っても、頑張っても、空回り。徹夜で調べ上げたデータも、寝る間を惜しんで考えたアイデアも、全てが無駄だった。それどころか、私が「ダメだ」と切り捨てたものを、要領のいい後輩が拾い上げ、あっという間に追い抜いていく。
私のこの5年間は、一体なんだったんだろう。入社したての頃は、希望に満ち溢れていた。どんな小さな仕事でも、自分の作ったものが世に出ることが嬉しかった。クライアントに「ありがとう」と言われるたびに、胸が熱くなった。いつからだろう。純粋な喜びよりも、誰かに評価されることばかりを気にするようになったのは。いつから、他人と自分を比べて、焦りや嫉妬を感じるようになったのは。
悔しさと情けなさで、視界が歪む。堪えていた涙が、じわりと枕に染みを作った。一度流れ始めた涙は、堰を切ったように溢れ出し、止まらなくなった。
その時だった。
もぞもぞ。
私が顔を埋めている枕の、そのすぐ隣。ベッドの隅の方から、何かが微かに動く気配がした。
(え…?)
全身の毛が逆立つ。まさか、ゴキブリ? この世で最も忌み嫌う、黒い悪魔の姿が脳裏をよぎる。嫌な予感が、冷たい水のように背筋を走り抜けた。
泣きじゃくるのをやめ、息を殺して、恐る恐る顔を上げた。薄暗闇に慣れてきた目が、ゆっくりとその正体を捉える。そこにいたのは、黒い悪魔ではなかった。
部屋の隅に、埃をかぶって追いやっていた、いつか休日に訪れたゲームセンターで、意地になって取った大きなヌイグルミ。胴体は丸々と太っていてカピバラのようでもあり、長く垂れた耳はウサギのようでもある。なんとも言えない、不思議なデザインの、ただのヌイグルミ。最後にいつ触ったかも思い出せない、存在すら忘れかけていたガラクタ。
そのヌイグルミが、確かに、もぞもぞと、腹のあたりを波打たせるように、動いていた。
「……つ、疲れてるのかな、私」
幻覚だ。きっとそうだ。連日の徹夜と、今日の強烈なストレスで、ついに頭がおかしくなってしまったんだ。そうに違いない。そう自分に言い聞かせようとした、まさに次の瞬間。
「お主、かなりしんどそうじゃの」
(……は?)
気のせいじゃなかった。幻聴でもない。
しゃべった。
今、明らかに、このヌイグルミが、しゃべった。
しかも、のんびりとした、それでいて深みのある、まるでお寺の和尚さんのような、おじいさんの声で。
私はゆっくりと、まるで錆びついたブリキ人形のように体を起こし、ヌイグルミを凝視した。プラスチックでできた、つぶらな黒い瞳。ぽてっと突き出たお腹。少し毛玉のできた、くたびれた生地。どう見ても、ただの綿が詰まった塊だ。生命の気配など、どこにも感じられない。
震える手を伸ばし、人差し指で、おそるおそるそのぽてっとしたお腹のあたりをつついてみる。ふかふか、というよりは、しっかりと綿が詰まった、むっちりとした感触だ。
「こら。気安くつつくでないわ、小娘」
「ひゃっ!?」
私は短い悲鳴を上げ、ベッドから転げ落ちた。ゴン、とフローリングに後頭部を打ち付け、尻餅をついたまま、口を半開きにしてヌイグルミを見上げる。
すると、ヌイグルミは、短い手(のような突起物)で「やれやれ」というように、自分の頭をぽりぽりとかいていた。その仕草があまりにも人間臭くて、私の混乱は頂点に達した。
「わ、わたし、ついに、本気で病院行ったほうがいいですかね…? 幻覚見て、幻聴まで聞こえて……」
しどろもどろに尋ねる私に、ヌイグルミはこともなげに答えた。
「病院では、わしは見つけてもらえんじゃろうな。医者にもカウンセラーにも、わしの存在は感知できん。わしは、お主の心の澱(おり)を掃除しにきた、しがない神じゃからの。まあ、気軽にモフ様とでも呼ぶがよい」
モフ様。
神様。
心の、澱。
情報量が多すぎて、私の脳のキャパシティは完全にショートを起こした。ショートした頭で、必死に言葉を紡ぐ。
「えっと…つまり、あなたは…神様で…私のこの、どうしようもない悩みを解決してくれる、的な…そういう都合のいい存在、なんですか…?」
「ふむ。半分正解で、半分不正解じゃな。解決するのは、あくまでお主自身じゃ。わしは、その手伝いをするだけじゃよ。淀みきった風呂の栓を抜いてやる、まあ、そんなところかの」
モフ様はそう言うと、どこからともなく、大きな丸い醤油せんべいを取り出し、バリボリと豪快な音を立てて食べ始めた。その、あまりにも自由で、マイペースな振る舞いに、私の張り詰めていた緊張の糸が、ぷつりと、音を立てて切れた。
「う、うわあああああああん! もういやだーっ! 私だって、私だって頑張ってるのに! 誰も見てくれないし、田中さんばっかり褒められるし! 私の企画だって、時間をかけたのに、あんなの一瞬で…! ひどい、ひどすぎるっ!」
堰を切ったように、私は今日の出来事を、子供のように泣きじゃくりながらぶちまけた。部長の冷たい言葉、田中さんの眩しい笑顔、上司の無神経な一言、同僚たちの視線。心に溜まっていた毒を、全て吐き出すように。
モフ様は、せんべいをかじる手を止め、ただ静かに、そのつぶらな瞳で私を見つめ、私の話を聞いていた。相槌を打つでもなく、茶化すでもなく、ただただ、静かに。
一通り話し終えて、私がしゃくりあげながら鼻をすすっていると、モフ様がぽつりと言った。
「なるほどのう。お主の苦しみ、よう分かった。……では、お主に一つ問うが」
「…なに?」
まだ涙声のまま、私は顔を上げた。
「お主は、『褒められるため』に仕事をしておるのかの?」
その言葉に、私はハッとした。心臓を、鷲掴みにされたような、強烈な衝撃だった。
「そ、そんなわけないじゃない! 仕事は、クライアントのため、その先のお客さんのためにやってる! 会社に貢献するためでもあるし…!」
慌てて否定する私を、モフ様は静かに見据える。その黒い瞳は、ただのプラスチックのはずなのに、全てを見透かしているように感じられた。
「じゃが、お主の今のその苦しみは、『褒められなかったこと』から来ておる。違うかの? 田中さんが褒められ、お主が褒められなかった。その事実が、お主をこれほどまでに打ちのめしておる。それは、クライアントのため、会社のためという気持ちから来る苦しみとは、少し種類が違うのではないかの?」
「それは…」
言葉に詰まる。ぐうの音も出ない。
そうだ。その通りだ。
クライアントのため、会社のためと思ってきたのは嘘じゃない。でも、その根底には、その奥深くには、間違いなく「すごいね」「頑張ったね」「さすがだね」と誰かに認めてもらいたい、という強い欲求があった。田中さんが脚光を浴びたことで、私が得られるはずだった賞賛が奪われた。私の苦しみは、完全にそこから来ていたのだ。自分の未熟さ、浅ましさを突きつけられ、顔が熱くなる。
モフ様は、最後のひとかけらのせんべいを口に放り込み、満足げにバリッと咀嚼すると、こう言った。
「うん、なかなか美味いせんべいじゃった。……よし、決めた。お主のその心の澱、なかなか掃除しがいがありそうじゃ。わしが、一緒にその正体を探してやろうじゃないか」
「え…」
「まずは、手始めに。お主が今、一番強く、そして厄介な形でとらわれておる、その**『怒り』**という感情から、解き明かしてみるとしようかの」
そう言って、モフ様はニヤリと、口元が歪んだように見えた。それは、暗闇と涙で滲んだ私の目に、確かにそう映ったのだ。
こうして、私の人生で最も奇妙で、そしておそらく最も重要な、しゃべるヌイグルミとの同居生活が、何の予告もなく、突然に幕を開けたのだった。床に座り込んだままの私の背後で、忘れ去られたスーツケースが、まるで舞台装置のように静かに佇んでいた。
私の名前は、相川美希(あいかわ みき)、28歳。中堅のデザイン会社「アーク・クリエイティブ」に勤めて、早5年の月日が流れようとしている。学生時代から憧れていた業界に飛び込み、がむしゃらに走り続けてきた。それなりに経験も積み、今では小さなプロジェクトなら一人で任されるようにもなった。そう、今日までは、確かにそう信じていたのだ。
今、私の目の前では、クライアントである大手飲料メーカー「サンライズ・ビバレッジ」の販売促進部長、五十嵐氏が、重厚なマホガニーのテーブルの上でゆっくりと腕を組んだ。銀縁の眼鏡の奥の鋭い瞳が、私の企画書と私の顔とを交互に見比べ、やがて心底がっかりしたというように、深く、長い溜息をついた。その溜息が、室内の埃を舞い上がらせるのが見えるような錯覚さえ覚える。
「……相川さん、このコンセプトでは、正直、厳しいと言わざるを得ないね」
その一言は、静かでありながら、無慈悲な宣告だった。まるで硬質な刃物のように、私の胸の中心を的確に、そして深く抉っていく。昨日までの数週間、いや、このプロジェクトが始まってからの一ヶ月間、私の全てを注ぎ込んだはずだった。平均睡眠時間は3時間を切り、栄養はエナジードリンクとコンビニのサンドイッチで補った。膨大な市場データを分析し、ターゲット層である20代女性のインサイトを探り、何十ものアイデアスケッチを描き潰した。その果てに辿り着いた、渾身の企画。それが今、価値のない紙切れへと変わってしまった。
企画書のタイトル「日常に、小さな革命を。」という文字が、虚しく目に飛び込んでくる。私が起こしたかった革命は、誰の心にも届かなかった。頭が真っ白になり、血の気が引いていくのがわかる。何か、何か言わなければ。この沈黙を破らなければ。しかし、喉から絞り出せたのは、「申し訳ありません…」という、自分でも驚くほど情けなく震える声だけだった。その声は、重苦しい空気に吸い込まれ、誰の耳に届くこともなく消えていった。
五十嵐部長は、追い打ちをかけるように言葉を続ける。「斬新さを狙うのはいい。だが、奇をてらいすぎている。我々が求めているのは、もっと地に足のついた、共感を呼ぶストーリーなんだ。これでは、一部のマニアにしか響かない。我々のブランドイメージとも乖離している」。正論だった。反論の余地など、どこにもない。だからこそ、余計に苦しかった。私の努力は、クライアントが求める方向とは真逆を向いていたのだ。絶望的な沈黙が、再び会議室を支配する。もう駄目だ。このプロジェクトは、私の手から離れていく。
その時だった。
「部長、大変恐縮ですが、もしよろしければ、こちらのB案はいかがでしょうか」
凛とした、しかし決して出しゃばりではない、絶妙なトーンの声が響いた。その声と共に、すっとテーブルの中央に差し出された一台のタブレット。発言したのは、私の二年後輩にあたる、田中沙織(たなか さおり)さんだ。
彼女は、私とは対照的だった。いつも涼やかな顔で、膨大なタスクを軽々とこなし、それでいて決して驕らない。コミュニケーション能力に長け、社内でもクライアントからも可愛がられる、いわゆる「要領のいい」タイプ。私はそんな彼女を、眩しく思うと同時に、心のどこかで妬ましく感じていた。
彼女が差し出したタブレットの画面には、洗練されたデザインが表示されていた。それは、私が初期段階で検討し、「インパクトが弱い」という自己判断で捨てたアイデアがベースになっていた。だが、そこには彼女なりの視点が見事に加えられ、私が捨てたはずの石ころが、見事な宝石へと生まれ変わっていた。私がこだわった「革命」という大げさなテーマではなく、「いつもの私に、ひとさじの彩りを」という、より身近で、それでいて心惹かれるコピーが添えられている。ビジュアルも、私が提案したアーティスティックなものではなく、人気インスタグラマーを起用した、親近感の湧くライフスタイルシーンだった。
それを見た瞬間、五十嵐部長の険しい顔が、ぱっと雪解けのように明るくなるのを、私は呆然と見つめるしかなかった。
「おお、これだ! そう、これだよ! 相川さんの案も意欲的で良かったが、我々が今、市場に届けたいのは、こちらの世界観だ。日常に寄り添いながらも、少しだけ特別な気持ちにさせてくれる。素晴らしいじゃないか。田中さん、ありがとう。本当に助かったよ」
手放しの賞賛。それは、私が喉から手が出るほど欲しかった言葉だった。私の立つ瀬がない。私の存在価値が、この場で完全に否定されたような感覚。惨めさで、顔から火が出そうだった。
「いえ、とんでもないです。元はと言えば、相川先輩の初期アイデアがあったからこそですから」
そう言って、田中さんは私に向かって、一点の曇りもない、天使のような笑みを向けた。悪気がないのは、痛いほどわかっている。彼女の言葉は本心で、私を立てようとしてくれていることさえ理解できる。でも、だからこそ、その純粋さが、その優しさが、私のささくれ立った心を余計に惨めにさせた。まるで、出来の悪い姉を気遣う、優秀な妹のようではないか。
(なんで、私ばっかり……こんな惨めな思いをしなくちゃいけないの)
その後の会議の記憶は、ほとんどない。田中さんが主導権を握り、部長と和やかにディスカッションを進めていくのを、私はただ相槌を打つだけの置物と化して聞いていた。オフィスに戻るエレベーターの中で、上司が「田中、よくやったな。相川も、今回はいい勉強になっただろう」と声をかけてきたが、私は曖昧に笑って頷くことしかできなかった。
オフィスに戻る足取りは、両足に鉛の塊を括り付けられたかのように重かった。自分のデスクへの短い距離が、果てしなく遠く感じる。同僚たちの視線が、憐れみや好奇の色を帯びて背中に突き刺さるような気がした。もちろん、それも私の自意識過剰なのだろう。彼らは彼らの仕事で忙しい。誰も私のことなど、それほど気にしてはいない。わかっているのに、そう思わずにはいられなかった。
◇
満員電車の揺れに身を任せながら、私は吊り革を握りしめ、ガラス窓に映る自分の顔をぼんやりと見つめていた。疲れ切って生気のない、ひどい顔。アイラインは滲み、ファンデーションはよれている。こんな顔で、私は一体どんな「革命」を起こそうとしていたのだろうか。
最寄り駅に着き、商店街の喧騒を抜けて、古びたアパートへと続く坂道を登る。すれ違う人々は皆、それぞれの人生を生きている。私一人が、世界の終わりみたいな顔をしているのが馬鹿馬鹿しく思えた。
ようやくたどり着いた自宅アパートのドアを開け、鍵をかけるのももどかしく、履いていたヒールを脱ぎ捨てるように玄関に放り投げた。カツン、と乾いた音が、静まり返った部屋に虚しく響く。
電気もつけず、カーテンも閉め切ったままの薄暗い部屋に、よろよろと足を踏み入れる。メイクを落とす気力も、スーツを着替える気力もない。そのまま、ベッドに倒れ込んだ。硬いジャケットの感触も、シーツにファンデーションがつくことも、今はどうでもよかった。
「もう、いやだ……」
絞り出した声は、誰に聞かれることもなく、部屋の闇に溶けて消えた。
頑張っても、頑張っても、空回り。徹夜で調べ上げたデータも、寝る間を惜しんで考えたアイデアも、全てが無駄だった。それどころか、私が「ダメだ」と切り捨てたものを、要領のいい後輩が拾い上げ、あっという間に追い抜いていく。
私のこの5年間は、一体なんだったんだろう。入社したての頃は、希望に満ち溢れていた。どんな小さな仕事でも、自分の作ったものが世に出ることが嬉しかった。クライアントに「ありがとう」と言われるたびに、胸が熱くなった。いつからだろう。純粋な喜びよりも、誰かに評価されることばかりを気にするようになったのは。いつから、他人と自分を比べて、焦りや嫉妬を感じるようになったのは。
悔しさと情けなさで、視界が歪む。堪えていた涙が、じわりと枕に染みを作った。一度流れ始めた涙は、堰を切ったように溢れ出し、止まらなくなった。
その時だった。
もぞもぞ。
私が顔を埋めている枕の、そのすぐ隣。ベッドの隅の方から、何かが微かに動く気配がした。
(え…?)
全身の毛が逆立つ。まさか、ゴキブリ? この世で最も忌み嫌う、黒い悪魔の姿が脳裏をよぎる。嫌な予感が、冷たい水のように背筋を走り抜けた。
泣きじゃくるのをやめ、息を殺して、恐る恐る顔を上げた。薄暗闇に慣れてきた目が、ゆっくりとその正体を捉える。そこにいたのは、黒い悪魔ではなかった。
部屋の隅に、埃をかぶって追いやっていた、いつか休日に訪れたゲームセンターで、意地になって取った大きなヌイグルミ。胴体は丸々と太っていてカピバラのようでもあり、長く垂れた耳はウサギのようでもある。なんとも言えない、不思議なデザインの、ただのヌイグルミ。最後にいつ触ったかも思い出せない、存在すら忘れかけていたガラクタ。
そのヌイグルミが、確かに、もぞもぞと、腹のあたりを波打たせるように、動いていた。
「……つ、疲れてるのかな、私」
幻覚だ。きっとそうだ。連日の徹夜と、今日の強烈なストレスで、ついに頭がおかしくなってしまったんだ。そうに違いない。そう自分に言い聞かせようとした、まさに次の瞬間。
「お主、かなりしんどそうじゃの」
(……は?)
気のせいじゃなかった。幻聴でもない。
しゃべった。
今、明らかに、このヌイグルミが、しゃべった。
しかも、のんびりとした、それでいて深みのある、まるでお寺の和尚さんのような、おじいさんの声で。
私はゆっくりと、まるで錆びついたブリキ人形のように体を起こし、ヌイグルミを凝視した。プラスチックでできた、つぶらな黒い瞳。ぽてっと突き出たお腹。少し毛玉のできた、くたびれた生地。どう見ても、ただの綿が詰まった塊だ。生命の気配など、どこにも感じられない。
震える手を伸ばし、人差し指で、おそるおそるそのぽてっとしたお腹のあたりをつついてみる。ふかふか、というよりは、しっかりと綿が詰まった、むっちりとした感触だ。
「こら。気安くつつくでないわ、小娘」
「ひゃっ!?」
私は短い悲鳴を上げ、ベッドから転げ落ちた。ゴン、とフローリングに後頭部を打ち付け、尻餅をついたまま、口を半開きにしてヌイグルミを見上げる。
すると、ヌイグルミは、短い手(のような突起物)で「やれやれ」というように、自分の頭をぽりぽりとかいていた。その仕草があまりにも人間臭くて、私の混乱は頂点に達した。
「わ、わたし、ついに、本気で病院行ったほうがいいですかね…? 幻覚見て、幻聴まで聞こえて……」
しどろもどろに尋ねる私に、ヌイグルミはこともなげに答えた。
「病院では、わしは見つけてもらえんじゃろうな。医者にもカウンセラーにも、わしの存在は感知できん。わしは、お主の心の澱(おり)を掃除しにきた、しがない神じゃからの。まあ、気軽にモフ様とでも呼ぶがよい」
モフ様。
神様。
心の、澱。
情報量が多すぎて、私の脳のキャパシティは完全にショートを起こした。ショートした頭で、必死に言葉を紡ぐ。
「えっと…つまり、あなたは…神様で…私のこの、どうしようもない悩みを解決してくれる、的な…そういう都合のいい存在、なんですか…?」
「ふむ。半分正解で、半分不正解じゃな。解決するのは、あくまでお主自身じゃ。わしは、その手伝いをするだけじゃよ。淀みきった風呂の栓を抜いてやる、まあ、そんなところかの」
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「う、うわあああああああん! もういやだーっ! 私だって、私だって頑張ってるのに! 誰も見てくれないし、田中さんばっかり褒められるし! 私の企画だって、時間をかけたのに、あんなの一瞬で…! ひどい、ひどすぎるっ!」
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モフ様は、せんべいをかじる手を止め、ただ静かに、そのつぶらな瞳で私を見つめ、私の話を聞いていた。相槌を打つでもなく、茶化すでもなく、ただただ、静かに。
一通り話し終えて、私がしゃくりあげながら鼻をすすっていると、モフ様がぽつりと言った。
「なるほどのう。お主の苦しみ、よう分かった。……では、お主に一つ問うが」
「…なに?」
まだ涙声のまま、私は顔を上げた。
「お主は、『褒められるため』に仕事をしておるのかの?」
その言葉に、私はハッとした。心臓を、鷲掴みにされたような、強烈な衝撃だった。
「そ、そんなわけないじゃない! 仕事は、クライアントのため、その先のお客さんのためにやってる! 会社に貢献するためでもあるし…!」
慌てて否定する私を、モフ様は静かに見据える。その黒い瞳は、ただのプラスチックのはずなのに、全てを見透かしているように感じられた。
「じゃが、お主の今のその苦しみは、『褒められなかったこと』から来ておる。違うかの? 田中さんが褒められ、お主が褒められなかった。その事実が、お主をこれほどまでに打ちのめしておる。それは、クライアントのため、会社のためという気持ちから来る苦しみとは、少し種類が違うのではないかの?」
「それは…」
言葉に詰まる。ぐうの音も出ない。
そうだ。その通りだ。
クライアントのため、会社のためと思ってきたのは嘘じゃない。でも、その根底には、その奥深くには、間違いなく「すごいね」「頑張ったね」「さすがだね」と誰かに認めてもらいたい、という強い欲求があった。田中さんが脚光を浴びたことで、私が得られるはずだった賞賛が奪われた。私の苦しみは、完全にそこから来ていたのだ。自分の未熟さ、浅ましさを突きつけられ、顔が熱くなる。
モフ様は、最後のひとかけらのせんべいを口に放り込み、満足げにバリッと咀嚼すると、こう言った。
「うん、なかなか美味いせんべいじゃった。……よし、決めた。お主のその心の澱、なかなか掃除しがいがありそうじゃ。わしが、一緒にその正体を探してやろうじゃないか」
「え…」
「まずは、手始めに。お主が今、一番強く、そして厄介な形でとらわれておる、その**『怒り』**という感情から、解き明かしてみるとしようかの」
そう言って、モフ様はニヤリと、口元が歪んだように見えた。それは、暗闇と涙で滲んだ私の目に、確かにそう映ったのだ。
こうして、私の人生で最も奇妙で、そしておそらく最も重要な、しゃべるヌイグルミとの同居生活が、何の予告もなく、突然に幕を開けたのだった。床に座り込んだままの私の背後で、忘れ去られたスーツケースが、まるで舞台装置のように静かに佇んでいた。
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