「なんとなく不調」の正体 ~気・血・水で読み解く自分の体質~

Gaku

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第四十一話:方証相対(ほうしょうそうたい)という哲学

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十一月も半ばを過ぎると、東堂漢方クリニックを囲むささやかな庭の景色は、その色彩の主役を性急に移り変わらせていく。数週間前まで燃えるような深紅で空を彩っていたモミジの葉は、今はその多くが地面を覆う絨毯となり、訪れる者の靴底に乾いた音を立てさせた。残された枝々は、冬の到来に備えるように黒々としたシルエットを空に描き、その姿はどこか潔く、そして寂しげでもあった。

研修医である本田未来(ほんだみらい)がクリニックの引き戸を開けると、ふわりと漢方薬の独特な香りが鼻腔をくすぐった。それは単一の香りではない。甘草の優しい甘さ、桂皮(けいひ)の澄んだ刺激、地黄(じおう)の土を思わせる深い香り。それらが幾重にも重なり合い、この場所に流れる時間そのもののような、複雑で穏やかな芳香を醸し出している。未来にとって、当初は異国の香りでしかなかったこの匂いも、今ではすっかり心落ち着く「日常の香り」になっていた。

「おはようございます、先生」

診察室を覗き込むと、東堂宗右衛門(とうどうそうえもん)はいつものように文机に向かい、古い医学書に視線を落としていた。障子越しの朝の光が、先生の銀髪を柔らかく照らし出し、その横顔に深い陰影を刻んでいる。部屋の隅に置かれた古い鉄瓶からは、しゅんしゅんと細く湯気の立つ音が聞こえ、静謐(せいひつ)な空気に温かな彩りを添えていた。

「おお、未来先生か。おはよう。今朝はずいぶんと冷えるな。庭の山茶花(さざんか)が、とうとう最初の一つを咲かせたぞ」

東堂は顔を上げると、目を細めて微笑んだ。その視線の先にある窓の外では、濃い緑の葉の中に、凛とした桃色の花びらが一つ、寒風に健気に揺れているのが見えた。

「本当ですね。もうそんな季節ですか…」

未来は白衣に袖を通しながら、窓の外に広がる晩秋の風景に目をやった。ついこの間まで、蝉の声が降り注ぐ中で汗を拭っていた気がするのに、季節の移ろいはあまりに早い。研修でこのクリニックの門を叩いてから、半年以上の月日が流れていた。西洋医学の最前線である大学病院とは何もかもが違うこの場所で、未来は戸惑い、反発し、そして少しずつ、その計り知れない奥行きに魅了され始めていた。

「気・血・水」、「陰陽」、「五行」、「臓腑」。一つ一つの概念を学ぶたび、目の前には新しい世界が広がった。特に、先だって東堂から教わった江戸時代の漢方医、吉益東洞(よしますとうどう)の思想は、未来に強烈な衝撃を与えていた。「万病一毒説」という、病の原因を体内に生じた一つの「毒」に集約する大胆な仮説。そして、その毒の在り処を、患者の腹を丹念に診る「腹診」によって探り出すという、徹底した実践主義。

それは、中医学の緻密で壮大な理論体系とは、あまりにも趣が異なっていた。未来の頭の中では、複雑な陰陽五行の相生相克関係を説く中医学の教科書と、「この腹の証には、この薬」とばかりに、まるで合鍵を合わせるように処方を決めていったという吉益東洞の姿が、奇妙なコントラストを描いてせめぎ合っていた。

どちらが正しいというわけではない。東堂はそう言った。だが、未来の西洋医学で鍛えられた思考は、どうしてもその「なぜ」を求めてしまう。なぜ、腹のこの部分が硬いと、この漢方薬が効くのか。その背後にあるメカニズムは何なのか。理論と実践の間に横たわる、見えない深い谷間を、彼女はまだ渡りきれずにいるような気がしていた。

その日の午後、クリニックには一人の男性患者が訪れた。四十代半ばの、がっしりとした体格のサラリーマンだった。しかし、その体格とは裏腹に、彼の表情は苦痛に歪み、額には脂汗が滲んでいる。

「先生、すみません。また、この胃の痛みが…。もう、どうにも我慢できなくて…」

彼は椅子に座るのももどかしそうに、スーツの上着の上から、自身のみぞおちのあたりを苦しげに押さえた。

「ふむ。またいつもの差し込みですかな。少し、ベッドに横になってみてください。お腹を診ましょう」

東堂に促され、男性は診察台にゆっくりと横になった。未来は、その様子を固唾をのんで見守る。

東堂は男性のワイシャツのボタンを外し、腹部を露わにさせると、その上にそっと両手を置いた。未来も、指導医の許可を得て、その腹に触れさせてもらった。

(…硬い)

みぞおちの辺り、東洋医学でいう「心下(しんか)」と呼ばれる部位が、板のように硬く張っている。指で押すと、強い抵抗感があり、患者は「うっ」と苦しそうな声を漏らした。これは、未来も既に学んだ腹証の一つ、「心下痞硬(しんかひこう)」だ。胃腸の機能が著しく低下し、気や水の巡りが滞っているサイン。

「食欲はどうですかな?」
東堂は腹から手を離さずに尋ねる。
「全くありません。むしろ、食べ物のことなど考えたくもないくらいで…。口の中も、なんだか粘つくような感じで気持ちが悪いです」
「吐き気は?」
「ええ、時々こみ上げてきます。でも、何も出ないんです」
「そうですか。下痢はしていませんか?」
「いえ、便は普通です。ただ、この痛みのせいで、体全体の力が抜けるような感じで、ひどくだるいんです」

問診はごく短いものだった。東堂は静かに頷くと、患者の体を起こさせ、未来の方を振り返った。

「未来先生。この患者さんの『証(しょう)』は何だと思うかね?」

突然の問いに、未来は一瞬言葉に詰まる。しかし、目の前の情報――心下痞硬という明確な腹証、食欲不振、悪心、そして全身の倦怠感――を頭の中で整理した。

「はい。腹証は心下痞硬。問診からは、胃の機能低下による気の上逆と、気虚(ききょ)が見られると思います。おそらく、中医学でいう『脾胃湿熱(ひいしつねつ)』か、あるいは『中気下陥(ちゅうきげかん)』に近い状態かと…」

未来が、教科書で学んだ知識を懸命に引き出しながら答えると、東堂は満足そうでもなく、かといって否定するわけでもなく、ただ静かに「ふむ」とだけ言った。そして、彼は処方箋の紙を取り上げると、そこに迷いのない筆致で、さらさらと一つの処方名を書きつけた。

『半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)』

その処方名を見て、未来は内心で頷いた。半夏瀉心湯は、心下痞硬を目標に用いられる代表的な処方だ。胃のつかえを取り、吐き気や食欲不振を改善する効果がある。教科書的な知識とも一致する。

だが、未来が本当に驚いたのは、そこに至るまでの東堂の思考の速さだった。未来が複雑な病理(脾胃湿熱だの、中気下陥だの)を組み立てようと四苦八苦している間に、東堂はまるで目の前の症状と腹証が、一本の線で『半夏瀉心湯』というゴールに直結しているかのように、一瞬で結論に達しているように見えた。そこには、理論をこねくり回すような迷いは微塵も感じられない。

患者が安堵した表情で薬を受け取り、クリニックを後にしていく。その背中を見送りながら、未来は抑えきれない疑問を東堂にぶつけた。

「先生。今の患者さん、なぜ先生はあんなに迷いなく処方を決められたのですか?私が考えていたような、複雑な弁証は必要ないのでしょうか。心下痞硬という所見だけで、半夏瀉心湯が決まる、というような…そんな単純なものではないはずですよね?」

未来の問いに、東堂は悪戯っぽく片方の眉を上げた。彼は黙って鉄瓶を持ち上げると、二つの湯呑に白湯を注ぐ。立ち上る湯気が、午後の西日を受けてきらきらと光の筋を描いた。

「単純、か。そう見えるかもしれんな。だが未来先生、それは『単純』なのではなく、『直結』しているのだよ」

湯呑を未来の前に置きながら、東堂は静かに言った。

「私がやったことは、吉益東洞が二百年以上前にやったことと、本質的には何も変わらん。目の前にある『証』と、それに対応する『方(ほう)』、つまり処方を、結びつけただけだ。これを、我々日本の漢方家が最も大切にする考え方、『方証相対(ほうしょうそうたい)』と呼ぶ」

「ほうしょう…そうたい…」

未来は、その言葉を唇の上で反芻した。プロットには記されていた言葉だが、東堂の口から直接、その深遠な響きを伴って語られると、まるで初めて聞く言葉のように新鮮に感じられた。

「『方』は処方を、『証』は患者の体質や症状の総体を指す。そして『相対』は、両者がピタリと向き合い、対応している状態をいう。つまり、『この証あらば、この方あり』。これこそが、江戸時代の古方派(こほうは)たちが、難解な理論のジャングルから見つけ出した、一本の確かな道筋なのだよ」

東堂は、自身の湯呑を両手で包み込むように持ち、その温かさを確かめるように目を閉じた。

「未来先生、鍵と鍵穴を想像してみなさい」

唐突な比喩に、未来は少し戸惑った。

「中医学の弁証論治というアプローチは、いわば鍵穴の成り立ちを徹底的に分析するようなものだ。『なぜこの鍵穴はこんな複雑な形をしているのか?』『どの部品がどう組み合わさって、この構造が生まれたのか?』と、その原因論を深く、深く掘り下げていく。それは非常に知的で、壮大な探求だ。病の根本原因を突き止めようとする、素晴らしいアプローチだよ」

そこまで言って、東堂はゆっくりと目を開けた。その瞳には、深い尊敬の念が宿っている。

「だが、吉益東洞をはじめとする古方派の巨人たちは、少し違う道を歩んだ。彼らは言ったんだ。『目の前に鍵穴(証)がある。そして我々の手元には、膨大な数の鍵(方)がある。我々の仕事は、この鍵穴にピッタリと合う、唯一無二の鍵を見つけ出し、扉を開けてやることだ』と。彼らは、鍵穴の成り立ちを議論するよりも、どの鍵がどの鍵穴に合うのかという対応リストを、身を賭して作り上げることを選んだ。それが『方証相対』の神髄だ」

鍵と、鍵穴。その比喩は、未来の心にすとんと落ちた。西洋医学の思考にもどこか通じるものがある。特定の細菌にはこの抗生物質、というように。しかし、何かが決定的に違う。

「でも先生、その『証』とは、一体何なのでしょうか。症状のリストですか?それならば、西洋医学の診断と変わりません。頭が痛くて、熱があるなら解熱鎮痛剤、というような…」

「良い問いだ、未来先生。そこが、西洋医学と我々の道が分かれる、最も重要な分岐点だ」

東堂は身を乗り出した。その目は、単なる教師の目ではなく、道を伝える者の情熱に満ちていた。

「西洋医学の診断名は、いわば病気に付けられた『ラベル』だ。『胃潰瘍』『インフルエンザ』『高血圧』。そのラベルに対して、標準的な治療法が用意されている。しかし、我々が見ている『証』は、病気のラベルではない。それは、病気と闘っている、あるいは病気に苦しんでいる、その人自身の『身体のあり方』そのものなのだよ」

「身体の…あり方…」

「そうだ。先ほどの患者さんを思い出してみなさい。私が『半夏瀉心湯』を選んだ根拠は、彼が訴えた『胃が痛い』『食欲がない』という自覚症状だけではない。むしろ、それ以上に重要だったのは、私がこの指で直接触れて感じ取った、あの『心下痞硬』という、彼の身体が発していた客観的なサインだ。あの硬さ、あの抵抗感こそが、『証』の核心なのだ」

東堂は自身の腹部を指で示しながら言った。

「『証』とは、患者の主観的な訴え(問診)と、我々医者が五感で捉える客観的な身体所見(望診、聞診、切診)の、総体のことだ。特に日本漢方では、腹診で得られる情報が極めて重視される。『胸脇苦満(きょうきょうくまん)』があれば柴胡剤(さいこざい)を考え、『小腹急結(しょうふくきゅうけつ)』があれば駆瘀血剤(くおけつざい)を考える。それは、何百年という膨大な臨床経験の蓄積によって、『この身体のサイン(証)がある時には、この薬(方)が最もシャープに反応する』という事実が、繰り返し確認されてきたからなのだ」

西日が診察室の奥まで差し込み、薬棚に並んだ生薬の瓶を琥珀色に染め上げていた。その光の中で、未来は今まで自分が学んできた漢方の知識が、全く新しい意味を帯びて立ち上がってくるのを感じていた。

「処方が…先にある、ということですか?」
未来は、ほとんど無意識に呟いていた。
「ほう?」
東.堂は面白そうに聞き返した。
「いえ、つまり…西洋医学では、まず診断があり、その診断に基づいて薬を選びます。でも、今のお話だと、まるで『半夏瀉心湯が効くべき身体の状態』というものが、まず型として存在していて、我々はその型に患者さんが合致するかどうかを見極めている…というように聞こえました。薬の方に、人格があるような…」

その言葉を聞いた瞬間、東堂の顔が、ぱっと花が咲くように明るくなった。彼は「素晴らしい!」と声を上げると、ぽんと膝を打った。

「その通りだ、未来先生!まさにその感覚だ!処方に人格がある。これほどうまく『方証相対』の本質を言い表した言葉はないかもしれん。『葛根湯(かっこんとう)が効く人』という人格がある。『大柴胡湯(だいさいことう)が効く人』という人格がある。我々は、患者さんの身体や訴えの中に、その処方の人格、つまり『方』にピッタリと対応する『証』を探しているんだ」

それは、未来にとってまさにコペルニクス的な転回だった。病名に対して薬を選ぶのではない。薬が、それを待っている身体を探している。そう考えると、漢方処方の一つ一つが、まるで個性豊かな顔を持つ、生きた存在のように思えてきた。

ゾクゾクする寒気と首筋の強いこわばりを持ち、汗をかけずにいる体力のある身体。それが「葛根湯」を待っている『証』。
ストレスで胸や脇が張り、イライラし、便秘がちでがっしりした体格の身体。それが「大柴胡湯」を待っている『証』。
そして、みぞおちに抵抗感があり、つかえ、吐き気がある身体。それが、先ほどの患者が見せた「半夏瀉心湯」の『証』なのだ。

「もちろん、これは思考の放棄ではないぞ」
東堂は、未来の興奮を見透かしたように、穏やかに付け加えた。
「なぜ、その『証』が生まれたのか。患者さんの生活習慣、食事、精神的なストレス、そういった背景を考えることも、もちろん非常に重要だ。それは弁証論治の素晴らしい点で、我々も決して疎かにはしない。だが、こと治療の一手を打つ、という局面においては、まず目の前の身体が発している最も確かなサイン(証)に応える。そのための最短かつ最良の道が、『方証相対』なのだ。それは難解な理論からの逃避ではなく、むしろ膨大な経験知に裏打ちされた、極めて実践的な知恵なのだよ」

未来は、黙って湯呑に残っていた白湯を飲み干した。ぬるくなった液体が、乾いた喉を静かに潤していく。頭の中にあった霧が、すうっと晴れていくような感覚があった。

中医学の壮大な理論体系が、宇宙の法則から人体の成り立ちを解き明かす天文学だとすれば、日本漢方の「方証相対」は、長年の経験を持つ老練な船乗りが、星の配置と風の匂い、波の音から、最短の航路を一瞬で見つけ出す航海術のようなものかもしれない。どちらも同じ海を渡るための知恵だが、その思想とアプローチはかくも違う。そして、どちらにも計り知れない価値がある。

「先生…」
未来は顔を上げた。
「ありがとうございます。少しだけ…本当に少しだけですが、先生方が見ている世界が、分かったような気がします」

その真摯な言葉に、東堂はただ深く、優しく頷き返した。

窓の外では、日がさらに傾き、空は茜色と深い藍色のグラデーションに染まっていた。庭の隅で、寒風に揺れていた桃色の山茶花の花びらが、最後の光を名残惜しそうに浴びている。風がひゅう、と音を立てて木々を揺らし、最後の数枚の枯れ葉が、くるくると舞いながら地に落ちた。

未来は、目の前にある分厚い漢方の古典に、改めて視線を落とした。そこに記されている一つ一つの処方が、もはや単なる薬草のリストには見えなかった。それは、何百年もの時を超え、無数の医師たちが患者の身体と対話し、魂を削って紡いできた、「証」と「方」の、壮大な物語そのもののように思えた。

この道は、自分が想像していたよりも、遥かに深く、そして人間臭い。未来は、冷え始めた診察室の空気の中で、自分の心の中に、確かな一つの熱が灯るのを感じていた。その熱は、知的好奇心というだけではない、もっと根源的な、人を癒すという仕事への新たな畏敬の念から来るものだった。冬の訪れを告げる風の音を聞きながら、未来は静かに、次の一歩を踏み出すための覚悟を決めていた。
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