魔法少女 ミルティ=クラウゼ

桜雨ゆか

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4 合同任務のあと、嫉妬に狂った怪人に奥までぐちゃぐちゃに愛されました

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《黄昏ノ誓盟せいめい 暗刃会あんじんかい
 それは、遥か昔に光の守護者――《白輝会はっきかい》と袂を分かった者たちだ。
 絶対的な誓いを交わし、影に生きる彼らの階級は、上位より「誓導せいどう」「影士えいし」「刃徒じんと」と続き、任務の成否以上に――忠誠が、すべてを決める。



 夕暮れの空に、かすかに血のような色が滲んでいた。
 任務を終えた帰り道。
 正義の守護者・魔法少女ミルティ=クラウゼは、隣を歩く男をちらりと見上げた。
 金の短髪が西日に照らされ、ぎらりと光る。
 長身で無駄のない筋肉を包む黒の戦闘装束。足取りは軽く、だが油断のない殺気をまとっている。
 口元には、からかうような薄い笑み。そしてちらりと覗く八重歯。


 白輝会とともに「闇」に立ち向かっている影の系譜。
 いまではその存在すら、表では語られない。断罪と封印を使命とする、闇に生きる処刑者たち――そしてその中位階級に名を連ねるのが、この男――キザシだ。

「あの、キザシさん……。さきほどの暴走魔導機はちゃんと浄化できたんでしょうか?」

 ミルティが問いかけると、キザシは肩をすくめた。

「浄化ってのは、あんたら白輝会のやり口だろ。俺らは断つ。違うもんだよ、根っこから」
「なるほど……」

 この日、ミルティは初めて影士との合同任務に就いた。
 それだけでも緊張していたのに、よりによって、相手が噂に事欠かないこの男ときた。

 ――影士の中でも異端。
 ――単独で魔獣級を三体討滅。
 ――白輝会の上層とも揉めたことがある。

 等々だ。
 先程までの戦いっぷりも鮮烈だった。まるで夜の獣のように舞い、瞬時に刃を振るう。
 ミルティが数体倒している間に、キザシは十数体を葬っていた。

(実力は確かなはずなんだけど……)

 ミルティが内心で唸っていると、キザシは不意に足を止めた。

「どうした? ……何考えてんだ?」
「いえ……」
「はっきり言えよ」

 キザシの鋭い眼差しが向けられ、ミルティは思わずたじろぐ。

(圧が……。少し苦手……)

「ええと……」

 思っていることをそのままはさすがに言えない、とミルティが言葉を濁したそのときだった。
 ずん、と地面が震える。
 空気の匂いが変わったのがわかった。

「これは、魔導汚染……⁉」

 突如として、ミルティの前方にそれは現れた。
 骨のように細長い手足、焼け焦げたような皮膚。
 ――下級魔導人《穢れ残渣》。
 先ほどの戦闘で漏れ出した穢れが形を成した、残りカスのような存在だ。意思も感情も持たない。

「おい、下がれ」

 キザシの声が低く響いた次の瞬間、すでに彼は動いていた。
 異形の腕がミルティを狙って伸びかけたその刹那。音もなく飛び込んだキザシの黒い影が、それを叩き斬る。
 刃ではなく、拳だった。
 金属質の籠手が、魔導人の頭蓋を粉砕する音が、乾いた衝撃となって響いた。

「――ミルティ!」

 キザシの叫びが空を裂く。
 ミルティが後退するよりも速く――新たに現れた二体の魔導人が地面から飛び上がり、まるで蛇のように長い腕を伸ばしてきた。

「――っ!」

 反射的に杖を振るう。しかし魔導人の動きは予測を超えていた。
 先端に鋭く尖った鉤爪が伸びる腕が、ミルティの脇腹をかすめた。

「くっ!」

 戦闘服の布地が裂ける。
 次の瞬間、もう一体の魔導人が鋭利な指先でミルティの右腕を薙ぐように振り抜いた。

(まずい!)

 次の一手を打たなければ。
 意識がそう訴えかけるが、身体が思うように動かない。視界の端で魔導人の腕が迫ってくるのが見えた。

「なにやってんだ!」

 爆風のような怒号と共に、キザシの影がミルティの視界を覆った。
 黒い装甲に包まれた腕が振るわれ、迫っていた腕を直撃する。
 鈍い金属音と共に、魔導人の腕が弾け飛んだ。

「――⁉」

 だが――ミルティははっとした。
 残っていたもう一体が今度はキザシを狙って動いたのだ。

「キザシさん、危ない!」

 ミルティは防御壁を作ってキザシを守る。

「――悪い!」

 キザシはそう言うと、背後のもう一体にも拳を叩き込んだ。
 黒い煙のようなものが飛び散り、骨の折れる音が響く。
 途端に静まり返った空間。魔導人の気配は完全に消え去っていた。

「――無事か?」
「ええ。……ありがとうございます」
「ああ、俺の方も助かった。あんたが無事でよかっ――」

 キザシはぶっきらぼうにそう言うと、ミルティを見下ろした。
 その視線が――ミルティの胸元に留まる。瞬間、彼の動きは不自然なほどぎこちなく止まった。

「――!」

 鋭く研ぎ澄まされていた空気が乱れた。

「……?」

 ミルティはキザシのそんな反応に気づいて――ふと視線を落とした。
 そこには、破れた戦闘服の隙間から覗く白い肌。二つの膨らみに深い谷間だ。

(あ……)

 瞬間的に顔が熱くなる。
 魔導人の攻撃は思った以上に深く、胸元を守る防護布が裂かれていた。
 かろうじて胸の頂きは隠れているものの、これでは見えてるも同然だ。
 ミルティは慌てて両腕で胸元を覆った。

「……あ……あー……」

 キザシが固まったまま視線を泳がせる。

「み、見てない! 見てないから!」

 ミルティ以上に真っ赤になったキザシは慌てた様子でくるりと身体を反転させた。

「わわ、わ、悪かった、俺がもっと、は、早く、反応できてればっ……!」

 動揺した様子で早口でまくし立てる声は明らかに裏返っている。先程までの冷徹な影士の姿はどこへやら、耳まで朱に染まり、肩が小刻みに震えていた。

「あ、あの……」

 ミルティが声をかけようとしたが、キザシは背を向けたまま硬直している。黒い戦闘装束の肩甲骨辺りが微かに上下しているのが見えた。

「……け、怪我は……してないか?」

 ややあって、振り向きもせず投げかけられた問いに、ミルティは小さく首を縦に振った。

「大丈夫です。破れただけなので……」
「そ、そうか……」

 キザシはまだミルティの方を見ようとしない。おそらくミルティの胸元が気になりすぎて振り向けないのだ。
 どうしたものかと胸元を押さえたまま困っていたら――唐突にふわりと肩に何かがかけられた。
 見ればそれは見慣れたマント。
 漆黒の生地に銀の刺繍が施されたそれは、怪人ノクスのものだ。

「これ――!」
「――……お取込み中かな? ミルティ=クラウゼ。――と、暗刃会のでっかい邪魔なやつ」

 ミルティがはっとするのと、低く冷ややかな声が響き渡るのは同時だった。
 声の主――ノクスはミルティのすぐ後ろに立っていた。

「……!」

 ミルティが驚いて振り向くと、ノクスは顔の上半分を仮面で覆った見慣れた怪人スタイルでそこにいた。口元にはいつも通りの優雅な微笑みを浮かべている。しかし、仮面の奥の碧い瞳はまったく笑っていなかった。むしろ氷のように冷たい光を宿している。

「貴様! 怪人か⁉」

 キザシが素早く反応する。影士の表情に戻り、険しい視線をノクスに向ける。その指が腰の武器にかかった。

「――ミルティ、こっちへ!」

 低く威圧的な声が響く。

「――ぁっ!」

 キザシの手がミルティの手首を掴み強く引いた。
 抵抗する間もなく身体が引っ張られ、背中がキザシの腹筋に当たる。

「きゃっ……!」

 思わず小さく声を漏らしたが、またたく間にキザシは彼女を完全に背後へと庇っていた。
 まるで大切なものを守る獣のように、武器を構え、鋭く尖った敵意がノクスに突き刺さる。

「…………」

 一方のノクスはそんな二人の姿を見てあからさまに眉をひそめた。しかしすぐにその表情は冷笑へと変わる。

「――ふぅん」

 まるで玩具を奪われた子供のような声音。しかしその奥には静かな怒りが滲んでいた。

(ノクスのあんな顔初めて見たかも……)

 現在の深い仲になる前。敵対していたときですら見たことのない表情だった。

「怪人のくせに随分と紳士的じゃないか」

 キザシの低い声が空気を震わせる。彼はミルティの肩にかかった漆黒のマントをちらと見てからそう言った。

「――そちらは暗刃会に所属する者として、女性の胸元を凝視するとは少々品位に欠けるのでは?」
「なっ⁉ 凝視なんてしてねえっ! 見てもいない!」

 キザシの声が一気に裏返る。顔が再び紅潮する。
 睨み合う二人を、キザシの背後から見ていたミルティは内心焦っていた。
 二人は向かい合って完全に火花を散らしている。

(なに、この修羅場……)

 ミルティは心の中で頭を抱えることしかできなかった。
 ノクスとの関係は秘密。決して表沙汰にしてはならないわけで、それを理由にこの場を収めることもできない。
 キザシの目は完全に獲物を捉える獣のそれだった。ノクスの一挙手一投足を警戒し、いつでも飛びかかれる体勢を崩さない。一方のノクスは余裕の表情を崩さないものの、その碧い瞳の奥には確かに嫉妬の炎が揺らめいていた。

「あーあ、そんなに熱烈にくっつかれちゃあ、ミルティも内心困ってるんじゃないかな?」

 ノクスがわざとらしく肩をすくめながらミルティを見やる。その視線は明らかに彼女の裂けた戦闘服とキザシが背に庇っている状況を揶揄していた。

「……っ! くっついてない! これはおまえから守ってるだけで――」

 キザシはノクスの視線がミルティに向けられたことにさらに苛立ちを募らせ、庇うように彼女の肩をぐいと強く掴む。

「狙いは彼女か……⁉」

 キザシの声は怒気を含んでいた。普段の無愛想さとは違う、明確な怒りだった。

(ノクス、やめて。今はどうか我慢して)

 ミルティは声には出さず、ノクスにこっそりと視線を送った。
 しかしノクスは不機嫌さはそのままに、口元を笑みの形に歪めた。

「は? 狙ってるのはそっちじゃないの? どさくさまぎれに肩なんて抱いて、どうせ頭ん中はそういう妄想でいっぱいなんだろ? きもちわるっ……」
「なっ……⁉ そ、そんなこと、するわけないだろうがっ!」
「へえ? そのわりには慌ててるけど? あ~、わかった! 今のでさっきガン見してたミルティの胸のことでも思い出した? ほんとむっつりだよね~」
「――っ‼ 貴様……っ! 言わせておけば!」

 キザシの耳がさらに赤くなった。まるで熟れたトマトのようだ。

(ちょ、ちょっと待って。なんでこんなにヒートアップしてるの⁉)

 ミルティは二人の間に入ろうと試みたが、キザシの腕に捕まっていて身動きが取れない。

「あのっ! 二人とも、落ち着いてください!」

 見かねて口を開いてみるも、その瞬間、二人の視線が同時に集中する。

「ミルティは黙ってて」
「あんたは黙ってろ!」

 同時に告げられ、ミルティははくはくと酸素を求める金魚のようになってしまった。

「大体おまえはさっきから何だってそんなにつっかかってくるんだよ⁉ …………ああ! そういうことか。ミルティの肌を間近で見るチャンスを逃したから悔しがってるんだな? よっぽど女に飢えてるんだなぁ?」

 キザシは勝ち誇ったような笑みを浮かべる。その表情はまるで子供の喧嘩のように得意げだった。
 直後、ノクスの目が仮面越しにもすっと細められたのがわかった。

「――……女だからじゃない、ミルティだからだ」

 その声は低く、しかしはっきりと響いた。
 碧い瞳が真っ直ぐにキザシを射抜く。

「――っ!」

 ミルティはノクスの言葉の意味を理解し大きく目を見開いた。
 キザシもそれに違和感を覚えたのか、訝しげな表情を浮かべる。

「は? なに言って――」
「キ、キザシさんっ! ここは、一度、引きましょう!」

 ミルティはキザシの腕をぐいっと引っ張った。このままでは話がまとまらないどころか、ますます悪化しかねないと思ったからだ。

「――ちょっ、おい!」

 ミルティは迷いなくキザシの腕を掴み直し、ぐっと力を込めた。彼の鍛えられた腕は想像以上に硬く、抵抗も強い。しかし、ここで諦めても状況は好転しない。

「今はここで揉めている場合じゃありません! 任務は完了したのですから、一旦、帰りましょう」
「だが――」

 キザシが何か言い返そうとするよりも早く、ミルティはさらに強く引っ張った。キザシの体格はミルティよりもはるかに大きいし力も強い。その抵抗を無視するかのように、ミルティは全体重をかけてキザシを引いた。彼の身体はわずかに揺れる。
 その瞬間だった。
 ノクスが先ほどかけた漆黒のマントの位置がずり落ち、ミルティの肩から滑りそうになった。マントの下から、破れた戦闘服の隙間が再び覗きそうになる。

「――っ⁉」

 ミルティはハッとして自分の胸元に手を伸ばしかけた。しかし、それよりも早く動いたのはキザシだった。

「~~~~っ‼」

 声にならない声と共に、キザシの腕が素早くミルティの肩を掴み、ずり落ちそうになったマントを元の位置に戻した。その指先は小刻みに震えている。

「……」

 一瞬の沈黙が流れ、キザシの顔がまたしても真っ赤に染まっていく。耳まで赤くなり、彼の喉がごくりと動いた。

「……あ……あの……」

 ミルティが言いかけると、キザシは急いで視線を逸らし、彼女を背中にかばったまま後ろへと一歩下がった。

「――っ、わ、わかった……! ミルティの言う通りだ。この場は引く」

 キザシの声は掠れていて、どこか焦燥感を滲ませていた。
 明らかに動揺している。それでも、彼はノクスに一瞥をくれると、ゆっくりと息を吐いた。

「おい、おまえ。――……次に会ったら容赦はしないからな」

 キザシの視線はノクスを鋭く射貫く。
 ノクスは何も言わずにただキザシを見返した。その瞳は冷たく澄み切っていて、しかし妙に静かな怒りを宿しているようにも見えた。
 ミルティはキザシに手を引かれながら後退する。その合間、視線が自然とノクスの方へと吸い寄せられた。

(ノクス……)

 申し訳なさと、そしてそれ以上の胸のざわつきがミルティを襲う。
 ふとノクスの視線がミルティに向けられた。――そして彼はにっこりと微笑んだ。

「――……」

 仮面越しの碧い瞳が柔らかく細められ、口元には優雅な弧が描かれる。
 そう――不自然なまでに完璧な微笑み。
 それからノクスは軽く手を上げた。
 指先がゆるりと動き、唇はそっと動きを刻んだ。

『あ・と・で・い・く』

 ――ぞくり。

 その五文字が空気に刻まれた瞬間、ミルティの背筋に冷たいものが走った。
 血の気が一気に引き、視界が揺れるような錯覚に襲われる。

「ミルティ? どうした?」

 キザシが彼女の様子に気づき声をかけた。だがミルティはそれどころではなかった。
 ノクスのあの微笑み――あの手の振り方――あの唇の動き――。
 すべてが完璧すぎる。完璧すぎて逆に怖い。
 まるで「お仕置きの準備はできたよ」と告げられているかのようだった。

      ✢

 その夜。
 自宅の鍵をそっと回し、静かに玄関のドアを開けた。誰もいないはずの部屋。明かりは点いていない。
 いつも通りのはずだった。
 なのに――。

「おかえり、ミルティ」

 暗がりから静かに響いたその声に、ミルティの肩がびくりと跳ねた。
 リビングのソファの影からぬるりと姿を現したのは、予想通りの人物――ノクスだった。
 仮面を外した彼は、白いシャツに黒いボトムスというラフな格好をしている。
 いつもだったらその端正な顔立ちに笑みを浮かべて、帰りを出迎えてくれるけれど、今夜はどこか冷ややかな眼差しをたずさえていた。

「……た、だいま」

 ミルティは恐る恐る靴を脱ぐ。背筋がぞくりとしたのは、夜の冷気のせいだけではないだろう。
 今は魔法少女の戦闘コスチュームではない。シンプルなワンピースに着替えているが、それでもノクスの視線が痛いほど突き刺さってくる。

「君の私服姿、久しぶりに見るかも」
「そ、うですか? ノクスも、今夜は私服なんですね」
「うん、そうだね。――ところで、今日は随分と楽しそうだったね?」
「…………」

(きた……!)

 ミルティはごくりと唾を飲む。ノクスの問いかけは淡々としているように聞こえるが、その奥には隠しきれない苛立ちと嫉妬が滲んでいるのがわかる。

「に、任務ですから、楽しいとかはないです」
「……ふぅん」

 ノクスの目が細められる。まるで獲物を見定める猫のようだ。ミルティは一歩後退しそうになるのを必死に堪えた。

「……ミルティ、あの男の名前、何度呼んだ?」

 唐突な質問にミルティは目を丸くする。

「え?」
「あの男――キザシ、だっけ? 今日、一緒に戦ってたよね? 彼の名前を何回呼んだ?」

 ノクスの声がわずかに低くなる。

「――ええと……そんなに呼んでないと思いますけど」
「本当に? じゃあ、今日、あの市街跡地で会ったとき、僕の名前を呼んだ回数は?」
「そ、それは……」

 ミルティは言葉に詰まる。
 あのとき、ノクスの名は呼ばなかった。
 キザシもいたし、敵として対峙していたからだ。

「――一回も呼ばれてない」

 ノクスの声がぽつりと落ちた。そして彼はゆっくりとミルティに近づいてくる。

「気軽に呼べないのはわかってる。ああいうときも敵同士のフリをする必要があるってことも。だから、これは僕のただのワガママだ」

 ノクスの長い指がミルティの頬に触れる。
 碧い瞳が至近距離からじっと見下ろしてくる。

「――……あいつと仲良いの?」

 その問いかけはまるで氷の刃のようだった。ノクスの声には確信めいた響きがあった。

「ちっ……違います! キザシさんは――今日初めて会ったんです。たまたま合同の任務だっただけで……」

 ミルティは必死に首を振った。嘘ではない。事実だ。
 ただ偶然同じ任務についただけ。それ以外の理由なんて一つもない。

「でも、あいつ、君を僕から必死に守ろうとしてた」

 ノクスの眉がわずかに寄る。碧い瞳の奥にちらつくのは怒りではなく悲しみに似た色だった。

「それは、職業柄だと思います。特にキザシさんは正義感が強そうな方ですし……」
「そっか……。でもね、ミルティ」

 ノクスの手がミルティの腕をつかむ。
 その力は優しかったけれど、振り払うことなどできない絶妙な強さを持っていた。

「――……ミルティの特別は僕だけでいいと思わない?」

 囁き声が耳元で落ちる。
 息をのむほど近い距離に、ミルティの頬が熱くなる。だが――同時に不安も広がる。

「あの――」

 ミルティが何か言いかけた瞬間。
 ――トン。
 軽い衝撃と共に、身体がソファに沈む。

「ほんと、ミルティって危なっかしくて目が離せないよね」

 ノクスの声がすぐ上から降ってくる。見上げれば彼の整った顔が眼前にあった。仮面をつけていない素顔はいつもより鋭く、そしてどこか寂しげに見える。

「今日だってあの男とあんなにくっついてて……しかもあんな破れた服のままで」
「あ、れは、ちょっとした事故で――」
「肩まで抱かれて……。あ、思い出したらムカついてきた」

 ノクスの声が不穏なトーンに変わる。

「拒否するくらいしてもいいんじゃない? それとも、ミルティって流されやすいの? ああ、そっか。僕のときもそうだったもんね」

 ノクスの指がミルティの頬から顎へと滑る。その触り方は壊れ物を扱うようでありながら、確かな熱を帯びていた。

「ノ、ノクス……っ、やめて、ちがいます……」
「なにが? 今日、キザシにくっつかれてたのは事実でしょ? ああいうガチガチの筋肉系も好きなんだ?」

 ノクスの声が低く響く。碧い瞳が揺れている。

「ノクス……」

 ミルティは息を詰まらせた。ノクスの言葉の一つ一つが針のように心に刺さる。彼が本気でそう思っているわけではないことは、ミルティには痛いほどわかっていた。
 これは嫉妬に駆られた彼の精一杯の不器用なアピールだ。まるで小さな子供が拗ねているように。

「あいつにどこまで見られた?」
「え……」
「胸の谷間と鎖骨は見られた。それだけ?」

 ノクスの声には棘がある。まっすぐにミルティを見据え、まるで「隠し事を許さない」と言わんばかりの圧力を放っている。
 ノクスの長い指がミルティのワンピースの襟元にかかった。
 それは躊躇のない、まるで戦闘中の動作のように素早い動きだった。

「っ――やめて!」

 ミルティは反射的に身を捩り、ノクスの手首を掴もうとした。だが彼の動きの方が速かった。
 力任せに前を引き裂かれる感触。
 プチン! という鋭い音と共に、いくつかのボタンが宙を舞い、床へと弾んでいった。

「や……っ!」

 ワンピースの薄い布地が左右に割り開かれ、白いブラが露わになる。
 ミルティは咄嗟に両腕で胸元を隠そうとした。

「隠すなよ……」
 ノクスの声は低く、いつもの優しい口調とは全然違った。彼の大きな手がミルティの腕を掴み、強引に開かせる。

「やっ、ノクス、こんなのは、いや……です……!」

 ミルティの声は震えていた。ノクスの力は異様に強く、彼女の抵抗など紙切れのように無視される。細い腕が軋む音がするほどだった。

「あいつが君のことをちらちらと男の目で見てたの本当に気づいてなかったの?」

 ノクスの指が白いブラにかかる。ミルティが身を固くする間もなく、それは一気に引き上げられた。
 ふるりと乳房がまろび出る。

「ひっ……!」

 冷たい空気が肌を撫でる。ミルティは身を縮こませたが、ノクスの視線が容赦なくそこに注がれているのがわかった。
 彼の碧い瞳は暗い興奮に満ちていた。

「……全部、僕のだ」

 囁くようにそう言うと、ノクスの手が乳房に触れる。優しいとは言えない強さで揉みしだかれ、ミルティの喉から小さな悲鳴が漏れる。

「や……っ! いた、ぃ……! だめ、ノクス……!」
「なにがダメなの? ここはこんなに――」

 ノクスの指が胸の先端に触れる。指先で軽く擦られると、ミルティの身体がびくりと跳ねた。

「や……っ」

 羞恥と快感がないまぜになって頭が混乱する。
 触れているのがノクスだというだけで、身体が意思とは裏腹に反応してしまう。それが余計に情けなくて、ミルティは顔を背けようとした。

「ミルティ……」

 ノクスの手がミルティの顎を掴み、強引に正面を向かせた。
 じっと見下ろされ、ミルティは言葉を失った。

「ちゃんと見てて? 君の身体は今、誰のものになってるのか」

 そう言って再び手を動かす。指先で突起を弄られ、甘い痺れが全身を駆け抜けた。

「ぁ……っ、ふ……」
「ほら、もう硬くなってきた。……ミルティの身体は嘘がつけないね」

 ミルティはノクスの碧い瞳から視線を逸らした。しかし、彼の指が容赦なく動き出す。

「や……っ! ぁ、ん……っ♡」

 先端を指先で転がされると、甘い疼きが身体の奥底から湧き上がる。逃げようとする腰を押さえつけられ、さらに強く刺激された。

「んぁ……っ♡ だめ……っ」
「だめじゃないよね、ほら……」
「やっ、あぅ……んっ♡」

 痛みと快楽の境界線が曖昧になる。ミルティの瞳に涙が滲んだ。しかしその涙さえも舐め取るように、ノクスの顔が近づいた。

「――誰にふれられてもこうなるんじゃないの?」

 ノクスの言葉が鋭く刺さる。その口調には嫉妬と疑念が混ざり合っていた。

「なんで、そんな――っ⁉ ちがう……! そんなわけ、ない……ッ」

 ミルティは必死に首を振る。しかし彼女の抵抗を封じるように、ノクスの口が胸元へと滑り込む。濡れた舌先が乳首を捉えた。熱いぬめりが芯の通った突起を這い回る。

「やっ……♡ んん……ッ♡ あっ♡」

 腰が浮く。逃げ場のない快感にミルティは身悶えた。
 ノクスはさらに追い打ちをかけるように、歯を立てて甘噛みする。

「ひ……ッ♡ あぁっ、あっ♡」
「あいつにも同じようにされるの想像してみれば……?」

 ノクスの声が低く響いた。
 ミルティは大きく目を見開く。その瞬間、身体の奥から沸き起こったのは――恐怖と嫌悪だった。

(そんなの――絶対にいや……!)

 しかし、そんな感情すらもノクスの指が塗り潰していく。

「――……ほら」

 ノクスの指がミルティの乳首を強く摘まんだ。電流のような快感が背筋を駆け上がり、ミルティは仰け反った。

「やっ……ああっ……♡」

 ソファの上で押さえつけられた身体が小さく震える。ノクスはその反応を楽しむように見下ろしていた。

「キザシにもふれられたいって思ったりした?」
「ち……がう……っ! そんなこと……」

 ミルティは必死に否定する。しかしノクスの指は容赦なく動き続けた。乳輪をなぞり、爪先で先端を軽く弾く。その度に甘い痺れが全身を駆け巡る。

「やっ……♡ ああっ♡ ふ……っ♡」
「ふーん、こんなに敏感で……」

 ノクスは薄く笑う。その笑みには優しさの欠片もなかった。

「……他の男にも同じように反応するんじゃないの?」

 その言葉にミルティの瞳が大きく見開かれる。

「違う! ノクス、お願い……っ! 私、誰にでもこんな風になりませっ……んっ!」

 しかしノクスはさらに追い討ちをかけるように言った。

「うそつき。僕じゃなくても感じるんだろ?」
「――ッ‼」

 ミルティの喉から悲鳴のような息が漏れた。その瞬間――彼女の瞳から涙が溢れた。
 頬を伝い落ちる滴が止まらない。

「ちが……う…っ! ちがう……! ノクスだけなのに……っ!」

 ミルティは泣きじゃくる子供のように顔を覆った。

「そんな言い方、ひどい……。ノクスのばか……」

 その言葉が落ちた瞬間――ノクスの動きが止まった。
 碧い瞳が大きく見開かれ、ミルティを見下ろす。
 数秒の沈黙。ノクスの表情がみるみるうちに変わっていく。怒りでもなく、困惑でもなく――後悔。

「……っ、ごめん」

 短く掠れた声が漏れた。
 ノクスはミルティの手をそっと取り除ける。彼女の頬は涙で濡れ、震える唇からは嗚咽が漏れていた。

「ごめん、ミルティ……っ」

 ノクスはすぐに両手でミルティの頬を拭い始めた。彼にしては珍しく不器用な動作で何度も、何度も。

「ごめん……ごめん……っ」

 普段の冷静さはどこへやら。慌てふためきながら謝罪の言葉を繰り返す。
 ミルティはしゃくりあげながらノクスを見上げた。

「……っく……う、え……っ」
「ごめん……僕が悪かった。もう言わない。もうしない」

 ノクスの手がゆっくりとミルティの頬を撫でる。その動きは先ほどの荒々しさとは全く違っていた。まるで大切なものを壊さないように触れるかのような繊細な手つきだった。

「ミルティが僕だけって本当は知ってる。本気で疑ったりなんてしてない。あいつと一緒にいるの見て嫉妬した。ごめん……」

 ノクスの声が次第に弱々しくなる。彼はミルティの身体をぎゅっと抱きしめた。
 その腕の中でミルティはまだ小さく震えていたが、やがてゆっくりと落ち着きを取り戻し始めた。

「ノクス……」

 ミルティは震える手でノクスの背中に腕を回した。彼のシャツをぎゅっと握りしめる。

「うん?」
「こんなに気持ちよくなる身体になったのは……ノクスのせいです……」

 涙声で告げる言葉に、ノクスの瞳が驚きに揺れた。しかしすぐに優しさが溶け込むように和らいでいく。

「ミルティ……」
「だから……他の人なんていらないし……知りたくもない。ノクスだけが私の特別なんです……」

 その言葉にノクスの呼吸が一瞬止まる。次の瞬間――彼の腕が強くミルティを抱き寄せた。
 痛いくらいの力だったが、今のミルティにはその痛みさえ愛おしかった。

「――本当にごめん」

 ノクスの声が湿っていた。彼の額がミルティの肩に押し付けられる。

「もう二度とあんなこと言わない」
「はい……」
「――ちゅーしてい?」

 ミルティが頷くよりも早く、ノクスの唇が重なった。柔らかく啄むような口づけから始まり、すぐに深く熱いものへと変わる。舌先が触れ合い、互いの吐息が溶け合っていく。そのキスに応えるようにミルティもノクスの舌を受け入れた。

「ん……っ♡ はぁ……っ♡」

 唇が離れるたびに名残惜しそうな声が漏れる。ノクスはミルティの頬をそっと撫で、額に優しく口づけを落とした。

「もっとしていい?」

 ミルティはこくりと小さく頷いた。するとノクスの手がゆっくりと彼女の背中に滑り込む。ブラのホックが外され、胸元が自由になると同時に彼の指が先端に触れた。
 指先で転がすように刺激されると甘い快感が全身を走り抜ける。

「やぁ……っ♡ ノクス……っ♡」
「ミルティ……可愛い」

 ノクスの顔が胸元に埋まる。舌先が先端を捉え、ゆっくりと舐め上げられる。ミルティは思わず彼の頭を抱きしめた。

「んぁっ♡ あ、あ、あ♡」

 ちゅぱ……っ♡ じゅる……っ♡

 わざと音を立てて吸われる度にミルティの身体が跳ねる。その反応を見ながらノクスはさらに舌を絡ませた。まるで飴玉を転がすように弄ばれると脳が溶けそうなほどの快感に襲われる。

 ぢゅっ♡ ちゅるっ♡ れろぉ……♡

 いつもの優しい愛撫に、安堵したミルティは思わず、ふ、と口元をほころばせた。
 そのことにすぐに気づいたノクスが小首を傾げる。

「どうしたの?」
「ん……?」

 ミルティは少し照れたように目を伏せた。それでも小さな声で正直な気持ちを紡ぐ。

「……いつものノクスに戻って……安心しました……」

 ノクスの動きが一瞬止まり、碧い瞳が優しく細められる。

「……うん。ごめんね」

 彼の手がミルティの頬を包み込んだ。温かい指が涙の跡を優しくなぞる。

「もう絶対にあんなこと言わないし、しないから……」

 ミルティは頷きながらノクスの胸にそっと顔を埋めた。彼の鼓動が伝わってくる。その心音が妙に心地よかった。

「――でも、嫉妬はしちゃうかも。ミルティ、可愛くて狙われやすいのはほんとだし」
「そんなこと……」
「ある。間違いなく、ある」

 ノクスの唇がミルティの鎖骨の下あたりに触れる。ちゅう♡ と音を立てて吸い上げていくたびに小さな痛みが走った。

「んっ……♡ ノクス……っ?」
「大丈夫。見えるところにはつけないから。ここは僕だけの証」

 ノクスの唇が首筋を滑るように移動しながら、ワンピースの裾を少しずつ持ち上げていく。指先が布地をなぞり、肌に触れるたびにミルティの身体が小さく震えた。

「ん……っ♡ ノクス……」
「全部脱がしちゃうよ?」

 ノクスの手が器用に服を剥いでいく。ミルティは恥ずかしそうに顔を赤らめながらも、されるがままに身を委ねていた。

「……でもさ」

 ふと手を止め、ノクスが拗ねたような表情を見せた。

「君の戦闘服、もう少し頑丈な生地にしたほうがいいよ。あんな簡単に破れるのは問題だよね。この前だって融花液で――」

 ミルティは小さく笑った。ノクスの表情が面白くて可愛くて仕方ない。

「…………笑ってるけど、逆で考えてみて? もし、ミルティにしか見せたことのない僕のこれが、他の魔法少女にガン見されたり触られたりしたら……。どう思う?」

 ノクスは言って、自身の下半身を指さした。
 ミルティは束の間沈黙し、言われた内容を想像しかけて――途中で耐えられなくなって全部打ち消すように頭を振った。

「…………いや、です」
「――でしょ? ミルティ、眉間にすっごいシワ♡ かわいい♡」

 ノクスは満足げに微笑んだ。そして再び唇を寄せ、今度は胸元に舌を這わせる。

「んんっ……♡」

 ノクスの舌がミルティの胸の頂を優しく転がす。
 ちゅぱちゅぱ♡ と音を立てて吸い上げるたびにミルティの腰が小さく跳ねる。

「ふ、あっ……♡ んぅっ♡」
「ここ……さっきより硬くなってる……」

 ノクスの指が反対側の突起を撫で上げる。先端を爪で軽く引っ掻かれると、ミルティは背中を反らせた。

「やぁっ♡ あっ……♡ だめぇ……っ♡」
「ね、僕だけ特別ってもう一回言って?」
「ん……♡ ノクス、だけ……っ特別、です……♡ あっ、あっ、あ……♡」

 ミルティが答える間にもノクスの指は休むことなく動いている。くるくると円を描くように周りを撫でたり、突然ぎゅっと摘まんだり……その予測不能な動きにミルティは翻弄されていた。

「あうっ……♡」

 ノクスの指が先端をぴんっと弾く。ミルティの口から甘い嬌声が漏れた。

「こんなに感じて……可愛い……♡」

 ノクスの口角が上がった。彼の手がゆっくりとミルティの胸元から腹部へと滑り降りていく。そしてショーツの縁に指をかけた。

「脱がすね……♡」

 ミルティが小さく頷くと同時に、ノクスの手が布地を持ち上げる。太腿まで降ろされると、既に湿り気を帯びた秘部が空気に触れた。

「や……っ♡」

 ミルティは恥ずかしさに目を伏せる。しかしノクスの指は躊躇うことなく割れ目をなぞり始めた。表面を優しく撫でるだけで蜜が指先に絡みつく。

「もうぬるぬる♡ 僕のせい?」

 ノクスの声が嬉しそうに弾んだ。
 ミルティは顔を真っ赤にして俯く。しかしノクスの指がゆっくりと花弁を広げるように動くと、耐えきれずに身を捩らせた。

「んっ……♡ あぁっ♡」

 指が恥丘を軽く持ち上げる。露わになったクリトリスを親指でそっと撫でると、ミルティの腰がびくりと跳ねた。

「んぅっ♡」
「ここ……触ってほしい?」

 ノクスの問いに、ミルティはこくこくと何度も頷いた。その従順な仕草にノクスの口角が満足げに上がる。

「いいよ♡ いっぱい触ってあげるね♡」

 ノクスの人差し指が慎重にクリトリスの皮を剥いていく。敏感な突起が完全に露出すると、親指と中指で優しく挟み込んだ。そのままゆっくりと上下に擦り始める。

 くにくにくに♡ くにくにくにくに♡

「あ゛あ゛っ♡ あ、あっ……♡ ふ……っ♡」

 最初は穏やかだった刺激が徐々に強くなり、速さも増していく。
 擦られるたびに快感が波のように押し寄せ、ミルティの腰が勝手に動いてしまう。

「や、あ、ぁっ♡ あっ♡ んんっ♡」
「気持ちいい?♡」

 ノクスの問いかけに答える余裕もない。彼の指は巧みに動き、時に軽く押し潰したり、円を描くように撫でたりと変化をつけていく。その度にミルティの口から嬌声が溢れ出した。

「あ、あぁっ♡ い、イッちゃ……ッ♡」
「いいよ♡ イッて?♡」

 ノクスの声が耳元で囁かれると同時に指の動きが速くなる。親指が的確に突起を刺激し続ける中で――。

「やぁっ♡ あっ♡ イクっ♡ イッちゃうぅ……ッッ♡♡」

 ミルティの背中が大きく反り返った。一瞬息が詰まり、全身が痙攣するように震える。脳内が真っ白になるほどの快感に襲われ、彼女はソファの上で身悶えた。

「う、あぁ……っ♡ あぁ……っ♡」
「ミルティ……かわいい♡」

 ノクスの声が少し離れたところから聞こえたかと思えば、次の瞬間、生温かい感触が秘部を包み込んだ。

「やっ⁉ ちょ……っと……ノクス……っ⁉」
「ごめんね……君があまりにも可愛くて……我慢できなくなっちゃった♡」

 ノクスの舌が、クリトリスを優しく舐め上げる。舌先で転がすように刺激されると、一度絶頂を迎えたばかりの身体にはあまりに強烈な快感が走った。

「で、もっ、わたし、まだシャワーも浴びてなっ……、ああっ♡」
「大丈夫だよ♡ ミルティの匂いも味も……好きだから♡」
「やら、そんな、言い方……っ♡」

 ノクスの言葉にミルティの頬がさらに赤く染まる。彼の舌がクリトリスを捉え、ゆっくりと円を描くように舐め始めた。

「ひっ……♡ あぁ……っ♡ ノクス……っ」

 恥ずかしさと快感がないまぜになり、ミルティは両手で顔を覆う。しかしノクスの舌は容赦なく動き続ける。舌先で突起を軽く弾いたり、唇で優しく吸い上げたりだ。

「やっ……あっ♡ だめ……っ♡ そんなに……っ♡」
「ミルティの可愛いクリトリス♡ ほら、こうして、コリコリって♡」

 ノクスの指が花弁を広げ、舌全体を使ってべろべろと秘部全体を舐め上げた。そして再びクリトリスに集中し始める。今度は少し強めに吸い上げるようにしながら舌先で激しく擦り上げた。

「あ、あ、あぁっ♡ だめっ♡ ま、たぁ……っ♡」
「ん? イキそう? いいよ♡ んっ♡ んむ♡」

 ちゅるっ♡ ぢゅるるるるっ♡

「やっ♡ あっ♡ イクっ♡ イッちゃうぅ……ッッ♡♡」

 ミルティの背中が大きく反り返った。一瞬息が詰まり、全身が痙攣するように震える。

「ふ、あぁ……っ♡ あぁ……っ♡」
「ミルティ……またイッちゃったね♡ 可愛い♡」

 ノクスの声が少し離れると、今度は指が蜜壺に入ってきた。中指がゆっくりと奥へ進み、内壁を探るように動く。同時に親指で再びクリトリスが潰される。

「ああぁっ♡ まって……っ♡ いま、イッたばっかりで……っ♡」
「でもここ……もっと触ってほしそうだよ?♡ ほら♡ こんなにぐちゅぐちゅ♡」

 ノクスの指が的確に弱点を捉え、巧みな動きで愛撫を続ける。膣内と外から同時に刺激されてしまえば、もう抵抗することもできなかった。

「やぁっ♡ あっ♡ あっ♡ ノクス……っ♡ おかしくなるぅ……っ♡」
「いいよ♡ いっぱい感じて?♡ 可愛い♡ 好きだよ♡」
「あ゛、あ゛っ♡ あ゛あ゛っ♡ ま、たっ……また、イクぅ……ッッ♡♡」

 全身を震わせ、ミルティは再び絶頂を迎えた。
 それでもなお、ノクスの動きは止まらない。舌と唇、ときに歯を使ってクリトリスへの愛撫を続けながらも、膣内の指は更なる快感を引き出そうと蠢く。

「らめぇ……っ♡ ほんとに……おかしくな、りゅ……からっ♡」
「大丈夫♡ 僕がちゃんと見てるから♡ もっともっと気持ちよくなっていいんだよ?♡」
「あ゛あ゛あ゛っ♡ あ゛あ゛あ゛―――……ッッ♡♡♡」

 連続する絶頂にミルティの意識が遠のきそうになる。しかしその度に新しい快感が押し寄せ、現実に引き戻される。
 ノクスはゆっくりと顔を上げ愛おしそうにミルティを見つめた。

「えっちな顔♡ ――ね、他の誰にも見せないで? 全部、僕だけがいい」

 ノクスは満足げな表情を浮かべながらも、まだ震えが止まらないミルティの太腿を優しく撫でた。

「ほら……もっと気持ちよくなって……♡」

 ノクスが身体の位置を少し変える。その動きだけでミルティの敏感になった肌が反応した。

「ノクス……?」
「ん? なあに? 怖くないよ♡」

 ノクスの手がミルティの膝裏に回り込み、ゆっくりと足を広げていく。その間に自らの身体を割り込ませるように滑り込ませた。彼の動きに合わせてスラックスの前が開かれ、すでに勃起した陰茎が姿を現す。

「あ……っ♡」

 同時にノクスの指が優しく顎を持ち上げた。

「ちゃんと見て? 僕がどれだけ君を欲しがってるか……♡」
「あ……♡」
「君の中に……挿入りたい……♡」

 ノクスの声が熱っぽく響く。
 彼の熱く滾った肉棒が濡れた入り口に当てられると、それだけで期待感が高まる。

 じゅぷ……♡

 先端が入り口を軽く押すだけで蜜が溢れ出した。

「ミルティ……いい? 挿入るよ……♡」

 ノクスの腰がゆっくりと前へ進む。濡れた花弁が彼の先端を包み込み、徐々に飲み込んでいく。

「あっ♡ あっ♡ んぅっ、は、はいって……ッ♡」

 ミルティの口から吐息が漏れる。ノクスの侵入に合わせて蜜壺が収縮し、それが伝わったのかノクスが息を詰めた。

「くっ……♡ ミルティ……中…熱い……♡」
「ノクス……っ♡」

 ずちゅんっ♡

 全て収まると二人の呼吸が重なった。
 ノクスはしばらく動かず、ミルティの頬に優しく手を添える。潤んだ瞳で見上げる彼女に微笑みかけた。

「好きだよ……ミルティ♡」
「わたし、も……好き……♡」

 のろのろと伸ばされたミルティの腕がノクスの首に絡みつく。それを合図にしたみたいに、ノクスの腰がゆっくりと動き始めた。最初は探るような緩やかな動き。しかしすぐに速度は上がり、深い抽挿へと変わっていった。

「あぁっ♡ あ、あ、あっ♡」
「っ、気持ちいい……?♡」
「きもちぃ……っ♡ んあっ♡ あっ♡」

 ぱちゅんっ♡ ぱちゅんっ♡
 ぱちゅぱちゅぱちゅぱちゅぱちゅっ♡

「あ゛、あ゛、あ゛っ♡ お、く♡ おくに、あたって……っ♡」
「んっ♡ ここ、好きだもんね……っ♡」

 つるりと滑らかな亀頭が子宮口を叩くたびにミルティの背中が反り返る。

「あ゛、゛あっ♡ い、くっ♡ い゛っぢゃう……っ♡」
「うん♡ いこう? いっしょに……っ♡」

 ノクスの腰の動きが一層激しくなり、ミルティの内部が収縮する。次の瞬間――。

「あ゛あ゛あ゛っ♡♡」

 ノクスの腰が深く打ち付けられた。二人の身体が同時に震え、ミルティの内部に熱い液体が注ぎ込まれる。

「ん゛ん゛っ♡ ぁ……っ♡ あぁ……っ♡」
「……っ♡ ミルティ……♡」

 ノクスがゆっくりと引き抜くと、ミルティはぐったりとソファに沈み込んだ。
 しかし、ほとんど間をおかず、ノクスがゆっくりとミルティの身体を抱き起こす。

「ね……♡ もう一回♡」

 ノクスの囁きにミルティは弱々しく頷いた。するとノクスの腕が彼女の背中に回り込み、軽々と抱き上げた。そのまま自分の膝の上に跨らせるように座らせる。

「ミルティの好きな奥♡ いっぱい可愛がってあげる」
「あ゛あ゛っ……ッ♡」

 ぐちゅんっ♡

 先ほどとは違う角度で突き入れられると同時に、ソファのスプリングが音を立てる。
 下から突き上げるような動きに加えて、ノクスの両手がミルティの腰を押さえつけるように固定した。

「あ゛っ♡ あ゛っ♡ あ゛っ♡」
「ここ……好きでしょ?♡ ほら♡ ほらっ♡」
「しゅき……ッ♡ あ゛っ♡ しゅきぃ……ッ♡」

 ごりゅっ♡ と子宮口を押し上げるように突き上げられると同時にノクスの手が優しく下腹部を押さえる。
 外側からも圧迫され、内側からの刺激と相まって脳内が真っ白になるほどの快感が走った。

「あ゛、らめ、いま、押したらっ……ッあ゛♡ あ゛あ゛っ♡ でちゃ、でちゃう、からぁ……ッ♡」

 じょろろろっ♡ と熱い液体が結合部から溢れ出しノクスの腰やソファを濡らしていく。しかしノクスの動きは止まらない。むしろ勢いを増すように激しく突き上げ続ける。

「気持ちいいと、すぐおもらししちゃうもんね♡ えっちなオシッコ、たくさん出していいよ? 僕だけに見せて?♡」
「ひっ、あ゛っ♡ あ゛、あ゛っ、あ゛あっ♡」

 じょろっ♡ しょろろろっ♡

「すげ……♡ 可愛いよ♡ 大好き♡」
「お゛っ♡ あ゛っ♡ ま゛だイグぅ゛――……ッッ♡♡」

 全身が痙攣し、ミルティは何度目かの絶頂を迎えた。意識が飛びそうになるほどの快感に頭の中が真っ白になる。必死にノクスの首にしがみつくので精一杯だ。

「ミルティ……♡ 一緒にイこうね……?♡」

 ミルティの身体が未だ痙攣し続ける中でノクスの動きが一層激しくなった。

「あ゛あ゛っ♡ あ゛っ♡ あ゛っ♡」
「僕も……イクよ……ミルティ……っ♡」
「あ゛っ♡ なか、ほしっ♡ なかにだひて……っ♡」
「っは♡ それは、反則……っ♡」
「~~~~っ♡♡♡」

 呼吸もままならないほどに深い快感に襲われ、ミルティは大きく背中を反らせた。同時に膣内が収縮し、ノクスの陰茎を締め付ける。

「くっ……っ♡」

 ノクスの腰が震え、熱い奔流がミルティの中に注ぎ込まれた。二度目とは思えない量と熱さにミルティの意識が一瞬遠のく。

「ひ、あ、あ……♡ あぁ……っ♡」
「可愛い……♡ 俺のちんちん、ぎゅうぎゅう♡ してきて、持ってかれそ……ッ♡」

 ノクスはゆっくりと陰茎を引き抜くと、ミルティの身体を優しく抱き上げた。まだ余韻が残るミルティの身体はぐったりとしており、全身が熱を持っている。

「ベッド行こうね……♡」
「んぅ……」

 ノクスの首に腕を回しミルティは小さく頷いた。彼の体温を感じながら目を閉じる。ノクスはミルティの額に軽く口づけを落とすとそのまま歩き出した。
 寝室までの短い距離ですら今のミルティには長く感じる。


 ようやくベッドに到着するとノクスはゆっくりと彼女を横たえた。柔らかなマットレスが優しく受け止める。
 ベッドに横たえられたミルティはまだ息が整わないまま。その隙にノクスの手が素早く動く。

「ねえ……もっと愛し合おう?」

 ミルティの身体が仰向けからうつ伏せにひっくり返され、ノクスが覆いかぶさる。

「あ゛……♡ らめぇ……っ♡」
「なんで? ミルティのここ、僕のこと欲しいって言ってるよ?」
「もぅ……イケない……っ♡ 許して……っ♡」
「無理だよ……こんなに可愛くてえっちなミルティ見てたら……我慢できない……♡」

 ミルティの懇願を無視してノクスの陰茎が再び蜜壺に押し込まれる。

「お゛っ♡ あ゛あ゛あ゛っ♡」

 ベッドとノクスに挟まれたまま、一気に奥まで貫かれると、ミルティの背中が大きく反り返った。

「あ゛っ♡ あ゛っ♡ あ゛っ♡ いき、なり、そ、なっ、おくっ……♡」
「ほら……やっぱりここ♡ 好きなんだね……♡」

 ノクスの手のひらがミルティの背中を優しく撫でる。その刺激だけでも快感になるほど敏感になっていた。

「あ゛あ゛っ♡ らめ……っ♡ イク♡ イグぅ……ッッ♡」
「何度でもイッたらいい♡ ほら♡ たくさん擦って、突いてあげるから♡」

 ノクスの抽挿がさらに激しくなり、肌と肌がぶつかる音が部屋中に響く。

 ぱちゅんっ♡ ぱちゅんっ♡
 ごちゅっ♡ ごちゅごちゅごちゅごちゅっ♡

「あ゛あ゛っ♡ らめぇっ♡ イ゛っでる♡ ずっと♡ イ゛っでるぅ゛っ♡」

 ノクスの舌が汗ばんだ背筋を這い回る。時折軽く歯を立てられるとそれだけで軽い絶頂を迎えてしまうほどだった。

「可愛い♡ 本当に可愛い♡ ミルティは僕だけのものだ♡」

 ノクスの手がミルティの腰をしっかりと掴み固定する。逃げ場のない状態で最奥を穿たれたまま、彼は吐精した。
 まるで孕ませようとするかのように子宮口にぴたりと押し付けられたまま大量の精液が注ぎ込まれる。

「お゛お゛っ♡ あ゛、あ゛あ゛あ゛っ♡」

 意識が遠のくほどの快感に襲われながらもミルティは必死にノクスに応えようとしていた。だけど、もう体力の限界だった。

「ノク、スっ♡ ま、っれ、いっかい、やす、ませて……♡ も……お願いだからぁ……っ♡」

 弱々しい声で懇願するもののノクスの動きは止まらなかった。
 射精したばかりだというのに、激しい抽挿にミルティはもう意識を保つだけで精一杯だった。

「あ゛あ゛っ♡ う、そ……っ♡」
「ごめんね……っ♡ 止まれない♡ もっと……♡ もっと君を愛したい……っ♡」

 ノクスの声が興奮で上ずっている。その間も容赦なく腰を打ち付けられ続ける。

「お゛っ♡ お゛っ♡ あ゛あ゛っ♡」
「ミルティ……好きだよ♡ 大好きだ♡」
「ひ、いっ♡ い゛っ♡ あ゛っ♡」

 ノクスの指が背後から乳首を摘み上げる。

「足りない……♡ もっと、もっとだ……♡」
「あ゛あ゛っ♡ らめぇ……っ♡ ま゛だイグぅ゛――……ッッ♡♡」

 何度目かもわからない絶頂を迎えミルティの視界が一瞬真っ白になる。
 ノクスは腰を打ち振るい続けた。まるで本当の目的は射精ではなくミルティをイカせることにあるかのように。

「好き……ッ♡ 好きだよ♡ 大好き……ッ♡」

 ノクスの唇がミルティの背筋に沿って滑り落ちていく。一つ一つのキスが熱を帯びていて、その度に彼女の身体が小さく震えた。

「あ゛あ゛っ♡ ノクス、す、き……♡ だいすき……っ♡」
「ん♡ 僕も、大好き……♡」
「ひ、あぁ……っ♡」
「ミルティの反応……全部可愛くてたまらない……♡」

 ノクスの腰が前後に動くたび、まだ精液と愛液で満たされた蜜壺はぐちゅぐちゅ♡ と淫猥な音を立てた。

「あ゛あ゛っ♡ あ゛っ♡ あ゛っ♡」
「……またイキそう?♡ おまんこ、ぶるぶるしてきた♡」
「ん゛うっ♡ い、く……っ♡ また……っ♡」
「う、ん……っ♡ 僕、も、もうすぐ……一緒にイこうね……♡」
「あ゛っ♡ あ゛っ♡ あ゛ぁっ♡」
「ミルティ……っ♡ 愛してる……っ♡」

 ノクスがぐっと体重をかけるようにして子宮口を押し上げる。同時に彼の陰茎が脈打つように膨張し、次の瞬間には熱い奔流がミルティの胎内に広がった。

「お゛お゛っ♡ あ゛っ♡ あ゛あ゛あ゛――……ッッ♡♡」

 ミルティの身体が弓なりに反り返り、全身が痙攣するように震える。何度目かわからない絶頂を迎え、思考が霞んでいく。

「ふ、あ、あぁ……っ♡ ――……っ♡」

 ぷつん――となにかが切れるように、ミルティの意識はそこで途絶えた。




 最後の一滴まで絞り出すようにゆるく腰を振ったあと、ノクスはミルティの背中に唇を落とし、深く息を吐いた。

「……ミルティ?」

 小さく呼びかけてみるが返事はない。かわりに聞こえるのは微かな寝息だけ。
 どうやら本当に眠ってしまったようだ。

「…………ごめんね」

 少しやりすぎてしまったかもしれない。しかし後悔はしていない。ミルティの穏やかな寝顔を見ればわかる。

「好き……」

 そっと抱きしめる腕に力を込めるとミルティが僅かに身じろぎした。しかしそれ以上動くことはなく安心しきった様子で眠り続けている。
 ノクスは微笑みながらミルティの頬に軽く口づけを落とした。

「おやすみ……」

 この時間が永遠に続けばいいのにと思いながらノクスも目を閉じた。
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