魔法少女 ミルティ=クラウゼ

桜雨ゆか

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6 悪の組織の怪人は大好きな魔法少女とただひたすらにいちゃつきたい

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 白輝会の支部内。いつもは静かな資料室の一角が、妙にざわついていた。

「……だめだ、触ろうとするだけで牙を剥く。檻に近づいただけで魔力を逆立てるなんて」

 魔法生物の管理を担当している職員が、深いため息をつきながら檻の前で腕を組んでいる。
 檻の中には、黒い毛並みを持つ狐に似た小さな獣が一匹。
 艷やかな漆黒の被毛は首の後ろ側だけが白く、鬣のようになっている。
 赤みがかった瞳は鋭く、職員たちが近寄ろうとするたび、耳を伏せ前傾姿勢で低い唸り声をあげた。

「保護したはいいが、このままじゃ検査もできん。魔獣とは違う、魔法生物の分類に近いんだが……」
「それにしても、ここまで人に懐かない個体は珍しいな」

 担当者たちが顔を見合わせ、困り果てているところに――。

「お! あれ……」
「ちょうどいいところに」
「なあ、クラウゼ嬢。ちょっと来てもらえるか?」

 廊下を通りかかったのは『白輝の花』と名高い魔法少女ミルティ=クラウゼだ。
 純白のマントに縁取られた肩は凛と張り、胸元には銀の装飾が星のように輝いている。ふんわりと広がる白のミニスカートには淡い水色のラインが走り、ひらめくたび光を散らした。長い脚は白いニーソックスに包まれ、膝上には小さな護符の意匠が刻まれている。腰には淡い青の宝石が埋め込まれた細身のベルトが輝き、まるで彼女自身が光をまとっているかのようだった。

「はい? どうかしましたか?」

 戦場での凛々しさと、少女らしい可憐さが同居するその姿に、資料室にいた職員たちは自ら声をかけたくせに思わず息をのんだ。

「あー……、えっと、その、今、時間あるかな?」
「はい。ちょうどパトロールから帰ってきたところで……。わっ! 可愛い!」

 ミルティの視線が檻の中の小さな獣に向いた瞬間、獣は初めて警戒を解いたように鼻を鳴らした。
 その場にいた職員たちが「えっ⁉」と声を上げる。

「ずっと暴れて手がつけられなかったのに……」
「まあ……こんなに小さい子が……。すごく怖い思いをしてきたのかしら」

 ミルティが檻の前にしゃがみ込むと、黒い狐はためらいもなく檻の隙間から鼻先を伸ばしてきた。
 周りの職員たちの驚きの声が大きくなる。

「信じられない……!」
「初めて見る反応だぞ! まるで主人を見つけたみたいな……」

 ミルティが微笑みながら語りかけると、狐はゆっくりと彼女の方へ寄ってくる。

「あなた、怖がりさんなのね……」

 ミルティがそっと指を差し出すと、狐は小さく鳴いて、ちょんと鼻先をくっつけた。
 その瞬間、先ほどまで荒れていた魔力の波がすっと引いていき、空気が穏やかに澄んだ。

「う、嘘だろ……」
「触れただけで、魔力の逆立ちが消えた……?」

 職員たちがぽかんと口を開ける。
 檻越しにじゃれつこうとする狐の姿は、先ほどまで牙を剥いていた同じ存在とは思えないほどだ。

「……これは、もしかして」

 主任らしき男性が額に手を当て、困惑を隠せないままミルティに向き直った。

「クラウゼ嬢、頼みがある。この子の世話を、しばらく君に任せられないだろうか」
「えっ、わたしに……ですか?」
「他の者では近づくことすら難しかったんだ。だが、君になら懐いている。調査や管理のためにも、このままではどうにもならんのだ」
「……わかりました。この子が安心できるなら、しばらくわたしの部屋で預かります」
「助かる!」

 ほっと安堵の声を漏らす職員たち。
 彼らにとっても未知の魔力を秘めたこの小さな獣は、扱いの難しい存在だったようだ。

「檻から出しても?」
「ああ、かまわないよ」

 扉のロックを解除すると、狐は迷うことなくミルティの胸元へ飛び込んだ。
 周りからは感嘆のため息が漏れる。

「そうだ、名前をつけてもいいですか……?」
「ああ、君がつけてやってくれ」
「んー、どうしましょう? ……アテル! 黒い毛並みが素敵だからアテルにしましょう」

 ミルティが呼びかけると、狐――アテルは嬉しそうに尾を振り、喉を鳴らす仕草を見せた。

「じゃあ、よろしく頼んだ」

 ミルティはアテルをそっと抱きかかえ、職員たちに見送られながら資料室を後にした。

「さて、帰ってアテルがくつろげる場所をつくらなきゃ」

 廊下を歩くミルティの腕に抱かれた狐は楽しげにきゅうと鳴いた。


      ✢


 ミルティはアテルを抱いたまま自宅に戻った。
 資料室を出る際、管理部の職員が追加で小さな箱を持ってきて、「数日分だが」と言いながらアテル用の食器やタオル、それに小さなベッドなどを手渡してくれた。
 ミルティは家に着くとまずリビングの片隅にアテルの寝床を用意した。
 淡いブルーのベッドシーツの上に柔らかなタオルを敷き詰めると、アテルは嬉しそうにくんくんと鼻を鳴らしながら飛び乗った。

「ふふっ、気に入ったみたいね。これがトイレね」

 専用のトイレセットを設置すると、アテルはこちらでも鼻を寄せて匂いを確かめている。なかなか賢そうだ。

「これがあなたのご飯。食べられるかどうか試してみて」

 小さな皿に盛られた特殊なペースト状のフードを見て、アテルは最初こそ戸惑っていたものの、すぐにぺろりと平らげてしまった。よほどお腹がすいていたのだろう。

「よかった……おいしい?」

 ミルティが微笑みかけると、アテルは嬉しそうに尾をぱたぱたさせながら喉を鳴らす。まるで言葉が通じているかのようだった。

「じゃあ……わたしはシャワーを浴びてくるわね。ゆっくりしていてね」

 バスルームへ向かおうとすると、アテルがとことこと後ろをついてくる。

「ん? 一緒に入りたいの?」

 ミルティの問いに、アテルが肯定を示すようにぴょんっと跳ねる。
 なんとも可愛らしい仕草だ。
 ミルティはアテルを抱き上げようと手を伸ばし、そこで別の気配があることにはっとした。
 いつの間にかドアの近くに人影があったのだ。

「や、ミルティ。なんだか賑やかだね」

 ノクスだった。
 手に小さな紙袋を持ち、いつもの穏やかな笑みを浮かべている。
 今日はいつものマントも仮面もない。私服姿だ。

「ノクス⁉ あのね、実は――」
「……ッ‼」

 ミルティが説明しようと口を開いた瞬間、アテルが突然唸り声を上げた。牙を剥きだしにしてノクスを威嚇し始める。
 しかし、ノクスはまったく動じた様子もなくアテルを見下ろし、それから無造作に手を伸ばした。

「あっ!」

 ミルティが慌てる横で、ノクスはアテルを両手でむんずと抱き上げる。

「へえ……。あ、オスだ」
「グルルル~~ッ!」

 アテルが爪を立てようと前足をばたつかせるが、ノクスは平然とした表情でじっと見つめ返していた。

「魔獣じゃないね。どっちかっていうと魔法生物系。しかもかなり強力な魔力を持った個体みたいだ」

 淡々と言うノクスに対し、ミルティは少しばかり驚いた様子で声を上げる。

「わかるんですか?」
「なんとなくね。魔力の密度が違う。普通の動物じゃありえないね。――それにしても、僕は嫌われたみたいだね」

 アテルが再び低く唸って足をばたつかせる。

「今日からしばらくわたしが預かることになったの。仲良くなれると、いいんだけど」
「ふーん……ミルティはお人よしだな」

 ノクスがぽつりと呟く。
 口調は軽いが、その眼差しにはどこか含みのある光が宿っていた。

「――そういえば名前はあるの?」
「ええ。アテルにしました。黒い毛並みがとっても綺麗でしょう? 首の後ろだけ白くて可愛いんですよ」

 ノクスは無言でアテルをミルティに渡す。
 アテルはミルティの腕の中ですぐに大人しくなり、まるで先ほどの威嚇が嘘のように落ち着いた。

「君にはホントに懐いているんだね」
「アテル。ノクスは悪い人じゃないから安心して。わたしの大切な人なの」

 ミルティが穏やかに語りかけると、アテルは警戒しつつも低く唸るのはやめてくれた。牙もしまってくれる。

「ほらね。いい子でしょ? だから、ノクスも怒らないであげてくださいね」
「……別に怒ってないけど」

 ノクスは苦笑いしながらミルティの方へと身を乗り出し、アテルの額あたりを軽く撫でた。
 アテルはやっぱり不満そうに唸ったけれど、抵抗することはなかった。

「ところで、ミルティはこれからお風呂?」
「ええ。アテルも一緒に入りたがって……っあ!」

 ノクスが再びミルティの腕からアテルを抱き上げた。

「今日初めてここに来て、早速一緒にお風呂とか生意気。おまえはだーめ! ここにいろ。ミルティ、おいで。髪洗ってあげる」
「えっ⁉ ちょっ⁉ そんな……ノクス⁉」
「慣れない環境でいきなりお風呂に入れて体調崩したら大変だよ? ――この子はここで留守番しててもらう方が安全」

 ノクスは有無を言わさぬ調子で言い切り、アテルをソファに下ろすとミルティの手を引いてバスルームへと向かった。
 アテルは不満げに尻尾を垂らしていたが、ミルティが「待っていてね」と優しく言うと渋々ながらもその場に丸まった。


  
「ほら、ばんざいしてー?」
「ノクス! 自分でっ、自分で脱げますから……! そ、それに、お風呂はひとりで……」
「え~。あいつが入りたいってしたときは一緒に入ろうとしてたのに、僕はダメなの?」
「だってアテルは――」
「魔法生物だから? じゃあ、僕は? さっき大切な人って言ってくれたよね?」
「な――⁉ そ、それはぁ……っ……」
「それは?」

 ノクスが意地悪く笑う。
 その顔で見つめられるとミルティは結局いつもなにも言えなくなってしまうのだ。

「もうっ……。わかりました。降参です」

 観念してミルティが両手をかざすと、ノクスは嬉しそうに笑ってミルティの服に手をかけた。慣れた手つきで、けれど丁寧にミルティの服を脱がせていく。

「いつ見ても、ほんと綺麗だね……♡」 

 ブラのホックもあっさりと外されあっという間に生まれたままの姿になる。

「そういうのは、恥ずかしいから、大丈夫、ですっ……」
「だって、言いたくなっちゃうんだよ。そうやって恥ずかしがってるのも可愛いし」

 ノクスは一瞬だけ目を細めてそう呟くと、自分の服にも手をかけていった。

「ほら、おいで……」

 浴室へと続くドアを開け中に入るなりノクスがシャワーヘッドを手に取り温度を確認している。
 何度か一緒にお風呂というシチュエーションはあったけれど、ベッド以外の明るいところでノクスの裸体を見るというのはどどうにもドキドキしてしまう。

(最近だめだわ、わたしったら……) 

 ミルティは目を泳がせつつも、ちらちらと視線を向けてしまっていた。
 引き締まった肩から胸板にかけての厚み。鍛え上げられた腹筋は、照明の柔らかな光を受けて陰影を刻んでいる。
 ただ大きいだけではなく、しなやかな獣のような均整の取れた体つき――戦場で鍛え抜かれた証そのものだった。

(……っ、見ちゃだめ、見ちゃだめなのに……)

 ミルティは視線を逸らそうとするけれど、気づけばまた彼の胸元や腕に目が吸い寄せられてしまう。
 腰のあたりまで筋肉はなめらかに繋がり、腹の下へと落ちていくラインがいやに艶めかしい。
 シャワーから跳ねた水滴が胸から腹を伝い、縦に刻まれた腹筋の溝をつたい落ちる様は、視線を奪って離さなかった。

(……っ、だめ、そんなにじっと見たら……)

 理性が制止を叫ぶのに、目は勝手に追ってしまう。
 鍛えられた腕が持ち上がると、鎖骨の下の筋がはっきりと浮かび、その影がさらに男らしさを際立たせる。
 ノクスはそんなミルティの様子を見逃さず、からかうように唇の端を上げる。

「なーに? 見惚れちゃった?」
「みと……っ⁉ ち、違いますっ!」
「そっか。――まあいいや。こっち」

 ノクスが手を差し出してくる。
 ミルティはおずおずとその手を取り、導かれるままに椅子に腰を下ろした。

「熱くない?」
「はい、ちょうどいいです」
「よかった。じゃあ髪洗うね」

 ノクスはミルティの髪に手ぐしを入れるようにしながら軽く湿らせシャンプーを泡立てる。
 優しい力加減で触れられるのが気持ちよくて、ミルティは自然と瞼を閉じていた。




 髪を洗い、流し終えるとノクスは次にボディソープを手に取った。

「んじゃ次は身体ね♡」
「ひゃっ……!」

 泡を纏った手がミルティの背中から脇へと滑る。

「ちょ、ちょっ……、ノクスっ⁉ 自分でできます……からぁ……」
「大丈夫だよ。僕に任せて」

 背中側からノクスの手が回ってきて腕全体を使って抱きしめるように包み込まれる。

「……ノクス……っ」
「あぁ……ミルティの肌……すべすべしてて気持ちいい♡ この感触最高♡」

 ノクスの手のひらがミルティの身体の輪郭を確かめるように優しく撫ぜる。
 こうなることは予想はしていた。けれど――。

「んっ……♡」

 泡まみれになった背中から回された腕がミルティの胸の膨らみを包み込む。
 そのまま優しく揉みほぐすような動きに思わず吐息が漏れてしまう。
 泡がにゅるにゅる♡ と滑り、ノクスの長い指が乳輪のまわりをくるくるとなぞり始める。

「あん……っ♡ ノク、ス……っ」
「気持ちいい?♡」

 ノクスの低く甘い声が耳元で響く。

「ぁ……っ…♡ ん……っ♡」
「ここは? 触って欲しい?♡」

 ちょん♡ と尖った先端をつつかれると、それだけでじわりとした疼きが広がった。

「んっ……ッ♡」
「ふふっ……♡ 可愛い♡」

 ノクスはくすくす笑いながら今度は両方の胸の先端をくりくり♡ と弄り始めた。

「あんっ……♡ ゃ……っ♡」
「ほら……♡ すぐ硬くなっちゃうね♡」
「んん……っ♡ だめ……っ♡」

 くりくり♡ すりすりすりすり♡ くにゅっ♡

 ノクスの手の動きに合わせてぷっくりと勃ったそこがどんどん敏感になっていくのがわかる。

「気持ちよくなってきた? 乳首弄られるの好き?♡」
「んんっ……ふぅ……っ♡」
「教えて? 好き?」

 ノクスは楽しそうにミルティの耳元で囁く。
 泡で滑る指先が芯の通った乳首をきゅうっ♡ と摘むと、背中から腰にかけて痺れのような刺激が駆け抜けた。

「ミルティの大切な人の僕が訊いてるのに、教えてくれないの?」
「ぁ……っ…♡」
「ほら……♡ 好き?♡」

 きゅっ♡ くにくにくにくに♡ くにゅうっ♡

「っうぁ……♡」 

 ミルティの反応を楽しむようにノクスの指がくにくに♡ と乳首を押し潰す。

「んあ……っ♡」
「どうなの? 嫌?」
「い、いやじゃ、ない……です♡」
「素直になりなよ♡ ほら♡」

 ノクスが意地悪く笑いながら人差し指と親指で挟んだまま引っ張ったり弾いたりを繰り返した。

「あぁっ……♡ んっ……♡」
「気持ちいいならちゃんと声に出して♡」
「ひっ……♡ んんっ……♡」
「ちゃんと答えてくれるまで続けるから」

 すりすりすりすり♡ くにくにくにくに♡ 
 カリカリ♡ くりっ♡ カリカリカリカリカリカリッ♡

「う、あ……っ♡ きもち……ぃ…っ♡ きもちい……ですっ……♡ す、き……っ♡ ノクスに、さわられるの、すき……ッ♡」
「素直でいい子♡ うれしい♡」

 ノクスの唇がミルティの首筋を這う。
 ぬろ♡ と温かい舌が首筋を這い、耳殻にまで至る。

「んんっ♡ や、みみっ……っ♡」
「んー……? 好きでしょ? 舐められるの」

 ノクスの舌が耳孔を探るようになぞり上げる。
 ざらつく舌先が入り込んでくる感覚は快楽への刺激となり下腹部へと降り注ぐ。

「ひぅ……っ♡ ふっ……ぁ…っ♡」
「ほら、前見て? えっちな顔♡ 可愛い♡」

 ノクスがそう言って正面の鏡を示した。
 促されるまま視線を向けたミルティの目に快感に蕩けた自分の顔が映る。
 目尻は薄桃色に染まり唇は半開きのまま甘い吐息を零している。
 乳房はノクスの手によって形を変えられながらぬるぬると撫でまわされていた。

「んゃ……っ♡」

 きゅっ♡

 恥ずかしくて目を閉じようとするとそれを咎めるようにノクスの指がミルティの乳首をつまみ上げた。

「ああ……っ♡」
「だめだよ。ちゃんと見て」

 ノクスはそう言うともう一度ミルティの両胸を鷲掴みにして持ち上げるように揺すりはじめた。
 鏡の中でふたつの膨らみがぷるぷると揺れるさまが見え羞恥心を煽る。
 ノクスと一緒にお風呂に入るといつもこんな風に鏡に映る自分の痴態を見せられて辱められてしまう。
 でもそれが嫌ではない自分がいることもわかっていた。

「ほら見て? 僕におっぱい揉まれて気持ちよさそうな顔してる」
「ひぅ……♡ や……っ♡」
「やじゃないよね? こんなにえっちな顔して……」
「っあ……♡ や、そんな……♡」
「ね? どんなふうに弄られるのが好き? 指で優しく撫でられるのと、――こうやって強く潰されるのは?♡ どっちがいい?」
「ふあぁ……っ♡ あぁ……っ♡」

 ノクスが親指と人差し指できゅう♡ と摘むとミルティはびくんと身体を震わせる。

「それともこうやって――引っ掻かれる方が好き?」

 爪の先でかりっ♡ と先端を掻かれると甘い電流が身体を貫く。
 ノクスの指がミルティの両胸の頂を交互にいじめるように翻弄するたびに、下腹部で快楽の火種がくすぶりはじめる。

「んんっ……♡ あ、あ、あっ♡」
「乳首だけでこんなに気持ちよくなっちゃって……♡」

 カリカリカリカリ♡ すりすりすり♡
 くにくにくにくにっ♡

「ひ、んっ♡ や、あっ♡ ノクスぅ……ッ♡」
「ん? なーに?」

 鏡越しに見えるノクスの瞳には愉悦と欲望の炎が揺れている。
 ミルティはその視線に射抜かれただけで、子宮がきゅう♡ と収縮するのがわかった。

「ふ、あぁ……っ♡ も……う……っ♡」

 ミルティの喘ぎ声が切なく高まる。
 指の腹で擦られる乳首は限界まで膨らんで痺れを帯びている。
 もう耐えられない。このまま胸ばかりを刺激されているだけでは到底満足できない。
 もっと強い刺激が欲しい。
 いつもみたいに奥深い場所を暴いてほしい。
 けれどそれを口にする勇気はまだなかった。

「ねえ、ミルティ……」

 ノクスの声が低く響く。
 それは命令ではなく懇願のように聞こえた。

「どうしてほしいか……教えて?」

 ノクスの指が一度だけ優しくミルティの下唇をなぞる。
 その瞬間、我慢していたなにかがぷつんと切れた。

「もぉ……や、です……っ♡ ノクスぅ……♡」

 甘えた声が風呂場に響いた。
 ノクスが目を細める。

「やなの? どうして?」

 ノクスの口調は変わらず優しいままだ。
 でも、その瞳には明らかな期待の色が滲んでいた。
 ミルティの限界を察してなお、彼女自身の口からそれを求めるよう誘導しようとしている。

「ね……ぇ……っ♡ おねが、い……っ♡」
「うん♡ おねがいきいてあげるよ? どうしてほしい?」

 ノクスが指でそっとミルティの濡れた唇を押さえつける。
 それだけで身体中の神経がざわついた。

「……っあ……♡」
「ちゃんと言葉にしてごらん?」

 言わなければいけない。
 自分が望んでいるのは淫らな欲求。ノクスはきっとそれを知っている。
 ミルティがどれだけ拒もうと結局は彼を求めてしまうことをわかっているから。

「も……っと……っ♡」
「もっと? なにを?」
「うぁ……っ♡ も……っと……下も……♡」
「下?」
「いじわるっ……、わかってる、くせに……っ」
「ちゃんと教えてくれなきゃ、わからないよ。どこを触って欲しいの?」
「――ッ♡」

 ミルティの顔がかあっと赤くなった。
 恥ずかしくて目を閉じたくなるのに、ノクスの眼差しがそれを許さない。熱っぽくて、意地悪で、けれど愛おしそうな瞳が真っ直ぐミルティを捉えていた。

「ねえ……教えてよ。ミルティ」

 ノクスの吐息が首筋にかかる。
 もう逃げられない。
 鏡の中の自分の姿がぼやける。
 乳首は痛いほど張り詰めてノクスの指を待ち侘びている。蜜口からは愛液が太腿にまで滴り落ちそうになっている。

「……お……まんこ……っ♡ さわって……っ♡」

 ついにその言葉を口にしてしまった。
 恥ずかしいのに気持ちがいい。
 羞恥にまみれた声が狭い浴室に反響する。

「よく言えました♡」

 ノクスの声が甘く弾む。

「やらしいなぁ……♡ 乳首だけでこんなにおまんこ濡らしちゃって……。僕にどうされたい? 指で弄られたいの? それとも舐めてほしい?」
「んっ……♡」
「言ってよ? なんでも叶えてあげるから……」
「ひ……あぁ……っ♡」

 ノクスが耳朶を噛む。
 やんわりとした痛みとともに全身に悦楽の波が押し寄せる。

「仕方ないな……」

 ノクスの指がそっとミルティの太腿の内側に触れた。

「こっちに直接聞いてみよっか♡」

 ノクスはにやりと笑うと両手をミルティの膝裏に添えて大きく左右に広げさせた。

「え、あ……っ! や……っ♡ やあぁ……っ♡」

 鏡には椅子に座った状態で脚をM字に開かされた自分の姿が映し出されている。
 ノクスの視線を感じて子宮の奥が疼く。膣口からは透明な蜜が溢れだし糸を引いて床へと滴っていく。

「すごいね……♡ もうこんなにぐしょぐしょ♡」

 ノクスがうっとりとした声で呟いた。
 長い指がゆっくりと肉ビラを開く。割れ目の上の方でぷっくりと自己主張するクリトリスをちょんちょん♡ とつつき。

「ここ……好きだよね?♡」

 ノクスの低い囁きと共に、その一点だけを集中的に攻める指使いが始まった。

「ひんっ♡ あ、やっ♡ あんっ♡」

 ミルティの喉から甘い悲鳴が漏れ出す。鏡には快楽に歪む自分の顔がはっきりと映り込み羞恥を煽る。

「可愛い声♡ ほんとに好きなんだね……ここいじめられるの♡」
「あっ♡ ああっ♡ ら、らってぇ……ひっ♡」

 最初は爪の先で優しく撫でるように。次第に指の腹で円を描くように押し潰す。皮を剥かれ露出した部分はより鋭敏に反応を示した。

「こーら♡ 逃げないの♡」

 反射的に身を捩るミルティをノクスの声が制する。その手は容赦なくクリトリスを追い詰め続ける。

 すりすりすりすりっ♡ こりっ♡ コリコリコリコリコリ♡

「あぁ……っ♡ あっ♡ ひぁっ♡ や、そこ、ばっかり……っ♡ ビリビリす、る、からっ……ああっ♡」

 指の動きに合わせてピクンピクンと腰が跳ね上がる。

「それが気持ちいいんでしょ?♡」

 ノクスの声は優しく響くが、指先の力は増していく。カリッと爪で引っ掻くように掻かれると電撃のような快感が脳天まで突き抜けた。

「んあ――ッ♡」

 カリカリカリカリ……♡ カリリッ♡

 一瞬意識が白濁する。身体が弓なりに反り返る。

「甘イキしちゃった?♡ 可愛い♡ でも、もっと気持ちよくなれるよね?」

 ノクスはミルティの頬に軽く口づけすると、今度は二本の指でクリトリスの根元を摘み上げる。

 にゅくっ♡ にゅこにゅこにゅこにゅこっ♡

 包皮ごと扱き上げられれば強烈すぎる刺激が襲いかかる。

「やぁっ♡ あ゛ッ♡ それぇっ♡ ひっ♡ きもち、いいっ……っ♡」
「もっと声聞かせて……♡」

 親指で皮を剥きながら中指の腹で小刻みに振動を与えてくる。同時に乳首への愛撫も再開されて快楽の波が倍増する。

「ん、ああぁ……っ♡ ら、めっ♡ いっしょに、したらぁ……っ♡」
「一緒にされるの好きでしょ♡」
「あ、あ、あッ♡ でもっ、こぇ、すぐ、イッひゃ……っ♡ あ、いく……♡ イッちゃ……あ゛ァッ♡」

 クリトリスから全身に電流が駆け巡りミルティは呆気なく達した。
 絶頂を迎えた膣口がヒクヒクヒクッ♡ と痙攣し、ぴゅぴゅっ♡ と潮が吹き出す。

「可愛い♡ ね、ミルティ♡ 僕、ミルティのおまんこ舐めたい♡ 身体、流してベッド行こ?」

 ノクスの言葉にミルティが小さく頷いた。
 シャワーで石鹸と愛液を流し終えた二人は浴室を後にした。
 バスタオルで丁寧に拭いたあと、ノクスはミルティを抱き上げた。
 寝室に向かう途中、リビングのソファで寝転んでいたアテルがぴょこんと顔を上げた。

「――おまえは来ちゃだめだよ?」

 ノクスが優しくそう言うと、アテルはほんの少しだけ目を細め、鼻を鳴らして再び丸くなった。


      ✢


 寝室のドアが静かに閉まる。
 ノクスはベッドの上にミルティをそっと横たえると、そのまま覆い被さるようにしてキスをした。

「んっ……♡ ふっ……♡」

 唇を重ねるだけの軽い口づけから徐々に深くなる。舌先同士が触れ合い絡み合う音が静かな空間に響く。
 ミルティは無意識にノクスの首に腕を回して抱きついた。もっと深く感じたくて自分から積極的に舌を絡めていく。
 ノクスもそれに応えるように激しく舌を絡ませてくる。

「はぁっ……♡」

 吐息と共に漏れ出る声が甘い媚薬となって空気に溶ける。ノクスがミルティの頬に触れるとそれだけで甘い吐息が漏れ出た。

「ミルティ……♡ すごいえっちな顔してる♡ 我慢できなくなっちゃった?」

 ノクスに甘く揶揄われて、ミルティは思わず俯いた。

「だっ……てっ♡」

 もっと彼に触れてほしい。奥まで蹂躙されたい。
 そんな浅ましい欲望が頭をもたげるのを抑えられない。
 羞恥と期待がないまぜになった感情が胸を焦がす。

「脚、自分で開いて、僕に見せて?」
「――っ♡」

 耳元で囁かれた命令にミルティは背筋をゾクゾクと震わせた。
 ノクスの視線を痛いほど感じる。

「…………っ♡」

 ミルティはゆっくりと膝を立て、脚を左右に開いていった。
 先程までの行為で熟れた秘部が露わになる。
 肉ビラが艶かしく潤み、小さな穴は物欲しげにひくついていた。お湯で洗い流したはずなのに新たな愛液が溝を伝っておしりの方まで滴っている。

「――よくできました♡」

 ノクスは満足げに微笑むと、そこに顔を埋めた。

「あっ……♡」

 熱い吐息が触れるだけで全身に鳥肌が立つ。
 次の瞬間――ぬるりとした生温かいものが肉ビラ全体を覆った。同時に柔らかな舌がクリトリスを優しく押し上げる。ざらついた表面で小刻みに擦られると脳が痺れるような感覚に襲われる。

「ふあぁ……っ♡」

 ミルティは堪らず身悶えた。しかしノクスの腕が腰を捕らえているため逃れることができない。

「あんっ♡ ひっ♡ んあっ♡」

 ぢゅるっ♡ と淫猥な音を立ててクリトリスが吸われると堪らず背中が仰け反る。

「おいし……♡ もっといっぱい舐めてあげるね♡」

 ノクスの言葉通り執拗な愛撫が始まった。
 唇で包皮を剥きながら舌先でちろちろ♡ と先端を擽るように舐められたり甘噛みされたりする度にビクビクッ♡ と腰が跳ね上がる。

「あぁんっ♡ そ、な……っ♡ 吸ったらぁ……ッ♡ あ゛ンっ♡」
「ほんと……ここ弱いよね♡ 可愛い……♡」

 ノクスが一旦顔を上げると、今度は唾液でぬらぬらと光るそこを指先でつん♡ とつついた。
 それだけでも充分すぎるくらい感じるのに彼の指は止まらない。
 指の腹で転がしたり爪で掻くように引っ掻いたりしてミルティを追い詰めていく。

「ひぅっ♡ あ゛~っ♡ クリだめ……っ♡ まって、まってまって……んぁ゛ぁ゛ッ♡」

 指で可愛がられたかと思えば、今度は舌の腹全体でべっとりと包み込むように舐め上げられ歯でやんわりと甘噛みされる。

「あ゛――ッ♡」

 快感の連続に頭の中が真っ白になった。
 ミルティが何度イッても、ノクスはまるで飴玉でも舐めるかのようにクリトリスを口に含みしゃぶり尽くす。
 時折思い出したように膣口へと舌を挿入し中からも快楽を与えてくる。

「あ、あっ、ああっ♡ ノクス、きもち、いいっ……っ♡」
「そうだね♡ ミルティのここ、もう、とろっとろ……♡ 気持ちよさそ♡」
「あっ、あたま、バカになっ……あ゛ぁっ♡」
「いいよ♡ 僕の舌でたくさんイッて?♡」

 ぢゅるっ♡ じゅるっ♡ と下品な水音が室内に響く。

「うあ゛ッ♡ イぐぅ♡ イッてゆ……っ♡ あっあっあっ♡ だめっ♡ それ以上吸っちゃ……っ♡ ま、たいっちゃ……ああっ♡」

 カクカク♡ と腰を揺らして、ミルティは盛大に達した。

「あ、はあ……っ♡ はあ、はあっ……ッ♡」

 絶頂の余韻が引かない。息は荒く、四肢は痙攣し、視界はまだ霞んでいる。
 だがそれ以上に身体の奥底が疼いていた。ノクスの舌による愛撫は確かに極上の快楽だった。けれどもう、それだけでは足りない。

(奥に……ほしい……)

 その想いが急速に膨れ上がる。ノクスの優しい愛撫とは対照的な、もっと暴力的な何かを求めている。
 ミルティは震える指で自らの股を開いた。まだひくつき蜜を零している入口を見せつけるように。

「……ノクス……ここ……」

 掠れた声で呼びかける。

「ここに……ちょうだい……?」

 ミルティのねだる声に、ノクスの眉が僅かに動いた。

「――……っ」

 声にならない息がノクスの唇から漏れる。
 瞬間、彼の碧い双眸が獰猛な輝きを放つ。
 ノクスはベッドの上に膝立ちになり、随分前から昂りきっていた肉棒を掴んだ。
 血管が浮き上がり先走りの液が滲むそれは凶悪なまでに屹立している。これから彼女の胎を蹂躙する存在だということを如実に物語っていた。

「いい子だね……ミルティ……♡ そんなに可愛く煽るなんて……♡」

 ノクスの喉仏がごくりと上下に動く。
 ミルティにはそれがまるで獣の唸り声のように聞こえた。
 彼が覆い被さってくる。
 その仕草は優美でさえあったが瞳の奥には確かな狂気が宿っていた。
 ノクスの長い指がミルティの腰を掴む。柔肌に食い込むほどの力強さに思わずミルティの呼吸が止まる。

(あ……これ……やばいかも……)

 恐怖にも似た期待が身体を駆け巡る。
 直後――力任せに引き寄せられた。

「ひっ……!」

 驚きの声が上がる暇もなく亀頭が膣口を捉え、そのまま一気に侵入してくる。

 ばちゅんッッ♡

「……っぁ……あ゛……!」

 あまりにも唐突かつ激しい衝撃だった。
 ノクスが腰を前に突き出したのだ。一瞬で最奥まで貫かれる感覚。内臓が押し上げられる圧迫感に呼吸さえ忘れる。

「っく……たまんね……っ…♡ はあっ……♡ 全部挿入った……ッ♡」

 ノクスの声は甘くも切羽詰まっていた。
 膣壁が突然の侵入に驚き戦慄く。しかしそれはすぐに悦びへと変わる。彼の雄を喜んで迎え入れるように襞が絡みつく。

「すご……熱くてヌルヌルで……♡ 搾り取られそ……♡」

 ノクスはうっとりと呟きながら更に奥へ押し込もうとする。すでに奥に届いているというのにそれでもなお奥を目指す貪欲さにミルティは目眩を覚えた。

「あ゛……っ♡」

 これ以上は無理というところから、さらに深いところにごちゅ♡ とはまり込んでようやく止まった。
 ミルティは浅くはっはっ♡ と息を吐いて絶頂の波を必死に凌いだ。

「あは♡ 子宮おりてきてる♡ わかる? ここ♡ 一番奥♡ 僕のちんちんに吸いついてきてる♡」

 ノクスが嬉しそうに笑う。
 その言葉通り、ミルティの胎の奥はノクスの肉棒を離すまいと強く締め付けていた。

「うごくね……?♡」

 ノクスの腰がゆっくりと動き出す。
 ずろぉぉ……っ♡ とゆっくり引き抜かれるとミルティの身体が粟立った。

「っあぁ……ッ♡」

 そしてまた奥まで突き入れられる。
 ぱちゅんっ♡

「ひ、あ、っ♡ あ゛あ゛っ♡ す、ごぃ……っ♡」

 何度も何度も繰り返される抽送にミルティの思考は完全に溶かされていった。

「あ、ぁんっ♡ ノクスっ♡ これぇ、ほしかった、やつぅ……っ♡」
「うわ……♡ やらしぃ♡ そんな、言われたらっ、もっとあげたくなっちゃう♡ ほら、いいよ? もっと気持ちよくなって?」

 ノクスの腰使いが激しくなるにつれ結合部から蜜が溢れ出し白い泡となってシーツに垂れる。

「ん゛っ、んぁ♡ はぁっ♡ あ゛ぅ♡ すごっ♡ おくっ♡ いっぱいっ……♡」
「っ、は♡ ミルティ、ちょっと腰上げるよ……っ♡」

 ノクスは突然ミルティの両脚を肩に担ぎ上げた。ミルティの腰が宙に浮き、さらに結合が深まる。

「あ゛ぁっ♡♡♡」
「ほら……♡ さっきより奥に、届くでしょ?♡」

 ノクスはミルティの頭を抱えるようにして完全に覆いかぶさった。
 ミルティの脚をしっかりと固定し、上から叩きつけるように腰を落とし始める。

 どちゅっ!♡ ずちゅっ!♡ ぱんっ!♡ ぱちゅっ!♡

「あ゛あ゛ぁっ♡ や゛っ♡ ま゛っれっ……♡ しきゅっ、つぶれちゃっ……あ゛あ゛っ♡」

 身体全体で押さえ込まれて逃げ場がない。ノクスの体重がかかることで熱い剛直が底を抉る。

「はっ……♡ ミルティ……っ♡ 可愛い……♡ 可愛いっ♡」

 ノクスは汗を散らしながらミルティの耳元で囁く。

「僕のもの……っ♡ 僕だけの……っ♡ ミルティ……っ♡ 大好きだよ……っ♡ 誰にも渡さない……っ♡」
「あ゛ぁっ♡ わ゛たしもっ♡ あ゛ぁっ♡ すきっ♡ ノクスっ♡ すきぃっ♡」
「っく……♡ はあっ……♡ あ゛ー……孕ませてぇ……ッ♡」

 ノクスの瞳にギラついた情欲が宿る。
 ミルティの胎に精液を注ぎ込み、孕ませたいという本能むき出しの欲望が滾っている。

「っあ゛♡ あ゛っ♡ おぐっ♡ あたっ……♡ ひぅ♡ い゛ぐっ♡ ま、たっ、いっぢゃうっ♡」
「いいよ?♡ しっかり、クセつけちゃお♡ 全部、覚えて……っ?♡」
「ひ、あ、あっ♡ あ゛あ゛っ♡ ~~~~ッッ♡♡♡」

 ミルティの背中が反り返り絶頂を迎える。

「う、あっ♡ あ゛あ゛っ♡ ま゛っ……っ♡ イってる♡ いまイッてぅのに゛ぃ……っ♡ ひっ♡ またっ♡ いぐっ♡」
「すごいよ?♡ イキっぱなし♡ ミルティの中っ♡ ずっとびくびくって……っ♡」
「きもちぃの♡ とまんなっ……♡ あ゛あ゛あ゛っ♡」
「んっ……♡ 僕も……ッ♡ ミルティの中に奥に出すからっ♡ 全部、飲み干してっ♡」

 ノクスがラストスパートをかけるように激しく腰を振りたくった。
 ミルティの身体が揺さぶられ視界がチカチカと明滅する。

「ひあ゛っ♡ あ゛っ♡ あ゛っ♡ くるっ♡ きちゃ……っ♡ あ゛ぁぁっ♡」
「くっ……♡ 出すよ……ッ♡ うあ゛♡ で、る♡ でるでるでるっ……っッ♡♡♡」

 ノクスが思い切り腰を突き立てた瞬間、二人の身体が硬直した。

 びゅくっ……♡ びゅるるるッッ♡♡♡

 大量の白濁液が胎の奥深くに注ぎ込まれる。
 熱い奔流にミルティは身体を痙攣させた。

「あ、あ……♡ なかっ、いっぱいでて……っ♡ うあ゛っ♡」
「っく……♡ すっご……♡ ミルティの、なか……♡ たまんね……っ♡」

 ノクスは最後の一滴まで余すことなく注ぎ込むかのようにゆるゆると腰を振り続けた。
 やがて、長い射精が終わったあとノクスはしばらくの間ミルティの身体を抱きしめていた。

「――……ねえ、ミルティ?」

 荒い呼吸の中でノクスが囁く。

「もう我慢しなくていい? ミルティを独り占めしたい……。僕のとこまで堕ちてきてよ……?」

 ノクスが絞り出した声に、ミルティから返事はなかった。

「ミルティ……?」

 かわりに微かな寝息だけが返ってきた。
 ノクスは恐る恐る身体を起こしミルティの顔を覗き込んだ。汗と涙で濡れた頬は赤く染まったままだが瞼は閉じられ規則正しい呼吸を繰り返している。

「…………寝ちゃったのか」

 ノクスは肩の力を抜いた。

「まったく……。君には敵わないな」

 苦笑しながらミルティの額に張りついた前髪をそっとかき上げた。汗でしっとりとした肌が指に心地よい。

「でもさぁ、僕のことこんなに夢中にさせといて、それはズルすぎじゃない……? こんなに我慢してるのに……」

 ノクスは恨めしげに呟きながらも、優しくミルティの頬を撫でる。

「まあ、でも……答えに困る君を見るのも複雑だし。仕方ないか……」

 ノクスは愛おしそうに囁き目を閉じた。


      ✢


 ミルティが目を覚ますと窓の外はまだ暗かった。
 夜明け前の静けさが部屋を満たしている。
 隣に伸ばした手は冷たいシーツを撫でただけだった。

「……ノクス?」

 眠りに落ちる前まで、あれほど近くに感じていた体温が今はどこにもない。
 ミルティはむくりと身体を起こして周囲を見回した。
 人影はない。
 かわりに枕元にぽつんと置かれた紙袋が目に入った。

(ノクスが持ってきたやつ。忘れてったわけじゃなさそう……。それにしても黙って帰らなくても……)

 まだ日が昇ってすらいない時間だ。
 いつもなら朝まで一緒にいてくれるのに、今日は帰ってしまったようだ。
 寂しく思う気持ちを打ち消すように首を振って紙袋に手を伸ばす。

「――置いてったのかな?」

 持ち上げると、紙袋の下に手紙も置かれているのが見えた。

「……?」

 見てみれば封筒の表面には『ミルティへ』と書かれている。
 ミルティはそろそろと中身を出す。

『ミルティへ♡
黙って帰ってごめんね。よく寝てたから起こさなかった。
しばらく忙しくて会いに来れそうにないんだ。
だからこれは僕からのプレゼント♡
僕が恋しくなったら使ってもいいよ♡』
 
 手紙の内容にミルティは首をひねりながら紙袋の中を見て、そして、絶句した。

「ノクス……」

 ごろん、と出てきたのは一目でそれだとわかる男性器を模した器具だった。
 途中で枝分かれしていて、おそらく片方はクリトリスを愛撫する形状になっている。
 いわゆる吸引バイブというやつだ。
 手紙の続きが目に入る。

『ちゃんと僕と同じくらいのサイズにしといたから♡』

「なにが、『ちゃんと』なの……」

 ミルティはそう小さくつぶやきながら、出てきたそれを紙袋に戻した。
 と、ちょうどそこへ、廊下から小さな足音が聞こえてきた。
 ひょこりと姿を現したのはアテルだった。
 赤い瞳で部屋を一瞥すると、とことことミルティのほうへ歩いてくる。

「アテル……」

 アテルはじっとミルティを見つめたまま、ベッドの端にちょこんと飛び乗った。

「おいで……」

 相手がアテルとはいえ、ノクスが残したプレゼントを見られるのは少し恥ずかしい気がして、ミルティはベッドサイドに紙袋を置いた。
 それから手を伸ばしてアテルを抱き上げる。
 特に抵抗することなく抱きしめられたアテルはそのままミルティの腕に収まった。
 すり、と胸元に頬を寄せてくる様子が可愛くて思わず顔が綻ぶ。

「もう少し寝よっか」

 ミルティはぽつりとつぶやいた。
 返事をするみたいにアテルがきゅるると喉を鳴らす。
 ベッドに横になり上掛けを引き上げてアテルを胸に抱いたまま、ミルティは目を閉じた。


      ✢

 
 それから数日後の――怪人組織クナブルム・フィニス。
 広大な要塞の一室。豪華な調度品に囲まれた執務室でノクスは静かにキーボードを打っていた。
 黒革の椅子に深く腰掛け、時折書類から顔を上げて考え込むように宙を睨む。

「新設部隊の人員配置……北東の拠点強化策……」

 怪人組織クナブルム・フィニスの幹部としての責務はそれなりに重い。
 特に最近は白輝会と暗刃会が協力態勢をとることがあるから厄介だ。
 そのため、ここ数日は作戦会議に出席し、部下の指導を行い、各部門との調整を行う毎日が続いていた。

「……会いたいな、ミルティ」

 ふと漏れた自分の言葉に驚いて慌てて首を振る。

(ああ、だめだな。つい……)

 忙殺されている日々の中でもどうしても思い浮かぶのは彼女のことばかりだった。
 もう二週間、ミルティに会えていない。
 彼女はどう過ごしているだろうか。
 ちゃんと眠れているだろうか。
 それになにより――。

「少しは寂しがってくれてるかな? プレゼント、気に入ってくれたかな?」

 気に入ってなかったとしても、次に会ったときに一緒に使えばいい。
 そんなことを考えていたときだった。
 執務室の扉がノックされ、返事をすれば一人の男が入ってきた。
 長身の青年だ。漆黒の髪。襟足に白いグラデーションカラーが入っている。

「……忙しそうだな。書類の山に埋もれて死んじまうぞ」

 赤い瞳が、皮肉げにノクスを見下ろす。
 端正な顔立ちをしているが、切れ長の瞳は、どこか狐を思い起こさせ油断ならない雰囲気をまとっている。

「……何の用? ヴォルペス」

 ノクスと同じ幹部職であり、情報部門を統括しているヴォルペスだ。
 一見して軽薄そうだがその実力は幹部の中でも群を抜いている。

「白輝会側の情報を持ってきてやったんだよ。ありがたく受け取れ」

 手に持っていたファイルを机に投げ出し、勝手知ったる様子でソファにどかりと腰掛ける。

「……情報?」
「そうそう。白輝会がまた妙な動きをしてる。最近は暗刃会と組んで調査隊を強化してるみたいだし」

 ヴォルペスはソファに身を預けながら、足を組んで唇の端を吊り上げる。

「特にお前の担当領域に近いあたりで、人員の増強が確認されてる」

 ノクスは視線を落とし、ファイルに目を通した。細かい地図、配置の推移、そして傍受された暗号の断片。どれも信憑性の高い資料だった。

「本当に便利だね、君の情報網は」
「お褒めにあずかり光栄だよ。……俺のとこにはホントいろんな情報が集まってくるからなあ」

 赤い瞳が鋭く細められる。冗談めいた声色に潜む威圧感に、ノクスは眉をひそめた。

「……なにか言いたげだね」
「いやなに、最近のお前、どこか浮ついてるように見えてな」
「……」
「白輝会と暗刃会が動き出してるこの時期に、随分と余裕があるみたいだからよ」

 ヴォルペスの指摘に、ノクスは何も答えなかった。
 確かに最近の自分は任務よりもミルティとの逢瀬を優先させることが多い。
 彼女といる時間がなによりも大切だった。
 そしてこの二週間は会えないことが苦しかった。

 ――会いたい。

 その想いが頭を占めて仕方がなかった。
 ヴォルペスが立ち上がる。

「まあせいぜい気をつけろよ。お前が腑抜けちまってるとこっちも困るからな」
「……わかってるよ」

 短く答えたがヴォルペスはまだ納得していない様子で鼻を鳴らした。

「白輝会や暗刃会以外にだって俺たちの計画を邪魔しようっていう輩はいくらでもいる。……気を抜けば足元を掬われるのはお前の方かもしれないぜ?」
「……」

 ヴォルペスは踵を返してドアに向かった。去り際、扉に手をかけてちらりと振り返る。

「ま、せいぜい大事なモノはちゃんと管理しておくことだ。どこで誰が見てるかわからないぜ」

 深い赤の瞳がこちらを射抜き、にやりと笑う。
 その表情は獲物を狙う獣のように楽しげで残酷だ。
 まるで全てを見透かされているかのような不快感が胸をよぎる。

「余計なお世話だよ。それに僕の大切なものはちゃんと守ってる」
「ハッ……どうだか」

 ノクスの言葉を嘲るように笑い飛ばしヴォルペスは執務室を出ていった。




 ノクスは投げ出されたファイルに手を伸ばし、機械的にページをめくった。
 白輝会の配置図が目に飛び込んでくる。赤い記号で示された警備ポイント。緑で示された未探索地域。そこに描かれた地形はまさに――ミルティが住むマンションのすぐ近くだ。

「…………」

 指先が無意識に書類を握りしめた。ヴォルペスの言葉が耳朶を打つ。

"大事なモノはちゃんと管理しておくことだ"
"どこで誰が見てるかわからないぜ"

「くそ……」

 思わず低く唸る。
 わかっている。危険な賭けだということは。
 自分がどんなに特別な立場にいるか――白輝会とクナブルム・フィニスの者が共にいることの危険性を。
 それでも止められないのだ。
 彼女がいればそれでよかった。ただ会いたかった。声が聞きたかった。触れ合いたかった。
 ――彼女の体温を感じたかった。

「…………」

 机の上に残された報告書がやけに重く感じる。文字列を目で追っても内容が頭に入ってこない。意識は既に別なところへ向いてしまっていた。
 夕闇が執務室に忍び寄ってくる。
 窓の外に広がる街並みも次第に赤く染まり始めていた。空気が冷えてくるにつれ、ノクスの焦燥も静かに募っていく。
 この二週間。本当なら毎晩だって会いに行って抱きたかった。この腕の中に閉じ込めてしまいたいと何度思ったことか。

「さっさと片付けよう……」

 書類の山を処理していく間も頭の中では別の計算が働いていた。
 危険は承知だ。

 それでも、今夜こそ会いに行こう――。

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