​【罠】聖域・忠犬先公達の檻

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五月:黄金週間の海1

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ゴールデンウイークが始まった。

上手く休みが重なり、八連休となる。

純一と和彦にとっては、二人で過ごす初めての長期の休みとなる。

和彦は楽しそうにパソコンを操作しては、ここへ行きたい、ここも良いと次々提案してきた。

おいおい、8日じゃそんなにまわれないよと純一が言うと拗ねたような顔になる。

そんな和彦が純一は愛しく、後ろから抱きしめた。

和彦は直ぐに照れたような表情になり顔を後ろに向け、キスをせがむ。

純一は口づけをする。

学園では同僚の仮面を被らなければならない二人は、二人きりになると一時も離れず、身体をくっつけている。

そして、付き合ってすぐの長期休暇。

二人はレンタカーに乗り込み、純一の運転でドライブ旅行に出かけた。

一箇所に留まるわけではなく点々と場所を移る。

近場にも良い観光スポットはあったが、生徒達とばったり会うことを避け、少し遠目で、さらに、マイナーな場所に宿を取った。

二人にとって、観光などはオマケに過ぎない。

二人で過ごせればそれで充分なのだ。

「スゲェッ!綺麗だなぁ、、、」

和彦が嘆声を上げる。

山の横を走っていた国道の視界が広がり、雄大な海が目の前に広がる。

和彦は窓を全開にし、潮風を吸い込む。

「良い匂いだぁ、、、」

運転のため、ティアドロップ型のレイバンをかけた純一が微笑ましそうに和彦を見る。

「どうだ?海に寄っていくか?」

「うんっ!」

和彦は大きく頷く。

気ままな二人旅。

純一はハンドルを切り、車は国道を離れ海岸へと向かう。



「混んでるなぁ」

和彦が言う。

海岸沿いの駐車場はどれも混んでいて空きが見つからない。

「ゴールデンウイークの初日だからな、、、」

純一が慎重にハンドルを切り空きを探す。

見える海岸には家族連れが遊び、海上にはサーファー達が波を楽しんでいる。

「あ、あの駐車場、奥の方が空いてるっ!」

和彦が大声を上げる。

見れば奥の方に空きがある。

純一かその方向に向かっていると、猛スピードで横を通り抜け、目の前の駐車場の入り口に曲がる車があった。

サーフボードを積んでいる。

純一は、慌てて急ブレーキを踏む。

「危ねぇー。なんだ?あの車、、、」

和彦が不快な顔をし、駐車場に消えた車を睨む。

「最低な運転だな、、、」

純一も不快顔だ。

その車の運転手は、純一達に謝るそぶりも見せず、駐車券をさっと取ると駐車場に消える。

「ねぇ、あの車運転していたの高沢に似てなかった?髪型が違ってたけど、、、」

「和彦、そりゃ、見間違えだろ。高沢先生は、あんなサングラスをかけて無謀な運転をしないだろ」

「服もド派手なアロハだったしね。高沢先生があんな派手な服を着ることないか、、、」

二人は目を見交わし笑う。

別に駐車場が空いてなければ海沿いを走れば良い。

二人で一緒にいることができれば良いのだ。

           *

清明学園の社会科教師、高沢憲司は、高級外車をビーチ近くの駐車場に滑り込ませた。

“ったく、トロトロ運転しやがって、、、”

心の中で舌打ちをする。

その彼をイラつかせた車に同僚が乗っていたのには気付いていない。

車から降りた彼の姿は、学園での影の薄い教師とは似ても似つかない。

鮮やかな派手なアロハシャツと膝上丈の短パン、そして高価なブランドサングラスを身に着けた彼は、男性ファッションモデル然としていた。

流線型のサーフボードを取り出し、ビーチバッグ片手に、その長身で引き締まった体躯を見せびらかすように浜辺へと歩き出す。

目の前の浜辺には直行せず、脇道を進む。

その先は、メインの家族連れが賑わうエリアから離れた、岩場が点在する静かな入り江だった。

そこは、男を愛する者たちが密かに集う場所として密かに知られている場所。

彼は岩陰を背に立ち止まる。

高沢は、人目を気にせず、着替えを始めた。

派手なアロハシャツを脱ぎ、そして短パンを足元に落とす。

着痩せするタイプだろう。

彼の肉体は、均整が取れ、見事に締まったスジ筋で覆われていた。

まるでナイロンザイルを撚り合わせたような筋肉が身体を覆う。

日焼けした肌は逞しく光り、肩から腕にかけての筋肉は波の支配者としての力量を示している。

彼は、その逞しく縒られた裸体を隠すこともなく、岩場に降り注ぐ日差しの中に晒した。

周囲の岩陰や、離れた場所から、多くの視線が彼の裸体に注がれている。

その視線は、熱量と欲望を帯びており、まるで肉体に針を刺すように突き刺さる。

高沢は、その危険な視線を十分すぎるほど意識しながら、肌にぴったりとフィットするウェットスーツをゆっくりと引き上げた。

ウェットスーツが彼の彫刻のような筋肉を包み込むと、彼は最後にサーフボードを小脇に抱え、荒々しい波の音が響く海へと向かって歩き出す。

彼の教師としての顔は、この海辺の解放された肉体の中に、完全に消え去っていた。
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