3 / 31
3話 限界集落であなたと出会う
しおりを挟む
次の仕事を探している間、旅行をすることにした。
今ならいくらでも時間があるから、観光地ではない場所に行ってみようと思った。
紙の地図を広げて、目を閉じてから「ここだ」と思った場所に指を置く。
そこは都会から遠く離れていて、知らない名前の村だった。
どんなところか分からないけど、今回の旅の目的地にしよう。もう、やけくそになっていた。
なんとかなるだろう。
根拠はないけど、不思議とそう思えた。
きっと、店や宿泊施設もあるはずだ。
旅行当日。新幹線に乗ってから二時間くらいで目的地の近くに着いた。
そこからバスに乗って更に移動する。
なんだかミステリーツアーをしているみたいで楽しかった。
バスの席に座ってから窓の外を眺める。
季節が春だから桜が咲いていて、木には緑色の葉っぱがついている。
耕された畑、稲の苗が植えられている田んぼもあった。
知らない名前の雑草もたくさん生えていて、緑豊かな場所だ。
窓から入ってくる風も澄んでいて気持ちいい。
店や家がぽつぽつと見えるところから三十分くらい経った場所でバスが停まった。
「お嬢さん、終点です」
途中まで数人の乗客がいたけど、いつの間にか私だけになっていた。
バスを降りてから周囲を見渡すと、たくさんの杉の木と穏やかに流れている川があった。
川を見てみると、水が透き通っていて魚が見えた。
木の枝が風で揺れる音、鶯の鳴き声が聞こえてくる。
見上げると青い空が見えて、どこまでも続いていると分かるほど広かった。
不便ではあるけど、静かな場所で落ち着く。
自然に囲まれた場所で暮らしてみるのもいいかもしれない。
適当に決めた旅行だけど、視野が広がったから来てよかった。
満足したから、そろそろ帰ろう。
スマホでバスが来る時間を調べるけど、電波が一本しか立っていなくてネットに繋がりにくい。
やっと表示されたバスの時刻表を見て目を丸くする。
「今日の運行は、さっき乗っていたバスで終わり!?」
どうやら、午後五時以降はバスが来ないようだ。
近くに家がないし、車も走っていない。……何より人間が一人もいない。
このまま野宿するしかないんだろうか。
沈んでいく太陽を眺めながら絶望する。
そうしているうちに夜になってしまった。
明日の朝までどうしよう……。
肌寒くなってきた時、一台の軽トラックが道路の端に止まった。
運転手が降りて、私のところにやってくる。
「この辺の人ではなさそうだな。
なぜこんな山道にいる?」
その人が聖さんだった。
「旅行をしていたんです」
「限界集落に旅行……?
変わった人もいるものだな」
「限界集落!?」
今ならいくらでも時間があるから、観光地ではない場所に行ってみようと思った。
紙の地図を広げて、目を閉じてから「ここだ」と思った場所に指を置く。
そこは都会から遠く離れていて、知らない名前の村だった。
どんなところか分からないけど、今回の旅の目的地にしよう。もう、やけくそになっていた。
なんとかなるだろう。
根拠はないけど、不思議とそう思えた。
きっと、店や宿泊施設もあるはずだ。
旅行当日。新幹線に乗ってから二時間くらいで目的地の近くに着いた。
そこからバスに乗って更に移動する。
なんだかミステリーツアーをしているみたいで楽しかった。
バスの席に座ってから窓の外を眺める。
季節が春だから桜が咲いていて、木には緑色の葉っぱがついている。
耕された畑、稲の苗が植えられている田んぼもあった。
知らない名前の雑草もたくさん生えていて、緑豊かな場所だ。
窓から入ってくる風も澄んでいて気持ちいい。
店や家がぽつぽつと見えるところから三十分くらい経った場所でバスが停まった。
「お嬢さん、終点です」
途中まで数人の乗客がいたけど、いつの間にか私だけになっていた。
バスを降りてから周囲を見渡すと、たくさんの杉の木と穏やかに流れている川があった。
川を見てみると、水が透き通っていて魚が見えた。
木の枝が風で揺れる音、鶯の鳴き声が聞こえてくる。
見上げると青い空が見えて、どこまでも続いていると分かるほど広かった。
不便ではあるけど、静かな場所で落ち着く。
自然に囲まれた場所で暮らしてみるのもいいかもしれない。
適当に決めた旅行だけど、視野が広がったから来てよかった。
満足したから、そろそろ帰ろう。
スマホでバスが来る時間を調べるけど、電波が一本しか立っていなくてネットに繋がりにくい。
やっと表示されたバスの時刻表を見て目を丸くする。
「今日の運行は、さっき乗っていたバスで終わり!?」
どうやら、午後五時以降はバスが来ないようだ。
近くに家がないし、車も走っていない。……何より人間が一人もいない。
このまま野宿するしかないんだろうか。
沈んでいく太陽を眺めながら絶望する。
そうしているうちに夜になってしまった。
明日の朝までどうしよう……。
肌寒くなってきた時、一台の軽トラックが道路の端に止まった。
運転手が降りて、私のところにやってくる。
「この辺の人ではなさそうだな。
なぜこんな山道にいる?」
その人が聖さんだった。
「旅行をしていたんです」
「限界集落に旅行……?
変わった人もいるものだな」
「限界集落!?」
0
あなたにおすすめの小説
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写と他もすべて架空です。
冷たい外科医の心を溶かしたのは
みずほ
恋愛
冷たい外科医と天然万年脳内お花畑ちゃんの、年齢差ラブコメです。
《あらすじ》
都心の二次救急病院で外科医師として働く永崎彰人。夜間当直中、急アルとして診た患者が突然自分の妹だと名乗り、まさかの波乱しかない同居生活がスタート。悠々自適な30代独身ライフに割り込んできた、自称妹に振り回される日々。
アホ女相手に恋愛なんて絶対したくない冷たい外科医vsネジが2、3本吹っ飛んだ自己肯定感の塊、タフなポジティブガール。
ラブよりもコメディ寄りかもしれません。ずっとドタバタしてます。
元々ベリカに掲載していました。
昔書いた作品でツッコミどころ満載のお話ですが、サクッと読めるので何かの片手間にお読み頂ければ幸いです。
下っ端妃は逃げ出したい
都茉莉
キャラ文芸
新皇帝の即位、それは妃狩りの始まりーー
庶民がそれを逃れるすべなど、さっさと結婚してしまう以外なく、出遅れた少女は後宮で下っ端妃として過ごすことになる。
そんな鈍臭い妃の一人たる私は、偶然後宮から逃げ出す手がかりを発見する。その手がかりは府庫にあるらしいと知って、調べること数日。脱走用と思われる地図を発見した。
しかし、気が緩んだのか、年下の少女に見つかってしまう。そして、少女を見張るために共に過ごすことになったのだが、この少女、何か隠し事があるようで……
下宿屋 東風荘
浅井 ことは
キャラ文芸
神社に憑く妖狐の冬弥は、神社の敷地内にある民家を改装して下宿屋をやっている。
ある日、神社で祈りの声を聞いていた冬弥は、とある子供に目をつけた。
その少年は、どうやら特異な霊媒体質のようで?
妖怪と人間が織り成す、お稲荷人情物語。
※この作品は、エブリスタにて掲載しており、シリーズ作品として全7作で完結となっております。
※話数という形での掲載ですが、小見出しの章、全体で一作という形にて書いております。
読みづらい等あるかもしれませんが、楽しんでいただければ何よりです。
エブリスタ様にて。
2017年SKYHIGH文庫最終選考。
2018年ほっこり特集掲載作品
椿の国の後宮のはなし
犬噛 クロ
キャラ文芸
架空の国の後宮物語。
若き皇帝と、彼に囚われた娘の話です。
有力政治家の娘・羽村 雪樹(はねむら せつじゅ)は「男子」だと性別を間違われたまま、自国の皇帝・蓮と固い絆で結ばれていた。
しかしとうとう少女であることを気づかれてしまった雪樹は、蓮に乱暴された挙句、後宮に幽閉されてしまう。
幼なじみとして慕っていた青年からの裏切りに、雪樹は混乱し、蓮に憎しみを抱き、そして……?
あまり暗くなり過ぎない後宮物語。
雪樹と蓮、ふたりの関係がどう変化していくのか見守っていただければ嬉しいです。
※2017年完結作品をタイトルとカテゴリを変更+全面改稿しております。
あまりさんののっぴきならない事情
菱沼あゆ
キャラ文芸
強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。
充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。
「何故、こんなところに居る? 南条あまり」
「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」
「それ、俺だろ」
そーですね……。
カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。
同窓会に行ったら、知らない人がとなりに座っていました
菱沼あゆ
キャラ文芸
「同窓会っていうか、クラス会なのに、知らない人が隣にいる……」
クラス会に参加しためぐるは、隣に座ったイケメンにまったく覚えがなく、動揺していた。
だが、みんなは彼と楽しそうに話している。
いや、この人、誰なんですか――っ!?
スランプ中の天才棋士VS元天才パティシエール。
「へえー、同窓会で再会したのがはじまりなの?」
「いや、そこで、初めて出会ったんですよ」
「同窓会なのに……?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる