『真説・宇宙世紀・タルカス・サイレン共通重心超巨大連惑星系世界冒険記』

トーマス・ライカー

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外宇宙へ・・大進出時代・・奇妙な惑星系

・・船団集結・・2・・

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副長室から船長室に戻った私(トマク・ラオ・シン)は、まだ休暇として過ごせる時間は残っていたが・・自室から集結している3隻の船長達に向けて、私信を取りまとめて送信した・・。

内容はミレーナと一緒にいた時にも語った、大規模な前進補給支援基地をこの恒星系内の空間に建設すべしと言う提案を、先に開催されたディナーミーティングの席で合意した3つの具申提案に加えて、4つの具申提案としようと言うものだ・・各船司令部での討論は自由に取り纏めて貰い、次に開催されるディナーミーティングでこの暫定前進司令部での、統一具申提案として4項目を取り纏めようと言う話だ・・送信してから3時間以内には各船の船長からの返信が届き、総ての返信に於いて私の提案を諒承して4項目での取り纏めに合意すると言う内容だった・・。

まずまず満足のいく展開だな・・時計を空間に呼び出して観ると、そろそろ5時間の休暇明けだ・・私は顔を洗って身嗜みを調えると船長室を出てブリッジに向った・・。

補給問題は各船ともある品目に於いては、のっぴきならない深刻な状況に入りつつある・・私は再び各船との間にレーザー通信ネットワークを構築し、保管数量の減少が危惧される品目に於いては、各船とも保有する全数を出して持ち寄り、4等分としてはどうかと提案した・・。

3船からの返答にはニュアンス的な差異が幾分かあったが、概ね好意的に同調して貰える意見が寄せられた・・。

そのまま船長同士のネットワークミーティングに移行して、HSSLS 037が3隻の補給船を引き連れてこの恒星系に到着して我々と合流し、初の恒星間調探査船団が結成されるまで、保管数量の減少が危惧される品目に於いては4船で4等分として共同で管理する事・・その為に各船とも副長とドクターのペアを暫定的に補給部として認定し、共同管理の為の実務作業を担当して貰う事・・各船補給部同士での、専用レーザー回線を設定する事・・これらの点で合意した・・そしてこれらの合意決定事項は、218から037に向けて送信する事を確認した・・。

・・HSSS 214・・ブリッジ・・

「・・うん・・トマク・ラオ・シン船長・・いよいよやり手としての片鱗が観えて来たな・・」

空間ビューワに映し出された今回の決定事項文面を眺めながら、カーステン・リントハート船長が誰にともなく言う・・。

「・・船長・・」

ラリーサ・ソリナ副長が左側から彼を見遣る・・。

「・・俺は船団司令には彼が相応しいと以前から思ってる・・まあ公の席上でそれを口に出すつもりは無いがね・・ただ一人の船長として、彼を船団副司令に推挙しようとは考えている・・どう思う・・?・・」

「・・好いですね・・賛成です・・意見の具申は自由ですし、バランスの執れる体制になると思います・・不測の事態が発生して037が機能不全に陥った場合・・指揮系統の消失・途絶を防止できます・・」

「・・さすがはソリナ副長・・満点の答えだ・・じゃあ、ラリーサ・・ドクターと打ち合わせをしといてくれ・・夕食は第4ホログラムデッキに私が保存しているプログラムの中で、って事で・・どうだい・・?・・」

そう言いながら右手を彼女の左肩に置く・・。

「・・了解・・」そう応える彼女の顔には、少し赤みが差していた・・。

・・HSSS 210・・ブリッジ・・

「・・やはり・・トマク・ラオ・シン船長・・彼の資質と言うか才能は・・非凡で特筆すべき・・もののようね・・」

チャープラン・オープラサート船長が、キャプテンシートに座ったまま左手で顎を触りながら言う・・。

「・・船長・・」アーンスト・バーロウ副長が振り返る・・。

「・・副長・・カーステン・リントハート船長に繋いで頂戴・・私信としてね・・?・・」

「・・了解しました・・」

・・HSSS 214・・ブリッジ・・

「・・船長・・チャープラン・オープラサート船長から私信です・・船長室で受けられますか・・?・・」

ファンム・ジョンウム・メイン・センサーオペレーターが訊く・・。

「・・いや、ここで受ける・・メインビューワに出してくれ・・」

「・・了解・・」

ブリッジ・メインビューワにチャープラン・オープラサート船長の顔が映し出される・・。

「・・これは、オープラサート先輩!・・先輩から直接に呼び掛けを頂けるとは珍しい・・どうしました・・?・・」

「・・貴方はトマク船長とアカデミーで同期だったわね・・?・・」

「・・はい、そうですが・・それが何か・・?・・」

「・・私は貴方方の2年上で、その当時はよく知らなかったんだけど、今の私はトマク船長の特筆すべき非凡な才能を買っているのよ・・」

「・・そうですか・・それで・・?・・」

「・・それで、私は彼を船団副司令に推薦しようと考えているんだけど・・貴方の意見を聞かせて貰えるかしら・・?・・」

「・・好いですね、賛成です・・さすが先輩のご慧眼には、敬意を表しますよ・・いや、実は自分もアカデミー時代から、彼の資質と言うか才能には注目しておりまして・・私一人でも彼を船団副司令に推挙しようと考えておりました・・なので、先輩と一緒に彼を副司令に推薦出来るのは、非常に嬉しいです・・どうでしょう・?・ここは連名で推薦具申書を出しませんか・・?・・」

「・・好いわね・・そうしましょう・・フォーマットは貴方に任せるから、037が到着するまでに書き上げて貰えるかしら・・?・・」

「・・承知致しました・・お任せ下さい・・」

「・・宜しく頼むわね・・オープラサートより以上・・」

交信は終わり、回線は210から切られた・・ちょうどラリーサ・ソリナ副長が、ドクターとの打ち合わせを終えてブリッジに戻って来る・・。

「・・ああ、お帰り・副長・・ちょうど今、チャープラン・オープラサート船長と交信していてね・・驚いた事にオープラサート先輩も、俺と同じ考えだったよ・・」

「・・どう言う事でしょうか・・?・・」

「・・いや、だからさ・・先輩が言うには、トマク・ラオ・シン船長には特筆すべき非凡な才能があると・・私は彼のその才能を買って船団副司令に推薦しようと考えているが、彼とアカデミーで同期であった貴方はどう思うか?、と問われたんだ・・正直に言って驚いたけど、嬉しくもあったから即行で賛成したんだよ・・そして俺と先輩との共同連名で推薦具申書を提出しようと言う事になった・・」

「・・そうだったんですか・・好かったですね・・?・・」

「・・ああ、ありがとう・・いや、人を適正に評価できる眼を持つ人と言うのは、確かにいるものなんだな、と思ったよ・・俺は以前からオープラサート先輩はすごい人だと思ってた・・並み居る女性船長達の中でも二目は置いていたよ・・・それはそうと、君とミレーナ・ファルチ副長は、アカデミーで一年違いだったか・・?・・」

「・・そうですが、それが何か・・?・・」

「・・そうか・・分かった・・今の話に関連して、君にちょっとした頼みがあるんだが・・それは夕食の時にでも話すよ・・」

「・・分かりました・・」

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