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ファースト・シーズン
3月2日(月)夕食会合
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結局、4人とも同じグリル・ロースステーキ・ディナーセットをライトビアで頼んだ。
「でもトップ女優が3人集まってるのに、あんまり騒がれないよね? このメンバーで食事したの、これで確か6度目くらいになるけどさ? 目敏い人4.5人に声掛けられて、サイン書いてあげたぐらいだもんな? 」
「トップ女優だなんて言って下さるのは、アドルさんくらいですよ。私達は3人とも、もう旬は過ぎています。でも、ありがとうございます。それに女優も私達くらいになれば、プライベートで営業的視覚情報はそれ程に示しませんから」
ハル・ハートリーが食べながら応える。
「既に旬を過ぎていると自ら言うのは、それこそご謙遜だね。でも経験と年輪で培わされる、観せ方の技術と言うのは納得だ」
「ありがとうございます」
シエナ・ミュラーもライトビアをふた口呑んで応える。4人とも食べながら話を進めている。
「今朝から配信ニュースを全く観てないんだけど、どんな感じで報道されていたかな? 」
「ゲーム大会の開幕は、大きく報じられていました。最初の2日間で軽巡7隻が撃沈。49隻が大破したそうです」
と、ハル・ハートリー参謀。
「へえ、あのフィールドの広さでね。やはり運営本部はある程度、艦と艦との遭遇・邂逅・接触を仕組んでいる。でなければそんなに沈んだり、大破したりする筈が無い。幾らファースト・チャレンジ・ミッションであった、のだとしてもね。まあ次の土日では通常のゲーム進行になるだろうから、フィールドの広さはグッと狭まるだろう。仕組まなくてもある程度接触するぐらいの広さにね? 」
「それに、2日間で本艦と同程度の経験値を累積した軽巡宙艦が、1220隻出ました」
「やっぱりな。前から言ってたでしょ? 俺より優秀な艦長なら1000人以上はいるって。最初に彼等と遭遇しなくて好かったよ。出逢っていたら、とても無傷じゃ済まなかったな…」
そう話しながらも、食べたり飲んだりの手は止めていない。
「配信会社は20隻の参加艦について、何か発表したかい? 」
「はい。チャレンジ・ミッションとしてそれぞれ同じ軽巡と接触し、戦闘になりました。判定としての勝ち負けはそれぞれにありましたが、損傷は被りつつも大破には至らずに入港したとの事です」
シエナ・ミュラーも食べながら応える。
「艦名は出したけど、個人名は出していない? 」
「はい、そうです」
「やはり解禁は初回の配信で、と言う事か。しかしサライニクス・シティは中佐の生誕地だから、中佐のプロフィールに詳しい人なら気付くかも知れないな。初回配信は3月8日の日曜日だよね? 我々は生で観られないけど。実際に番組はどんな形態になるのかな? 」
「初回配信に限り、司会はマルセル・ラッチェンスさんが務めるそうです」
「へえ、マスター・プロデューサー自らね。初回配信は120分? 」
「150分です。アランシス・カーサーさんが副司会として就いて、ミンディ・カーツさんがアシスタントとして就きます。技術的な分野と軍事的な分野でのコメンテーターが入って、あとは男女3人ずつでタレント・コメンテーターが入ります。あとはレポーターも数人入るようです」
「レポーター? ああ、乗艦前にカメラマンとインタビューに来た人か? あの人もタレントなの? 」
「ええ、主にヴァラエティの配信番組で、よく観ますね」
配信番組については、ハンナ・ウェアーが説明した。
「配信番組の中で何を言われるかとか、その後で何がどう変わるのかを今から気にしても仕方ない。私の場合、翌日出社したら質問攻めにされるぐらいは予想しているけどね。他のスタッフやクルー達は何か言っていたかな? 」
「皆、貴方を称賛する以外での特徴的な発言はありませんでした」
「無事に無傷で入港出来たのは、全乗員の献身的な協力と奮闘によるものだ。僕の力じゃないよ。さて、もう少しで食べ終わるな。皆も平日は他の仕事もあるだろうから、気を付けて過ごしてくれ。勿論、僕も気を付ける。それじゃあ平日は慎ましやかに過ごすとしよう。僕の社宅には来ても好いけど、気を付けて来てくれ。それと、雨の夜に来るのは禁止だ。風邪を引いちゃマズイからね。では、ご馳走様でした」
食後のコーヒーを飲み干して、ナプキンで口を拭うと私は立ち上がった。
割り勘で会計を済ませて外に出る。皆、それぞれ自分のエレカーで来ていた。駐車スペースで握手を交わし、軽くハグして車に乗り込み帰途に着く。
社宅に帰着するとベランダでモルトウィスキーを呑みながら煙草を喫い、バスで充分に温まってから寝た。
「でもトップ女優が3人集まってるのに、あんまり騒がれないよね? このメンバーで食事したの、これで確か6度目くらいになるけどさ? 目敏い人4.5人に声掛けられて、サイン書いてあげたぐらいだもんな? 」
「トップ女優だなんて言って下さるのは、アドルさんくらいですよ。私達は3人とも、もう旬は過ぎています。でも、ありがとうございます。それに女優も私達くらいになれば、プライベートで営業的視覚情報はそれ程に示しませんから」
ハル・ハートリーが食べながら応える。
「既に旬を過ぎていると自ら言うのは、それこそご謙遜だね。でも経験と年輪で培わされる、観せ方の技術と言うのは納得だ」
「ありがとうございます」
シエナ・ミュラーもライトビアをふた口呑んで応える。4人とも食べながら話を進めている。
「今朝から配信ニュースを全く観てないんだけど、どんな感じで報道されていたかな? 」
「ゲーム大会の開幕は、大きく報じられていました。最初の2日間で軽巡7隻が撃沈。49隻が大破したそうです」
と、ハル・ハートリー参謀。
「へえ、あのフィールドの広さでね。やはり運営本部はある程度、艦と艦との遭遇・邂逅・接触を仕組んでいる。でなければそんなに沈んだり、大破したりする筈が無い。幾らファースト・チャレンジ・ミッションであった、のだとしてもね。まあ次の土日では通常のゲーム進行になるだろうから、フィールドの広さはグッと狭まるだろう。仕組まなくてもある程度接触するぐらいの広さにね? 」
「それに、2日間で本艦と同程度の経験値を累積した軽巡宙艦が、1220隻出ました」
「やっぱりな。前から言ってたでしょ? 俺より優秀な艦長なら1000人以上はいるって。最初に彼等と遭遇しなくて好かったよ。出逢っていたら、とても無傷じゃ済まなかったな…」
そう話しながらも、食べたり飲んだりの手は止めていない。
「配信会社は20隻の参加艦について、何か発表したかい? 」
「はい。チャレンジ・ミッションとしてそれぞれ同じ軽巡と接触し、戦闘になりました。判定としての勝ち負けはそれぞれにありましたが、損傷は被りつつも大破には至らずに入港したとの事です」
シエナ・ミュラーも食べながら応える。
「艦名は出したけど、個人名は出していない? 」
「はい、そうです」
「やはり解禁は初回の配信で、と言う事か。しかしサライニクス・シティは中佐の生誕地だから、中佐のプロフィールに詳しい人なら気付くかも知れないな。初回配信は3月8日の日曜日だよね? 我々は生で観られないけど。実際に番組はどんな形態になるのかな? 」
「初回配信に限り、司会はマルセル・ラッチェンスさんが務めるそうです」
「へえ、マスター・プロデューサー自らね。初回配信は120分? 」
「150分です。アランシス・カーサーさんが副司会として就いて、ミンディ・カーツさんがアシスタントとして就きます。技術的な分野と軍事的な分野でのコメンテーターが入って、あとは男女3人ずつでタレント・コメンテーターが入ります。あとはレポーターも数人入るようです」
「レポーター? ああ、乗艦前にカメラマンとインタビューに来た人か? あの人もタレントなの? 」
「ええ、主にヴァラエティの配信番組で、よく観ますね」
配信番組については、ハンナ・ウェアーが説明した。
「配信番組の中で何を言われるかとか、その後で何がどう変わるのかを今から気にしても仕方ない。私の場合、翌日出社したら質問攻めにされるぐらいは予想しているけどね。他のスタッフやクルー達は何か言っていたかな? 」
「皆、貴方を称賛する以外での特徴的な発言はありませんでした」
「無事に無傷で入港出来たのは、全乗員の献身的な協力と奮闘によるものだ。僕の力じゃないよ。さて、もう少しで食べ終わるな。皆も平日は他の仕事もあるだろうから、気を付けて過ごしてくれ。勿論、僕も気を付ける。それじゃあ平日は慎ましやかに過ごすとしよう。僕の社宅には来ても好いけど、気を付けて来てくれ。それと、雨の夜に来るのは禁止だ。風邪を引いちゃマズイからね。では、ご馳走様でした」
食後のコーヒーを飲み干して、ナプキンで口を拭うと私は立ち上がった。
割り勘で会計を済ませて外に出る。皆、それぞれ自分のエレカーで来ていた。駐車スペースで握手を交わし、軽くハグして車に乗り込み帰途に着く。
社宅に帰着するとベランダでモルトウィスキーを呑みながら煙草を喫い、バスで充分に温まってから寝た。
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