2 / 11
ファースト・トライアルミッション
ファースト・トライアルミッション・ファースト・ステージ・ゲームフィールド
しおりを挟む
「……トライアル・ミッションフィールドに、転送されました……」
「…エンジン停止…アポジ・モーターで取舵2° …光学迷彩レベル5…アンチ・センサー・ジェル …も、レベル5で展開……センサーは第5戦闘距離の範囲内をパッシブ・スキャン……タイプB の機動中継発信ビーコン5基に、光学迷彩システムとアンチ・センサー・ジェルシステムを内蔵させて……それらが出来次第、ファイブ・ベクトルの方位に向けて放出し、同時に起動……総員第一警戒配置……ゲームフィールド・データをアップデート……保安部員は目視で周辺を警戒……」
「……すごい警戒レベルですね……」
あまり意識していないような様子で、そう言ったマレット・フェントンを横目で微笑みながら見遣り、カリーナ・ソリンスキーに言う。
「……全スタッフ・クルーに通達だ……ここに放り込まれたもう1隻は、本艦と同じレベルだ……最大限に警戒してくれ……」
「…了解…」
「……光学迷彩とアンチ・センサージェルも内蔵させた…中継発信デコイも5基用意して、出来次第放出してくれ……」
「…了解…」
「…範囲内に感知無し…」
「…ビーコン準備よし…5方位に放出します…」
「…デコイも準備よし…放出します…」
「……フィールド・アップデート完了……範囲はこの太陽系の1.6倍です……制限条項と言いますか、条件が設定されています……」
「…読んでくれ……」
「……ビーム砲とレーザー・ヴァルカンは使えません……既に『運営本部』からのアクセスでロックされています……ハイパー・ヴァリアントは使えますが……有効射程距離が1000mとされています……各種ミサイルは、そのまま使用できますが…破壊力が通常の100倍に設定されています……防御機能・防御力に条件はありません……機動性能・機動力にも条件はありません……有効視界範囲と言いますか……視程範囲についてですが……通常の65%程です……以上です……」
「……メインビューワで前方を映してくれ……」
直ぐに映し出されたが…遠方の対象物に於いては、解像度が低く抑えられているようだ。
「……15倍に拡大……」
拡大されて映し出された前方の風景も、同じように観えた。
「……エドナ……光学兵装の動作確認を頼む……」
「……既に確認しましたが…反応しません……」
「……ヴァリアントを使うのなら、旋回狙撃でないと無理だな……カリーナ…岩塊デプリの分布密度は同じくらいかな? 」
「……ほぼ同程度と思われます……」
「……潜水艦の戦術・戦法になる訳だな……ミサイルの破壊力を確認したい処だけど…居場所がバレるか……安全距離は、80m~100mってところかな……ビーコンとデコイは拡散移動しているのかな? 」
「……はい…アポジ・モーターで拡散移動中です……」
「……アリシア…通常の対艦ミサイル1基を放出して、アポジ・モーターで直線航行5分……停止して以降は慣性航行……」
「……了解…放出します……」
「……本艦も同時にアポジ・モーターで微速後退……」
「……了解…後退開始します……」
「……多分…向こうの艦長も、同じ事を考えているだろうな……カリーナ…何処かで爆発が起きたら、センサーがそれをどう捉えたか観てくれ……」
「…分かりました…」
「……居場所が判らないんじゃ、作戦の立てようもないからな……」
それから10分間が静かに流れた。
「……コンピューター…第5戦闘距離の範囲内を3D投影……」
【…コンプリート…】
キャプテン・シートに座ったまま、右手で投影された3D映像の複製を近くにまで呼び寄せ、指で幾つかのグリッドを拡大して観ていたが……ある岩塊デプリを指でマークした。
「…コンピューター…今マークした岩塊の質量は、軽巡宙艦の何%だ? 」
【…25%です…】
「……アリシア…この岩塊デプリを照準ロック……慣性航行中のミサイルを起動して、ぶつけて観る……」
「……了解…ロックしました……」
「……スラスター起動、発進…」
「…発進しました…着弾まで、22秒……」
「…センサーはオールレンジで監視…」
「…監視中…」
対艦ミサイルは宙空を走り、岩塊に命中・起爆して…粉々に爆散させた。
「…1基でか……シールドを張っていても、4基が命中したら……撃沈だな……」
その時…長距離センサーがかなり遠方での爆発を捉えた。
「…(笑)…あちらさんも、やったようだね……エンジン始動…発進してハーフスピードへ……取り敢えず爆発ポイントをロックして、インターセプト・コースで30秒だけ走れ……」
「…了解…」
「……カリーナ…ふたつの爆発を、センサーはどう捉えたかな? 」
「…はい……現状でのスイープ・スキャニング・レベルで、ですが……通常との比較で言うと……長距離でのスキャニングでは、16%程……解析結果が粗く表示されます……つまり今、主砲が使えるとして……第1戦闘距離の170%で狙撃を敢行した場合……命中率は70%前後でしょう……」
「……そうか……スイープ・ターゲット・スキャナーを手動で3回絞り込んで……幾らかでも解析精度を上げてくれ……」
「…分かりました……! 艦長! 軽巡宙艦のエンジン始動をキャッチしましたが……10秒で消えました……ロストです……最初のロックポイントからの距離は9700m……」
「…そのポイントにロックを変更してインターセプト……10秒走ってエンジン停止……動き出したな……総員、第1戦闘配置……30秒でアラート停止……10秒間で動いた距離・方位・スピードから…敵艦の推進方位…コースを予測して重ねて表示……」
それがブリッジの宙空に、黄色のラインで浮かび上がる。
「…パワーサインは採った? 」
「……記録しましたが、ダウンロードはまだ……」
「……良いよ…それはいずれ判る……向こうも採ったな……艦首・艦尾対艦ミサイル全管装填……対空ミサイル・長距離ミサイルも全管装填……アリシア…20秒後に放出デコイの1基を、方位521マーク974に向けて発進……」
「…了解…」
「……もう一度…状況認識を確認して共有しよう……今から言う事は、頭にも身体にも叩き込んでくれ……対艦ミサイルは絶対に避ける……フル・パワーでディフレクター・シールドを展開していても……4基くらえば沈む……特にパイロット・チームは頼む……」
「…分かりました…」
「……頭と身体を解して…反応は俊敏に……瞬発力も上げていこう……あの敵艦を無力化するまで……休み時間は無しだ……」
「…ファースト・デコイ、発進しました…」
「…アポジ・モーターで取舵2° …総てのロケット・アンカーを即時に発射できるように用意……」
「…用意よし……」
「……向こうもロケット・アンカー戦術を知っている可能性が高い……パイロットチームは、即時反転ダッシュも頭に入れてくれよ……」
「…分かりました……」
「…エンジン停止…アポジ・モーターで取舵2° …光学迷彩レベル5…アンチ・センサー・ジェル …も、レベル5で展開……センサーは第5戦闘距離の範囲内をパッシブ・スキャン……タイプB の機動中継発信ビーコン5基に、光学迷彩システムとアンチ・センサー・ジェルシステムを内蔵させて……それらが出来次第、ファイブ・ベクトルの方位に向けて放出し、同時に起動……総員第一警戒配置……ゲームフィールド・データをアップデート……保安部員は目視で周辺を警戒……」
「……すごい警戒レベルですね……」
あまり意識していないような様子で、そう言ったマレット・フェントンを横目で微笑みながら見遣り、カリーナ・ソリンスキーに言う。
「……全スタッフ・クルーに通達だ……ここに放り込まれたもう1隻は、本艦と同じレベルだ……最大限に警戒してくれ……」
「…了解…」
「……光学迷彩とアンチ・センサージェルも内蔵させた…中継発信デコイも5基用意して、出来次第放出してくれ……」
「…了解…」
「…範囲内に感知無し…」
「…ビーコン準備よし…5方位に放出します…」
「…デコイも準備よし…放出します…」
「……フィールド・アップデート完了……範囲はこの太陽系の1.6倍です……制限条項と言いますか、条件が設定されています……」
「…読んでくれ……」
「……ビーム砲とレーザー・ヴァルカンは使えません……既に『運営本部』からのアクセスでロックされています……ハイパー・ヴァリアントは使えますが……有効射程距離が1000mとされています……各種ミサイルは、そのまま使用できますが…破壊力が通常の100倍に設定されています……防御機能・防御力に条件はありません……機動性能・機動力にも条件はありません……有効視界範囲と言いますか……視程範囲についてですが……通常の65%程です……以上です……」
「……メインビューワで前方を映してくれ……」
直ぐに映し出されたが…遠方の対象物に於いては、解像度が低く抑えられているようだ。
「……15倍に拡大……」
拡大されて映し出された前方の風景も、同じように観えた。
「……エドナ……光学兵装の動作確認を頼む……」
「……既に確認しましたが…反応しません……」
「……ヴァリアントを使うのなら、旋回狙撃でないと無理だな……カリーナ…岩塊デプリの分布密度は同じくらいかな? 」
「……ほぼ同程度と思われます……」
「……潜水艦の戦術・戦法になる訳だな……ミサイルの破壊力を確認したい処だけど…居場所がバレるか……安全距離は、80m~100mってところかな……ビーコンとデコイは拡散移動しているのかな? 」
「……はい…アポジ・モーターで拡散移動中です……」
「……アリシア…通常の対艦ミサイル1基を放出して、アポジ・モーターで直線航行5分……停止して以降は慣性航行……」
「……了解…放出します……」
「……本艦も同時にアポジ・モーターで微速後退……」
「……了解…後退開始します……」
「……多分…向こうの艦長も、同じ事を考えているだろうな……カリーナ…何処かで爆発が起きたら、センサーがそれをどう捉えたか観てくれ……」
「…分かりました…」
「……居場所が判らないんじゃ、作戦の立てようもないからな……」
それから10分間が静かに流れた。
「……コンピューター…第5戦闘距離の範囲内を3D投影……」
【…コンプリート…】
キャプテン・シートに座ったまま、右手で投影された3D映像の複製を近くにまで呼び寄せ、指で幾つかのグリッドを拡大して観ていたが……ある岩塊デプリを指でマークした。
「…コンピューター…今マークした岩塊の質量は、軽巡宙艦の何%だ? 」
【…25%です…】
「……アリシア…この岩塊デプリを照準ロック……慣性航行中のミサイルを起動して、ぶつけて観る……」
「……了解…ロックしました……」
「……スラスター起動、発進…」
「…発進しました…着弾まで、22秒……」
「…センサーはオールレンジで監視…」
「…監視中…」
対艦ミサイルは宙空を走り、岩塊に命中・起爆して…粉々に爆散させた。
「…1基でか……シールドを張っていても、4基が命中したら……撃沈だな……」
その時…長距離センサーがかなり遠方での爆発を捉えた。
「…(笑)…あちらさんも、やったようだね……エンジン始動…発進してハーフスピードへ……取り敢えず爆発ポイントをロックして、インターセプト・コースで30秒だけ走れ……」
「…了解…」
「……カリーナ…ふたつの爆発を、センサーはどう捉えたかな? 」
「…はい……現状でのスイープ・スキャニング・レベルで、ですが……通常との比較で言うと……長距離でのスキャニングでは、16%程……解析結果が粗く表示されます……つまり今、主砲が使えるとして……第1戦闘距離の170%で狙撃を敢行した場合……命中率は70%前後でしょう……」
「……そうか……スイープ・ターゲット・スキャナーを手動で3回絞り込んで……幾らかでも解析精度を上げてくれ……」
「…分かりました……! 艦長! 軽巡宙艦のエンジン始動をキャッチしましたが……10秒で消えました……ロストです……最初のロックポイントからの距離は9700m……」
「…そのポイントにロックを変更してインターセプト……10秒走ってエンジン停止……動き出したな……総員、第1戦闘配置……30秒でアラート停止……10秒間で動いた距離・方位・スピードから…敵艦の推進方位…コースを予測して重ねて表示……」
それがブリッジの宙空に、黄色のラインで浮かび上がる。
「…パワーサインは採った? 」
「……記録しましたが、ダウンロードはまだ……」
「……良いよ…それはいずれ判る……向こうも採ったな……艦首・艦尾対艦ミサイル全管装填……対空ミサイル・長距離ミサイルも全管装填……アリシア…20秒後に放出デコイの1基を、方位521マーク974に向けて発進……」
「…了解…」
「……もう一度…状況認識を確認して共有しよう……今から言う事は、頭にも身体にも叩き込んでくれ……対艦ミサイルは絶対に避ける……フル・パワーでディフレクター・シールドを展開していても……4基くらえば沈む……特にパイロット・チームは頼む……」
「…分かりました…」
「……頭と身体を解して…反応は俊敏に……瞬発力も上げていこう……あの敵艦を無力化するまで……休み時間は無しだ……」
「…ファースト・デコイ、発進しました…」
「…アポジ・モーターで取舵2° …総てのロケット・アンカーを即時に発射できるように用意……」
「…用意よし……」
「……向こうもロケット・アンカー戦術を知っている可能性が高い……パイロットチームは、即時反転ダッシュも頭に入れてくれよ……」
「…分かりました……」
1
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる