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ファースト・トライアルミッション
セカンド・ステージ・ゲームフィールド
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用を足してからブリッジに上がったら…もう既に『ディファイアント』は、セカンド・ステージ・ゲームフィールドへと転送されていた。
シエナ副長が立って副長席へと移り着き、代わって私がキャプテン・シートに座る。
「…エンジン停止…アポジ・モーターで取舵2° …光学迷彩レベル5…アンチ・センサー・ジェル …も、レベル5で展開……センサーは第5戦闘距離の範囲内をパッシブ・スキャン……タイプB の機動中継発信ビーコン5基に、光学迷彩システムとアンチ・センサー・ジェルシステムを内蔵させて……それらが出来次第、ファイブ・ベクトルの方位に向けて放出し、同時に起動……総員第一警戒配置……ゲームフィールド・データをアップデート……保安部員は目視で周辺を警戒……」
「……了解……」
「……カリーナ…このフィールドについての詳細を頼む……」
「……分かりました……フィールドの広さは…私達の太陽系に比較して、2.5倍です……」
「……ファースト・ステージとあまり変わらないな……」
「……ですが……制限項目と設定条件が変わりました……」
「……ちょっと待ってくれ、カリーナ……ファースト・ステージで付与された経験値を…分配してから、セカンド・ステージに転送されたんだな? 」
「……はい…その通りです…艦長……」
「……と言う事は……送り込まれているもう1隻は…メチャクチャに強いぞ……ひょっとしたら…それが最後の1隻かも知れないな……ああ、すまない…カリーナ……続けてくれ……」
「……分かりました……今回制限されているのはミサイルです……総てのミサイルが使用不能です……が…ハイパー・ヴァリアントは使えます……そして……あらゆる光学兵器とハイパー・ヴァリアントは……パワーで2倍に強化され……射程距離では3倍にまで伸長されています……」
「……ミサイルは…発射管からの発射が出来ないと言うだけで、放出して運用する事は出来るんだな? 」
「……はい…放出しての運用は可能ですが…起爆装置とプログラムの設定がロックされているので、爆発させる事は出来ません……」
「……まあ、良い……デコイ…外部運用センサー…機動中継発信ビーコンとしてなら、使える訳だ……何なら敵艦にぶつけて脅かしてやっても良い……ターゲット・スキャナーとシールドはどうだ? 」
「……ターゲット・スキャナーも、今回の射程距離設定に合わせて対応していますが…シールドは……同じですね……強化設定は、ありません……」
「……そうか……超遠距離での、激烈な砲撃戦になるって訳だな……ああ、カリーナ……周囲に他艦の気配は? 」
「……全く何も感知できません……」
「……そうだろうな……副長…暫くはこのままで様子を観よう……下手に動いても、的にされて狙撃されるだけだからね……アリシア……光学迷彩とアンチ・センサー・ジェルを装備して……推進剤増量キャスクも取り付けて……各種センサーと、多目的中継・発信の機能を内蔵させたデコイを10基放出……アポジ・モーターで広く拡散させてくれ……定期的にパッシブ・センサースキャンをプログラム……リアルタイム・リンクで情報は共有するように……エドナ…アリシア……ミサイル操作を担当するスタッフを、光学兵装の操作を担当するスタッフのサポートとして配置する……割り振りは君達に任せる……決まったら、それぞれにターゲット・スキャナーとトリガーを配備してくれ……」
「……了解しました…掛かります……お任せ下さい……」
「……副長…悪いけど暫く失礼して、自室でシャワーを浴びて一服してくる……全クルーに交代で短時間でのシャワーを許可する……」
「……分かりました…ありがとうございます……」
「……頼むね……ああそれと……GFDSC 31 会議室のタイムライン・フィードに…ファースト・ステージでの戦闘詳細を圧縮して貼付……同時に『同盟』各艦の様子も訊いてみてくれ……」
「……分かりました…お任せ下さい……」
「……宜しく……」
そう言い置いてシートから降りると、ブリッジを出て自室に向かった。
……『ラグーン・メリディウス』……
「……グローヴスさん…聴こえますか? 」
「……サイン・バードさん……私の事は、ルミアかルートで呼んでって言ったでしょう? 」
「……まだ……どうも…慣れませんのでね……サマリタンのサーチが怖いので、手短かに言いますが…セカンド・ステージでの相手は『ディファイアント』です……ので…対応は兼ねてからの手筈通りに……」
「……やっぱりね……分かったわ……ご心配なく……適当に戦って…こちらの損傷率が40%を超えたら、降伏します……せっかく積んだ経験値がリセットされるのは、悔しいけどね……ねえ、サイン・バードさん……そちらからでも『同盟』のGFDSC 31 会議室には、アクセス出来るんでしょ? この艦の事を伝えるのは、まだ早いの? 」
「……グローヴスさん……私達と『ラグーン・メリディウス』の事をアドル・エルクさんに報せるのは、まだ早いです……アドルさんに報せれば…あまり時間を置かずにサマリタンにも知られます……少なくともファースト・シーズンの間……『ラグーン・メリディウス』には『同盟』に対する秘密の外部支援艦として…活動して貰うのが得策ですね……」
「……分かりました……今回『ラグーン・メリディウス』は、兼ねてからの手筈通りに行動します……でも、バードさん……のらりくらりと戦っていたら、アドル・エルクさんは気付いて接触して来るわよ……その時にはどうするの? 」
「……無視して下さい……現段階での交信は、許可できません……それに貴女なら、気付かせないで戦う事も充分に出来るでしょう……宜しくお願いしますね……それではまた……『ブレイン』を通じての交信にも、限りがありますので……」
交信は切られた……軽巡宙艦『ラグーン・メリディウス』……ファースト・ゲームのファースト・チャレンジ・ミッションにて……6th・ステージまでクリアした6隻の……最後の1隻……キャプテン・シートに座るのは……ルミア・ユン・ルート……本名をエイミー・グローヴス……サイン・バード氏が組織した犯罪防止ユニット・チームのメンバーであり……彼が創造した超A I 『ブレイン』の……生きたインターフェイス……『ラグーン・メリディウス』のメイン・コンピューターも……『ブレイン』の端末であり……この艦に乗っているのは……彼女1人だけだ……
シエナ副長が立って副長席へと移り着き、代わって私がキャプテン・シートに座る。
「…エンジン停止…アポジ・モーターで取舵2° …光学迷彩レベル5…アンチ・センサー・ジェル …も、レベル5で展開……センサーは第5戦闘距離の範囲内をパッシブ・スキャン……タイプB の機動中継発信ビーコン5基に、光学迷彩システムとアンチ・センサー・ジェルシステムを内蔵させて……それらが出来次第、ファイブ・ベクトルの方位に向けて放出し、同時に起動……総員第一警戒配置……ゲームフィールド・データをアップデート……保安部員は目視で周辺を警戒……」
「……了解……」
「……カリーナ…このフィールドについての詳細を頼む……」
「……分かりました……フィールドの広さは…私達の太陽系に比較して、2.5倍です……」
「……ファースト・ステージとあまり変わらないな……」
「……ですが……制限項目と設定条件が変わりました……」
「……ちょっと待ってくれ、カリーナ……ファースト・ステージで付与された経験値を…分配してから、セカンド・ステージに転送されたんだな? 」
「……はい…その通りです…艦長……」
「……と言う事は……送り込まれているもう1隻は…メチャクチャに強いぞ……ひょっとしたら…それが最後の1隻かも知れないな……ああ、すまない…カリーナ……続けてくれ……」
「……分かりました……今回制限されているのはミサイルです……総てのミサイルが使用不能です……が…ハイパー・ヴァリアントは使えます……そして……あらゆる光学兵器とハイパー・ヴァリアントは……パワーで2倍に強化され……射程距離では3倍にまで伸長されています……」
「……ミサイルは…発射管からの発射が出来ないと言うだけで、放出して運用する事は出来るんだな? 」
「……はい…放出しての運用は可能ですが…起爆装置とプログラムの設定がロックされているので、爆発させる事は出来ません……」
「……まあ、良い……デコイ…外部運用センサー…機動中継発信ビーコンとしてなら、使える訳だ……何なら敵艦にぶつけて脅かしてやっても良い……ターゲット・スキャナーとシールドはどうだ? 」
「……ターゲット・スキャナーも、今回の射程距離設定に合わせて対応していますが…シールドは……同じですね……強化設定は、ありません……」
「……そうか……超遠距離での、激烈な砲撃戦になるって訳だな……ああ、カリーナ……周囲に他艦の気配は? 」
「……全く何も感知できません……」
「……そうだろうな……副長…暫くはこのままで様子を観よう……下手に動いても、的にされて狙撃されるだけだからね……アリシア……光学迷彩とアンチ・センサー・ジェルを装備して……推進剤増量キャスクも取り付けて……各種センサーと、多目的中継・発信の機能を内蔵させたデコイを10基放出……アポジ・モーターで広く拡散させてくれ……定期的にパッシブ・センサースキャンをプログラム……リアルタイム・リンクで情報は共有するように……エドナ…アリシア……ミサイル操作を担当するスタッフを、光学兵装の操作を担当するスタッフのサポートとして配置する……割り振りは君達に任せる……決まったら、それぞれにターゲット・スキャナーとトリガーを配備してくれ……」
「……了解しました…掛かります……お任せ下さい……」
「……副長…悪いけど暫く失礼して、自室でシャワーを浴びて一服してくる……全クルーに交代で短時間でのシャワーを許可する……」
「……分かりました…ありがとうございます……」
「……頼むね……ああそれと……GFDSC 31 会議室のタイムライン・フィードに…ファースト・ステージでの戦闘詳細を圧縮して貼付……同時に『同盟』各艦の様子も訊いてみてくれ……」
「……分かりました…お任せ下さい……」
「……宜しく……」
そう言い置いてシートから降りると、ブリッジを出て自室に向かった。
……『ラグーン・メリディウス』……
「……グローヴスさん…聴こえますか? 」
「……サイン・バードさん……私の事は、ルミアかルートで呼んでって言ったでしょう? 」
「……まだ……どうも…慣れませんのでね……サマリタンのサーチが怖いので、手短かに言いますが…セカンド・ステージでの相手は『ディファイアント』です……ので…対応は兼ねてからの手筈通りに……」
「……やっぱりね……分かったわ……ご心配なく……適当に戦って…こちらの損傷率が40%を超えたら、降伏します……せっかく積んだ経験値がリセットされるのは、悔しいけどね……ねえ、サイン・バードさん……そちらからでも『同盟』のGFDSC 31 会議室には、アクセス出来るんでしょ? この艦の事を伝えるのは、まだ早いの? 」
「……グローヴスさん……私達と『ラグーン・メリディウス』の事をアドル・エルクさんに報せるのは、まだ早いです……アドルさんに報せれば…あまり時間を置かずにサマリタンにも知られます……少なくともファースト・シーズンの間……『ラグーン・メリディウス』には『同盟』に対する秘密の外部支援艦として…活動して貰うのが得策ですね……」
「……分かりました……今回『ラグーン・メリディウス』は、兼ねてからの手筈通りに行動します……でも、バードさん……のらりくらりと戦っていたら、アドル・エルクさんは気付いて接触して来るわよ……その時にはどうするの? 」
「……無視して下さい……現段階での交信は、許可できません……それに貴女なら、気付かせないで戦う事も充分に出来るでしょう……宜しくお願いしますね……それではまた……『ブレイン』を通じての交信にも、限りがありますので……」
交信は切られた……軽巡宙艦『ラグーン・メリディウス』……ファースト・ゲームのファースト・チャレンジ・ミッションにて……6th・ステージまでクリアした6隻の……最後の1隻……キャプテン・シートに座るのは……ルミア・ユン・ルート……本名をエイミー・グローヴス……サイン・バード氏が組織した犯罪防止ユニット・チームのメンバーであり……彼が創造した超A I 『ブレイン』の……生きたインターフェイス……『ラグーン・メリディウス』のメイン・コンピューターも……『ブレイン』の端末であり……この艦に乗っているのは……彼女1人だけだ……
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