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森の瘴気調査後、ニーナはフェルディナンドとともに土の調査を開始した。
しかし調査から数日が経っても、なかなか成果は現れない。
「やはり森の深部の方が若干瘴気が濃いね。だけど同じ時期の瘴気で間違いなさそうだ。雨で森全体が汚染されたっていう仮説は正しそうだね」
フェルディナンドが壺を並べてメモを取っている。
ニーナは実験器具を片付けながら壺をぼんやりと見た。
「でも土と混ざってしまっているし、ここから瘴気だけを取り除くっていうのは難しそうね」
「となると、やはり雲や大気を直接浄化するしかないな……さらに難易度は上がりそうだけど、やり甲斐がありそうだ」
フェルディナンドの顔には疲労の色が滲んでいたが、相変わらず楽しそうだ。
ニーナはそっと土に触れてみる。当然何も起きない。
もう聖女ではないのだから。
(はぁ……どうしたらいいの? もう何も思いつかない)
ニーナは内心ため息をついた。
もう何日もこうして土と向き合っている。それなのに、なんの進歩もなかった。
塔の書物や自分の日記を読み、何か手がかりはないかと探す。
そして資料を参考に、思いつく限りの方法を試しているのに。
様々な方法を試したが、ほとんど効果は現れなかった。
「フェル……本当に私たちで浄化方法を見つけ出せるのかしら」
思わずこぼれた本音に、ニーナはハッとして口を押さえる。
フェルディナンドは気を害した様子もなく微笑んだ。
「不安になった?」
「違うの。ごめんなさい……」
反射的に謝ると、フェルディナンドはメモを取る手を止めて、ニーナのそばへとやってきた。
俯くニーナを覗き込むフェルディナンドは、柔らかい表情をしていた。
「謝ることはないよ。本当に解決出来るかなんて、当然の疑問だ。でも心配はいらないよ。解決策は必ずある」
「なぜ断言出来るの?」
ニーナの声は消えてしまいそうなほど小さかった。
「この現象が現実のものだからだよ。聖女の力のような不思議な現象だとしても、この世に起きたことなら、この世に解決策があるものなんだ」
(そんなものかしら?)
納得したわけではないが、確信を持った言葉を発するフェルディナンドは、とても頼もしかった。
フェルディナンドなら本当に瘴気を消し去ってしまうかもしれない。そんな気がした。
「フェルの手にかかれば、聖女の力も再現出来るかもしれないわね」
ニーナが笑いながら言うと、フェルディナンドは大真面目に頷いた。
「僕はいずれそうするつもりだよ」
「え?」
「そうすれば聖女の力に頼る必要がなくなるだろう? 僕は、ルティシアの聖女という制度を終わりにしたいんだ」
フェルディナンドは決して冗談を言っているわけではなさそうだ。
「なぜルティシアのことをそんなに気にかけるの? 隣の、なんの利益もない国のことを」
フェルディナンドはセレンテーゼの大賢者だ。
ルティシアの聖女制度について、こんなにも深く考えているとは思わなかった。
ニーナが率直な疑問を口にすると、フェルディナンドは吹き出すように笑った。
しかし調査から数日が経っても、なかなか成果は現れない。
「やはり森の深部の方が若干瘴気が濃いね。だけど同じ時期の瘴気で間違いなさそうだ。雨で森全体が汚染されたっていう仮説は正しそうだね」
フェルディナンドが壺を並べてメモを取っている。
ニーナは実験器具を片付けながら壺をぼんやりと見た。
「でも土と混ざってしまっているし、ここから瘴気だけを取り除くっていうのは難しそうね」
「となると、やはり雲や大気を直接浄化するしかないな……さらに難易度は上がりそうだけど、やり甲斐がありそうだ」
フェルディナンドの顔には疲労の色が滲んでいたが、相変わらず楽しそうだ。
ニーナはそっと土に触れてみる。当然何も起きない。
もう聖女ではないのだから。
(はぁ……どうしたらいいの? もう何も思いつかない)
ニーナは内心ため息をついた。
もう何日もこうして土と向き合っている。それなのに、なんの進歩もなかった。
塔の書物や自分の日記を読み、何か手がかりはないかと探す。
そして資料を参考に、思いつく限りの方法を試しているのに。
様々な方法を試したが、ほとんど効果は現れなかった。
「フェル……本当に私たちで浄化方法を見つけ出せるのかしら」
思わずこぼれた本音に、ニーナはハッとして口を押さえる。
フェルディナンドは気を害した様子もなく微笑んだ。
「不安になった?」
「違うの。ごめんなさい……」
反射的に謝ると、フェルディナンドはメモを取る手を止めて、ニーナのそばへとやってきた。
俯くニーナを覗き込むフェルディナンドは、柔らかい表情をしていた。
「謝ることはないよ。本当に解決出来るかなんて、当然の疑問だ。でも心配はいらないよ。解決策は必ずある」
「なぜ断言出来るの?」
ニーナの声は消えてしまいそうなほど小さかった。
「この現象が現実のものだからだよ。聖女の力のような不思議な現象だとしても、この世に起きたことなら、この世に解決策があるものなんだ」
(そんなものかしら?)
納得したわけではないが、確信を持った言葉を発するフェルディナンドは、とても頼もしかった。
フェルディナンドなら本当に瘴気を消し去ってしまうかもしれない。そんな気がした。
「フェルの手にかかれば、聖女の力も再現出来るかもしれないわね」
ニーナが笑いながら言うと、フェルディナンドは大真面目に頷いた。
「僕はいずれそうするつもりだよ」
「え?」
「そうすれば聖女の力に頼る必要がなくなるだろう? 僕は、ルティシアの聖女という制度を終わりにしたいんだ」
フェルディナンドは決して冗談を言っているわけではなさそうだ。
「なぜルティシアのことをそんなに気にかけるの? 隣の、なんの利益もない国のことを」
フェルディナンドはセレンテーゼの大賢者だ。
ルティシアの聖女制度について、こんなにも深く考えているとは思わなかった。
ニーナが率直な疑問を口にすると、フェルディナンドは吹き出すように笑った。
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