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過労(1)
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夏祭りの後、クリスティーナの仕事はどんどん忙しくなっていった。
正式に研究所と契約を結び、モール領にハーブを配布することになったのだ。毎日ハーブを配布して、経過の聞き取り調査が開始された。
「皆さん! このハーブをすり潰して、腰に塗ってみてください。上からガーゼと包帯を巻くのを忘れずにね」
「何だこりゃ? ローズマリーか?」
「アカデミーの研究所が品種改良したハーブよ。三日間試してもらって、三日間日を空けるの。その後、また別のハーブを試してもらうわ!」
カーミラが提案した方法に従って、様々なハーブを検証していく。
毎日の聞き取り調査にはヘンリーも協力してくれたけれど、人数が多くてかなり大変だった。
「こんにちは! 腰の調子はどう?」
「だいぶ良くなってきたよ」
「どうもこの前貰ったやつより、今回の方が効きが良いな。半日畑にいても平気だったんだ!」
「具合が悪くなったりしていない?」
「ぜーんぜん大丈夫だ。ただ、ちょっと匂いがキツイかな。まあ慣れれば気にならないけど」
「そっか、ありがとう。忙しい時に呼び止めちゃってごめんね」
清涼感のある匂いのハーブが多いため、気になる人もいるのだろう。
(副作用はなし。匂いを気にする人が数名……か。今日はこんなところかな)
効果は高いが人によっては皮膚に炎症を起こしてしまうもの、匂いがキツいもの、思ったより効果がないもの……。
何週間も経つと、ハーブ各種の色々な特徴が見えてきた。
(皆の腰痛には効くんだけど、販売するならもう一捻り必要だわ。うーん……ハーブをいくつかブレンドしたらお互いの短所を消せないかしら? 後でカーミラに提案してようかな)
メモに「ブレンドして短所改善?」とだけメモをして、ぼんやりと馬車に乗ろうとした。
「いけない! 今日は作業部屋の椅子を見させてもらうんだった! 戻らなきゃ」
クリスティーナはハーブの検証加えて、作業道具の見直しも同時進行で進めていたのだ。
急いで踵を返し、領民の家へと向かう。まだまだ仕事はこれからたった。
「この椅子にどれくらいの時間座っているの?」
「半日だね。何度も横を向いたりするから、腰をひねる時が辛いねぇ。クッションを敷いてもすぐダメになっちまってさ。お尻も腰も痛くて……」
「そう……ひねる動作が厄介ね。後、高さも合っていないみたい」
「共同で使ってるからね。だいたい使えるくらいの高さになっているのさ」
領民が使っている椅子を見させてもらうと、なぜ腰を痛めるのかよく分かった。だが、改善するためのデザインが浮かんでこない。
「これは、専門家に聞いた方がいいわね。家具職人を探さないと。見せてくれてありがとう。頑張って改良してもらうね!」
「ありがとうねぇ。でもお嬢ちゃん、あんまり無理するんじゃないよ。最近顔色が悪いし、皆心配してるんだから」
椅子を見せてくれた女性が、クリスティーナの背中をポンと叩いた。
「心配してくれてありがとう。でもあと少しだから。早く皆に楽になってほしいの!」
クリスティーナは女性の気遣いが嬉しかった。だからこそ、もっと働かなければという気持ちになっていた。
正式に研究所と契約を結び、モール領にハーブを配布することになったのだ。毎日ハーブを配布して、経過の聞き取り調査が開始された。
「皆さん! このハーブをすり潰して、腰に塗ってみてください。上からガーゼと包帯を巻くのを忘れずにね」
「何だこりゃ? ローズマリーか?」
「アカデミーの研究所が品種改良したハーブよ。三日間試してもらって、三日間日を空けるの。その後、また別のハーブを試してもらうわ!」
カーミラが提案した方法に従って、様々なハーブを検証していく。
毎日の聞き取り調査にはヘンリーも協力してくれたけれど、人数が多くてかなり大変だった。
「こんにちは! 腰の調子はどう?」
「だいぶ良くなってきたよ」
「どうもこの前貰ったやつより、今回の方が効きが良いな。半日畑にいても平気だったんだ!」
「具合が悪くなったりしていない?」
「ぜーんぜん大丈夫だ。ただ、ちょっと匂いがキツイかな。まあ慣れれば気にならないけど」
「そっか、ありがとう。忙しい時に呼び止めちゃってごめんね」
清涼感のある匂いのハーブが多いため、気になる人もいるのだろう。
(副作用はなし。匂いを気にする人が数名……か。今日はこんなところかな)
効果は高いが人によっては皮膚に炎症を起こしてしまうもの、匂いがキツいもの、思ったより効果がないもの……。
何週間も経つと、ハーブ各種の色々な特徴が見えてきた。
(皆の腰痛には効くんだけど、販売するならもう一捻り必要だわ。うーん……ハーブをいくつかブレンドしたらお互いの短所を消せないかしら? 後でカーミラに提案してようかな)
メモに「ブレンドして短所改善?」とだけメモをして、ぼんやりと馬車に乗ろうとした。
「いけない! 今日は作業部屋の椅子を見させてもらうんだった! 戻らなきゃ」
クリスティーナはハーブの検証加えて、作業道具の見直しも同時進行で進めていたのだ。
急いで踵を返し、領民の家へと向かう。まだまだ仕事はこれからたった。
「この椅子にどれくらいの時間座っているの?」
「半日だね。何度も横を向いたりするから、腰をひねる時が辛いねぇ。クッションを敷いてもすぐダメになっちまってさ。お尻も腰も痛くて……」
「そう……ひねる動作が厄介ね。後、高さも合っていないみたい」
「共同で使ってるからね。だいたい使えるくらいの高さになっているのさ」
領民が使っている椅子を見させてもらうと、なぜ腰を痛めるのかよく分かった。だが、改善するためのデザインが浮かんでこない。
「これは、専門家に聞いた方がいいわね。家具職人を探さないと。見せてくれてありがとう。頑張って改良してもらうね!」
「ありがとうねぇ。でもお嬢ちゃん、あんまり無理するんじゃないよ。最近顔色が悪いし、皆心配してるんだから」
椅子を見せてくれた女性が、クリスティーナの背中をポンと叩いた。
「心配してくれてありがとう。でもあと少しだから。早く皆に楽になってほしいの!」
クリスティーナは女性の気遣いが嬉しかった。だからこそ、もっと働かなければという気持ちになっていた。
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