生産スキルで国作り! 領民0の土地を押し付けられた俺、最強国家を作り上げる

未来人A

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第84話 中に入る

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 遺跡は不気味な雰囲気に包まれていた。

 建物は古びており、コケなどが壁に生えている。

 全体的にじめじめしてて、薄暗く暗く、廃墟の独特に何か出そうだと思わされてしまう。実際に何か出るんだろうけど。

 正直こんなところ入りたくないんだが、仕事だからな。

 ただ怖くて若干足が震えてしまっている。今は強い仲間がいるというのに情けない。

「ふ、ゼンジよ。震えて情けないな」

 そういうシューシュは全身をブルブルと震えさせていた。

「あの……そっちこそ震えてますよね」
「き、気のせいだ。自分が震えているから震えているように見えるのだろう。我はこれ以上ないほど正常だ。正常であるがゆえに、ビビリまくっているお主と手を繋いでやろう」

 と俺の手を握ってきた。

 自分が怖いから握ってきたな。

 シューシュが俺の手を握ってきた瞬間、レヴィがギロリとシューシュを睨む。

「マスターと手を繋いでいいのは、私だけです。離してください」

 あまりにも鋭い目つきで睨まれたので、シューシュは冷や汗を流しながら手を離した。

「不安で手を繋ぎたいなら、そこのボケ女と手を繋いでください」

 そう言いながら、ベルフェとシューシュの手を強引につながせた。

「ま、まあ、こいつの方が強そうではあるしな。ホムンクルスらしいし。ゼンジはあまり頼りになりそうにないからな」

 自分から握ってきてなんて言い草だ。
 あと、不安で手を繋ぎたい、という部分を否定しなかったな。
 最初は俺の不安を取り除くためとか言って繋いできてたのに。余裕がなくなってきたのか。

「じゃあ、先に進みますか」
「そうだな……ちょっと待て、こいつ寝てないか? 何か目つぶってないか?」
「えーと、俺がピンチになったらやる気出すんで、大丈夫ですよ」
「我のピンチはどうなる!?」
「一緒に行動するんだし、シューシュさんのピンチは俺のピンチでもあるでしょう。大丈夫ですよ。たぶん……」
「凄く心配なんだが……」

 不安はあるようだが、それ以上は文句は言わず俺たちは遺跡に向かって入っていった。

 入り口の扉の前に到着。
 そこでシューシュが語りだした。

「この遺跡は、アナホムの研究所というのが正式名称だ。アナホムという男がかつて研究をしていた施設なんだな」
「へー、どんな研究ですか?」
「死者を生き返らせる研究という話だな。それが原因でアンデットがうようよいるようだ」
「人体実験的なものとかしてたんですか?」
「してたさ。アナホムは賢者だったが、あまりにも非人道的な実験を行っていたため、賢者ギルドから追放されたらしい」
「えー? シューシュさんはここにある研究で得た知識を、賢者ギルドに献上したいんですよね。許されるんですか?」
「すでに追放から100年以上経過しているからな。多分大丈夫だろうと思っている。実験の過程で、人間の体の構造やら医療に役立つ知識が豊富に揃っているだろう。これで何人もの命が救えるのなら、わだかまりは捨てるだろうと思う」
「アナホムって人の目標は人間を生き返らせることだったんですよね。それ以外の研究結果とか残しておくものなんですか?」
「実験の結果は失敗だろうと何だろうと、大体残しておくものだ。今後、それが何かのヒントになる可能性もあるからな」

 まあ、仮になくても俺の目的は護衛だから、別にいいか。

 まず俺は天使のマリオネットを出した。

「何だそれは。それもホムンクルスか?」
「これは全く別のスキルです。俺はスキルを二つ持ってるんです」
「ほー? ますます貴様に興味が湧いてきたな。冗談じゃなくて解剖したくなってきた」
「怖いこと言わないでください!」

 この人が近くにいるときは、一瞬も油断できないな。

 天使のマリオネットで扉を開ける。

 中から異臭が漂ってきた。

 肉の腐ったようなにおいだ。

 グアァ……という謎の唸り声が聞こえてくる。

 注意をして、天使のマリオネットを先頭に遺跡の中に入っていく。
 すると、何かがいた。

 腐って骨が剥き出しになり、とてもじゃないが生きているとは思えない状態なのに、それが二足歩行をしている。

 それはゾンビとしかいいようのない風貌だった。




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