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第34話 大陸最強ロドリゲス VS スカイドラゴン
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大陸最強ロドリゲス VS スカイドラゴン
エルマノが結婚式を終え、一週間が経った昼下がり。
エマの店に、旅商人が駆け込んできた。
「大変だ! 隣国――フランセ王国が……」
店内の空気が張りつめる。
「ニオール侯爵領に、スカイドラゴンが出た!」
店内にざわめきが広がる。
「城壁を越えて暴れている! 畑も村も焼かれて……騎士団も壊滅状態だ!」
その言葉を聞いたロドリゲスの瞳が、すっと細くなる。
「……スカイドラゴンだと?」
拳が軋む。
青い鱗。
巨大な翼。
鋭い眼光と長い牙。
父母に養父、家族の命を奪い去った憎い相手。
脳裏に焼きついた光景。
「親父たちの……仇だ」
低く、震える声。
店内の空気が冷える。
「行くぞ」
短い一言。
ロドリゲスは踵を返した。
だが。
「待ちなさい」
エマの声がそれを制止する。
「一人で行くつもりなの?」
「関係ねぇ」
「関係あるわ」
視線が激しくぶつかる。
「スカイドラゴンは空を支配する魔物よ。
あなたの跳躍力でも届かない高さを飛ぶわ」
「降ろせばいい」
「どうやって?」
沈黙。
ロドリゲスの拳が震える。
悔しさと焦り。
「……これはチャンスなんだ」
「だからと言って焦ったら、勝てる戦いも勝てなくなるわ」
エマは一歩近づく。
「一人じゃ無理だと言ってるの」
店の外。
皇国第二軍の陣。
重装騎兵。
戦馬。
そして――。
「今、ここにはエルマノ皇子がいる」
エマが口にした皇子の名前に、空気が重くなる。
だが、エマは気にせずに続ける。
「帝国軍がいるのだから、彼らと共闘するべきよ」
剣聖フエルテが腕を組みながら、口を挟む。
「正直、あの御方と共闘は気が進みませんが……」
少し悩んでから続ける。
「ただドラゴン戦に協力してもらうには、最適な方かと」
エマが静かに言う。
「重装騎兵は囮。魔術師隊が拘束。最後に打撃となれば」
「最後は俺が斬って復讐を果たせるか……」
ロドリゲスの瞳が燃える。
だがエマは首を振った。
「それだけだとダメだわ」
「……?」
「復讐心だけじゃ、冷静さを失うわ。街を、人を、スカイドラゴンから多くの人を守るため」
静かな声で諭す。
「あなたは討つのよ。だから、確実に倒すために、冷静にならなきゃ」
ロドリゲスは黙る。
深く息を吐いた。
「……守るためか」
そして、目を閉じる。
「わかった」
再び開いた瞳は、冷えていた。
「確実に倒す作戦を立てるか」
エマは小さく頷く。
「まずは情報を集めましょう。高度、飛行速度、ブレスの属性」
「風系統でしょう」
フエルテが続ける。
「だとすれば、地上固定術式で足止めは困難かと」
「どっちにしても空から引きずり下ろすしかねえな」
ロドリゲスが低く言う。
「挑発役は俺しかいない」
そして、小気味よく笑う。
「ドラゴンは強い敵を狙うからな」
「危険なのでは?」
エマの心配そうな声にロドリゲスは頷く。
「知ってる。覚悟のうえだ」
店内に、戦の匂いが満ちる。
こうして、いよいよスカイドラゴンとの戦いの火ぶたが切られようとしていたのだった。
◇
出陣の号令は、夜明けとともに下された。
皇国第二軍――総勢五千。
重装騎兵三千、魔術師隊五百、歩兵千、補給・工兵五百。
黒鉄の鎧が朝日に鈍く光り、地を踏み鳴らす音が街道を震わせる。
先頭には、第二皇子エルマノの軍旗。
双頭の鷲が、冷たい風に翻っていた。
その中央を進むのは、重厚な黒塗りの軍用馬車。
中には――。
「……エルマノ様♡」
蒼い宝石のペンダントを胸に、マリーナ王女がうっとりと微笑む。
「本当に頼もしい……この国も、戦も、すべてあなたの思うままですわ♡」
エルマノはマリーナを見つめながら不敵に微笑む。
「思うままにはならないが、マリーナの国を守るために全力を尽くすよ」
その言葉に、マリーナはさらに頬を染める。
やがて軍勢は国境を越えた。
最初にフランセ王国を訪れた街は――モナコラ領であった。
◇
モナコラ伯爵領。
国境の要衝であり、かつてエマが伯爵夫人として暮らした地。
城門はすでに開いていた。
まるで帝国軍の到着を待っていたかのように。
門前に並ぶのは、アンネット側妃の密命を受けた者たち。
「ようこそ、第二皇子殿下。モナコラ領は帝国に帰順いたします」
恭しく頭を下げる。
抵抗はない。
街も静かだ。
すでに内側から掌握されている。
エマは馬車の窓からその光景を見つめていた。
懐かしい石畳。
かつて笑い、泣き、絶望した場所。
「……変わらないのね」
小さく呟く。
ロドリゲスが隣で腕を組む。
「いや。変わったさ。支配者がな」
◇
その夜。
元モナコラ伯爵邸で軍議が開かれた。
大広間。
長机の上に広げられた地図。
「王都まで一週間」
フエルテが言う。
ロドリゲスが問う。
「五千で足りるのか?」
エルマノはアンネット側妃からの密書を机に置いた。
そこには、フランセ王国の有力貴族たちの名。
帝国への寝返りを誓った者たち。
「王都を落とせば、地方も帰順するだろう」
フエルテが頷く。
「王都が落ちれば、抵抗する勢力はほぼいないでしょう」
だがエマは、不安そうに口を開いた。
「問題は、王都へ向かう前に動く存在」
全員が空を思い浮かべる。
スカイドラゴン。
◇
翌日。
急報が入った。
「ニオール侯爵領に、再びドラゴン出現!」
王都へ至る前線。
ここを突破せねば進めない。
エルマノは即座に決断した。
「よし、ニオール領へ出撃だ!」
◇
軍を進めること二日。ようやくニオール侯爵領に到着した。
そして、皆の前には、空を裂く咆哮が響いていた。
青き巨影が旋回する圧倒的な存在。
スカイドラゴン。
二オール侯爵家の城壁は全壊し、炎が上がっていた。
斥候の情報によると騎士団も壊滅しており、廃墟と化していた。
「さて、どこに陣を張るべきか」
エルマノ皇子の思案に、侍従のエドマンが丘の下を指さして答える。
「あの丘の下の広場が最適かと」
「となると、ドラゴンが舞い降りた時に、丘からドラゴンに飛び乗って斬り込めるな」
エルマノ皇子が納得顔でうなずく。
「第二軍、集結!」
スカイドラゴンとの戦いのため、丘の下の広場に重装騎兵が展開される。
魔術師隊が陣を組む。
エルマノは空を見上げる。
「スカイドラゴンは、強者を狙う習性がある」
ロドリゲスが笑う。
「俺は丘の上で待機でいいのだな」
「ああ、任せる」
「総大将がやられたら終わりだから、気をつけろよ」
言葉を交わした後、ロドリゲスは丘に向かって走る。
そして、準備が整うのを待って、スカイドラゴンへの威嚇を始める。
魔術師隊から攻撃魔法が飛ばされる。
しかし、スカイドラゴンは何事もないかのように避ける。
だが、攻撃する者たちへの怒りなのか、次の瞬間、スカイドラゴンが急降下した。
暴風が吹き荒れる。
凄まじい風に地面が抉れる。
「魔術隊、放て!」
魔術師隊が光鎖を放つ。
一瞬、翼が拘束される。
「ロドリゲス、今だ」
エルマノの叫び声が辺りに響く。
それと同時に、ロドリゲスが剣を抜き、丘の上からドラゴンに向けて跳躍する。
すぐ後ろで待機していた魔法師団員たちが風魔法を唱えると、
ロドリゲスは宙を舞い、スカイドラゴンの背に着地した。
その勢いのまま龍首へ向けて加速する。
ロドリゲスの全力の一撃がスカイドラゴンの逆鱗を襲う。
蒼鱗が砕け散り、肉が避け、龍血が激しく飛び散る。
ロドリゲスの強烈な一撃を浴び、フラフラとなるスカイドラゴン。
だが、次の瞬間、スカイドラゴンの堅い尾が、ロドリゲスを襲う。
激しい直撃を受け、骨が軋む音と同時に、
吹き飛ばされるロドリゲス。
地面へと叩きつけられる。
「師匠!」
ドラゴンと対峙していたフエルテが駆け寄る。
その間に、エルマノは正面から拳でドラゴンの前脚を止めた。
暴れるドラゴンの衝撃波がエルマノを襲う。
圧倒的なパワーに筋肉が軋む。
「もう限界だ、急げ、ロドリゲス!」
血を吐きながらも、ロドリゲスはゆらゆらと立ち上がる。
「……終わらせる」
最後の力を振り絞り、駆け出す。
「フエルテ、頼む」
「わかりました」
フエルテがドラゴンの近くで前かがみになる。
その背中を駆け上ってロドリゲスが勢いよくドラゴンの前で跳躍する。
魔法師団員の風魔法がさらに、ロドリゲスを浮上させる。
ドラゴンに向けて高く飛び上がる。
スカイドラゴンの弱点であり、先ほど深い一撃を浴びせた首筋へ、
渾身の一撃をもう一度、叩きこむ!
ドラゴンの肉が凄まじく裂け、ドラゴンの龍血と龍肉が飛び散る。
ふらふらになり、ドラゴンは地面に伏せそうになる。
だが、最後の悪あがきに、スカイドラゴンの牙が、エルマノ皇子に襲いかかる。
「危ねえ」
とっさに、ロドリゲスが止めようと、間に入る。
その瞬間、ドラゴンの鋭い牙がロドリゲスの脇腹を貫いた。
最後の力をふり絞ったドラゴンは力つき、巨体が崩れ落ちる。
地鳴りが周辺に響く。
静寂が周辺に広がる。
スカイドラゴンは鈍い重音と共に倒れたまま、絶命した。
「スカイドラゴン、帝国のロドリゲスが討ち取ったり!」
前足を押さえ込んでいたエルマノ皇子が、ドラゴンが倒れるのを確認して、勝鬨をあげる。
「ロドリゲス、万歳!」
「エルマノ皇子、万歳!」
勝利の瞬間、歓喜の声が広がる。
エルマノ皇子はロドリゲスを見て、駆け寄る。
「おい、ロドリゲス、大丈夫か?」
スカイドラゴンは倒れた。だが――。
ロドリゲスもまた、重傷を負い、地に伏していた。
エルマノが結婚式を終え、一週間が経った昼下がり。
エマの店に、旅商人が駆け込んできた。
「大変だ! 隣国――フランセ王国が……」
店内の空気が張りつめる。
「ニオール侯爵領に、スカイドラゴンが出た!」
店内にざわめきが広がる。
「城壁を越えて暴れている! 畑も村も焼かれて……騎士団も壊滅状態だ!」
その言葉を聞いたロドリゲスの瞳が、すっと細くなる。
「……スカイドラゴンだと?」
拳が軋む。
青い鱗。
巨大な翼。
鋭い眼光と長い牙。
父母に養父、家族の命を奪い去った憎い相手。
脳裏に焼きついた光景。
「親父たちの……仇だ」
低く、震える声。
店内の空気が冷える。
「行くぞ」
短い一言。
ロドリゲスは踵を返した。
だが。
「待ちなさい」
エマの声がそれを制止する。
「一人で行くつもりなの?」
「関係ねぇ」
「関係あるわ」
視線が激しくぶつかる。
「スカイドラゴンは空を支配する魔物よ。
あなたの跳躍力でも届かない高さを飛ぶわ」
「降ろせばいい」
「どうやって?」
沈黙。
ロドリゲスの拳が震える。
悔しさと焦り。
「……これはチャンスなんだ」
「だからと言って焦ったら、勝てる戦いも勝てなくなるわ」
エマは一歩近づく。
「一人じゃ無理だと言ってるの」
店の外。
皇国第二軍の陣。
重装騎兵。
戦馬。
そして――。
「今、ここにはエルマノ皇子がいる」
エマが口にした皇子の名前に、空気が重くなる。
だが、エマは気にせずに続ける。
「帝国軍がいるのだから、彼らと共闘するべきよ」
剣聖フエルテが腕を組みながら、口を挟む。
「正直、あの御方と共闘は気が進みませんが……」
少し悩んでから続ける。
「ただドラゴン戦に協力してもらうには、最適な方かと」
エマが静かに言う。
「重装騎兵は囮。魔術師隊が拘束。最後に打撃となれば」
「最後は俺が斬って復讐を果たせるか……」
ロドリゲスの瞳が燃える。
だがエマは首を振った。
「それだけだとダメだわ」
「……?」
「復讐心だけじゃ、冷静さを失うわ。街を、人を、スカイドラゴンから多くの人を守るため」
静かな声で諭す。
「あなたは討つのよ。だから、確実に倒すために、冷静にならなきゃ」
ロドリゲスは黙る。
深く息を吐いた。
「……守るためか」
そして、目を閉じる。
「わかった」
再び開いた瞳は、冷えていた。
「確実に倒す作戦を立てるか」
エマは小さく頷く。
「まずは情報を集めましょう。高度、飛行速度、ブレスの属性」
「風系統でしょう」
フエルテが続ける。
「だとすれば、地上固定術式で足止めは困難かと」
「どっちにしても空から引きずり下ろすしかねえな」
ロドリゲスが低く言う。
「挑発役は俺しかいない」
そして、小気味よく笑う。
「ドラゴンは強い敵を狙うからな」
「危険なのでは?」
エマの心配そうな声にロドリゲスは頷く。
「知ってる。覚悟のうえだ」
店内に、戦の匂いが満ちる。
こうして、いよいよスカイドラゴンとの戦いの火ぶたが切られようとしていたのだった。
◇
出陣の号令は、夜明けとともに下された。
皇国第二軍――総勢五千。
重装騎兵三千、魔術師隊五百、歩兵千、補給・工兵五百。
黒鉄の鎧が朝日に鈍く光り、地を踏み鳴らす音が街道を震わせる。
先頭には、第二皇子エルマノの軍旗。
双頭の鷲が、冷たい風に翻っていた。
その中央を進むのは、重厚な黒塗りの軍用馬車。
中には――。
「……エルマノ様♡」
蒼い宝石のペンダントを胸に、マリーナ王女がうっとりと微笑む。
「本当に頼もしい……この国も、戦も、すべてあなたの思うままですわ♡」
エルマノはマリーナを見つめながら不敵に微笑む。
「思うままにはならないが、マリーナの国を守るために全力を尽くすよ」
その言葉に、マリーナはさらに頬を染める。
やがて軍勢は国境を越えた。
最初にフランセ王国を訪れた街は――モナコラ領であった。
◇
モナコラ伯爵領。
国境の要衝であり、かつてエマが伯爵夫人として暮らした地。
城門はすでに開いていた。
まるで帝国軍の到着を待っていたかのように。
門前に並ぶのは、アンネット側妃の密命を受けた者たち。
「ようこそ、第二皇子殿下。モナコラ領は帝国に帰順いたします」
恭しく頭を下げる。
抵抗はない。
街も静かだ。
すでに内側から掌握されている。
エマは馬車の窓からその光景を見つめていた。
懐かしい石畳。
かつて笑い、泣き、絶望した場所。
「……変わらないのね」
小さく呟く。
ロドリゲスが隣で腕を組む。
「いや。変わったさ。支配者がな」
◇
その夜。
元モナコラ伯爵邸で軍議が開かれた。
大広間。
長机の上に広げられた地図。
「王都まで一週間」
フエルテが言う。
ロドリゲスが問う。
「五千で足りるのか?」
エルマノはアンネット側妃からの密書を机に置いた。
そこには、フランセ王国の有力貴族たちの名。
帝国への寝返りを誓った者たち。
「王都を落とせば、地方も帰順するだろう」
フエルテが頷く。
「王都が落ちれば、抵抗する勢力はほぼいないでしょう」
だがエマは、不安そうに口を開いた。
「問題は、王都へ向かう前に動く存在」
全員が空を思い浮かべる。
スカイドラゴン。
◇
翌日。
急報が入った。
「ニオール侯爵領に、再びドラゴン出現!」
王都へ至る前線。
ここを突破せねば進めない。
エルマノは即座に決断した。
「よし、ニオール領へ出撃だ!」
◇
軍を進めること二日。ようやくニオール侯爵領に到着した。
そして、皆の前には、空を裂く咆哮が響いていた。
青き巨影が旋回する圧倒的な存在。
スカイドラゴン。
二オール侯爵家の城壁は全壊し、炎が上がっていた。
斥候の情報によると騎士団も壊滅しており、廃墟と化していた。
「さて、どこに陣を張るべきか」
エルマノ皇子の思案に、侍従のエドマンが丘の下を指さして答える。
「あの丘の下の広場が最適かと」
「となると、ドラゴンが舞い降りた時に、丘からドラゴンに飛び乗って斬り込めるな」
エルマノ皇子が納得顔でうなずく。
「第二軍、集結!」
スカイドラゴンとの戦いのため、丘の下の広場に重装騎兵が展開される。
魔術師隊が陣を組む。
エルマノは空を見上げる。
「スカイドラゴンは、強者を狙う習性がある」
ロドリゲスが笑う。
「俺は丘の上で待機でいいのだな」
「ああ、任せる」
「総大将がやられたら終わりだから、気をつけろよ」
言葉を交わした後、ロドリゲスは丘に向かって走る。
そして、準備が整うのを待って、スカイドラゴンへの威嚇を始める。
魔術師隊から攻撃魔法が飛ばされる。
しかし、スカイドラゴンは何事もないかのように避ける。
だが、攻撃する者たちへの怒りなのか、次の瞬間、スカイドラゴンが急降下した。
暴風が吹き荒れる。
凄まじい風に地面が抉れる。
「魔術隊、放て!」
魔術師隊が光鎖を放つ。
一瞬、翼が拘束される。
「ロドリゲス、今だ」
エルマノの叫び声が辺りに響く。
それと同時に、ロドリゲスが剣を抜き、丘の上からドラゴンに向けて跳躍する。
すぐ後ろで待機していた魔法師団員たちが風魔法を唱えると、
ロドリゲスは宙を舞い、スカイドラゴンの背に着地した。
その勢いのまま龍首へ向けて加速する。
ロドリゲスの全力の一撃がスカイドラゴンの逆鱗を襲う。
蒼鱗が砕け散り、肉が避け、龍血が激しく飛び散る。
ロドリゲスの強烈な一撃を浴び、フラフラとなるスカイドラゴン。
だが、次の瞬間、スカイドラゴンの堅い尾が、ロドリゲスを襲う。
激しい直撃を受け、骨が軋む音と同時に、
吹き飛ばされるロドリゲス。
地面へと叩きつけられる。
「師匠!」
ドラゴンと対峙していたフエルテが駆け寄る。
その間に、エルマノは正面から拳でドラゴンの前脚を止めた。
暴れるドラゴンの衝撃波がエルマノを襲う。
圧倒的なパワーに筋肉が軋む。
「もう限界だ、急げ、ロドリゲス!」
血を吐きながらも、ロドリゲスはゆらゆらと立ち上がる。
「……終わらせる」
最後の力を振り絞り、駆け出す。
「フエルテ、頼む」
「わかりました」
フエルテがドラゴンの近くで前かがみになる。
その背中を駆け上ってロドリゲスが勢いよくドラゴンの前で跳躍する。
魔法師団員の風魔法がさらに、ロドリゲスを浮上させる。
ドラゴンに向けて高く飛び上がる。
スカイドラゴンの弱点であり、先ほど深い一撃を浴びせた首筋へ、
渾身の一撃をもう一度、叩きこむ!
ドラゴンの肉が凄まじく裂け、ドラゴンの龍血と龍肉が飛び散る。
ふらふらになり、ドラゴンは地面に伏せそうになる。
だが、最後の悪あがきに、スカイドラゴンの牙が、エルマノ皇子に襲いかかる。
「危ねえ」
とっさに、ロドリゲスが止めようと、間に入る。
その瞬間、ドラゴンの鋭い牙がロドリゲスの脇腹を貫いた。
最後の力をふり絞ったドラゴンは力つき、巨体が崩れ落ちる。
地鳴りが周辺に響く。
静寂が周辺に広がる。
スカイドラゴンは鈍い重音と共に倒れたまま、絶命した。
「スカイドラゴン、帝国のロドリゲスが討ち取ったり!」
前足を押さえ込んでいたエルマノ皇子が、ドラゴンが倒れるのを確認して、勝鬨をあげる。
「ロドリゲス、万歳!」
「エルマノ皇子、万歳!」
勝利の瞬間、歓喜の声が広がる。
エルマノ皇子はロドリゲスを見て、駆け寄る。
「おい、ロドリゲス、大丈夫か?」
スカイドラゴンは倒れた。だが――。
ロドリゲスもまた、重傷を負い、地に伏していた。
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王宮で礼儀も実務も拒み、「未来の王太子妃」を名乗った義妹は、わずか三日で婚約破棄。
さらに王家への不敬と統治能力の欠如が問題視され、父の監督責任が問われます。
そして下されたのは――家ごとの褫奪。
一方で私は、領地を守り、帳簿を整え、静かに家を支え続ける。
欲しがったのは肩書。
継いだのは責任。
正統は叫びません。
ただ、残るだけ。
これは、婚約を奪われた公爵令嬢が
“本当に継がれるべきもの”を証明する物語。
【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~
魯恒凛
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© 魯恒凛 / RoKourin
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