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連載
ある日の天界日記 海老の日番外編
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『はっ!』びゅっ!ひゅんっ
『はっ!』ざしゅっ!ひゅんっ
『ふっ!』どしゅっ
風を切り、美しく舞うように薙刀を振るう若い女性。素早い動きで攻撃と防御を繰り返す。相手をするのは魔法で作り出されたゴーレム。
『くっ』
胸を突いたはずの薙刀は逆にゴーレムに掴まれ
どがっ
『うううっ』
急所を突き、薙刀を抜く間を狙われゴーレムに鳩尾に掌底を打ち込まれ弾き飛ばされている。
〖ほら!次の動作に素早く動け!今までの常識を捨てろ!急所を突いたからって仕留めきれるとは限らねぇぞ!〗
そこへ激を飛ばす武人が一人。
『はいっ!』
そう。天界で修行中のおばあちゃんと、武神様である。
『はっ!』びゅんっ
おばあちゃんの攻撃はゴーレムに避けられ空を切る。
〖相手の動きを見すぎるんじゃねえ!目に頼るな!感じろ!常に相手の二手三手先まで読め!〗
『はいっ!はあっ!』びゅっ!びゅっ!
岩で造られたとは思えない素早い動きをするゴーレムは、おばあちゃんの攻撃をいとも簡単に避ける。
〖相手は魔物だ!お前が相手をしてきたお行儀のいい連中じゃねぇ!綺麗なお手本の様な型ばかり繰り返してたら相手に次の手を教えてるようなもんだぞ!相手の裏をかけ!手の内を見せるな!〗
『はいっ!はっ!』びゅっ!
ガガッ!ひゅっ!
〖そこまで!〗
おばあちゃんの突きがゴーレムの喉元に入り、今度は掌底を食らう前に素早く離れたところで終了となった。
『はいっ!ありがとうございます!』
姿勢を正しお辞儀をするおばあちゃん。肩でゼーハー息をしている。
『はあっここまで歯が立たないなんて…今までの自分がどれだけ生温い世界にいたか痛感するわね』
おばあちゃんが、どっと膝から崩折れてゴロンと仰向けに倒れる。
〖そうだろうな。所詮、お前が強いというのは安全が約束された決まりの中で行われていたこと。絶対死なない中で勝ち負けを決めるだけのな。俺たちからしてみればそんなモノ子供の遊戯のようなものだ〗
武神様が苦笑混じりに言う。
『そうね。その通りだわ。武器は木製だったり刃を潰してあったり。生死をかけた真剣勝負なんてものは私たちの時代では過去の話だったもの』
おばあちゃんも同意する
〖それにお前の動きは綺麗すぎる。寸分の狂いもない角度、型通りの動きなど慣れてしまえばどうということはない〗
『うっ。本当のこととはいえ、そこまではっきり言われると辛いわね』ハハッ
武神様の残酷な程にハッキリとした言葉に乾いた笑いを返すことしか出来ない。
〖まあ、全てが悪いわけじゃない。基本は大事だからな。だが、そこで止まるな。先へ進め。攻撃、防御の手段を増やせ。何より実戦を積め。そして、覚悟を決めろ〗
『覚悟?』
〖そうだ。これからおまえが相手をする者が魔物だけだと思うか?〗
私がこれから相手にする者?
『あっ…』
思わず拳をギュッと握る。
〖そうだ。魔物だけではない。もしかしたら同じ人を相手にするかもしれない。その時、お前は迷わず相手を切れるか?〗
『それは…』
どうだろうか…
〖正直、俺は魔物にすら躊躇するんじゃないかと思っている〗
『……』
〖ゲンは狩猟をしていたから魔獣に対しては恐らく大丈夫だと言っていたぞ。実際、ボアの群れを一刀両断したらしいからな。事実だろう。だが、人型をした者を相手にしたらどうなるか分からないと言っていたな〗
『ゲンさんが…』
〖そうだ。まずは認めろ。自分の弱さを〗
『自分の弱さ…』
〖そうだ。お前たちは日常が生死の危機に晒されるような生活は送っていなかった。そうなれば、命を奪うことに躊躇するだろう。だが、この世界は違う。生まれた時から負ければ待つのは死。自分や大切なものの為ならば躊躇わず殺しにくるぞ〗
『戦う時は命懸け…生きるか死ぬかは…』
〖お前たちの場合、問題は力より心だろうな。優しさや情けは美徳だが、それが命取りになることもある。時には非情にならねばならぬ。そうしなければ本当に守りたいものは守れぬぞ。…今回もな〗
『今回も…』
ギリッと拳を握る。爪が皮膚にくい込み血が滲む…
このままでは、また守れない。今度こそ、私は…私たちはサーヤを守らなければ。その為には…
『武神様、私をもっと鍛えて下さい。私は甘えを捨ててもっと強くならなければ…!』
今度こそ!
〖分かった。だが、間違えるなよ。まずは自分を守れるようになれ。自分を守れない奴が誰かを守れるか?答えは否だ。強くなれ。お前がまた自分を犠牲にしようものなら、今度こそサーヤは壊れるぞ〗
いつものふざけた武神様とは全く結びつかない真剣な目で語りかけてくる。
『そうね。自分を犠牲にせずに共に生きる。それこそが大事よね』
私だってサーヤたちと楽しく暮らしたいもの。せっかく若返ったんだしね!
〖その通りだ!それじゃ続きと行く…か?〗
バタバタバタバタっ
〖なんだ?〗
『さあ?』
さあ!やるぞー!と気合いを入れた途端に、だんだん近づいてくる慌ただしい足音!
バタバタバタバタッ
バーンッ
〖あ~いたーっ!凛さん!早く早く!急いで一緒に来てっ!〗
ノックもなく勢いよく扉を開けて入って来たのは主神イリュ様
『え?』
な、何事かしら?
〖何だよ、主神。これからって時によ〗
武神様がイライラしながら主神様に詰め寄ります。
〖え?あれ?武神もいたの?もう!面倒臭いな~。説明してる時間が無いんだよ。勿体ないけど武神も来て!〗
え?あの大きい武神様が目に入らないの?
〖ああん?俺には勿体ないって何だよ!?おい〗
〖だから~〗
主神様も相当急いでいるのか珍しくイラッとした模様…
その時
『いつまでも戻って来ないかと思ったら。武神、駄…主神の言う通りにして下さい。凛さんも。時間がありません』
静かに割って入って来た人物は
〖バートっ〗
『バートさん』
〖バートっまた駄神って言ったでしょ!?〗
主神様、そこ?
『いいえ?気のせいでは?それより』
〖あっ!そうだよね?もう面倒臭いからみんなまとめて行くよっ〗
『え?』
〖おい?〗
『…はあっ仕方ないですね』
しゅんっ!
主神様が私たちをまとめて転移魔法で連れてきた。この部屋は主神様の部屋?
〖はいっ!到着!念の為、遮音っと…〗
『大丈夫です。ネズミもいませんよ。もし何かしてこようものなら…フフフ』
〖そう?バートがそう言うなら安心だね〗にこにこ
な、何かしら?物騒なやり取り…?笑顔が怖いんだけど?
〖凛さんと~武神はどこにいてもらおうかな?隠れててもらわないとね〗
『ええ?』
〖隠れる?〗
『そうですね。こちらからは見えて、あちらからは見えないところとなると…』
『え?なんで隠れるの?』
〖俺様もか?〗
訳が分からず武神様と顔を見合わせる。
〖そうだよ~。あのね、これからサーヤから連絡が来るんだよ~。でもほら、凛さんはまだサーヤの前に出るつもりは無いでしょ?〗にこっ
『え?』
サーヤと?
『実は先日、映像で繋ぐ事に成功したのですよ。色々な意味で驚いて貰えると思いますよ』ニヤリ
バートさんまで、楽しそうに笑っている。まさか、本当に?
〖ああ、そういや工芸神と鍛治神が楽しそうになんか作ってたな。あれか?〗
〖そうそう。それだよ~。ほら、凛さん今は会えなくてもサーヤが無事か自分の目で確かめたいでしょ~?だからさ、隠れて見るくらいは自分に許してあげてもいいんじゃないかな~?〗にこにこ
『凛さんも頑張ってらっしゃいますしね』フフフ
主神様とバートさんがものすごく優しい笑顔で語りかけてくれる。サーヤを見られる?
信じられなくてぼーっとしていると
〖良かったじゃねぇか!凛!〗バシバシ
武神様に肩を叩かれて正気に戻る
『あっあっ、どどど、どこに隠れたら?』バシバシバシバシっ
〖イテッ痛てぇよ!〗
お返しとばかりに武神様の背中をバシバシ叩く!
『あ、あら、失礼。おほほほほ』
でも、ほんとにどうしましょ?
〖仕方ないね~。一応、隠匿魔法かけるからさ、二人とも僕たちのソファーの脇から覗きなよ~〗
『そうですね。普段なら許しませんが今は時間もありませんからそれで行きましょう。さあ、そろそろですよ』
『〖えええ?〗』
そんな?慌ててると、
ピルルルル♪ピルルルル♪
と、懐かしの音に『は?』と、なったが、それどころではない。慌てて主神様とバートさんの後ろに滑り込み寝っ転がってソファーの脇から顔を出す。横を見たら武神様が同じ様な格好に…傍から見たらとんでもない絵面だ…
〖いいかな?出るよ?〗
こくこく頷いて答えると…
ピルル…ピッ!
〖もしもし?サーヤ?〗
主神様が電話に出るすると…
「あ~い!もちもち、いりゅしゃま~!さーやぢゃよ~」
バンッと主神様たちの前にある大型テレビ?にサーヤのドアップが可愛らしい声と共に映し出された!
『ああ…サーヤ、サーヤなのね?』
思わず出てしまった掠れた声と共に涙が溢れてサーヤの顔が滲んで見える。
『元気そうですね、サーヤ。今日も可愛いですね』
バートさんも、私も忘れずにとばかりに参加すると
「えへ~?げんき~!ばーとしゃんみょ~?」
『はい。元気ですよ。主神に仕事をさせるためには私が弱っている場合ではありませんからね』
〖ちょっと!?バート?サーヤ、違うからね?僕はいつだって真面目だからね!〗
「しょっか~いいこいいこ♪」
今度は画面がサーヤの可愛いぷにぷになお手ていっぱいになった。
『サーヤ、小さくなって…』
ずるっと隣で武神様がコケた。
まあ、間違いではない。
「あにょにぇ~、えびをちゃべりゅひ、やっちゃの~♪」
再び画面いっぱいのサーヤが唐突に言い出した。スマホ?を両手で持って話してるのか、とにかく画面に顔が入り切らない。
〖ん?えびをたべるひ?〗
『なんでしょうか?』
えびを食べる日って…
『ああ、サーヤ、それじゃ分からねぇだろ?』
「あっおいちゃんっ!」
画面が若い男性に変わった。
『久しぶりだな。イル様、バートさん』
〖ゲンさん久しぶり~〗
『お元気そうで何よりです』
『おう!みんな元気だぞ。な?』
え?ゲンさん?あれが?そうこうしてると
『イル様~バートさん、ぼくだよ~』
ぴゅいきゅい『『げんき~?』』
『『ぼくたちも~』』
『『『いるよ~』』』
みゃあ『ココロもいるにゃ』
『姫なのだ~』
きゅるるん『『『ぼくたちも~』』』
きゅるるん『『『『げんき~!』』』』
可愛い子たちが代わる代わる映ってくる。あの子たちが今のサーヤの家族なのね。
〖そう。みんな今日も元気だね〗
『いい子にしていますか?』
『いいこしてるよ~』
ぴゅいきゅい『『ね~♪』』
うん!と、いう元気な声が聞こえてくる。可愛いわね。
『あ~ほら、説明できないだろ?』
「あ~ん、さーやがもちゅの~」
〖はいはい。みんなで映りなさい。私が持つから〗
「あ~い」
『ありがとな。ジーニ様』
〖いいのよ~♪〗
ジーニ様?魔神様ね。
『そんでな?この間サーヤが敬老の日を思い出してな』
「ちあうにょ。えびをちゃべりゅひ」
サーヤったら、覚えていてくれたのね。
『そうだな。海老を食べる日だな。それでな、海老料理をたくさん作ったからな、イル様達にもおすそ分けだ』
「あい!おいち~にょ♪」
『すごいんだよ~』
ぴゅいきゅい『『いるさまと~』』
『『バートさんと~』』
「おばあちゃんに~」
『『『おっきなおべんとばこ~!』』』
みゃあ『ほかのひとのぶんもあるのにゃ』
『みんなで食べて欲しいのだ~』
きゅるるん『『『おてがみも』』』
きゅるるん『『『『あるよ~』』』』
『あ~紙、ではないかな…』
みんなが代わる代わる話してくれるのを主神様とバートさんが楽しそうに聞いている。ゲンさんが何かボソッと言ったかしら?
〖ほんとう?楽しみだな~。ありがとう〗
『本当に。待ち遠しいですね』
『おう!ちゃんとレシピまとめといたからよ。後で料理長に渡してくれよ』
〖わあ!ありがとね~ゲンさん〗
『これでいつでも食べられますね。助かります』
そして、再び画面はサーヤのどアップに
「いりゅしゃま~おばあちゃんにぃ、ちゅたえちぇほちいこちょ、ありゅにょ~」
サーヤがモジモジ照れている。私に伝えたいこと?
〖伝えたいこと?いいよ。言ってごらん〗
「ほんちょ~?あにょにぇ~、おばあちゃん、だいすち!っちぇ~」えへへ~
サーヤ…!ぶわっと涙があふれる。ああ、早く抱きしめて私も大好きだと伝えたい!
〖うん。必ず伝えるよ〗
『はい。必ず。きっと泣いて喜びますよ』
主神様とバートさんが約束すると
「ほんちょ~?あいがちょ~」にっこ~
画面いっぱいにサーヤの笑顔が!良かった。笑ってるのね…
『よろしく頼むな』
「じゃあにぇ~まちゃにぇ~♪」
バイバイと手を振っているサーヤ
〖うん。またね~〗
『また連絡下さいね』
「あ~い!」
ブツっ
画面が消えて、声も消えてしまった。
〖…聞いたかな?大好きだって〗
『良かったですね』
〖ぐすっ良かったな~〗バシバシ
『はい。ありがとうございます。そして武神様、痛いです』がっ
〖ぐあっ〗
武神様の脇腹に渾身の右フックが入る
〖お前、これをさっきのゴーレム戦で使えよ…〗がくっ
なんの事かしら?
しゅんっ
〖あっ届いたみたいだよ。お弁当〗
『本当ですね。さすが、分かってますね。すごい量です』
〖さすがゲンさん。良かったね、武神の分もちゃんとあるみたいだよ〗
〖ほんとか?〗
ガバッと武神様が起き上がる。チッ。
よく見ると名札の付いたお弁当がいくつかある。その中に武神様の分もあったようだ。
〖せっかくだから、このまま食べようか〗
『そうですね。下手に勘づかれたらうるさいですからね。わたしがお茶を入れましょう』
〖そうだな!食おうぜ!ほら、凛も来い!いつまでも寝てんだ?〗
私は床に突っ伏したままだったのを思い出して立ち上がる。
『はい!』
勧められた席につき、
〖では、いただきます〗
『〖『いただきます』〗』
パカッと蓋を開けると…
『あらあらまあまあ!』
〖うわぁっ〗
『これは…』
〖ワハハハ!〗
オバアチャン ダイスキ♡サーヤヨリ
〖手紙ってこれか~。イツモアリガトウ!だって〗
『ふふ。確かに、紙ではないですね。マタアイニキテネ!だそうですよ』
〖俺なんかまだ会ってないのに、オバアチャンニヤサシクシテネ?だってよ!ワハハハ〗
蓋を開けると、ご飯の上にはエビのそぼろや海苔で書いた文字が。
『あらあらまあまあ、これじゃ、食べたいのに食べられないじゃないの』
まったくもう。
〖本当だね~どうしようか~?〗
『フフフ、困りましたねぇ』
『とりあえず、これを見ながら他のもん食おうぜ!美味そうだぞ!』
武神様が提案すると
〖武神ちゃん、それ採用!〗
『どうしたのですか?あなたが良いことを仰るなんて?明日は槍が降るかもしれませんね』
〖なんだと!?俺だって言う時は言うんだぞ!〗
『ふふふ』
またこうして優しい人たちと、しかも可愛い孫が作ってくれた物を食べられるなんて思いもしなかった。いつか、サーヤと一緒に食べられるように、これを食べてまた頑張ろう。
待っていてね。サーヤ。
✩.*˚✩.*˚✩.*˚✩.*˚✩.*˚✩.*˚✩.*˚
お読みいただきありがとうございます。イル様たち忘れられちゃうと可哀想なので、番外編にて登場です。
手直しも71話辺りまでなんとか…ある場面ではイル様の気持ちを書き足したりと、セリフ以外を足すように手直ししてます。よろしかったら、見てみて下さい。
そして、ファンタジー大賞お陰様で、何とか45位辺りをキープさせて頂いてます。ありがとうございますm(*_ _)mもしまだ、投票券余っている方いらっしゃいましたら、ポチッと入れていただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。
『はっ!』ざしゅっ!ひゅんっ
『ふっ!』どしゅっ
風を切り、美しく舞うように薙刀を振るう若い女性。素早い動きで攻撃と防御を繰り返す。相手をするのは魔法で作り出されたゴーレム。
『くっ』
胸を突いたはずの薙刀は逆にゴーレムに掴まれ
どがっ
『うううっ』
急所を突き、薙刀を抜く間を狙われゴーレムに鳩尾に掌底を打ち込まれ弾き飛ばされている。
〖ほら!次の動作に素早く動け!今までの常識を捨てろ!急所を突いたからって仕留めきれるとは限らねぇぞ!〗
そこへ激を飛ばす武人が一人。
『はいっ!』
そう。天界で修行中のおばあちゃんと、武神様である。
『はっ!』びゅんっ
おばあちゃんの攻撃はゴーレムに避けられ空を切る。
〖相手の動きを見すぎるんじゃねえ!目に頼るな!感じろ!常に相手の二手三手先まで読め!〗
『はいっ!はあっ!』びゅっ!びゅっ!
岩で造られたとは思えない素早い動きをするゴーレムは、おばあちゃんの攻撃をいとも簡単に避ける。
〖相手は魔物だ!お前が相手をしてきたお行儀のいい連中じゃねぇ!綺麗なお手本の様な型ばかり繰り返してたら相手に次の手を教えてるようなもんだぞ!相手の裏をかけ!手の内を見せるな!〗
『はいっ!はっ!』びゅっ!
ガガッ!ひゅっ!
〖そこまで!〗
おばあちゃんの突きがゴーレムの喉元に入り、今度は掌底を食らう前に素早く離れたところで終了となった。
『はいっ!ありがとうございます!』
姿勢を正しお辞儀をするおばあちゃん。肩でゼーハー息をしている。
『はあっここまで歯が立たないなんて…今までの自分がどれだけ生温い世界にいたか痛感するわね』
おばあちゃんが、どっと膝から崩折れてゴロンと仰向けに倒れる。
〖そうだろうな。所詮、お前が強いというのは安全が約束された決まりの中で行われていたこと。絶対死なない中で勝ち負けを決めるだけのな。俺たちからしてみればそんなモノ子供の遊戯のようなものだ〗
武神様が苦笑混じりに言う。
『そうね。その通りだわ。武器は木製だったり刃を潰してあったり。生死をかけた真剣勝負なんてものは私たちの時代では過去の話だったもの』
おばあちゃんも同意する
〖それにお前の動きは綺麗すぎる。寸分の狂いもない角度、型通りの動きなど慣れてしまえばどうということはない〗
『うっ。本当のこととはいえ、そこまではっきり言われると辛いわね』ハハッ
武神様の残酷な程にハッキリとした言葉に乾いた笑いを返すことしか出来ない。
〖まあ、全てが悪いわけじゃない。基本は大事だからな。だが、そこで止まるな。先へ進め。攻撃、防御の手段を増やせ。何より実戦を積め。そして、覚悟を決めろ〗
『覚悟?』
〖そうだ。これからおまえが相手をする者が魔物だけだと思うか?〗
私がこれから相手にする者?
『あっ…』
思わず拳をギュッと握る。
〖そうだ。魔物だけではない。もしかしたら同じ人を相手にするかもしれない。その時、お前は迷わず相手を切れるか?〗
『それは…』
どうだろうか…
〖正直、俺は魔物にすら躊躇するんじゃないかと思っている〗
『……』
〖ゲンは狩猟をしていたから魔獣に対しては恐らく大丈夫だと言っていたぞ。実際、ボアの群れを一刀両断したらしいからな。事実だろう。だが、人型をした者を相手にしたらどうなるか分からないと言っていたな〗
『ゲンさんが…』
〖そうだ。まずは認めろ。自分の弱さを〗
『自分の弱さ…』
〖そうだ。お前たちは日常が生死の危機に晒されるような生活は送っていなかった。そうなれば、命を奪うことに躊躇するだろう。だが、この世界は違う。生まれた時から負ければ待つのは死。自分や大切なものの為ならば躊躇わず殺しにくるぞ〗
『戦う時は命懸け…生きるか死ぬかは…』
〖お前たちの場合、問題は力より心だろうな。優しさや情けは美徳だが、それが命取りになることもある。時には非情にならねばならぬ。そうしなければ本当に守りたいものは守れぬぞ。…今回もな〗
『今回も…』
ギリッと拳を握る。爪が皮膚にくい込み血が滲む…
このままでは、また守れない。今度こそ、私は…私たちはサーヤを守らなければ。その為には…
『武神様、私をもっと鍛えて下さい。私は甘えを捨ててもっと強くならなければ…!』
今度こそ!
〖分かった。だが、間違えるなよ。まずは自分を守れるようになれ。自分を守れない奴が誰かを守れるか?答えは否だ。強くなれ。お前がまた自分を犠牲にしようものなら、今度こそサーヤは壊れるぞ〗
いつものふざけた武神様とは全く結びつかない真剣な目で語りかけてくる。
『そうね。自分を犠牲にせずに共に生きる。それこそが大事よね』
私だってサーヤたちと楽しく暮らしたいもの。せっかく若返ったんだしね!
〖その通りだ!それじゃ続きと行く…か?〗
バタバタバタバタっ
〖なんだ?〗
『さあ?』
さあ!やるぞー!と気合いを入れた途端に、だんだん近づいてくる慌ただしい足音!
バタバタバタバタッ
バーンッ
〖あ~いたーっ!凛さん!早く早く!急いで一緒に来てっ!〗
ノックもなく勢いよく扉を開けて入って来たのは主神イリュ様
『え?』
な、何事かしら?
〖何だよ、主神。これからって時によ〗
武神様がイライラしながら主神様に詰め寄ります。
〖え?あれ?武神もいたの?もう!面倒臭いな~。説明してる時間が無いんだよ。勿体ないけど武神も来て!〗
え?あの大きい武神様が目に入らないの?
〖ああん?俺には勿体ないって何だよ!?おい〗
〖だから~〗
主神様も相当急いでいるのか珍しくイラッとした模様…
その時
『いつまでも戻って来ないかと思ったら。武神、駄…主神の言う通りにして下さい。凛さんも。時間がありません』
静かに割って入って来た人物は
〖バートっ〗
『バートさん』
〖バートっまた駄神って言ったでしょ!?〗
主神様、そこ?
『いいえ?気のせいでは?それより』
〖あっ!そうだよね?もう面倒臭いからみんなまとめて行くよっ〗
『え?』
〖おい?〗
『…はあっ仕方ないですね』
しゅんっ!
主神様が私たちをまとめて転移魔法で連れてきた。この部屋は主神様の部屋?
〖はいっ!到着!念の為、遮音っと…〗
『大丈夫です。ネズミもいませんよ。もし何かしてこようものなら…フフフ』
〖そう?バートがそう言うなら安心だね〗にこにこ
な、何かしら?物騒なやり取り…?笑顔が怖いんだけど?
〖凛さんと~武神はどこにいてもらおうかな?隠れててもらわないとね〗
『ええ?』
〖隠れる?〗
『そうですね。こちらからは見えて、あちらからは見えないところとなると…』
『え?なんで隠れるの?』
〖俺様もか?〗
訳が分からず武神様と顔を見合わせる。
〖そうだよ~。あのね、これからサーヤから連絡が来るんだよ~。でもほら、凛さんはまだサーヤの前に出るつもりは無いでしょ?〗にこっ
『え?』
サーヤと?
『実は先日、映像で繋ぐ事に成功したのですよ。色々な意味で驚いて貰えると思いますよ』ニヤリ
バートさんまで、楽しそうに笑っている。まさか、本当に?
〖ああ、そういや工芸神と鍛治神が楽しそうになんか作ってたな。あれか?〗
〖そうそう。それだよ~。ほら、凛さん今は会えなくてもサーヤが無事か自分の目で確かめたいでしょ~?だからさ、隠れて見るくらいは自分に許してあげてもいいんじゃないかな~?〗にこにこ
『凛さんも頑張ってらっしゃいますしね』フフフ
主神様とバートさんがものすごく優しい笑顔で語りかけてくれる。サーヤを見られる?
信じられなくてぼーっとしていると
〖良かったじゃねぇか!凛!〗バシバシ
武神様に肩を叩かれて正気に戻る
『あっあっ、どどど、どこに隠れたら?』バシバシバシバシっ
〖イテッ痛てぇよ!〗
お返しとばかりに武神様の背中をバシバシ叩く!
『あ、あら、失礼。おほほほほ』
でも、ほんとにどうしましょ?
〖仕方ないね~。一応、隠匿魔法かけるからさ、二人とも僕たちのソファーの脇から覗きなよ~〗
『そうですね。普段なら許しませんが今は時間もありませんからそれで行きましょう。さあ、そろそろですよ』
『〖えええ?〗』
そんな?慌ててると、
ピルルルル♪ピルルルル♪
と、懐かしの音に『は?』と、なったが、それどころではない。慌てて主神様とバートさんの後ろに滑り込み寝っ転がってソファーの脇から顔を出す。横を見たら武神様が同じ様な格好に…傍から見たらとんでもない絵面だ…
〖いいかな?出るよ?〗
こくこく頷いて答えると…
ピルル…ピッ!
〖もしもし?サーヤ?〗
主神様が電話に出るすると…
「あ~い!もちもち、いりゅしゃま~!さーやぢゃよ~」
バンッと主神様たちの前にある大型テレビ?にサーヤのドアップが可愛らしい声と共に映し出された!
『ああ…サーヤ、サーヤなのね?』
思わず出てしまった掠れた声と共に涙が溢れてサーヤの顔が滲んで見える。
『元気そうですね、サーヤ。今日も可愛いですね』
バートさんも、私も忘れずにとばかりに参加すると
「えへ~?げんき~!ばーとしゃんみょ~?」
『はい。元気ですよ。主神に仕事をさせるためには私が弱っている場合ではありませんからね』
〖ちょっと!?バート?サーヤ、違うからね?僕はいつだって真面目だからね!〗
「しょっか~いいこいいこ♪」
今度は画面がサーヤの可愛いぷにぷになお手ていっぱいになった。
『サーヤ、小さくなって…』
ずるっと隣で武神様がコケた。
まあ、間違いではない。
「あにょにぇ~、えびをちゃべりゅひ、やっちゃの~♪」
再び画面いっぱいのサーヤが唐突に言い出した。スマホ?を両手で持って話してるのか、とにかく画面に顔が入り切らない。
〖ん?えびをたべるひ?〗
『なんでしょうか?』
えびを食べる日って…
『ああ、サーヤ、それじゃ分からねぇだろ?』
「あっおいちゃんっ!」
画面が若い男性に変わった。
『久しぶりだな。イル様、バートさん』
〖ゲンさん久しぶり~〗
『お元気そうで何よりです』
『おう!みんな元気だぞ。な?』
え?ゲンさん?あれが?そうこうしてると
『イル様~バートさん、ぼくだよ~』
ぴゅいきゅい『『げんき~?』』
『『ぼくたちも~』』
『『『いるよ~』』』
みゃあ『ココロもいるにゃ』
『姫なのだ~』
きゅるるん『『『ぼくたちも~』』』
きゅるるん『『『『げんき~!』』』』
可愛い子たちが代わる代わる映ってくる。あの子たちが今のサーヤの家族なのね。
〖そう。みんな今日も元気だね〗
『いい子にしていますか?』
『いいこしてるよ~』
ぴゅいきゅい『『ね~♪』』
うん!と、いう元気な声が聞こえてくる。可愛いわね。
『あ~ほら、説明できないだろ?』
「あ~ん、さーやがもちゅの~」
〖はいはい。みんなで映りなさい。私が持つから〗
「あ~い」
『ありがとな。ジーニ様』
〖いいのよ~♪〗
ジーニ様?魔神様ね。
『そんでな?この間サーヤが敬老の日を思い出してな』
「ちあうにょ。えびをちゃべりゅひ」
サーヤったら、覚えていてくれたのね。
『そうだな。海老を食べる日だな。それでな、海老料理をたくさん作ったからな、イル様達にもおすそ分けだ』
「あい!おいち~にょ♪」
『すごいんだよ~』
ぴゅいきゅい『『いるさまと~』』
『『バートさんと~』』
「おばあちゃんに~」
『『『おっきなおべんとばこ~!』』』
みゃあ『ほかのひとのぶんもあるのにゃ』
『みんなで食べて欲しいのだ~』
きゅるるん『『『おてがみも』』』
きゅるるん『『『『あるよ~』』』』
『あ~紙、ではないかな…』
みんなが代わる代わる話してくれるのを主神様とバートさんが楽しそうに聞いている。ゲンさんが何かボソッと言ったかしら?
〖ほんとう?楽しみだな~。ありがとう〗
『本当に。待ち遠しいですね』
『おう!ちゃんとレシピまとめといたからよ。後で料理長に渡してくれよ』
〖わあ!ありがとね~ゲンさん〗
『これでいつでも食べられますね。助かります』
そして、再び画面はサーヤのどアップに
「いりゅしゃま~おばあちゃんにぃ、ちゅたえちぇほちいこちょ、ありゅにょ~」
サーヤがモジモジ照れている。私に伝えたいこと?
〖伝えたいこと?いいよ。言ってごらん〗
「ほんちょ~?あにょにぇ~、おばあちゃん、だいすち!っちぇ~」えへへ~
サーヤ…!ぶわっと涙があふれる。ああ、早く抱きしめて私も大好きだと伝えたい!
〖うん。必ず伝えるよ〗
『はい。必ず。きっと泣いて喜びますよ』
主神様とバートさんが約束すると
「ほんちょ~?あいがちょ~」にっこ~
画面いっぱいにサーヤの笑顔が!良かった。笑ってるのね…
『よろしく頼むな』
「じゃあにぇ~まちゃにぇ~♪」
バイバイと手を振っているサーヤ
〖うん。またね~〗
『また連絡下さいね』
「あ~い!」
ブツっ
画面が消えて、声も消えてしまった。
〖…聞いたかな?大好きだって〗
『良かったですね』
〖ぐすっ良かったな~〗バシバシ
『はい。ありがとうございます。そして武神様、痛いです』がっ
〖ぐあっ〗
武神様の脇腹に渾身の右フックが入る
〖お前、これをさっきのゴーレム戦で使えよ…〗がくっ
なんの事かしら?
しゅんっ
〖あっ届いたみたいだよ。お弁当〗
『本当ですね。さすが、分かってますね。すごい量です』
〖さすがゲンさん。良かったね、武神の分もちゃんとあるみたいだよ〗
〖ほんとか?〗
ガバッと武神様が起き上がる。チッ。
よく見ると名札の付いたお弁当がいくつかある。その中に武神様の分もあったようだ。
〖せっかくだから、このまま食べようか〗
『そうですね。下手に勘づかれたらうるさいですからね。わたしがお茶を入れましょう』
〖そうだな!食おうぜ!ほら、凛も来い!いつまでも寝てんだ?〗
私は床に突っ伏したままだったのを思い出して立ち上がる。
『はい!』
勧められた席につき、
〖では、いただきます〗
『〖『いただきます』〗』
パカッと蓋を開けると…
『あらあらまあまあ!』
〖うわぁっ〗
『これは…』
〖ワハハハ!〗
オバアチャン ダイスキ♡サーヤヨリ
〖手紙ってこれか~。イツモアリガトウ!だって〗
『ふふ。確かに、紙ではないですね。マタアイニキテネ!だそうですよ』
〖俺なんかまだ会ってないのに、オバアチャンニヤサシクシテネ?だってよ!ワハハハ〗
蓋を開けると、ご飯の上にはエビのそぼろや海苔で書いた文字が。
『あらあらまあまあ、これじゃ、食べたいのに食べられないじゃないの』
まったくもう。
〖本当だね~どうしようか~?〗
『フフフ、困りましたねぇ』
『とりあえず、これを見ながら他のもん食おうぜ!美味そうだぞ!』
武神様が提案すると
〖武神ちゃん、それ採用!〗
『どうしたのですか?あなたが良いことを仰るなんて?明日は槍が降るかもしれませんね』
〖なんだと!?俺だって言う時は言うんだぞ!〗
『ふふふ』
またこうして優しい人たちと、しかも可愛い孫が作ってくれた物を食べられるなんて思いもしなかった。いつか、サーヤと一緒に食べられるように、これを食べてまた頑張ろう。
待っていてね。サーヤ。
✩.*˚✩.*˚✩.*˚✩.*˚✩.*˚✩.*˚✩.*˚
お読みいただきありがとうございます。イル様たち忘れられちゃうと可哀想なので、番外編にて登場です。
手直しも71話辺りまでなんとか…ある場面ではイル様の気持ちを書き足したりと、セリフ以外を足すように手直ししてます。よろしかったら、見てみて下さい。
そして、ファンタジー大賞お陰様で、何とか45位辺りをキープさせて頂いてます。ありがとうございますm(*_ _)mもしまだ、投票券余っている方いらっしゃいましたら、ポチッと入れていただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。
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